徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
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世界の車窓から ~サンマリノ共和国から黄昏のフィレンツェへ~ 

2016年08月07日 | 旅行
世界の車窓から ~イタリア紀行2016夏~ 

サンマリノ共和国から黄昏のフィレンツェへ 


2016年7月19日。
西行きの旅は毎日朝が早い。朝6時には目が覚めていた。
昨夜は生ハム&サラミ祭りでお腹いっぱいだったので、そう空腹でもなく、レストランから持ち帰ったサラミとサルシッチャ入りフォカッチャ、ガス入り水、ルームバーのコーヒーで簡単な朝食にした。ビタミン不足は後でトマトかオレンジジュースでも買えばいい、と(笑)。思えば安宿を転々としていた学生時代はこんなのばっかりだった。

今日のターゲットは、サンマリノ共和国!

7時半にボローニャ駅へ。リミニ行きの列車は、7:52の区間快速(所要時間90分)と、8:00のインターシティ(所要60分)料金は倍以上だが、時は金なり♪迷わず特急の指定(15.50ユーロ)をとって、オレンジジュース買って待機。ついでに切符自販機でVISAが使えてホッとした!両替も、念のため。←田舎でチマチマした出費は現金に限る。



巨大なターミナル駅にある両替カウンターは、さながら世界中の観光客の博覧会?中には困ったちゃんも。
「財布盗られて2ユーロ貸してくれ、空港バスに乗る金が足りない」と英語を話す若者がカウンターのオジサマに頼んでいたが「だったら15番線に警察があるからそこに行け」とクールに対応していたのが、ちょっと可笑しかった。流石、女に親切で男に冷たいイタリア!(笑) ← しかし、彼はその後どうしたのだろう。

8時に定刻発車。特急はレッチェ行き、イタリアのかかとの先端まで、いくつもの駅に止まりながら10時間近い運行になる。延々と続く停車駅のアナウンスに「で、一体いくつ止まるんだ?」とタイミング良くツッコむオジサマがいて、車内がドッとウケていたw。



8:35、ファエンツァに停車。塩野七生女史の「チェーザレ・ボルジア、あるいは優雅なる冷酷」に出てきたマンフレディ家の話を思い出す。そう言えばチェーザレ様は「ロマーニャ公爵」でもあったわけで。私にはこの地域が馴染み深い理由がもうひとつ分かった。



8:45、フォルリに到着。『ルネサンスの女たち』にフォルリのカテリーナ様の話があったっけ。何というか、とにかく男勝りの女傑!という。未だにイタリアの家庭では「鬼が来るよ」と同義語で「カテリーナ様が来るよ!」と子どもが脅かされているかどうかは、残念ながらわからない。

8:57、チェゼーナ停車。アナウンスは「チェセーナ」と発音していたから、どちらでも良いのだろう。長友のイタリア最初の移籍先というより、我がグランカピターノ、ミノッティ様の故郷と言った方が正しいw。車窓からチェゼーナのホームスタジアムが見える。山の上には巨大な要塞?も。上ってみたいなあ~w。←城好き。



9:20、案内なしで10分遅れのリミニ到着。バスの切符(往復10ユーロ)を探し観光案内所で買うのに多少時間がかかり、教えて貰ったバス停には既に発車待機中の大きなバス!しかも満員御礼!奥の方に幸い空席を見つけて、座ると同時に発車!9:30。運が良かったというか、ギリギリだった。コレを逃すと11時までバスがないのだ。



アドリア海に面したリミニはビーチリゾートだけど、町中には中世の城壁が残っている。海には興味ないけど遺跡は良い。私の記憶が正しければ、マラテスタ家の支配下にあったはず。この家の名前も塩野七生女史の本に何度か出てきたような。確か、傭兵隊長の家柄で、後妻と義理の息子の不倫に対する、夫の制裁がすごい話だった。あの頃読んだ本のインパクトで、私のイタリア観は作られていると言っても過言ではない。

沿線の景色
 

10:30、サンマリノ共和国到着。
快晴!素晴らしい眺め!暑い!(笑)































要塞を巡って(中には入らず)歴史地区を一周。山道あり、坂道あり、階段あり、で結構な歩き距離になった。それでも城壁内の旧市街をぐるりと歩いても、二時間もかからない。半日は使う気できた分、若干拍子抜けする。
喉も渇いたし、と目についたレストランでビール(何故かホーフブロイ)にサンマリノ風サルティンボッカを注文。牛肉ではなく豚肉のロースに生ハム、セージではなく月桂樹を爪楊枝で縫い付けたものに、バターソース。淡白だけど、美味しかった。

サンレオの要塞にも行きたかったが足がない。では、帰るか...と時間を調べると、次のリミニ行きバスは13時。



今は?12:53!

いつ乗る?今でしょ!と小走りにバス停まで急いでいたら、駐車場で「おじょーさん、どちらへ?」と運転士から声をかけられる。
「リミニ行きのバスに乗りたいんですが」
「ボクがそのバス(の運転士)だよ」
サングラスを外してキザったらしくニヤリ。よく見ると、行きのバスと同じ運転士じゃないかw。
「どこの国の人?」
「日本人だけど」
「へえ、キミは日本人には見えなかったな。タイ人みたいに見えたけど」
余計なお世話だ!しかし期待?にこたえてあげようと、タイ語でいくつか喋って面白がらせてみた自分もサービス精神過多だろう。(苦笑)

帰りのバスも満員御礼。幸い空席を見つけて座ったところ、何故か隣席のイタリア人マダムに「イタリア語で」何のためらいもなく「ねえ、このバスってリミニ駅に行くわよね、いつぐらいに到着する?」と聞かれる(笑)良くあるんだ...道とか電車の時間聞かれるの。

「直行じゃないですが時刻表通りなら14時前にはつきますよ」
「まあ、ありがとう!助かったわ~」

いや、良いけどね、そもそも外国人に聞くなよ~!

無事にリミニ駅に到着。ちょうど特急フレッチャビアンカ(白い矢)が17分発車というので購入。20.50ユーロ。
安定の5分遅れw。クーラーの効いた快適な車内でノンビリ。



フレッチャビアンカはノンストップで1時間後にボローニャ中央駅についた。実はサンマリノでもっと時間をとると思っていたので、ポッカリ午後遅い時間が空いてしまった。ヴェネツィアへは片道2時間かかるのでちょっと勿体ない&また今度、として(これはリミニ駅で調べた)フィレンツェは...ちょうど15:40のフレッチャロッサがあるではないか!しかも40分で着くという。

久しぶりにフィレンツェ行ってみるか~♪と軽いノリでチケットを買い(25ユーロ)掲示板見て、
「発車は3番線か...」
とこれまた軽いノリで待っていて、ふと何かがおかしい!と気づいた!

いつの間にか、発着がホーム変更されてる!
地下の18番線だと?!

慌ててボローニャ中央駅の南端から北の端にある高速鉄道専用ホームへ猛ダッシュ!エスカレーターを駈け下りコンコースを突っ切り、ホームに飛び込む時「発車」の電光掲示板が見えた!
「待って!」とばかりにホームから(ごめんなさい)駆け込み乗車!間に合った~!
しかも、どうやら「慌ててダッシュ」なお仲間がたくさんいたらしく、車掌さんの笛が何度もピピピ~!と鳴るにも関わらず、発車時間を過ぎてもドアは結構な時間開いたままであったのでした。(笑)





フレッチャロッサは流石の内装、バカンスシーズンとて、混みあってました。日本でいうと夏休みの東海道新幹線みたいなもんです。それでも一応時間通りにフィレンツェ到着!

多分9年ぶりのフィレンツェです。前は間冬でした。今回は真夏!暑い!暑さと人の多さにめげず、まずはドゥオモに。相変わらず美しい、形も色も大きさもルネサンスの最高の建築美!!!見るだけで満足。







市街の中心部を抜けて、市庁舎、ウフィツィ美術館、ポンテヴェッキオを通り抜け、コンドッティ通りからサンタマリアノヴェッラへ。レモンのグラニテ食べて元気を取り戻し、ファルマチアサンタマリアノヴェッラ本店内を見て(笑)駅へ。

ここで17時。一瞬「もう帰ろうか」と思ったものの、やはり、と思い直してミケランジェロ広場から夕陽を見ることに。予想通り!!素晴らしい眺め!帰りのバスからはアルノ河の上に満月が上ってきて、幻想的でした。

帰りのESミラノ行きフレッチャロッサは15分遅れ。22時過ぎにボローニャに到着したあと、フランコロッシのレストランへ。ボロネーゼ、ポルチーニ茸のソテー、焼き菓子、どれも美味しかった!59ユーロはお得だと思う。

お菓子は持ち帰りにしてもらい、薔薇を貰って今日の予定はすべて終了!楽しかった~!