『手塚治虫のブッダ~赤い砂漠よ!美しく~』
観てまいりました。
はっきり言って…ホントに観てよかった!
明らかに手塚先生の絵とは違っちゃってるので手塚フリークの方はちょっと尻込みしてしまうってことはあるのかもしれません。自分もそこは少し気にしてたところではあったんです。
しかし、このスタッフは手塚先生の原作を崩さずに見事に映像化したと思います。
恥ずかしながら自分は「ブッダ」を今まで読んだことがなく、これを機に映画観る前に全部読破してやろう!ということで全巻読みました。
いやあ、読んでおくもんですね。ぐんぐん引き込まれてむさぼるように読み続け、映画観る前にすでに感動しまくっていました。
しかし14巻にもなる大長編を2時間足らずのアニメに出来ないでしょ?と思ってたら案の定これは3部作になるのです。そうでしょうね。無理やり2時間に凝縮しても手塚先生の意図するものは伝わらないでしょう。安心しました。
史実に基づきながらも手塚先生のオリジナルキャラ、ストーリーを盛り込んで見ごたえのある物語になっています。
「手塚作品は今となってはもう読まなくてもいいもの」みたいな言い方する人がたまにいるんだけどチャンチャラおかしい。
手塚漫画ってお手本とか教科書みたいな言われ方もするけど、むしろ既成概念をぶち壊したアナーキーな部分がものすごく多いんです。心に訴えかけてくるパワーがものすごい。つまり感情移入が容易に出来てしまうんです。そしてときにドキッとするくらい厳しく、そして優しい。古くてなお新しいんです。
「後世まで残るもの」っていうのはやっぱり残る理由があるし、それだけの説得力があります。
たいしたもの残せなくて「自分は何も残そうなんて思ってない」って言いきれるのならウダウダ文句言っててもいいと思います。
だけどそうでないのなら名作やそれを残した人に関してゴチャゴチャ言うべきではない、というかそんな権利は無いんじゃないかって思っちゃうんですけどね…。
アニメ映画『ブッダ』は絵柄も変わってるしところどころシチュエーションも原作とは違うところもありますが、手塚先生が訴えたかったことや描きたかったこと、表現したかったことは何一つ変わってなかったといって過言ではないと思います。大切なテーマはちゃんと伝わっていました。
で、どんだけ感動したかというと…
多分はじめてなんだけど映画観て知らぬ間に涙こぼしたんですね。そんな自分にびっくりでした。
涙腺緩む年になっちゃったっていうのもあるんだけど…。
とにかくこんな時期、こんな時代だからこそ、人間、生命の意味を問うこの作品に触れてみてはいかがでしょうか?