佐伯画廊の『ひとこと、ふたこと』

漫画のこと、音楽のこと、映画のこと、その他思いついたことを気の向くまま書き綴っていきます。

今こそ「ブッダ」

2011-05-28 21:29:46 | 雑記

『手塚治虫のブッダ~赤い砂漠よ!美しく~』
観てまいりました。

はっきり言って…ホントに観てよかった!

明らかに手塚先生の絵とは違っちゃってるので手塚フリークの方はちょっと尻込みしてしまうってことはあるのかもしれません。自分もそこは少し気にしてたところではあったんです。
しかし、このスタッフは手塚先生の原作を崩さずに見事に映像化したと思います。

恥ずかしながら自分は「ブッダ」を今まで読んだことがなく、これを機に映画観る前に全部読破してやろう!ということで全巻読みました。
いやあ、読んでおくもんですね。ぐんぐん引き込まれてむさぼるように読み続け、映画観る前にすでに感動しまくっていました。
しかし14巻にもなる大長編を2時間足らずのアニメに出来ないでしょ?と思ってたら案の定これは3部作になるのです。そうでしょうね。無理やり2時間に凝縮しても手塚先生の意図するものは伝わらないでしょう。安心しました。
史実に基づきながらも手塚先生のオリジナルキャラ、ストーリーを盛り込んで見ごたえのある物語になっています。

「手塚作品は今となってはもう読まなくてもいいもの」みたいな言い方する人がたまにいるんだけどチャンチャラおかしい。
手塚漫画ってお手本とか教科書みたいな言われ方もするけど、むしろ既成概念をぶち壊したアナーキーな部分がものすごく多いんです。心に訴えかけてくるパワーがものすごい。つまり感情移入が容易に出来てしまうんです。そしてときにドキッとするくらい厳しく、そして優しい。古くてなお新しいんです。
「後世まで残るもの」っていうのはやっぱり残る理由があるし、それだけの説得力があります。
たいしたもの残せなくて「自分は何も残そうなんて思ってない」って言いきれるのならウダウダ文句言っててもいいと思います。
だけどそうでないのなら名作やそれを残した人に関してゴチャゴチャ言うべきではない、というかそんな権利は無いんじゃないかって思っちゃうんですけどね…。

アニメ映画『ブッダ』は絵柄も変わってるしところどころシチュエーションも原作とは違うところもありますが、手塚先生が訴えたかったことや描きたかったこと、表現したかったことは何一つ変わってなかったといって過言ではないと思います。大切なテーマはちゃんと伝わっていました。

で、どんだけ感動したかというと…
多分はじめてなんだけど映画観て知らぬ間に涙こぼしたんですね。そんな自分にびっくりでした。
涙腺緩む年になっちゃったっていうのもあるんだけど…。

とにかくこんな時期、こんな時代だからこそ、人間、生命の意味を問うこの作品に触れてみてはいかがでしょうか?


『退治屋稼業』そろそろ公開予定

2011-05-11 23:09:02 | 雑記

チャリティー漫画製作中の皆さん、頑張ってください。

自分でも一応考えてみたものの、どうもアドリブのきかないタイプのようでテーマに沿ったものを考えてもベッタベタなつまらないアイデアしか浮かばず、シナリオもまとまりそうもなく、ましてや自分の下手な絵を売り物にしちゃダメだろうってことで、応援する側に回ることにしました。そのつまらないアイデアのものも機会があればまにょもで発表することにしたいと思います。

被災者の方々を応援し、被災者の方々を応援している皆さんを応援します。読み手、買い手として貢献したいと思います。

 

 

『退治屋稼業~退治屋VSマダム・バタフライ ACT.5』がそろそろ完成しそうなのでお知らせします。

 

 

 

核心に迫る回ですけど説明台詞ばっかりで絵的には単調になっちゃった感じは否めない・・・。

 

でもチャリティー漫画のテーマである「朝日」になんだか合っちゃった感じもあったりします。


『手塚治虫のブッダ展』

2011-05-08 22:28:56 | 雑記

観てきました。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=703

 

音声ガイドというやつをはじめて使いました。詳しい解説が聞きたかったし、解説の声が水樹奈々さんだったから^^。

今月末からアニメ映画「ブッダ」が上映されます。水樹さんは若いブッダと恋仲になるミゲーラという女盗賊の声も担当します。このキャラクターは手塚先生の創作で、ブッダにまつわる経典には登場しない架空の人物です。

こういった人物たちが登場するのもこの手塚先生の「ブッダ」の特徴でもあるのですが、漫画として面白くするという意図だけではなく、ブッダがなぜ悟りを開くまでの過酷な道を選んだのか、なぜ人々はブッダの教えを尊いものとしてあがめたのか、より明確にするため、ブッダの真髄をより伝わるようにするためという、手塚先生の心持があったようです。

 

先生の原画と各方面から寄せられた仏像などが交互に並べられて進んでいく趣向は面白かったです。

・・・これ・・・結局たいしてうんちく並べられるほど自分は知識もないし、ましてや手塚先生の生の原稿なんかはもう・・・すごいっす、としか言いようがない、というよりなんも言えない感じで。

それに手塚先生は尊敬してるってわりに「ブッダ」ってまだ読んだことなかったんです。

でも今回これがきっかけですごく読みたくなったので早速買ってきました。とりあえず5巻まで。

水樹さんのナレーションの素晴らしさもあって展示場出る頃はちょっと感動してましたしね。

なんか時期的にもね、自分が何だかわかんなくなって腐りそうになってたりしたし。いいヒントになるのかもしんない。

 

ほぉらね!

ちょっと前まで「被災者のこと考えたらオレの悩みなんて…」とか思ってたらやっぱりもう忘れかけてる!

未だにつらい思いしてる人たちがいっぱいいるのにまだ自分のことだけ考えてるし、煩悩だらけもいいとこだ。

多分自分は死ぬまで悟りなんか開けない。それでもきっと死ぬまで生かされる。

それでも自分は今の自分のマックスを出しながらいくんだろうなぁ、とか思いつつ家路につくのでありました。(まとまりなし)

 


『写楽』を見てきました。

2011-05-04 19:54:00 | 雑記

上野の東京国立博物館に「特別展~写楽~」を観に行きました。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=706

動物園にパンダ目当てで大群と化した親子集団をすり抜け、お隣の博物館へ。

それにしてもやっぱり人多い!早めに行ったのでそれほど並ばずに済んだけど。それでも中に入ったらなかなか近くで作品を拝めない。GWは「人嫌い」になる時期ですよ^^;。

出来れば隣でやってる手塚治虫先生と仏像のコラボ「手塚治虫のブッダ展」も観たかったんですけど、秋葉原にも行きたかったからそっちは次回とゆーことで。

 

作品数はかなり充実してました。1700年代の浮世絵や、今で言う歌舞伎のパンフレットがそのまま展示されてるのってやっぱりすごいっす。浮世絵って版画なのでいわゆる印刷物。当時は植物性のもので色を着けたりしてたので、これだけ時間が経つと当然色合いも当時とは違ってしまっているようです。同じ作品で刷った時期が古いものと新しいもので色合いがまるで違っているものが比較出来たりして面白かったです。

あとで写楽が掘りなおしたのであろう、と思えるものとかも比較して見られるようになっていたり。

 

浮世絵って輪郭をはっきりと描く技法なので「漫画っぽいなぁ」って昔から思ってました。何百年も前のものなのにやっぱり今日見てもそう思いました。

「当時はこんな顔が美人だって思えたのかなぁ」なんて思ってたけど、今回何枚も見て廻ってたらだんだん美人に見えてきましたよ。今の萌え系の目のおっきい顔も百年経ったらどう思われるんでしょうね。

 

解説で面白いと思ったのが、大首絵と呼ばれる、いわゆる歌舞伎役者の顔のアップですが顔の位置が紙の真ん中に描かれているものはほとんど無いんです。いわゆるブロマイド的な描画ではなく、役者が演じている場面を切り取ったような臨場感があるんです。顔を前に突きだしていたり、逆にのけぞるように後ろのほうに位置してみたり。

 

何にしても一番驚くのは、こんなに有名で確実に多くの画家たちに影響を与えた写楽が、活躍したのってほんの10カ月余りなんですよ。だんだん繊細な線も、歌舞伎の表現も甘くなっていって・・・よーするに「やる気なくなって」いっちゃった。いつのまにか錦絵の世界から姿を消しちゃうんですね。なんか理由があるんでしょうけど、とにかくイヤんなっちゃったんでしょうね・・・。「マカロニほうれん荘」描いてた鴨川つばめさんを思い出しちゃった。あの人、連載終わる頃の絵はホントに変わっちゃったもんなぁ。いや、下手になったわけじゃないんですよ、写楽も。ただ、「あんた、変ったわよねぇ・・・」みたいな、ね。

とにかく写楽という人の正体さえよくわからずじまいで、未だに謎の多い人物のようです。

少なくとも自分は浮世絵も歌舞伎の世界もさっぱりな、知識もな~んもない小市民以下の愚民の一人です。これから興味持ち出すかもわからないですけどね。そーしたら今以上に作品を面白く見られるんじゃないかと思います。でもこんなド素人でも楽しめました。

興味のある方は是非お出かけになってみてください!