婚約記者会見だというけれどすごいフラッシュ。
みんな私を撮りたがっているの。
たくさんの記者にマイク。
私の声を聞きたいの、私の言葉一つ一つ逃したくないと必死なのね。
宮内庁職員から聞かされた檜扇菖蒲妃くらいの真似もして良いわね。
でも自分らしさの方が大前提よ。
あんな人の演技、誰でも出来るし私らしさを加えれば檜扇菖蒲さんと弟宮の婚約会見なんて吹っ飛ぶわ。
皇太子殿下が一通りの挨拶をしてすぐに記者から「殿下からのプロポーズにどのようにお答えになられましたか」と来たわ。
ふっ。
少し檜扇菖蒲さん風に下を見て「私がもし殿下のお力になれるのであれば謹んでお受けいたしたいと思います。これまでに殿下には…」
世間の目にはハーバード大卒で外務省勤務、皇太子殿下に一目惚れをされるほどの美貌、聡明さ…少しおかわいそう…皇太子妃なんて重責は私にしか託せられないと映っているに違いないわ。
「浜茄子さんから見た皇太子殿下の魅力、男らしさを感じるところ」なんて質問…
「お優しいこと、浜茄子さんのことは全力で守ってくださると仰ってくださいました。それにとても人間のよくできたお方です。」
皇太子殿下、ありきたり過ぎる「互い学び、高め合って」なんて…早速フォローが必要ね。
「基本的には殿下の仰っている通りですが、一言付け加えさせて頂ければ…」
のちに女性として愛を得た喜びの感じられない会見、皇太子殿下への愛情というよりも皇太子殿下の再三のプロポーズに根負けしたのだろうとか、人を喰ったような物言いとか言われたけれど、そうね、皇室に入るなんて外交官のキャリアを諦め、皇室外交へのキャリアアップぐらいにしか私には感じられないのも事実だし。
事実、皇太子殿下のここまでの求愛がなければね…6年も待ってくださったのだし
愛…ね…そんなもの誰を愛するかより誰に愛されるかが大切なのだし、皇太子殿下は全力私をで守ると仰ったのだし…。充分よ。