goo blog サービス終了のお知らせ 

How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

もう一度、琥珀本流エアマスター

2014-04-30 01:44:42 | 渓流釣り 道具

先日「さようなら エアマスター(仮)」というタイトルでブログ記事を書いた。
http://blog.goo.ne.jp/sakeichi-mashita-takahara/d/20140314

今後この竿は、10mでなければ届かない、そこに居る筈の大物が獲れない、という特別なシチュエイションのときにのみ出動させようと思っていた。
とても気に入っているのだが、2014年からカタログ落ちしたし部品の在庫も少ないらしい。
不要な出動で劣化を早めたくはなかったからである。
ところが、また出動してもらわなければならなくなった。


メーカーからもエアマスターの後継機種は発売されていないし、僕自身もエアマスターに代わる竿ということで納得できたものはない。
竿の調子だけでなくやはりその長さが非常に役立ってくれたのだが、そのどちらも他の竿では満足できない。
色々考えた結果、自分に与えられた選択肢から決めるならこれだろうと思い購入したのが、ダイワの「琥珀本流ハイパードリフト スーパーヤマメ95MR」だった。
これならサツキマスにも充分対応できると考えたというのが購入に踏み切った大きな理由だ。


そのスーパーヤマメなのだが、いきなり本命が掛かったとしても釣り師の方で竿の調子を分かっていなければ獲れる魚も獲れなくなると考え、長良川でのサツキマス調査釣行のときに2~3回使用した。
しかし、本命どころか外道すら掛からない。
弱ったなあと思っていたのだが、昨日の釣行で初めて魚が掛かった。

結論から言うと、アタリがあって合わせた直後に元上ともうひとつ上の節(9本継なので8番と7番)が折れた。
8番は2箇所で破断、7番は1か所で破断していた。
合わせた瞬間に「バキッ!」という乾いた音が長良川河畔に鳴り響いた。
僕は一瞬呆気にとられたが、残った7番より上の節が川面で流されそうになっていたので慌てて掴みにかかった。
掴もうとして駆け出した時に地面に落ちた折れた節を蹴飛ばしてしまったが、なんとか残った節で魚は獲った。
25cmの戻りアマゴだった。

ということで、エアマスターを再出動させることになった。
サツキマスを狙うなら、シマノの「スパーゲーム パワースペックH」でも良いのだが、昨シーズンその竿で3度バラした。
竿が強いのか、絞ると魚が暴れてバラしやすいように感じたため、パワーには若干不安はあるのだが絞ってもしなやかに魚をいなしてくれる使い慣れたエアマスターを使おうと思う。

それにしても「スーパーヤマメ95MR」には納得がいかない。
一度も魚を獲らずに破断かよ。
今日釣り具屋に行ってクレーム対応ということにしてもらったが、製造上の不備ですとメーカーが認めるとは到底思えない。
顕微鏡写真を掲載して「ブランクスに異状は認められませんでした」という紋切り型の文言とともに腹立たしい報告書が返ってくるだけだ。
1節は免責金額4,000円で新品と交換できるが、もう1節は実費になる。
そうなると、サツキマスのことを考えなければ、よりエアマスターに近い感触だったシマノの「スーパーゲーム ライトスペックMH90-95」を購入できる価格になる。
まだまともに使っていないので今回は再生させるが、次回何かトラブルがあったときに再生させたいかと言われたら、かなり迷う。
寧ろ初代の「ハイパードリフトサツキ 75SC」を再生させたい。

釣り具屋の店員さんが言うには、折れるときは大抵の場合傷が付いたところからだと。
勿論それは知っていたので、この竿は河原には絶対に置かないようにしていたし、置くときは直接地面に置くのではなく何かしらクッションになるようなものを宛がって置いていた。
そしてこうも言われた。
「傷が原因で折れるときは大抵の場合は一箇所です。複数箇所が折れるときはオーバーパワーがかかったときが殆どです。」と。
では、なんだ、僕のアワセが大アワセだったということか?
冗談じゃない。この製品のプロモーションの動画で笹尾テスターがやっているような合わせ方をしたはずだ。
そもそも僕は笹尾テスターの釣り方に感銘を受けエアマスターを使い始めたのだし、竿の構え方も笹尾テスターに倣っている。
それは合わせ方も然りだ。
通常の合わせ方で二箇所破断するなんて、その他の節にも何か不良箇所があるのではないかと思えてくる。
心情的には1本丸ごと新品に交換して欲しいくらいだ。
そうでないと安心して使えないではないか。
ダイワの最新の技術「SMT(スパーメタルトップ)」に非常に興味を持っていたのだが、次回からダイワの竿を買うのは止そうかなとさえ思えてくる。


因みに「スーパーヤマメ95MR」の使用感だが、まともに魚を掛けていないので筋違いではあるが、これまでの感想を以下に記す。
エアマスターとの比較になるが、価格帯が大きく違う2本を比較するのもどうかと思うがそこはご容赦頂きたい。


・竿のパワー自体はエアマスターより強い。胴がかなりしっかりしている。大物がかかったときに粘って堪えてくれそうだなと期待できる。

・魚の引きに対してしなやかに柔軟に対応できるかという点では、エアマスターに軍配が上がりそうだ。エアマスターは竿を絞っても魚が不要に暴れない。

・しかしながら振り込んだ後の穂先の動きは無駄がない。2~3度振幅するとピタッと止まる。「ぐにゃぐにゃ、ぶらぶら」という感じのエアマスターよりも勝る。

・エアマスターより50cm短くて重量はほぼ同じであるにもかかわらず、持ち重り感も大きいし、振り込んだ時の重さも大きく感じる。はっきり言うと振り込みを続けると疲れる。
エアマスターを再出動させて振り込んだ時に「なんて軽い竿だろう」と再認識した。

・はっきり言って感度は悪い。オモリが底石に当たる感覚が手元まで伝わりにくい。タナを取るのが難しく感じる。
エアマスターに持ち替えた時に底石に当たる感覚がいきなり増えて驚いた。
これは恐らく穂先の違いによるものだと思う。エアマスターは金属製の「メタカラマン」で、スーパーヤマメはリリアンの「からまん穂先」である。


この感度という点がやはり高価な竿と普及価格帯の竿の決定的な違いかなと思う。
だからこそ「SMT(スーパーメタルトップ)」に凄く興味があるし、それを搭載した「ハイパードリフト メタルチューン サツキ82」にとても魅力を感じる。
しかし僕にはレングスが足りない。
「遡M」のP-3ではやや強いし高価過ぎる。
破損した時の修理代金のことを考えるとあまり高価な竿は積極的に使いたくない。

となると、次に買うのは先ほども名前を挙げたシマノの「スーパーゲーム ライトスペックMH90-95」か、ちょっと高いけど頑張って同じくシマノの「刀」というところかな。

振ったことがないので想像だけど、「刀」って、多分想像を遥かに超える振り心地と調子の素晴らしい竿のような気がする。

こうやって迷っているのもある意味楽しいが、竿選びは難しいですね。

シマノ スーパーゲーム ライトスペック ZY MH90-95 シマノ スーパーゲーム ライトスペック ZY MH90-95
価格:¥ 91,800(税込)
発売日:

ダイワ 琥珀本流 ハイパードリフト メタルチューン サツキ 82 ダイワ 琥珀本流 ハイパードリフト メタルチューン サツキ 82
価格:¥ 70,200(税込)
発売日:


2014/04/28 長良川 追憶のサツキマス VOL:Ⅰ

2014-04-29 01:07:43 | 渓流釣り 釣行記(サツキマス)

今日は書くことが沢山ある。
冗長になるけれど、項目毎に分けた方が良かろうと思い、その体裁で書きます。

 

 

1.2014年の長良川のサツキマスの遡上

現時点で思っていることを端的に言うと、今シーズンは遡上が少ないのではないか・・・と思い始めた。

4月27日に、美濃市内でサツキマスを釣りあげた方がいらっしゃった。
昨年も某釣具店にアップされる画像やブログ記事などで何度もその名をお見かけしていたT氏だった。

岐阜市内、関市内と、美濃市よりも下流域で毎朝多くのアングラーが竿を出し、キャストしているというのに、釣果報告はごく僅か。
まとまった降雨は殆どなく、あっても多少水位が上昇する程度で長良川はかなりの渇水状態。
サツキマスの遡上には厳しい状況である。
河口堰のゲート開放など望むべくもないが、それでも一応魚道はあるのでパラパラと遡上個体があってもよいではないかと思うのだが、その「パラパラ」すらないような状況。
何処かで足止めを喰らっているのかもしれないし、そうであった方が良いに決まっているのだが、僕は2010年のシーズンを思い出し、なんだか似た状況だなあと思い始めた。

記憶を辿ると、確か2010年は初期に岐阜市内で数本の釣果情報があったもののその後は殆ど耳に届かなくなった。
「まだ来ないのか、いつ来るのか」とアングラーは皆やきもきしていた。
僕はと言えば、早々にそのシーズンのサツキマスを獲ることを諦めて本流アマゴにシフトした。

そんな2010年を彷彿させる2014年のシーズンにおいて、これから遡上するマスではなく、恐らく先陣を切って遡上した個体の集団に狙いを付けて獲ったT氏はお見事という他はないと思い、これまで面識はなかったが祝辞と挨拶のつもりでT氏のブログにコメントを書かせて頂いた。
そのコメントの返答の中に、T氏も「今年は少ないかもしれない」ということを書かれていた。

予報では明日29日から2日間降雨となっている。
一体どれだけ降るのか、水位上昇はどれくらいか、そしてマスたちは遡上するのか、既にかなり先に走っていった集団は何処まで遡るのか・・・
そんなことを考えると夜も眠れなくなる。
 


 

2.2014年4月28日の釣行記

この日の釣行は美濃市内の長良川とした。
既にT氏の釣果によって美濃市内まで遡上していることは分かった。
僕はもともと関市内よりも美濃市内のポイントの方が好きだ。
昨シーズンのサツキマス釣行以来入っていないポイントも沢山ある。
そこで今日は関市内ではなく美濃市内のポイントを見に行こうと考えた。

昨シーズン何度も入ったポイントなのだが、あまりの渇水状況に驚いた。
10mの本流竿でも対岸どころか流したい筋に届かなかったのに、9.5mの本流竿で対岸に届くところもあった。
もともと水深の無い浅い瀬は川幅の半分くらいが干上がった水底を露わにしている区間もあった。
これではマスたちの遡上は難しいだろうと思わざるを得ない。
仮に下流部にこれと似たような状況の区間があったら、足止めを喰らって遡上出来ないというのも頷ける。
果たしてその通りなのかどうかはさておき、美濃市内でも上流部に当たる区間ではサツキマスらしきアタリは皆無だった。
釣れてくるのは全てアマゴ。
銀毛になった戻りアマゴも居れば、パーマークがはっきりしている居着きの個体や成魚放流の残りと思われる個体も混じった。
全ての個体に共通しているのはなかなか分厚い逞しい体躯であるということ。
相変わらず長良川は餌が豊富なのだなと嬉しく思う。

昼過ぎまで各ポイントを回り暫し休息の後、夕マズメに竿を出そうと思っていたポイントに向かった。
シマノの番組で、細山長司さんが最後に41cmのサツキマスを獲ったポイントだ。
出来れば朝一番で入りたかったのだが、幾つかの事情と考えから朝一番は外した。

ポイントに付くと、夕暮れが迫るに連れ魚が跳ね始めた。
ただし跳ねている魚はサツキマスではないようで、遠目なので魚種までは確認できなかったがもっと小型の魚のようだった。

結局そのポイントでは、ある区間を上流から下流まで釣り下って暫くポイントを休めた後また上流から釣り下るというのを2セット半やった。
アタリはあったものの鈎には一度も乗せることが出来なかった。
外道らしきアタリは皆無で全てはアマゴのアタリだったと思う。
サツキマスかなと思わせるアタリもあったし、心情的には「サツキマスかな」ではなく「いや、あれはサツキマスのアタリだ」と思いたいところだが、確証は持てないのでアマゴのアタリだったと思っておくことにする。

釣っている最中に対岸にも餌釣り師が2名入った。
河原に停めたクルマを見ると、そのうちのお一人が昨シーズン釣り場で出会った長良川中央漁協の組合員の方だと分かった。
去年はお会いした時にポイントのアドヴァイスを頂いた。
要するにマスの付き場に付いてのアドバイスだ。
そのおかげで、河原で別れた直後にお勧めのポイントに入り、僕は尺アマゴを獲ることが出来た(サツキマスだったらもっとよかったのだが)。
それ以来お見かけしていないので、僕のことなど既にお忘れかもしれないと思ったが、お礼を言っていないので何とかして伝えたかったのだが、生憎その方は対岸にいらっしゃる。
大声を出すわけにもいかず仕方なく諦めた。

今日も期待していなかったけど、やはりサツキマスは釣れなかった。
我ながらアマゴにはかなり縁があると思う。
「よしっ、今日は釣るぞ」と気合を入れた日には多くの場合大物を獲れる。
「どうかわからんが、取り敢えずここでやってみるか」とリラックスした気持ちで臨んでも良い釣りが出来ることも多い。

しかし、遡上魚には縁がないなあ。
バラシ、ハリス切れは多数。
段差のある流れ込み付近に立ち込んで竿を出していた時には、段差を乗り越えようとして僕の足元でジャンプしたマスが乗り越えられずに転がり落ちてきて僕の足の甲に当たったこともある。
散々探ったポイントを休めようと休憩している間に、対岸に入ったオッサンが僅か10流しくらいでサツキマスを釣りあげてそそくさと帰っていったこともある。
ここまで縁がないのも珍しいんじゃないかと思うくらい縁がない。
居着きの大物アマゴを釣るような繊細で難しい釣りではなく、そこに魚が居て食う気があればガツンと食うというイメージの、繊細というには程遠い忍耐の釣りだなと思うのだが・・・。
忍耐が足りないのかそもそも釣り方が悪いのか、或いは単に縁がないだけなのか・・・

1本獲ったらそれでいいんだけどな。
こんなに欲がないのになんで天は僕に意地悪をするのだろうか・・・

最後に、本日のアマゴの最大魚。

Dsc_0163_2


どうやら居着きの個体のご様子で、かなりパーマークがはっきりしていた。
曇天だとスマートフォンのカメラが自動的に絞り(F値)を開くようで、周囲の明るさに合わせるとアマゴの身体に反射した銀色がまぶしい。
そのためパーマークがはっきり見えない。
次回からは絞りを自分で調整してみよう。

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスター100MV
  ダイワ 琥珀本流ハイパードリフト スーパーヤマメ95MR

水中糸:ナイロン1.0号
ハリス:フロロ0.8号
鈎:グラン サクラマス サツキマス 3号
餌:ミミズ


2014/04/20 上村川 根羽川 ~癒しの釣行

2014-04-21 00:47:22 | 渓流釣り 釣行記(一般)

先日買い物に出かけた際にスーパーの店頭に並べられていた養殖のアマゴを見たときから、無性にアマゴが食べたくて仕方なかった。

聞くところによると、アマゴの特徴である朱点を強調するために、より鮮やかに発色するような飼料があるらしい。
それが真実ならば恐らくその養殖アマゴもその類の飼料を与えられていたのだろう。
毒々しいくらいの朱点で僕好みではないし、積極的に食べたくなる個体でも無かった。

しかし、問題はその養殖アマゴの産地だった。
岐阜県内のスーパーに並ぶのに、徳島産だったのだ。
わざわざ輸送コストを掛けて鮮度を落として遠路遥々徳島から持ってこなくても、岐阜県にはアマゴが沢山居るじゃないか。
よし、岐阜県産のアマゴを食べようではないか!


とまあ、こういうわけでアマゴを食べたくなったのだ。
今シーズンはまだまともなサイズのアマゴの顔を見ていないし、最近は長良川へのサツキマス調査釣行ばかり。
そろそろ魚とのコミュニケーションを取りたくなる頃合いでもあった。


今日の行く先は恵那の上村川とした。
ここ何年かは、僕の解禁はGW前後に長良川のサツキマスを狙うことから始まる。
郡上で鮎釣りが解禁する頃に長良川に別れを告げ、益田川とその支流小坂川に移る。
実際に川に入っている時間で比べたら、どの川よりも小坂川が長い。
あなたのホームリヴァーは何処ですかと尋ねられたら僕は間違いなく小坂川ですと答える。
しかしながらホームと称するには小坂は距離が有り過ぎる。
自宅から片道120kmもある。
今日の釣行も最初は小坂を考えた。
でもやはり遠い。
そこで、嘗てのホームリヴァーである上村川に行くことにしたのだ。

買い足したい小物類があったので行き掛けに釣具店に立ち寄った。
勿論そこで入漁券を購入するつもりだったのだが、いざ購入する段になってまた迷い始めた。
日釣券にしようか、年券にしようか・・・。

以前は毎年楽しい思いをさせてくれた上村川だったが、ここ何年かは芳しい釣果がない。
一昨年があまりにも酷かったので「もう年券は買うまい」と思い、実際去年は買わなかった。
ところがそういうシーズン限って、たった一度の釣行で、盆休みのドピーカンの真昼間で20℃を超える水温という状況で尺アマゴを獲ることが出来たのだった。
(※この時の釣行記はhttp://blog.goo.ne.jp/sakeichi-mashita-takahara/d/20140312

その時は上村川が「まだ死んでいないのよ!」と言っているように思えたが、その後何度か思い起こしていると「来年は年券を買ってね!また帰ってきてね!」と言っているようにも思えてきた。


上村川を管理する岐阜矢作川漁協。
正直なところ漁協運営に精力的だとはお世辞にも言えない。
入川者は少なく、勢い収入源も少ないと思われる。
はっきり言って不人気河川だと思う。
その岐阜矢作川漁協の公称のアマゴ稚魚放流数はここ何年か毎年30万匹。
どのような割り当てで管内河川に放流されているのかは分からないが、感覚的には本当に30万匹も放流しているのかと疑わしく思えるほど管内いずれの川も魚影は薄い。
それが今年から10万匹に減っている。
あの魚影の薄さでさらに3分の1に放流量が減るということは、1匹釣るのにどれくらい苦労するのだろうかと不安になる。
もしかしたらこれまでの30万匹というのが何かの事情で真実ではなく、以前から10万匹だったのかもしれない。
ここは寧ろ後者の方が安心する。
更に、放流量が減っただけでなく、3,000円だった年券が4,000円に上がった。
このままでは年券購入者がこの先どんどん減っていくだろう。
そうなると漁協運営も益々厳しくなり、更に放流量が減るだろう。
上村川水系でアマゴを釣るということが夢のような話になる日が来るかもしれない。
よく考えると、たかだか3,000円の年券で30万匹の稚魚を放流出来るとは考えにくいし、もともと10万匹だったのだろうな、値上がりしたとは言っても他の漁協に比べるとまだまだ安い方だし・・・。


結局僕は年券を買った。
過去にあれだけ楽しい思いをさせてくれた上村川を見棄てることはやはり出来なかった。
日釣券は1,000円だけどシーズン中4回くらいは来るやろう、4,000円の価値のある魚を釣らせてくれと思いながらクルマを走らせた。

この川はアマゴの活性が上がるのが非常に遅い。
以前釣り場で出会った他の釣り師も同じ感覚を抱いていた。
「もっと標高が高く水温も低い川のアマゴが3月からバクバク食ってくるのに、この川のアマゴは4月後半くらいから漸く食い始める感じですね。」と意見が一致した。
夏期の水温は他河川に比べて高くなるが、春先の水温の上昇は遅い。
その上に餌が少なくて冬場に消耗した体力の回復に時間がかかるのかもしれない。
決定的な理由は分からないが、今日も期待はせずに入川した。
自分が食べる1匹でいいからまともなサイズが釣れればいいやと思っていた。
いくらなんでも1匹は釣れるやろうと。

ところがそう甘くなかった。
どのポイントに入っても反応は全く無い。
嘗てほどの透明度はないとは言え今でも水底まで見えるのだが、魚の姿が全く見えない。
もしかしたら下流のダムからの遡上個体が居るかもしれないと思い、下流に下流にと移動しながら探ったが見事に何の反応も無い。
想像を遥かに超えて厳しい状況だった。

そこで僕は上村川筋を諦めた。
ダムより少し上流で、愛知県の方から流下する根羽川と合流している。
その根羽川の方が水温が高いのだ。
もしかすると根羽川筋だと反応があるかもしれないと考え、そちらを攻めることにした。
過去にも上村川筋が全く釣れない時でも根羽川筋ではよく食ってきたことがあった。
淡い期待を抱きながら根羽川に架かる橋の上から川面を見ると、ウグイの群れが確認出来た。
この時期、ウグイが産卵を控えて群れを成すようになると、ダムからの戻りアマゴも釣れ始める。
上村川筋では5月に入ってからなのだが、根羽川筋ではもう少し早いかもしれない。
これは期待できるぞと思い餌を流すと瞬時にアタリ。
もしかしたらまだしっかり食える体力はないかもしれないと思い一呼吸置いて合わせると強い引き。
あっ・・・水面を割って華麗なジャンプで鮮やかなオレンジ色の魚体を見せくれたのは尺近いウグイだった。

それでも腐らずにアマゴが付いていそうな筋を、立ち位置やコース、水深を変えながら丁寧に流して釣り上がっていくと、掌を少し超えるくらいのサイズのアマゴたちがたくさん釣れる。
死の川といったらさすがに気の毒だが、未だ冬眠冷めやらずといった感じの上村川筋とはえらい違いである。
今日の目的は自分が食べるためのアマゴを釣りに来たのだが、さすがに掌より少し大きいくらいのサイズでは持ち帰るのに相当な後ろめたさを覚える。
切りのいいところまで70~80mくらいを時間をかけて釣り上がると多分7、8匹は釣ったと思うが、残念ながらキープサイズは居なかった。

そして空模様に変化があった。
予報では明日から雨模様だったが既に降り始めていた。
上流に見える淵とその流れ込みを攻めたら終わりにしようと思い、一旦川から上がり竹藪を抜けて淵に辿り着いた。

いかにも魚が居そうなポイントで、流れ込みには流すべき筋が沢山ある。
盛期なら一等地から流し始めて大物を狙うがこの時期に大物を望むのは無理。
セオリー通り岸近くの下流から流し始めると、元気なアマゴがバクバク食い付いてくる。
しかし残念なことに食べられるようなサイズは出ない。
でも、幾筋もある流れ込みの中で、最も居心地の良さそうな筋でやっと20cmを少し超えるくらいのアマゴが釣れた。

釣り上げると鱗が剥がれ、銀色の体色の戻りアマゴだった。

Dsc_0138


空模様のせいでカメラが自動的に絞りを開いたようで、陽は刺していないのにアマゴの魚体の銀色が強く反射する。
なかなかうまく撮影出来なかったが、手間や時間をかけてまで撮影するほどのサイズでもないしまあよかろうと思い撮影を終了。
では、シメますかと思ったものの・・・
なんだか急にアマゴが可哀そうに思えてきた。
あんなに食べたかったのにねえ。
どうしてもアマゴを食わなきゃならんことはないだろう?他にも食うもんあるだろ?
いや、でもアマゴが食べたかったんだろ?
などなど心の中で葛藤が続いたが、結局リリースした。
なんと言えば良いのか、安易な言い方だけど、ホンマにアマゴが可哀そうに思えてきた。
こんな可愛い顔してるアマゴを殺めるなんてやっぱ出来んわ・・・平たく言うと、そんな気持ちです。


予報では月曜と火曜の二日間が雨模様だった。
しかしながら水位の上昇を期待できるような降雨ではなさそうだ。
思いっきり降って増水してくれれば、長良川河口堰のゲートも開くだろう。
そうすればサツキマス御一行様がおなりになるのに。
そろそろ調査釣行ではなく、ガチ釣行をしたいのだが。

今日は、調査釣行に疲れた鮭一の癒しの釣行ということで。
癒してくれたアマゴなのだからやっぱりリリースしてよかったのだな。


釣魚の写真

2014-04-11 02:08:06 | 渓流釣り 徒然草

釣った魚を記録に残したいという思いは誰しもが抱く自然な感情だと思う。
僕も記憶に留めたい魚と尺以上の個体は写真撮影する。
ただ、この写真について、以前から思っていたことがある。

ひと言でいうと、死んだ魚の写真は見たくない・・・ということなのだが。
曲解されかねないので詳しく書いていくと、同じ死んだ魚の写真でも、まな板の上に乗せられている写真については特に何も感じない。
ああ、この人は食べることが目的で釣りをしているのだなと思うくらいだ。

ところがこれが10匹も20匹も、それがその日に釣った全ての魚ですよと釣果自慢よろしく、ステンレスのトレイみたいなものに並べられている写真を見ると気分が悪くなる。
時には「これリリースサイズやろう?」と思えるような小さな個体もある。
はらわたが取り除かれた状態だったりしたら最悪である。
「このひとはそれを全部食べるんか?」と疑念が生じる。
もしかしたら近所に配るのかもしれない。
でも、配られた方がちゃんと食べるかどうかは写真では分からない。
毎年漁協が稚魚放流しているのだから種が絶えることはないだろう。
しかし、食べるつもりもないのに命まで奪ってしまうことはないんじゃないかと想像が飛躍する。

今でも釣った魚は全て持ち帰るということが普通の感覚である年配の餌釣り師の方が多くいらっしゃる。
そんなことをするからキャッチ・アンド・リリースを標榜するルアーアングラーに餌釣り師がバカにされるのだ。


写真の方に話が戻るが、先ほどまな板の上に載せられた写真には特に何も思わないと書いた。
これが、釣り場で撮影された魚、目が虚ろになった魚だったりするといたたまれなくなる。
ついさっきまで元気に川で泳いでいたのにね・・・と悲しい気分になる。
食べるつもりなのかも知れないが、出来れば生きているうちに撮影したものを見たかったと思う。

では生きている魚の写真なら何でもよいのかというとそうではない。
所謂「バス持ち」なんてのは言語道断。
あんた鮭科魚類を釣るのは10年早いから、暫く座学で勉強してから現場に出てきなさいと言いたくなる。

まだある。
鰓の後ろ辺りを親指でギュッと押さえてつまんでいるような持ち方。
ようするに魚がヌルッと滑って逃げないように力を入れて押さえ付けているんでしょ?
食べるためにこれからしめるならまだしも(それでも魚には相当な苦痛だろうが)、リリースするつもりならそんな持ち方は絶対にしないでほしい。

そういう持ち方で撮影されたものの中には、たまに目が虚ろになっているのも見かける。
しめた後なのか押さえつけられて苦しんでいるのか、そんな残酷な画像を「閲覧注意」とも何も書かずにネット上にアップしている釣り師の神経を疑う。

そして往々にして、そんな持ち方をされる魚のサイズは小さい。
漁協の定めたリリースサイズの基準を満たしているのかどうか疑わしいものも多い。
恐らくこういう釣り師には大物は掛からないと思う。
何故なら、魚の気持ちを分かろうとしないからだ。

中部地区の渓流釣り場を紹介しているわりと有名な某サイト内でも上記のような魚の持ち方をしている画像が散見される。
自分が初心者の頃はそのサイトを参考にすることも多かったが、今ではこう思う。
「この人は、釣りが上手なのだろうが、魚に対する愛情とか、昨今のマナーや心得を勉強しているとは思えない。昔ながらの渓流釣りから変わっていないのだな。」
現在ではそのサイトを参考にすることは皆無だ。

かく言う僕も、かつては食べるつもりで釣りをしていたので、釣り場でしめた魚を撮影したこともある。
今となっては後悔の極みである。
救いは、現在でもそのような撮影を続けていないことだ。
基本的にリリースするので、魚を水中から出す時間を極力短く抑える。
可能なら魚体の半身や後ろ半分くらいは水に浸けたまま撮影する。
その時は左の掌でそっと支えるようにする。
以前は素手で触れていたが、手のひらの温かみが伝わりにくくなるだろうと考え、今は手袋を装着している。
幸か不幸か、片手で支えられないくらいの大物になると石を支えに使うこともあるが、その時も河原にある乾いた石ではなく、水中或いは水飛沫が掛かって常に濡れているような石を支えに使う。
最初は使用を躊躇したストリンガーだったが、意外なことに暫く休ませておくと弱った魚も元気に泳いで流れに帰っていくことが分かり、最近では船を使うことは殆どなくなった。


我々釣り師は、そこに魚が居るから釣りをすることが出来るのだ。
魚が居なくなっては釣りは出来ない。
だから、魚には感謝しなくてはならないし、愛情を持って接するべきだと思う。
釣った魚を食べるということもそれは楽しみ方のひとつであるので否定はしない。
僕も時には食べる。
でも、他に食べるものはあるわけだし、習慣のように釣った魚を全てしめたり、食べ切れる分以上の魚を持ち帰るということは、やはり無駄な殺生と言わざるを得ない。
釣り師が皆、釣った魚を無闇に殺めることのないようにと思う。


待て! 待つんだっ!

2014-04-11 01:12:15 | 渓流釣り 徒然草

我ながら、我慢強いなと思う。
釣りがしたくてしたくて仕方ないのに、いや正確にはアマゴの顔が見たくて仕方ないのに、釣れるフィールドは沢山あるのに、そういうところには行かない。

過去には、解禁日に有休を使って釣りに行ったこともある。
それが叶わないときは解禁直後の週末に、まだ寒いのに前夜から出かけて川の近くで車中泊までして二日続けて釣りをしたこともある。

でも、釣れるのは小型のアマゴが殆どだった。
まだサビが残っていて、引きも強くない。
餌を捕らえるのもままならないような個体ばかりだった。
そんなのを釣っても楽しくないなと感じた。

ならば放流成魚を釣ったらどうかという人もいらっしゃるだろう。
生憎僕は放流魚には興味がない。
でもあなたが釣る殆どのアマゴは稚魚時代に放流されたものでしょうと問いただされそうだ。
実際その通りだと思う。
完全なる自然繁殖のアマゴを釣るというのは現在の日本ではそう簡単ではないし、もしそういう個体群が生息する水系があれば寧ろそっとしておきたい。
つまり、正しく言うと、ある程度の大きさまで養殖されて、解禁当初にどこそこへ放流しますと告知された上で、当該箇所に赴いて釣るのは興味がないということです。

でも、自分が歳をとって足腰が弱くなったら、喜んで行くだろうと思う。
渓流釣りが好きだけど、身体が言うことを効かない。
そんな方には成魚放流は凄く良いと思う。
渓流釣りの雰囲気は味わえるのだから。
でも僕の足腰はまだ大丈夫だ。

或いはまた、それが食べることを目的とする釣りであっても話は別だろうと思う。
冬の間も栄養価の高い飼料を与えられていたのだから、天然の環境で冬を越したサビの残るアマゴよりも美味いだろうと思う。
でも、食べることが目的ではない。


自分が釣ったアマゴを初めて塩焼きにして食べた時は、なんて美味い魚なんだろうと感激した。
渓流釣りを始めた頃の僕は、釣りそのものも楽しんだが、釣ったアマゴを食べることもとても楽しみであり、家族が食べる分を釣らねば帰れないというくらい、とにかく手を変え品を変えポイントを変えて色んなことを試した。

今でも年に1,2回は持ち帰って食べる。
ただしそれは梅雨入り直前から梅雨明け直後の期間限定である上に、サイズも20~25cmくらいという制限が付く。
その頃のアマゴが一番脂が乗っていて美味い。
小さくても食べ応えがないし、大きくても味がいまひとつ。
本当はよくないことなのだが、実は稚魚がいちばん美味しい。
鈎の掛かりどころが悪くてリリースしても生きていけないようなのは持ち帰るのだが、柔らかくてふっくらした身は絶品だと思う。
持ち帰ったアマゴはたいては炭火で焼くのだが、肉を焼いているのかと錯覚するほどぼたぼたと脂が落ちる。
そんなアマゴを年に1~2回食べれば僕はもう満足する。

だからここ数年は釣ったアマゴの殆どはリリースしている。
強く大きくなる遺伝子を残して欲しいという思いで泣き尺以上の個体は必ずリリースしている。
純粋に釣りを楽しんでいる。
でも今年は、というか今年もまだこの時期になってもアマゴの顔は見ていない。
何故か・・・僕は本流で竿を絞ってくれる相手に会いたいからだ。


釣りのスタイルは色々ある。
皆それぞれ楽しみ方がる。
それを否定するつもりはない。
ただ、僕の拘りと言ってよいのだろうか、20cmそこそこのアマゴを手返しよく何匹も釣り上げることに楽しさを感じない。

本流釣りを始める前は、数を釣ることも楽しかった。
でもそれが変わった。
数釣りは好まない。1匹でいい。1匹でいいから、目の前のポイントに居る一番デカイやつを獲りたいと思うようになった。
そして、そのデカイやつには目一杯竿を絞って欲しい。
僕はそれを腰を落として竿を矯める。
そのデカイやつには、横方向の動きよりも深みに潜りこむような引きで穂先が目の前まで降りてくるほどに絞って欲しい。
フィニッシュは、長尺の本流竿の竿尻を持った右手を天に突き上げて、差し出した左手の玉網の中にそのデカイやつを収めたい。
そういう釣りはまだこの時期には出来ないのだ。

だから僕は待っている。
本流のアマゴたちが大きくなるのを。
意固地だとか、単なるナルシストと言われるかもしれない。
でもそういう釣りが好きなのだ。
ただ、正直なところ待ち続けるのは辛い。
ならば一足先にそのような釣りを楽しませてくれるサツキマスを狙いに行こうと思おう。
不幸にしてサツキマスは簡単に釣れる魚ではない。
ここでもまた待たねばならない。
たまにどうしても待ちきれなくなって「様子を見に」だとか「道具の状態の確認」とか称して川に行く。
でもたいていは何も釣れない。
よく言うところの「ボウズ」となる。
でも気にしない。
もう少しで必ずデカイやつを釣るから。