「大抵の男ってさ、自分より稼ぎや頭がいいと
相手にしないもんさ」
「○○はさぁ、東大だってね、家もすげーぇいいんじゃん」
T線ですぐ隣のカップルの男性が大きな声で、強い口調で
まくしたてていた。
「っていうか、いつも強気だよね。負けないでしょ」とまだ彼女に
なりたてのような雰囲気の女性。
「俺に勝てる奴はいないよ、口じゃ負けないからさぁ」
大抵の男か…思わず口元が緩んでしまったが、そうなんだろうなと。
私のいる世界は大半が女性であり、男性とは上下関係になりやすい
職場。
仕事もろくにできないのに、女性が群がっている男性を
随分と醒めた目でみていた事を思い出す。
「大抵の女性ってね、自分よりう~んと優れてないと
身を任せようと思わないけど」
女性はある意味とても寛大だが、尊敬という色合いが薄れていくと
掌をかえしたように、口調に棘が含まれるようになる。
貴方という呼び名がいつしか…
人の心の奥底を覗きたいなどと間違っても思わないけれど
せめても辛かった海を泳ぎようやく巡り会い
互いに優しく手をつなぎ穏やかな海を漂っていければと
願っている。