選挙:堺市長選 候補者の主張/上 /大阪
◇27日投開票
堺市長選で、毎日新聞は立候補者4人にアンケートを実施した。3回に分けて紹介する。今回の質問項目は、LRT(次世代路面電車)整備への考え▽政令指定都市移行後の堺市政の評価▽シャープ新工場など企業誘致への考え--の3点。(届け出順)
◆設問
(1)LRT整備への考え方
(2)政令市移行後の市政の評価
(3)企業誘致の考え方
==============
◇井関貴史氏=無新
(1)中心市街地(堺東駅-堺駅間)にLRTを建設する。市民の利便性の低い堺浜部分は廃止します。法的、政治的、市民的合意が得られた後、住民主体の運営委員会にLRT成功に向け、権限を移譲します。
(2)現市政は役割を終えました。政令市移行、臨海部開発を基本的に評価しつつも、84万人市民の多数に基盤を置く市政の実現や、5年後、10年後の堺の将来像を描くなど、次代の堺を切り開く力に欠けています。
(3)シャープ新工場などには期待と協力をしますが、それ以上に次の時代の堺の基幹産業をつくることが大事。環境・運輸関連、LRTとまちづくり、航空宇宙産業など、堺の産業振興に官民で全力を尽くします。
◇木原敬介氏=無現
(1)市民の合意を基本に、LRTを整備します。若者から高齢者まで魅力ある街のにぎわいをつくるため、LRT・バス・鉄道と自転車などがつながる、環境にやさしい市内循環型の公共交通ネットワークをつくります。
(2)政令市移行に伴う権限や財源と、行革で生み出した財源を活用し、福祉、医療、子育て、教育、安全・安心のまちづくりを進めました。区役所中心に市民協働のまちづくりが進展し、企業や大学の誘致が実現しました。
(3)シャープ21世紀型コンビナートの立地で、1兆円超の投資効果と5000人の雇用を創出、他に50社3400億円の新規投資により、市税収入が増加します。地域経済活性化と雇用拡大のため企業誘致に取り組みます。
◇竹山修身氏=無新
(1)費用対効果と住民合意が事業着工の前提。具体的には堺駅-堺東駅間の事業は中止。堺駅-堺浜間は費用対効果を有識者、住民代表らが参画する協議会で審議のうえ、地元住民の意見を聞いて着工の可否を判断します。
(2)政令市にふさわしい市民自治のありようが問われています。5億4000万円かけた「さかいブランド事業」は無駄遣いだった。市のトップ以下が政策形成を担う気概に乏しく、「風格のある政令市」とは言えません。
(3)先端産業の立地が、堺の中小ものづくり企業を活性化させるとともに、消費、雇用などの経済効果を生むように、それぞれの企業に働きかけて実現させていきます。
◇小林宏至氏=無新
(1)市民理解が得られない現在の計画は白紙。泉北高速の料金値下げ、バス網充実などLRTのあり方を含めた公共交通まちづくり計画を市民参加で策定します。公共性の薄い臨海部へのLRT整備は不要と考えます。
(2)堺市は30億~40億円の余裕財源による行政サービスの向上をPRしていましたが、介護保険料を37・6%、下水道料金を15%引き上げなど負担は重くなるばかりで、市民生活にとってプラス評価はできません。
(3)10年間で504億円も税減免を行うシャープなどに対する優遇策を見直します。地方交付税削減にもつながり財政に巨額のマイナスとなります。シャープには市内での正規雇用の確保など地域への責任を果たさせます。
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毎日新聞 2009年9月16日 地方版
選挙:堺市長選 候補者の主張/中 /大阪
(届け出順)
◆設問
(1)新型インフルエンザへの対応策
(2)衆院選の市長選への影響
(3)橋下府政への評価
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◇井関貴史氏=無新
(1)国内での流行の動向に常に気を配りながら、国の対応方針の把握と市内保健所での準備を整えます。流行時の患者受け入れ体制を検討、策定するとともに、一方で無用な混乱が起きたり、広がらないようにします。
(2)直接の影響はあまりないと思います。党派に過度にとらわれず、各候補が自らの政治的意思を存分に訴え、市民に判断してもらう選挙になると思います。次代を築く力が、重要な選択基準になると思います。
(3)旧来の政治や府政の行き詰まりを突破した力は素晴らしいと思います。堺市政に対する介入には断固、反対・抵抗しますが、個別の政策・連携・調整については、堺市民の利害・利益を念頭に判断します。
◇木原敬介氏=無現
(1)市民への感染予防啓発を徹底します。抗インフルエンザ薬の備蓄や医療機関と連携した診療体制の整備をします。基礎疾患を有する方や妊婦らの重症化防止に全力を挙げ、万全の危機管理体制を整えます。
(2)衆院選の結果、国と地方自治体の関係は変化すると思われます。堺市は、地域主権をモットーとし、自由と自治、市民協働の市政を貫きたいと考えます。
(3)住民に最も身近な基礎自治体、とりわけ政令市として発展している堺市の行政を正しく評価し、大阪・関西の発展につながるよう、支援をお願いしたいと思います。
◇竹山修身氏=無新
(1)集団発生の早期発見による感染拡大の抑制、重症化する患者への適切な医療の提供、ワクチン接種の準備が重要。強毒性の発生にも備えが必要で、市民の安全・安心のため、国、府、関係機関と連携して対策を進めます。
(2)国民の厳粛な判断の結果、政権交代が行われたと思います。役所の無駄遣いが選挙の争点でした。堺には膨大な無駄遣いがあります。大掃除の時が、国にも堺にも来たと考えています。
(3)財政再建に道筋をつけ、府政を府民の目線で総点検、徹底的に無駄を排除しました。私も府政改革のような大きな渦で、堺市政を刷新します。
◇小林宏至氏=無新
(1)ワクチン接種の公費負担を堺市独自で進めると同時に、国に予算措置を求めます。重症者のためのベッドの確保など感染の規模と速度に見合った感染対策や、影響を受ける中小企業への融資など総合的な対策が必要です。
(2)自民、公明への国民の怒りが政権交代を実現させましたが、堺では自公民などオール与党で官僚市長を応援、国政と矛盾が広がっています。今回は暮らしを応援する市政を実現するかの「堺版政権選択選挙」と考えます。
(3)府政の目玉として進められている橋下維新プログラムは福祉、医療、教育、文化などにかかわる施策を大幅削減する一方で、大型公共事業はほぼそのまま継続するなど、財政再建に値しないものであると考えています。
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毎日新聞 2009年9月17日 地方版
選挙:堺市長選 候補者の主張/下 /大阪
(届け出順)
◆設問
(1)情報公開への考え方
(2)今回の市長選の争点は何か
(3)当選した場合に最優先で実施する政策
==============
◇井関貴史氏=無新
(1)情報公開は大変、大事です。市政の基本情報、政策判断の基礎となる資料や情報は全面公開します。個人情報保護との関係で難しい判断を迫られることもありますが、各方面の理解を得ながら、基本的に公開を進めます。
(2)役人による支配からの脱却。官僚政治の打破。従来の社会・政治システムを変えることが大切です。天下り市長ではなく、84万人市民に基盤を置く市長が指導力を発揮、議会と協力して新しい堺をつくることです。
(3)組織管理と法令順守の徹底は、しっかりした市政・財政運営の基盤。市内各企業にまで法令順守が徹底されることは、環境関連・航空宇宙産業など次代の基幹産業を営むための最も重要な基盤でもある。
◇木原敬介氏=無現
(1)市政は市民のものであるとの原点に立ち、市政の透明性をより高めるために、より積極的な情報公開と説明責任を果たします。自治基本条例の制定に取り組み、地方自治と市民本位の開かれた市政運営を進めます。
(2)「堺の自由と自治の伝統を守り、市民が主役となる市政を進めるのか」「真に市民の生活と生命を、責任を持って守ることができるのか」「実績を踏まえて、堺がさらに大きく飛躍・発展できるのか」が問われています。
(3)中学卒業まで医療費を助成▽保育所希望者全員の入所▽高齢者の毎日全路線100円バス▽中学ランチサービス▽最先端の総合医療・救命救急センターと小児救急診療センター整備▽3年間で1万人雇用創出--を実現。
◇竹山修身氏=無新
(1)堺市の情報公開については、条例、規則を解釈、運用するその基本姿勢に問題があるのではないかと考えます。まずは「市民の視点」に立つことが第一です。
(2)現市長の市政運営のあり方を「市民の視点」で根本から問い直すこと。市民がそれを是とするのかが、最大の争点です。
(3)市政を「見える化」することから始めます。
◇小林宏至氏=無新
(1)予算編成段階の情報公開、審議会などへの公募委員枠の拡大や、形だけのパブリック・コメントだけでなく、公聴会やタウン・ミーティングの開催などで、市政にかかわる情報を徹底公開し、市民の意見を反映させます。
(2)長引く不況で市民生活が追い込まれる中、国・府の言いなりの官僚市政の継続でLRT(次世代型路面電車)など臨海部への巨額投資を続けるのか、政令市として独自の「暮らし応援の市政」に転換するかが争点です。
(3)「国保料の1人年間1万円」と「下水道料金10%」の引き下げを最優先で実施します。LRTを白紙に戻し、シャープへの破格の財政支援を見直すことによって、市民の暮らし優先の財政構造への転換を図ります。
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士別市長選:牧野勇司氏が初当選 北海道
毎日新聞 2009年9月19日 地方版
以上毎日新聞より引用
非常に簡潔に各候補者の主張がまとまっている。
大変参考になる