徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

9days Queen 九日間の女王(3月5日公演)

2014年03月07日 | 舞台


3月5日の夜公演に行ってきました。
今回はひとりで、1階席14列目センターブロックほぼ中央!という(舞台全体が)とても見やすい席でした。

前回(3月1日)の公演を観た後に、マチソワでエネルギーを使い果たしてしまったせいか「こんな思いをしてまで好きな役者さんの舞台を観るのって悲しいなあ」と、とても落ち込んでいまして…。
正直仕事も忙しく、この日のチケットを取ったのは完全にスケジューリングミスか、とまで思う始末。冷たく強い雨足の中、ACTまでの道のりがなんと遠く感じたことか!


で・す・が!


やっぱり芝居はナマモノ!魔物!(笑)
第一幕で「今日は少し違う、いや全然違う!」と思い始め、第二幕で「うん、やっぱり違ってきてる!」と。
今回私がある意味開き直って?観劇のスタイルを完全に「変えた」のも、原因のひとつかもしれません。



「ひたすらロジャー・アスカムだけを追う2時間45分!」



どうせ全体イメージをつかむのに難儀する群像劇なら、語り部たるロジャーの視線に寄り添って、お芝居や細やかな表情、所作にあらわれる彼の想いを感じ取りながら観てみよう、それでもダメならもう諦めよう!ぐらいの勢いで…(笑)だって都合4回も観てダメなら、もうこれは私に問題があるに違いない、と。人生思い切りが大事です!(爆)



ちなみに初日と4日目の感想はこちらに。
9days Queen 九日間の女王(初日感想/ネタバレあり)
9days Queen 九日間の女王(3月1日公演/ネタバレあり)




で、結論。

この手法は間違っていなかった!


初めてロジャーの「生々しく揺れ動く感情」に触れることができた!!!
ロジャーの眼を通して、逆にジェーンや周囲のキャラクターがものすごく近く見えてきた!!!


よかった~~~!(涙目)




あえて彼だけを徹底的に追いかけ続けた結果、その醸し出す佇まいや繊細な感情表現――優しさ、あたたかさ、愛嬌、喜び、動揺、怒り、悲しみ、諦観、決意――それらが全て、私の視線の先に「指先で触れあえそうなほどの」リアリティを持って存在していました。そして彼の想いが強く感じられたがゆえに、取り巻く人々のインパクトもまた増した印象があります。



何より。


私の心がようやくロジャーの想いに寄り添うことができた。
これが本当に本当に、本当に!嬉しかった。


ラストシーン、ロジャーのまなざしが追う「何か」を、私も傍で一緒に見上げている、
ジェーンへの「ある想い」を胸に生き、そしてこれからも生きていく彼の感情を、時間を、全て共有できた…そんな気持ちでした。



カテコでは素直に拍手を送る自分がおりました。
何が違うと思ったのか、私はどこのシーンでロジャーの何を観たのか、印象に残るお芝居が何だったのか、後程ゆっくり書きたいと思いますが…少しお時間を下さいませ。m(_ _)m

それにしても、あれは何と繊細な演技だったのでしょうか。
繊細=儚い、ではなく、視線の向け方、微笑み方、俯き方、怒りに、悲しみに震えるくちびる。それはひたすら緻密に計算され組み上げられた芝居で、その銀線を織り上げた細工のような美しさ…。青葉市子さんの歌う「鳥の女王」の旋律とともに、鮮やかに胸に焼き付いています。



(追記)
時間的な制約もあり、この記事に加筆はあきらめました。ネタバレにもなってしまいますので。
ただ、観た感想は別の日の公演と絡めて書きとめておこうと思います。

(言い訳)
ひたすらメインのお芝居とは関係ない部分でも「ロジャーばかり」観察していたので、ちょっと、いや本当に申し訳ない気持ちになりました…とほほ。ここまでしないとダメだというのも、やっぱり「何か違う」気が…(苦笑)舞台を愛するものとしては、己の行為の余りの邪道さにウンザリしないわけではないのです。みっともない。

(余談)
ラストも近いあるシーン、ロジャーのモノローグである決定的な台詞間違い(ある動詞が完全に違っていた)に気づきましたw「え…これすぐ後の台詞と齟齬が出るよ、どうするのかな?」と思って見守っていたら、流石ロジャーさま。視線も顔の筋ひとつも動かさず、すま~して正しい台詞で繋げていってしまわれました。感動的なシーンそっちのけで、思わず「私も仕事舞台でトチっても、他人が気付かないくらいすま~してスルー+リカバリーできる、このくらいの度胸でありたいものだ!」と唸ってしまいましたw