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M's eye

忘れる為の記録

淡々と…

2006年10月14日 00時07分13秒 | Weblog

「おいくつですか」

「さぁねぇ、最近はたいていで生きているしね…
 わかる必要もないしね…」


淡々と話される90歳代の男性の言葉は

なんとおおらかであろうか。

日常のざらついた出来事や羨望や嫉妬も

さらりと洗い流してくれるような口調だった。


貴方に抱かれて

2006年10月09日 22時01分52秒 | Weblog

猫のように目を細めてフロントガラスをみている

第三京浜をイタリア男と走る休日

風に髪を愛撫され夢見心地に時が過ぎていく

両肩を抱かれ、強く優しく…

パッセンジャーシートは空席のまま

貴方に抱かれて走るのが一番好き

私のアルファ156




写真の人

2006年10月08日 22時45分27秒 | Weblog

タップの音が蘇る、真剣な眼差し乱れる事のないリズム

もう、彼女の姿は二度と見ることはできない

何という事だろうか、48歳という若さで旅立つ運命だったとは。

元気だった頃しかしらない私には、先日の訃報が届いたときは

突然に別れの幕がおろされたような気分だった。

16歳と12歳のお子様を残しての別れは、言葉もない。

幾重にも白い雲の上に白い月が座り群青色の空から

斎場を照らしていた。

保育園を卒園してから丁度10年、母親達も其々の道を

歩んでいる。

立待ち月の今夜は、涙がとまらない。

貴女のメールアドレス、もう送ることはできなくなりました。




願い

2006年10月08日 00時00分31秒 | Weblog

「大抵の男ってさ、自分より稼ぎや頭がいいと 
 相手にしないもんさ」

「○○はさぁ、東大だってね、家もすげーぇいいんじゃん」


T線ですぐ隣のカップルの男性が大きな声で、強い口調で
まくしたてていた。

「っていうか、いつも強気だよね。負けないでしょ」とまだ彼女に
なりたてのような雰囲気の女性。

「俺に勝てる奴はいないよ、口じゃ負けないからさぁ」


大抵の男か…思わず口元が緩んでしまったが、そうなんだろうなと。

私のいる世界は大半が女性であり、男性とは上下関係になりやすい
職場。

仕事もろくにできないのに、女性が群がっている男性を
随分と醒めた目でみていた事を思い出す。

「大抵の女性ってね、自分よりう~んと優れてないと
 身を任せようと思わないけど」

女性はある意味とても寛大だが、尊敬という色合いが薄れていくと
掌をかえしたように、口調に棘が含まれるようになる。

貴方という呼び名がいつしか…


人の心の奥底を覗きたいなどと間違っても思わないけれど
せめても辛かった海を泳ぎようやく巡り会い
互いに優しく手をつなぎ穏やかな海を漂っていければと
願っている。




切ない覚悟

2006年10月07日 00時07分20秒 | Weblog
十五夜の冷たい雨の夜何度となく小さなため息がでる

女は些細なことをいつまでも記憶の襞に
刻む事がおおいから

当たり前のようにその人からの着信があるはずが

ことりとも音がしなくなることがあった

胸騒ぎと鼓動に狂おしく森を揺るがす風が白く
心に吹きすさぶ夜もあった

覚悟という言葉を掌に握り締める

互いに本当に大切な出来事は知らされない係わりだから

愛しい着信音が聞えなくなるときは必ずやってくる

むしろその時に向かっているのだから

それは諦めではなく切ない覚悟…




野の花

2006年10月05日 22時07分00秒 | Weblog

雨に濡れた小さな妖精たち

赤と白い花弁がお行儀よく並んでいる

心が柔らかな夜は野の花も愛おしくなる

二人の隠れ家で咲いたみずひきの花





10月6日

2006年10月04日 00時28分26秒 | Weblog

肌に絡みつくような金木犀の匂いを振り切るように

夜道を小走りしていく宵月の夜は

貴方でもなくあの人でもなく

泪壺にしまいこんだ人のことを想う


すっぽりと肌にくるまれて

このままずっとと願ったこと


十五夜の夜に濃密な時間を

二人の棲家で月光浴を致しましょ





交情

2006年10月02日 00時14分09秒 | Weblog

『雪の降るまで』

田辺 聖子さんの作品の中では秀逸だと思っている。

男と女の性は、年を重ねるほど濃密になっていく。

大人になりそして何人かの男(ひと)と交わりを重ねると

肌合い、温度がそれはしっくりといく人に出会う事がある。

心が濡れていく人がいるものだと分かるようになる。


フェニールエチルアミン

2006年09月28日 00時06分09秒 | Weblog

肌に触れることが当然だったころは

無我夢中に貪るように我を忘れて溺れていく

肌に触れる事が叶わなくなっていくころは

猫のように目を細めてただ時を過ごしていく


恋ホルモン・フェニールエチルアミンはシーソーのように

不安定でそしてやがて枯渇し消滅していく


執着は恋心ではなくて愚かな所有欲