一体何なのよ。お妃教育って。
私は次期に皇妃になるの。
私に誰もどうのこうの言えないはずよ。
なのに何故偏差値の低い大学のカビの生えた見識しかない教授に嫁ぐ皇家の歴史を学ばなくてはならないのよ。
貧乏たらしいたらありはしないわ。
ヨーロッパや中東の王室のように絢爛豪華な屋敷ももたないくせに、一丁前に屁理屈はあるのね。
見えないものに対して頭を垂れるのだの、礼だの、祭だの…くだらない、本当にくだらない。
合理的でないことを伝統という名のもとに、私を従わせようとするの。
馬鹿じゃない。
「私は海外での生活が長く、このような古い文体の日本語は理解のしようがございません。
私は英語であれば理解出来ると思うのです。テキストの差し替えを希望します」
目の前のカビの生えた見識しかないどこぞの馬の骨でしかない大学教授は愕然としていたけれど英語で語られるぐらいの気概はないとね…国際基準をこの機に学べばいいのよ。
マスコミは今日も「次期皇妃さま、お妃教育のため今日も宮へお向かいなされました。素晴らしい笑顔を私たちに…微笑みかけてくださいます。そうして一礼され皇太子さま遣いの車に乗られました。」と言っているわ。
「日本一気高く清い女性をお迎えになる皇太子さま」
まぁこのくらいのことは言ってもらわないと。
私はこの国のために外交することを決めたのだから。
外務省でなく掃き溜めのような宮内庁というのが情けないところだけれど。
結局カビの生えた見識しか持たないどこぞの教授は、英語のテキストをよこしたけれど全く英語じゃないわ。
本当に馬鹿。
これで私に理解してくださいって言っているの。
「差し替えて。こんなもの理解してくださいって言っている意味がわからない。私にわかるように英語でって言ったはずよ」
担当の宮内庁職員はびっくりしていたわ。
しばらくしたら、宮内庁職員から「お妃教育は省略です」って。
最初からあってないようなものを私に押し付けようとしたなんて信じられないわ。
宮内庁職員って本当に使えない。
これで頼りになるのかしら。
勘弁してほしいわ。