大津さまが伊勢から戻られた夜、私たちは本当の夫婦となった。
大津さまはためらいもなく私の腕を引き寄せられた。
私は、大津さまのあの広い胸と逞しい腕の中に身を委ねた。
幸せだった。
夜が明けないことを祈りつつ。
紫水晶の勾玉を大津さまがくださった。
「姉上がそなたに翡翠か紅珊瑚が良いのではないかと仰言ったが、我はこの儚い紫がそなたに似合うと思った。白い肌に映えるのが見たかった。」
大津さまが紫水晶の勾玉を眺め仰言った。
「伊勢でも私のことを。」
「心配をかけ申し訳なかった。そなたを大切にしていく。」
思わず涙が溢れてしまった。
「また、そなたを泣かしてしまったか。」と大津さまは抱きしめてくださった。
「しあわせで、どうしていいのかわからないのでございます。本当です。」と大津さまの肩に顔を乗せ言うと、大津さまは「我のことでいっぱい不安にさせいっぱい我慢させた涙だな。許せ。」と大津さまは仰言うせになり唇で涙を拭ってくださった。
大津さまは、斎宮である大伯さまが一番大切なのは愚かな私でもわかる。
でも私は、大津さまのこの愛情を頼りに生きていく、私は大津さまを愛し生きていく。
私の心は本当に満たされていたわ。
本当にしあわせな日々が過ぎていった。
そんなおり、皇后さまが倒れると言う一大事が起こった。
異母姉でもあり、大津さまの叔母であり義母さま。
いつも気にかけてくださるお優しい皇后さま。
多くの妃をもつ大津さまの父さまで天武天皇さまの第一妃。
お見舞いに行くと苦しそうな息遣いでよう参られた、と仰言って下さったわ。
隣には狼狽した天武天皇さまがおられた。飛鳥浄御原の政治にならなくてはならない無二の皇后さま。
皇后さまの善快を祈願にと天武天皇さまは薬師寺を建立を発願された。
また何を思われたのか、草壁皇子さまが病気平癒祈願に伊勢に降られたわ。
本当に行きたいのは大津さまではなかったのかしら。
大津さまはためらいもなく私の腕を引き寄せられた。
私は、大津さまのあの広い胸と逞しい腕の中に身を委ねた。
幸せだった。
夜が明けないことを祈りつつ。
紫水晶の勾玉を大津さまがくださった。
「姉上がそなたに翡翠か紅珊瑚が良いのではないかと仰言ったが、我はこの儚い紫がそなたに似合うと思った。白い肌に映えるのが見たかった。」
大津さまが紫水晶の勾玉を眺め仰言った。
「伊勢でも私のことを。」
「心配をかけ申し訳なかった。そなたを大切にしていく。」
思わず涙が溢れてしまった。
「また、そなたを泣かしてしまったか。」と大津さまは抱きしめてくださった。
「しあわせで、どうしていいのかわからないのでございます。本当です。」と大津さまの肩に顔を乗せ言うと、大津さまは「我のことでいっぱい不安にさせいっぱい我慢させた涙だな。許せ。」と大津さまは仰言うせになり唇で涙を拭ってくださった。
大津さまは、斎宮である大伯さまが一番大切なのは愚かな私でもわかる。
でも私は、大津さまのこの愛情を頼りに生きていく、私は大津さまを愛し生きていく。
私の心は本当に満たされていたわ。
本当にしあわせな日々が過ぎていった。
そんなおり、皇后さまが倒れると言う一大事が起こった。
異母姉でもあり、大津さまの叔母であり義母さま。
いつも気にかけてくださるお優しい皇后さま。
多くの妃をもつ大津さまの父さまで天武天皇さまの第一妃。
お見舞いに行くと苦しそうな息遣いでよう参られた、と仰言って下さったわ。
隣には狼狽した天武天皇さまがおられた。飛鳥浄御原の政治にならなくてはならない無二の皇后さま。
皇后さまの善快を祈願にと天武天皇さまは薬師寺を建立を発願された。
また何を思われたのか、草壁皇子さまが病気平癒祈願に伊勢に降られたわ。
本当に行きたいのは大津さまではなかったのかしら。