下記の記事は日経グッディからの借用(コピー)です
長時間労働などの働き方が問題視され、「働き方改革」に取り組む企業も増えているが、ストレスから心を病む労働者は絶えない。つらいときに意識すべき感覚「SOC」と、身につけるべき習慣について、50社以上の企業を担当してきた精神科産業医の吉野聡さんに詳しく聞く。
心を病まないためのポイント「SOC」
そのポイントの1つが、合理的に考えられるかどうかにある。精神科産業医の吉野聡さんは、物事の感じ方・捉え方はトレーニング次第で変えることは可能だと話す。ストレスに強くなるための習慣を紹介していく。キーワードは、「SOC」と「ルーティン」だ。
大きなストレスがかかる出来事に遭遇した時、心を病まないためのポイントとなるのが、「SOC(Sense of Coherence:首尾一貫感覚)」だと吉野さんは話す。
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第2次世界大戦中にアウシュビッツなどの強制収容所で過ごし、その過酷な環境を生き抜いた人たちを調査した研究がある。生還者の中には、理不尽かつ過酷な環境にも関わらずストレスに打ち勝ち、健康で長生きした人もいた。彼らの共通点を米国の医療社会学者が研究して提唱した概念が「SOC(Sense of Coherence)(首尾一貫感覚)」だ。
「SOC」という感覚を日々意識すれば、大きなストレスがかかる出来事や困難な状況に直面しても、心身の健康を守りやすくなる
SOCには、「有意味感」(=チャンスを見いだす思考)、「把握可能感」(=俯瞰[ふかん]&段取り思考)、「処理可能感」(=楽観思考)という3つの感覚(思考)がある。「これらを日々意識すれば、SOCの力は少しずつ鍛えられます」(吉野さん)
平常心を養う効果が期待できるルーティンとは?
前向きに考え、ストレスに強くなる3つめの習慣として吉野さんが挙げるのが、平常心を養う効果が期待できる「モーニング・ルーティン」だ。
未だ現役で活躍を続けるイチロー選手。彼のルーティンは有名だ(c)Eric Broder Van Dyke -123rf
40代になっても世界の第一線で活躍し続けるイチロー選手のルーティンは有名だ。吉野さんがある大手外資系企業に勤めるトップセールスマンに話を聞いたところ、彼は毎朝、始業時間の30分前に出社し、決まったルーティンを実行しているという。
「毎日同じことを繰り返せば、『今日は何しようかな』と考える必要もなく、余計なことにエネルギーを注がずに仕事に取りかかれます。スポーツ選手で言えば、競技に挑めるウオーミングアップが完了するんです。精神を安定させ、コンディションが整えば、大事なプレゼンといったプレッシャーのかかる仕事に挑みやすくなります」(吉野さん)
「集中モードに入りやすくなることで労働生産性も上がるでしょう。毎日同じ行動を繰り返せば、自身の体調や気分の変化にも気づきやすくなる。もちろん、上司・部下や顧客に邪魔されずに仕事を片付けられることも『モーニング・ルーティン』のメリットだと思います」(吉野さん)
【モーニング・ルーティンを行う3つのメリット】
(1)一番いいコンディションで仕事に取りかかれる
ベストコンディションになるための準備をルーティンに取り入れれば、「何をしようかな?」と考えるムダな時間を省き、おのずと一番いい状態で仕事に取りかかれる。仕事モードに切り替わる「気持ちのスイッチ」の役割も果たす。集中モードに入りやすいので、仕事の生産性も上がりやすい。
(2)平常心を養う
毎日同じ行動を繰り返すことで「これさえやれば大丈夫」といった心の安定につながり、平常心を養える。
(3)体調不良など小さな変化に気づく
ささいな体調の変化に気づきやすくなり、「大事な仕事はBさんと分担してミスを防ごう」といった対策を考えられる。
結果を出す人は、何らかのルーティンを持っている
結果を出しているビジネスパーソンは、何らかのルーティンを持つ人が多いと吉野さんは言う。「時間の使い方」や「能力の高め方」には力を注ぐ人が多い。そこに、ルーティンなどで「コンディションの整え方」を意識することを加えれば、さらにプレッシャーやストレスに負けない心を鍛えられるはずと吉野さんは話す。
【ベストなモーニング・ルーティンを作る3つのコツ】
(1)ベストな状態で仕事に取りかかるには何をすべきか考える。
(2)限られた時間内で、合理的な行動を考える。
(3)特別なことはしない。
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