天武天皇の横で参政するようになり大津は政治は苦手であったが、持ち前の好奇心旺盛なところと行動力もあって面白くなってきた。
山辺皇女とはそのままだが。
ある日宮中で宴が催された。
采女たちが酌などをし皇子たちに奉仕していた。官人たちもいた。
先帝の天智天皇を父に持つ川嶋皇子が「最近よい詩は出来たか。」と聞き「あ、大津も忙しいよな。」と新妻を抱えてそれどころではないなという表情で言った。
川嶋皇子は大津より年上の皇子であるが先帝の皇子として、やはりここ飛鳥浄御原では近江朝廷より肩身が狭かった。しかし漢詩に造詣が深く興味を持った大津の方から声をかけ親しくなっていた。
川嶋皇子も皇太子である大津が自分に気軽に声をかけてくれるのはまんざらでもない気分であった。
「いや、そうでもないがいい詩はなかなかうまれんよ。そういうお主はどうなのじゃ。」と大津が聞くと「同じくじゃ。」と苦笑いして川嶋皇子は言った。
「では、また狩りにでも行き肉を食べ酒でも呑むか。このような場所での宴では川嶋の本領は発揮されない。」と大津が言うと川嶋皇子は慌て「そんなことはない。」とむきになった。
どこぞの誰かがこの会話を聞き、天武天皇に川嶋皇子が飛鳥浄御原では不満があると口にしていたと告げ口してしまうかもしれないと川嶋皇子は思ったようだった。
「古い歴史書を編纂しているのだろう。風や月の光を感じ、鳥や動物らの鳴き声を聴きながら酒を呑んだ方が川嶋らしい詩が書けると思ってじゃ。漢詩に明るい者なら誰でもそう思う。そのくらいそなたの詩は素晴らしい。」と大津は堂々と答えた。
川嶋皇子も安堵した表情で「大津にそこまで褒めてもらうのも悪くはないなぁ。」と言い次回の狩の計画を話していた。
大津はふと三つの視線が注がれていることに気づいた。
大名児、草壁皇子、不比等であった。
正確に言うと、大津を見つめる大名児を見つつ草壁は大津を見ていた。そんな様子を俯瞰して不比等は大津を見ていた。
山辺皇女とはそのままだが。
ある日宮中で宴が催された。
采女たちが酌などをし皇子たちに奉仕していた。官人たちもいた。
先帝の天智天皇を父に持つ川嶋皇子が「最近よい詩は出来たか。」と聞き「あ、大津も忙しいよな。」と新妻を抱えてそれどころではないなという表情で言った。
川嶋皇子は大津より年上の皇子であるが先帝の皇子として、やはりここ飛鳥浄御原では近江朝廷より肩身が狭かった。しかし漢詩に造詣が深く興味を持った大津の方から声をかけ親しくなっていた。
川嶋皇子も皇太子である大津が自分に気軽に声をかけてくれるのはまんざらでもない気分であった。
「いや、そうでもないがいい詩はなかなかうまれんよ。そういうお主はどうなのじゃ。」と大津が聞くと「同じくじゃ。」と苦笑いして川嶋皇子は言った。
「では、また狩りにでも行き肉を食べ酒でも呑むか。このような場所での宴では川嶋の本領は発揮されない。」と大津が言うと川嶋皇子は慌て「そんなことはない。」とむきになった。
どこぞの誰かがこの会話を聞き、天武天皇に川嶋皇子が飛鳥浄御原では不満があると口にしていたと告げ口してしまうかもしれないと川嶋皇子は思ったようだった。
「古い歴史書を編纂しているのだろう。風や月の光を感じ、鳥や動物らの鳴き声を聴きながら酒を呑んだ方が川嶋らしい詩が書けると思ってじゃ。漢詩に明るい者なら誰でもそう思う。そのくらいそなたの詩は素晴らしい。」と大津は堂々と答えた。
川嶋皇子も安堵した表情で「大津にそこまで褒めてもらうのも悪くはないなぁ。」と言い次回の狩の計画を話していた。
大津はふと三つの視線が注がれていることに気づいた。
大名児、草壁皇子、不比等であった。
正確に言うと、大津を見つめる大名児を見つつ草壁は大津を見ていた。そんな様子を俯瞰して不比等は大津を見ていた。