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5社で競う国産コロナワクチン開発  被験者確保に課題、試験設計見直しも

2021-09-30 12:00:00 | 日記

下記の記事は日刊薬業オンラインからの借用(コピー)です。

 国産の新型コロナウイルスワクチンの供給に向け、大手製薬企業やベンチャーなど計5社で開発競争が繰り広げられている。国内臨床第1/2相(P1/2)試験の進捗で見ると、KMバイオロジクスが先陣を切って21日に良好な試験結果を発表した。今後は最終試験に焦点が移るが、国内では1回目のコロナワクチンの接種率が約61%に達する中、各社ともに臨床試験で未接種の日本人被験者をどう集めるかが課題となっている。
 国がコロナワクチンの生産体制等緊急整備事業に採択した企業(8月18日時点)で見ると、塩野義製薬と第一三共、アンジェス、KMバイオロジクス、米バイオベンチャーの子会社VLP セラピューティクス・ジャパンの5社がある。
 この中で国内で最も早く臨床試験が始まったのはアンジェスのDNAワクチンだ。国内でDNAを使ったワクチンはまだ実用化されていない。2020年6月にP1/2試験、12月にはP2/3試験を開始した。ただ両試験ともに結果は公表されていない。
 同社は21年8月に、高用量製剤によるP1/2試験を開始した。国内で既承認のファイザー、モデルナの両ワクチンに照準を合わせ、予防効果が高いワクチンを開発する必要があったためで、22年度内の供給を目標に掲げている。
●KMバイオ、良好なP1/2の結果発表
 国内2番手で開発を始めた塩野義は遺伝子組換えタンパクワクチン。20年12月にP1/2試験を開始したが中和抗体価が十分に高まらず、アジュバントを変更した新製剤を用いて21年8月に新たなP1/2試験を始めた。遺伝子組換えタンパクワクチンは国内ではHPVワクチンで用いられているが、コロナワクチンではまだ実用化されていない。
 同社は今年中に約3000人の日本人を対象とする最終段階の試験を開始する計画で、21年度内の供給を目指す。
 3番手で開発が始まった第一三共は、国産初のmRNAワクチンとして21年3月にP1/2試験を開始。年内に数千人規模の最終段階の試験を行う予定で、22年中の実用化を目指す。
 一方、第一三共と同じ21年3月にP1/2試験を開始したKMバイオロジクスは、今月21日に同試験で安全性と有効性が期待できる結果が得られたと発表した。P1/2試験で良好な結果を明らかにした初めての会社で、現時点で他社を一歩リードした形になる。同社は実用化の目標時期を23年度中から22年度中に前倒しし、21年内に最終段階の臨床試験を開始するべく準備を進めている。
 同社が開発するコロナワクチンの作用機序は、季節性のインフルエンザワクチンでも使われている不活化ワクチン。同社は日刊薬業の取材に「実績のある不活化ワクチンのプラットフォームを活用し開発は順調に進捗している」と述べた。
 また5番手のVLP セラピューティクスはmRNAワクチンで21年10月にP1試験を開始し、22年中の供給を目指す。

●追加接種群の組み入れも検討
 早ければ承認取得を前提とした最終試験が年内にも始まる予定だが、各社で課題となっているのは国内で必要な被験者が集められるかどうかという点だ。
 政府によると、国内の1回目のワクチン接種率は61.01%(9月23日時点)で、未接種の被験者を集めるのは日増しに難しくなっている。さらに国内ではワクチン接種について、3回目の追加接種に向けて体制整備が進められている。
 こうした状況に、試験設計などを柔軟に見直す動きも出ている。第一三共は日刊薬業の取材に最終段階の試験では、日本人に加え海外の被験者の組み入れも視野に入れていると説明。また国内ですでに他社のワクチンを2回打ち終えた人を対象に、追加接種を行う群として臨床試験に組み入れる検討も行うとした。
 同社のP1/2試験はプラセボ群を置いた対照試験だったが、最終段階の試験はプラセボを置かず他社ワクチンを接種済みの人との中和抗体価を比較する非劣性試験としている。
 塩野義は取材に最終段階の試験を日本人だけで行うかは流動的で、3回目の追加接種を被験者に含めるかも検討中とコメント。試験設計も含めて規制当局と協議しつつ、自社でもどう進めるか検討しているという。
 KMバイオロジクスも最終段階の試験の被験者は海外を含め検討しており、試験設計は当局と協議中だと回答。一方で追加接種については、被験者に組み入れないとした。
●安全保障踏まえ官民で実用化を
 新型コロナウイルス感染症を巡っては、2回目のワクチン接種率が49.97%と国民の半数まで届き、先行して接種された高齢者では流行当初と比べ、重症化する患者が減少する効果が出てきている。
 ただ、接種が順調に進むワクチンは大部分が海外からの供給で、国産ワクチンの開発が望まれる。製薬業界では抗菌薬の原薬の供給不足や新型コロナの流行に伴うロックダウンにより、海外に依存する原薬供給に不安が生じ、あらためてサプライチェーンの重要性が認識された。
 被験者の募集や試験設計など、すでに承認取得済みのワクチンと比べ参入障壁は高くなっているが、ここは国の安全保障の観点から、官民共同の力によりハードルを乗り越えて実用化につなげることが求められる。(海老沢 岳) 



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