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愛より野望が透けて見える 小室文書は立身出世を目指す昭和の母子の物語

2021-05-01 11:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です

 秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんが4月8日に公開した28枚、4万字にも及ぶ文書が波紋を呼んでいる。文書から透けて見えるのは、昭和的な野望と高いプライド、そして強い自己主張だ。AERA 2021年4月26日号から。

*  *  *
 小室圭さんが4月8日に公表した文書で驚いたのは、彼が2017年7月から18年6月まで、マンション(管理組合)理事長をしていた、という事実だった。

 書かれていたのは脚注[18]で、それは「文書本体」中の「5 金銭トラブルと言われている事柄に対する私と母の認識について」という部分の文章に対応するもの。という説明からも文書の読みにくさがおわかりいただけると思うが、それはさておき。

「5」は母・佳代さんと元婚約者(以後Aさんとする)の出会いから別れ、その後が書かれていて、小室さん母子の置かれた決して楽ではない境遇が浮かび上がってくる。例えば、佳代さんがAさんからの支援を定期的に受けるようになったのは、婚約の翌年11年4月からで、その理由はこう説明されている。

<東日本大震災の影響を受けて、当時は時給制のパート従業員として働いていた母の出勤日が少なくなり、収入も激減することになりました>。それを知ったAさんが「家族になるのですから当然です、頼られて嬉しいです」などと言って、支援してくれるようになった、と続く。

 震災後にシフトを減らされた佳代さん。新型コロナウイルス禍の今の状況が重なり、「大変だったんだなー」と思う。お金を必死に算段しながら、圭さんの教育だけは守ろうとしている様子が、なんとも切ない。

 などと感じるのは、同世代ゆえだ。週刊誌などによると、佳代さんは現在50代半ば。私の方が少し年上だが、同じ時代を生きてきた。専業主婦になった佳代さん。当時それは珍しいことではなく、夫亡き後のパート勤務の日々を思うと、心が揺れる。

■立身出世描いた小説

 だから小室さんの「理事長」を知ると、「息子に頼る母」を見てしまう。マンションの部屋は息子名義なのだろうか、佳代さんが理事長になる選択肢はなかったのか。表に出るのは夫、夫亡き後は息子。そう考えてきたのかも、と思ったりした。

 17年7月という時期も驚いた。その年の5月、小室さんと眞子さまの婚約内定が報じられ、9月3日には2人並んで記者会見をした。皇室と縁続きになることが公になった時期に、管理組合といえども目立つのはどうだろう。そう思ったのは長く皇室を追いかけてきたからで、「私生活は控えめに」があちらの流儀だろうと理解しているのだ。

 だが、小室さんは理事長になり、今回は自分の正当性を訴える根拠にした。理事長として出席した会議の場でAさんと何度も会った、金銭の返済を断った後だったが、返してくれと言われず、「(眞子さまとのこと)私も応援しています」と言われた──そういう記述だった。

 読み終わり、昭和の「立身出世」を描いた小説を読んだかのように感じた。母1人子1人、肩を寄せ合い、息子は勉学に励む。そんな物語の王道は「東大→大蔵省」なのだが、小室さんは「海の王子」を経て眞子さまへと至る。そう知りながら読むから複雑な気持ちになる。

「立身出世」というより「上昇志向」、いやそれよりも「野望」。それが小室さん母子で、だから理事長を断る選択肢はないのだ、としみじみ思った。

 などと、情緒過多に読み解いた。が、この文書は「金銭トラブルと言われている事柄について誤った情報を訂正していくという判断に至った」から公表した、と小室さんは書いている。

 その点をどう見るか。作家で社会学者の鈴木涼美さんに聞いてみた。「文藝春秋」21年2月号で彼の「金銭トラブル」について、「違う角度から考えれば別のストーリーが見えてくるかもしれない」と語っていた人だ。

「事実はまっすぐな1本の糸ではなく、いろいろな糸が織り込まれてできていると思っています。この文書も彼の信じているストーリーがいろいろ書かれていて、彼なりの事情があったのだろうとは思いました」と鈴木さん。もちろん、元婚約者には元婚約者のストーリーがあって、白黒つけることはできない。それを国民がわいわい議論するのは不毛なことと思う、と。

 文書から「眞子さま好きー」と伝わってくればわかりやすかったが、それは感じられず、プライドの高さやイメージを守りたい思いの強さが膨大な文字量になったと感じたという。(コラムニスト・矢部万紀子)



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