今宵そちらに参る…と大津さまから言伝を預かった。
何かおありになったのかしら…訳語田の邸宅ではおはなし辛いことかしら。
もしかしたら、石川の郎女大名児のこと…なのかしら。
別に…私に相談などよろしいのに…
私が心を許せるのは大津さまだけ。大津さまが石川の郎女大名児を迎えようが関係ない。
少し強がりかしら。
でもね…大津さまの心は大伯さまのもの。きっと大伯さまの心も大津さまのもの。
同母弟姉など禁忌などでないわ、あのお二人にとっては。
草壁皇子の恋慕など大津さまは意に介しておられぬと思う。
ただ婚姻出来るのは大津さまより異母弟の草壁皇子。
そのことは大津さまもさすがに気がかりかしら。
でも肝心の大伯さまが受け入れるはずもない。
夜になり大津さまがおいでくださった。
二人で夕餉をとり「そなたもささ(酒)を呑まぬか。甘いささならそなたもどうかと思い…」と大津さまに勧められるがまま口にした。
ささに似合わぬ甘さに驚き「大津さまがささをお好きな理由がわかる気がしました。」と言うと大津さまはお笑いになられ「そなたは誠にかわいらしいのぅ。」と仰言った。
嬉しいのとささのせいか顔が紅潮しているのがわかった。
大津さまは「そなたに願いがある。聞いてもらえぬか。」と苦しそうな顔をされた。
「そなたも知っておる石川の郎女大名児のことじゃ。」
いよいよ…でも大津さまなりに悩まれたことなのが痛いほど伝わったわ。
何かおありになったのかしら…訳語田の邸宅ではおはなし辛いことかしら。
もしかしたら、石川の郎女大名児のこと…なのかしら。
別に…私に相談などよろしいのに…
私が心を許せるのは大津さまだけ。大津さまが石川の郎女大名児を迎えようが関係ない。
少し強がりかしら。
でもね…大津さまの心は大伯さまのもの。きっと大伯さまの心も大津さまのもの。
同母弟姉など禁忌などでないわ、あのお二人にとっては。
草壁皇子の恋慕など大津さまは意に介しておられぬと思う。
ただ婚姻出来るのは大津さまより異母弟の草壁皇子。
そのことは大津さまもさすがに気がかりかしら。
でも肝心の大伯さまが受け入れるはずもない。
夜になり大津さまがおいでくださった。
二人で夕餉をとり「そなたもささ(酒)を呑まぬか。甘いささならそなたもどうかと思い…」と大津さまに勧められるがまま口にした。
ささに似合わぬ甘さに驚き「大津さまがささをお好きな理由がわかる気がしました。」と言うと大津さまはお笑いになられ「そなたは誠にかわいらしいのぅ。」と仰言った。
嬉しいのとささのせいか顔が紅潮しているのがわかった。
大津さまは「そなたに願いがある。聞いてもらえぬか。」と苦しそうな顔をされた。
「そなたも知っておる石川の郎女大名児のことじゃ。」
いよいよ…でも大津さまなりに悩まれたことなのが痛いほど伝わったわ。