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子育てで世話になった義母が認知症 ダブルケアの始まり

2021-05-11 15:30:00 | 日記

下記の記事は日経ウーマンからの借用(コピー)です

多くの人がいつかは向き合う介護。一人ひとり状況も悩みごとも違えど、話をしたり、聞いたりすることで心が軽くなることも。読者の実際の体験や思いを聞き、専門家にコメントをもらう新連載がスタートします。第1回は、遠距離通勤をやめ、自宅近くの会社に転職した亜矢子さん。子育てのサポートをしてくれていた義母が、転職と同時に認知症に。どうなったのでしょうか。
亜矢子さん 47歳 団体職員(出向) 夫と2人の子どもと4人暮らし。
自宅の隣に夫の実家があり、義父母が2人暮らし。義母に1年半前から認知症の症状が出始め、要介護認定を申請中。
 私は現在、夫と2人の子どもと埼玉県に在住しています。東京都内の企業に勤めていました。子どもが病気になったときは、埼玉県内の別の地域に住む義父母に来てもらって、子どもの看病や面倒を見てもらっていました。
 子どもの病気が長引いた時など、毎日通ってきてもらうのも大変なので、2人目の育休中だった5年前に夫の実家の隣に家を建て、引っ越しました。ただ、夫の実家のある市は都心からさらに離れており、通勤時間は片道2時間以上となるため、朝の登園前の子どもたちのお世話など、全面的に義父母に育児の協力をしてもらう前提での引っ越しでした。
 この状況でこの先ずっと仕事を続けていくことはできないと思い、2019年7月に、自宅近くの団体に出向する前提で転職し、通勤時間が短縮されたので、義父母の負担を減らせることになりました。
転職と同じ時期に見え始めた義母の異変
 ところが、私の転職が決まった頃から、義母に変化が表れてきました。いつもきれいにして、お茶やお花など趣味もあった義母が、暑さもあってかほとんど外出しなくなったのです。テレビの前に座ったまま離れなくなり、家事もおろそかになりがちに。
 私が子どもたちの送り迎えをできるようになって、義父母に世話を頼む必要がなくなったのが引き金になったのかどうかは分かりませんが、ちょうど同じタイミングでした。
 19年の冬にはさらに様子がおかしくなり、東京で医師をしている義理の兄のところへ義母が1人で出掛けて、帰ってこられなくなったことがありました。義兄が嫌な予感がして駅に見に行くと、義母が立ち尽くしていて、切符もなくして自分が何をしているのか分からなくなっていたようです。義兄の勧めで受診したところ、初期のアルツハイマーと診断されました。
義母ができることを一緒にやる、セルフ・デイケア
 その後、義母は少しずつできないことが増えてきました。できる家事とできない家事があり、洗濯物を干す、たたむはできますが、料理の手順は抜け落ちてしまうといった具合です。
 義父は何でもできる人なので、義母を心配して家事をやらせないようになりました。義父は義母の様子を見て、料理をさせるのは危険だと感じたのと同時に、ちゃんとできないことを受け入れたくないのもあるようです。義母はますますテレビの前に座っている時間が増えました。
 私たち夫婦は、義母にできるだけ家事をさせて、病気の進行を遅らせたいと考えています。コロナ禍で在宅勤務ができるようになりましたし、「一緒にお昼を食べよう」と義母にうちに来てもらって、できることを見つけて、家事を手伝ってもらうようにしています。子どもたちと過ごしたり、お菓子を一緒に作ったり、自宅でセルフ・デイケアのようなことをやっています。
義母にはできる家事もあるので、食事の支度を手伝ってもらったり、子どもと遊んでもらったりしています(写真はイメージ)
 私は前の職場で従業員向けの介護セミナーを受けていて、地域包括支援センターとつながっておいたほうがいいと聞いていたので、義母の症状が出たときに、地域包括支援センターに医師を紹介してもらっていました。
 ただ、最初の受診で、しばらく様子を見ましょうと言われ、それ以降、かかりつけの内科にしか行っていませんでした。認知症の度合いも、体の状態も、それほど困った状態ではなかったので、そのときは要介護認定を申請していませんでした。
 コロナ禍などの理由から、義父は申請にはあまり前向きではありませんでした。でも、配偶者の介護を長期間経験した親戚に切々と勧められ、ついに先日、市の福祉課で要介護認定の申請をし、約1年半ぶりに義母を認知症外来の検査に連れて行きました。
小さい子どもと義母、外出中に1人で両方見るのは限界が
 義父が出掛けている間に、義母が何も言わずにいなくなることがあったので、みんなで協力して、誰かが義母を見ているようにしています。義母は自分から体を動かさないので、公園に連れて行ったり、子どもと出掛けるときには必ず声をかけて、一緒に歩いたり体を動かすようにしています。
 この春、上の息子が小4に、下の娘も小学校に上がって手が離れてきたので、私は少しずつ楽になってきました。1年でも状況はかなり違ってきます。
 2020年の夏のことです。公園に出掛けたとき、義母はブランコに座っていて、娘がジャングルジムで高いところに登っていたので、私はそちらに気を取られていました。ふと見ると、義母がブランコから後ろにずり落ちてあおむけになっていたんです。幸いけがはありませんでした。
 別の日にもこんなことがありました。夫と義母、娘で一緒に大きな公園に行ったとき、ちょっと背の高い椅子に義母が座っていました。一緒にいた娘が、先に駐車場に向かった夫のほうに走って行きました。私は義母が気がかりでついていたら、娘が外でつまずいて転び、頭を切るけがをしたこともありました。
 義母と子どもたち、両方に目を光らせていないといけない。1人に対して1人のケアが必要だと痛感しました。子どもたちがもっと小さい頃だったら、一緒に出掛けるのをあきらめていたと思います。
 子どもが小さいうちは独占欲もあり、散歩に義母を連れていくと「なんでばあばが一緒に行くの」とすねることもありました。義母の様子が変化することを、不気味に思うこともあるようでした。私たちや義父が、義母を「守るべき存在」として接していることで、子どもたちも理解し始めているようです。
義父との情報共有や、今後の対応に不安
 隣に住んでいても、義父と情報を共有できていない部分があるのも気掛かりです。義母がトイレに行ってなかなか出てこず、声をかけても「まだ」というばかりで困ったことがありました。義父に何が起こっているのか、どう対処すべきなのか聞いて、今では対応の仕方が分かるのですが、排せつなどデリケートなことほど、情報共有を意識してしないといけないと思いました。
 私は、育児などで義母にものすごくお世話になってきたので、お世話をすることに何の抵抗もないし、負担にも感じていません。ただ、テレワークは今後も続くかどうか分かりません。私がまた終日出勤するようになると、義母にうちに来てもらう機会が少なくなるので、症状が進行するのではと心配です。
 今の職場では介護休暇などの制度はありますが、入社から日が浅く、出向の立場なので、介護のことを言い出せずにいます。まだ職場に何の迷惑もかけていないのですが、先のことを考えると心配です。
 亜矢子さんの状況について、在宅介護サービス事業所を運営するとともに一般社団法人を立ち上げて仕事と介護の両立支援に取り組む、カラーズ 代表取締役 田尻久美子さんにコメントをもらった。
介護サービス導入への抵抗は、メリットも話し合って
 亜矢子さんはお義母さんといい関係なんですね。役割を持ってもらおうとしているのが、とてもいいことだと思います。役割の喪失で認知症が進んでしまうことはよくあるので、「見守りがあればできること」を継続してもらうことは大切です。
 お義父さんが要介護認定を受けることに消極的だったのですね。とても難しい問題ですが、起こりがちなことなのです。お義父さんがサービス導入に消極的な理由を聞けると、解決の糸口が見つかるかもしれません。病状を受け入れるのが嫌なのか、他人が家に入ることが嫌なのかなど。
 第三者からのアドバイスだと聞き入れやすいことがあります。今回は、経験者である親戚の方の話がお義父さんを動かしましたね。ほかにも、医師や福祉の専門家から勧めてもらうのも効果があります。
 要介護申請するメリットについてお話しするのもよいかと思います。住宅をリフォームしたり、介護用品を購入する際の補助が受けられたりするのもその一つです。ケアサービスを入れることで、心配なお手洗いのことだけでなく、皮膚の状態などをプロの目で観察してもらうことができます。少しサービスを入れられるといいですね。
 要介護認定を受けたからすぐに何かしないといけないわけではないですし、逆に認定が下りるまでに1カ月以上かかることもあるので、必要になってから申請したのでは、すぐにサービスが受けられないこともあります。申請は早めがお勧めです。
 要支援のレベルの方の場合、制度が変わってきていて、地域包括支援センターで「基本チェックリスト」にチェックして「事業対象者」に認定されれば、要支援の方向けの自治体のサービスを受けることができるようになっています。本人と面談をして、その場でチェックを受けるだけで対象になれるので利用してみてください。
 デイケアを試してみたり、要支援の方の交流の場などを利用してみたりるのもいいですよね。外出の機会や活動の場をつくることはよいことです。
 亜矢子さんは職場に言えないということですが、事態が重くなってから急に切り出すと、職場の人もビックリするかもしれません。早い段階で上司や同僚と状況を共有できていると安心ですね。
取材・文/小島潤子(日経xwoman ARIA)



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