【BRASIL NEWS】ニッケイ新聞メルマガ版 221号 2006/10/07より転載
■大統領選は決選投票へ=29日までお預け=現職、土壇場で支持下げる=政治倫理
が争点に 2006年10月3日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】ブラジル全国民の注目が集中した大統領
選挙は二日午前〇時三〇分、投票総数の九九・二%を開票の結果、ルーラ候補(労
働者党=PT)四八・六五%に対しアウキミン候補(ブラジル民主社会党=PSD
B)が四一・五八%で双方過半数に至らず、十月二十九日に決選投票を行うと選挙
高等裁判所が発表した。州知事選ではセーラ候補(PSDB)が聖州で、ネーヴェ
ス候補(PSDB)はミナス・ジェライス州で、ヴァグネル候補(PT)はバイア
州でそれぞれ過半数を獲得し当選した。州知事を党別にみると、ブラジル民主運動
党(PMDB)が五知事、PTとPSDBが各四知事を既に確保した。
今回大統領選の投票結果は、ブラジルを真っ二つに割った感がある。アウキミン
候補が勝利したのは、聖州に始まり南部諸州と中央西部、アクレ、ロライマ、ロン
ドニア州など。ルーラ候補は北東部を始め、リオ・デ・ジャネイロ、ミナス・ジェ
ライス、エスピリト・サント、パラー、アマパー、トカンチンス、アマゾナスなど
の州で勝利した。
一次選での決着は九月末時点ですでに疑問視されていた。開票結果は当初、ルー
ラ候補の地盤である北東部地方が順調に進んだため、同候補の快進撃が見られた。
しかし、ブラジル最大の票田で、アウキミン候補の地盤である聖州が開票されるに
至って、情勢は変化した。
PTとPSDB両陣営は直ちに、決選に向けた選挙作戦に入った。アウキミン候
補は二十九日までに、現政権の恥部を徹底的に暴き、清い政治か、それとも汚い政
治が勝利を得るか国民に問うという。ルーラ候補はプラナウト宮への再登板が決選
へ持ち込まれたことで、誤算を認めた。PTがPSDBを中傷するために行ったデ
ータ購入の際に使われた札束写真の公開も、不利に働いたとみている。
これまでも、数々の難所を突破したPTである。選挙の直前に起きた不祥事の修
復でPTは狼狽しないという。救急車マフィアPLANAM社代表のヴェドイン容
疑者とPTは、政敵PSDBの暴露材料を取引したことをマスコミにすっぱ抜かれ、
党の体質が疑われた。決選投票では、政治倫理が問われる選挙になりそうだ。
■外紙トップで選挙報道=動向を注視する国際金融界
2006年10月4日(水)
【時事、エスタード・デ・サンパウロ紙三日】海外のマスコミは、ブラジルの総
選挙をどう見ているのか。金融市場を中心に、各紙を追ってみた。スキャンダルに
まみれたPT政権体質は、ヴェドイン調書で国民の支持票に風穴を開けたというの
が共通の見方。
ニューヨーク・タイムスは飛行機事故と重なり、ブラジルは曇天なりと報じた。
ルーラ大統領は〇二年選挙でも決選投票で政権を獲得し、その後度重なる不祥事を
引き起こした。近代化された中央西部と南部諸州の支持を得たアウキミン候補を差
し置き、僻地州の支持でルーラ候補が再選されることに疑問を呈した。
スペインの各紙は、PT政権時のスキャンダルが決選の機会を作り、政治的腐敗
にスポットを当てるため再選に待ったを掛けたという。仏ル・モンド紙はPT政権
の続投が、流産しそうだと見ている。
英国のガーデアンが、投票箱の前で汚職容認の考えが変った有権者は、多いと評
した。景気回復と貧困撲滅に功績があったものの、PT政権見直しの機運が高まっ
ていると論評をした。同紙は続投の夢が不透明となったいま、大統領の心が傷つい
たとする述懐を葛藤と見て重要視した。
英紙フィナンシアル・タイムスは、アウキミン候補の写真を大写しに載せ逆転を
期待しているようだ。ルーラ大統領への絶大な国民の支持に圧倒され、同候補は二
〇一〇年への再出馬を模索した筈だという。しかし、PT政権の経済成長率を突け
と暗示している。
ロイターはブラジルの株式と外為市場が、決選投票を受けて不透明感が高まった
と報じた。終盤でアウキミン候補が追い上げ、差を一気に縮小。政局は、さらに四
週間混迷しそうだと見ている。PTの悪質な選挙工作は、株式や通貨を三か月ぶり
の安値まで下落させた。しかし、PT政権はインフレ抑制や債務支払能力を高めた
通貨政策で投資家から信頼感を得た。
ブラジルの実業界はアウキミン候補が、経済活動の活性化に向け金利と税金の引
き下げにつながる政策を実施すると期待している。同候補はインフレと債務などマ
クロ政策では全般的に従来路線を維持するが、より組織化しスキャンダルも減少す
ると見ている。
■大統領選は決選投票へ=29日までお預け=現職、土壇場で支持下げる=政治倫理
が争点に 2006年10月3日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】ブラジル全国民の注目が集中した大統領
選挙は二日午前〇時三〇分、投票総数の九九・二%を開票の結果、ルーラ候補(労
働者党=PT)四八・六五%に対しアウキミン候補(ブラジル民主社会党=PSD
B)が四一・五八%で双方過半数に至らず、十月二十九日に決選投票を行うと選挙
高等裁判所が発表した。州知事選ではセーラ候補(PSDB)が聖州で、ネーヴェ
ス候補(PSDB)はミナス・ジェライス州で、ヴァグネル候補(PT)はバイア
州でそれぞれ過半数を獲得し当選した。州知事を党別にみると、ブラジル民主運動
党(PMDB)が五知事、PTとPSDBが各四知事を既に確保した。
今回大統領選の投票結果は、ブラジルを真っ二つに割った感がある。アウキミン
候補が勝利したのは、聖州に始まり南部諸州と中央西部、アクレ、ロライマ、ロン
ドニア州など。ルーラ候補は北東部を始め、リオ・デ・ジャネイロ、ミナス・ジェ
ライス、エスピリト・サント、パラー、アマパー、トカンチンス、アマゾナスなど
の州で勝利した。
一次選での決着は九月末時点ですでに疑問視されていた。開票結果は当初、ルー
ラ候補の地盤である北東部地方が順調に進んだため、同候補の快進撃が見られた。
しかし、ブラジル最大の票田で、アウキミン候補の地盤である聖州が開票されるに
至って、情勢は変化した。
PTとPSDB両陣営は直ちに、決選に向けた選挙作戦に入った。アウキミン候
補は二十九日までに、現政権の恥部を徹底的に暴き、清い政治か、それとも汚い政
治が勝利を得るか国民に問うという。ルーラ候補はプラナウト宮への再登板が決選
へ持ち込まれたことで、誤算を認めた。PTがPSDBを中傷するために行ったデ
ータ購入の際に使われた札束写真の公開も、不利に働いたとみている。
これまでも、数々の難所を突破したPTである。選挙の直前に起きた不祥事の修
復でPTは狼狽しないという。救急車マフィアPLANAM社代表のヴェドイン容
疑者とPTは、政敵PSDBの暴露材料を取引したことをマスコミにすっぱ抜かれ、
党の体質が疑われた。決選投票では、政治倫理が問われる選挙になりそうだ。
■外紙トップで選挙報道=動向を注視する国際金融界
2006年10月4日(水)
【時事、エスタード・デ・サンパウロ紙三日】海外のマスコミは、ブラジルの総
選挙をどう見ているのか。金融市場を中心に、各紙を追ってみた。スキャンダルに
まみれたPT政権体質は、ヴェドイン調書で国民の支持票に風穴を開けたというの
が共通の見方。
ニューヨーク・タイムスは飛行機事故と重なり、ブラジルは曇天なりと報じた。
ルーラ大統領は〇二年選挙でも決選投票で政権を獲得し、その後度重なる不祥事を
引き起こした。近代化された中央西部と南部諸州の支持を得たアウキミン候補を差
し置き、僻地州の支持でルーラ候補が再選されることに疑問を呈した。
スペインの各紙は、PT政権時のスキャンダルが決選の機会を作り、政治的腐敗
にスポットを当てるため再選に待ったを掛けたという。仏ル・モンド紙はPT政権
の続投が、流産しそうだと見ている。
英国のガーデアンが、投票箱の前で汚職容認の考えが変った有権者は、多いと評
した。景気回復と貧困撲滅に功績があったものの、PT政権見直しの機運が高まっ
ていると論評をした。同紙は続投の夢が不透明となったいま、大統領の心が傷つい
たとする述懐を葛藤と見て重要視した。
英紙フィナンシアル・タイムスは、アウキミン候補の写真を大写しに載せ逆転を
期待しているようだ。ルーラ大統領への絶大な国民の支持に圧倒され、同候補は二
〇一〇年への再出馬を模索した筈だという。しかし、PT政権の経済成長率を突け
と暗示している。
ロイターはブラジルの株式と外為市場が、決選投票を受けて不透明感が高まった
と報じた。終盤でアウキミン候補が追い上げ、差を一気に縮小。政局は、さらに四
週間混迷しそうだと見ている。PTの悪質な選挙工作は、株式や通貨を三か月ぶり
の安値まで下落させた。しかし、PT政権はインフレ抑制や債務支払能力を高めた
通貨政策で投資家から信頼感を得た。
ブラジルの実業界はアウキミン候補が、経済活動の活性化に向け金利と税金の引
き下げにつながる政策を実施すると期待している。同候補はインフレと債務などマ
クロ政策では全般的に従来路線を維持するが、より組織化しスキャンダルも減少す
ると見ている。