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外国人の土地取得問題について【2】 2021.07.16幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作

2021年07月17日 21時15分05秒 | リバティ 学園 幸福実現党 関連  

外国人の土地取得問題について【2】 2021.07.16

http://hrp-newsfile.jp/2021/4109/

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作

◆諸外国の規制と日本の現状

我が国では、そもそも、農地以外に土地売買の制限はありません。そして、これまで外国資本による土地取得に制限をかけることができていませんでした。

外国人でも自由に日本の土地を買い、そして自由に転売できていたわけです。それがたとえ自衛隊基地の隣接地であっても、水源を含む森林であっても自由なのです。

しかし、諸外国には様々な規制があります。

そもそも、外国人(外国資本)の土地所有を原則として認めない国もあります。例えば中国などがその一例です。インドネシア、フィリピン、タイも原則として不可とされています(※1)。

また、韓国には「外国人土地法」があり許可申請が必要とされるケースがあったり、他にも「ニュージーランドの島の土地(0.4ヘクタール以上)を外国人が所有するには許可が必要だし、チリとパナマは国境から10㎞以内、ペルーは50㎞以内、メキシコは100㎞以内の土地について、外国人の所有を制限している。どの国も国境には気を遣っている。水資源や鉱山の直接所有を規制しているケースもある」(※1)と言われています。

ロンドン大学LSEの『アジア太平洋不動産投資ガイド2011』には「アジア太平洋地域で、不動産投資に外資規制が皆無なのは日本だけ」と書かれていたようです(※1)。

◆土地の真の所有者を確認できる「台帳」は存在しない

日本における、外国資本による土地買収の実態は簡単には把握できません。というのも、土地や建物の所有者を特定するのは簡単ではないからです。

一般的に、私達が家の相続をしたり、土地や建物を購入するなどした場合、「登記」というものを行うことがあります。

しかし、この不動産取引における登記というものは、実は任意で行うものです。日本では権利の登記は第三者への対抗要件(※2)であり、これはフランス法の考えを採用したものです。

不動産の取引をする際には、第三者への対抗要件を具備するため、当然のように登記を行うのが一般的だと思います。しかし、登記をせずとも所有権の移転の効力は発生します。

つまり、外国資本が土地を購入しても、その登記をしていない場合も考えられ、その場合、登記簿を確認しただけでは外国資本がその土地を購入したことを確認できないということです。

今後、相続の際の登記などは一部義務化されますが、売買における所有権移転の登記は義務ではありません。したがって、登記上の所有者と真の所有者とは違う場合があります。

登記上で所有者とされていても、それだけで真の所有者であることを証明するものではないということです。一方、登記が義務付けられている国もあります(※3)。

例えばドイツでは登記をしないと権利の変動そのものが発生しません。

また、所有者と使用者が違うということは当然あります。外国資本の関係する土地所有の実態も、土地利用の実態も国として簡単に把握する術が無いというのが実態です。

◆今回成立した法案の中身について

このような現状の上で、先般可決・成立した、いわゆる「土地規制法案」といわれる法案は、「重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止」(※4)することが目的とされています。

重要施設や、国境離島等に注視区域や特別注視区域が設定されます。

例えば、重要施設には防衛関係施設や海上保安庁の施設、また政令で指定される重要インフラがあり、施設の敷地の周囲おおむね1,000mの範囲内で、区域が指定されることとなっています。

また、司令部機能、警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地・基地の周辺などで、特別注視区域が指定されます。

それらの区域において、土地や建物の所有者や賃借人、所有者の氏名、住所、国籍等、また利用状況などが調査されることや、調査結果を踏まえて利用規制をすることができたり、特別注視区域においては、土地等の所有権移転等について事前届出が必要とされることなどが決められました。

届出をしなければ、場合によっては刑事罰の対象とされることもあります。

しかし、この法案で、その対象とされる区域は極めて限定的です。重要施設の敷地からわずか1,000m以内とされる指定区域における調査や規制だけで、本当に重要施設が護られるのか甚だ疑問です。

まずは実態の調査から進めるにしても、範囲が限定され過ぎてはいないでしょうか。

た、重要施設からは離れた地域において、例えば森林や山に囲まれた閉鎖的空間を買収された場合、そもそもその土地で何が行われているかを把握することさえも容易ではなくなることもあります。

所有者不明の土地問題も併せて考えた場合、外為法では日本国内に住所のない非居住者による投資目的の不動産取得は事後報告が義務付けられているとはいえ、さらにその非居住者から別の非居住者に転売された場合は、報告義務の対象ともならない(※5)など、この法案の可決・成立だけでは、日本の国土と安全を護る上では、まだまだ不十分なものであることは否めません。

個人の自由の侵害という意見もありますが、場所によっては国益や国民の安全の保障という観点から売買に適さない土地は当然あると考えるべきでしょう。

次回も、この問題をさらに掘り下げて考えてみたいと思います。

【参考】
※1 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書
ISBN978-4-04-082262-4

※2 民法177条 「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」

※3
『人口減少時代の土地問題』p.131~135 吉原祥子 中公新書 ISBN978-4-12-102446-6、
『領土消失 規制なき外国人の土地買収』p.213~222 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4

※4 『重要土地等調査法案の概要』内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/houan/210326/siryou1.pdf

※5 外国為替の取引等の報告に関する省令(財務省)第5条2項10


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