「浜梨、お前を誇りに思うよ」
お父様は厳かに仰言ったわ。
「浜梨、明日は皇太子との婚約会見だが大丈夫か」
「もちろんよ、お父様。お父様の名に恥じぬようお父様の娘として堂々と国民に見せてやりますわ。お母様のことをチッソの娘だなんてことも今後誰にも言わせないわ。お父様とおじいさまは立派な人物だということを知らしめせてやりますわ」
「浜梨、誰もそんなことは言っていないよ。ただ私の娘として堂々としておくれ。外務省のトップである私の娘だ。外務省の誰にも何にも文句は言わせない。」
外務省の誰にもって、誰のことを仰言っているの。
もしかして…私が落ち込んでいる時微笑んで励ましてくれた妻子持ちの事務官のこと?
私は本気ではなかったわ。
勝手に彼が言い寄ってきただけよ。独身ならまだしも妻子持ちの男なんてありえない。
もしそうだとしてもあの事務官は私に言い寄ってきただけのことよ。
「お父様、私にやましいことなんてあり得ません。お父様、私をちゃんと祝福してくださいませんか。明日、私は皇家の次期お妃として会見するのですよ。お父様の方こそ私を疎んじるなんてことないですわ、よね。外務省事務次官のお父様」
機密費のことを言っているのか浜梨…そんなお父様の心の奥底をお聞きしたようだったわ。
「浜梨、お前を私は誇りに思う。明日はお前の肌に合う黄色のドレスで皇太子殿下とともに勝利宣言をするのだ。私の祖先や妻の父を罵った奴らに。」
「えぇ、お父様」私は初めてお父様に堂々と面と向かって対峙したの。
世界の誰よりも誇らしい娘として、皇太子の婚約者として日本をはじめ世界中の人に知らしめしてやるわ。
なによりも、お父様がこの地球上の世界で一番上で笑っていることが、お幸せでしょう?私という娘を持てていて幸せでしょう?
そのためにお父様、明日の婚約会見は私が主役だってことを知らしめしてやるわ。
私の家族を罵った奴らにもね。