たくとパパは、倉敷王将戦まであと約100日。一緒にがんばろうぜ!って話をしていた。
昨夜、実は、パパは勝負手を用意していた。クリスマスでもなんでもないが、パパの少ない
小遣いを叩いて、解説用の大きいマグネット将棋盤&駒を購入していたのだ。思えば、将棋
の盤や駒、本、対局時計等々、最近、自分のテニスにつぎ込んでいたパパの小遣いは、たく
の将棋に流れている。でも、たくが、頑張っている姿を見れば、何も惜しくはない。それが
親(父親)というものだろう。さくらパパにしろ、石川遼君のお父さんにしろ、一流選手に
は、それを支えているお父さんのような人がいると思うし、必要だと思う。
日曜日の朝、クローゼットに張り付けておいた将棋盤に向かって、たくは朝早くから熱心に
一人で将棋を指していた。こんなに熱心にたくが将棋盤に向かう姿をみたのは本当に久しぶ
りだ。パパはその心地よい駒音を聞きながら、また寝た。
パパは朝ごはんを食べる為に(もうお昼前だが)、台所に行く。それでもたくは、将棋盤か
ら離れようとしない。とにかく、パパからのサプライズなプレゼントをめちゃくちゃ気に
入った様子だ。パパは自分の指した絶妙手に実に満足な気分だった。
少しして、嫁の雷が落ちて、たくの泣き声がした。何事かとそこにいくと、どうやら嫁が、
「将棋盤が邪魔だ!片付けろ!!」と怒鳴り散らしたらしい。

今すぐに、クローゼットを
開く必要があるなら、百歩譲ってもよいかもしれない。しかし、そうではない。嫁はとに
かく、パパが何かを買ってくると、捨てろ捨てろと怒鳴り散らす。どこか見えないところに
しまいこんでしまう習慣がある。これまでもパパの愛用していたたくさんのものが行方不明
になっている。(ちなみに、部屋が綺麗とか、片付いているという訳ではない)
今回は(も)、パパは相当頭にきた。なぜなら、たくが、恐怖のあまり、その将棋盤の半径
2m以内に近寄らなくなってしまったのだ。そりゃ、喜んで将棋をしていたら、異常なテン
ションで雷を落とされては無理もない。パパも尻尾を巻いて、逃走する。
普段から、嫁はたくとパパが仲良く将棋をしていると機嫌が悪い(というか実は常に機嫌
が悪い)。とにかく、せっかくの好手を悪手にされてしまって悔しくてならない。今夜は眠れそうにない。