
彼等のアルバムの中で個人的にいちばん好きだったのが、1970年発表のこのアルバム。スタジオアルバムとしては3枚目だが、バンドの場合、サードアルバムに名作が多いと思う。デビューアルバムはそのバンドのエッセンスが凝縮されているものの、まだ荒削り。その勢いを保ちつつ、メンバー間の息が合ってきて音が洗練される頃がサードアルバムなのじゃないかな。このアルバムからプロデューサーがリチャード・ポドラーに代わっていることも影響しているかも知れない、スッキリしてソリッドなサウンドになっている。
1. Woman
2. Cowboy
3. It Ain't Easy
4. Out In The Country
5. Good Feeling (1957)
6. Rock & Roll Widow
7. Mama Told Me
8. Your Song
9. Good Time Living
冒頭を飾る「Woman」はヘビーなギターリフとコリー・ウエルズのワイルドなボーカルが熱い。「Cowboy」で聴かれるフレンチホルンみたいな音は、マイク・オルサップがギターで出しているらしい。一体どうやってこの音出しているんだろ。「Out In The Country」はコーラスワークが素晴らしいが、間奏のジミー・グリーンスプーンのオルガンの音色が実に涼しげで美しい。真夏の夜にこの曲を聴いたときの感動が忘れられない。「Good Feeling」はハチャメチャなドゥー・ワップで楽しい。アナログレコードでは曲が始まる直前にレコード針を落とす音が挿入されていたが、これを最初に聴いたときはそんな演出であることを知らず、不良品だと勘違いしたものだ。「Mama Told Me」は初の全米No.1ヒットとなった曲で、今もってそんなに名曲とは思わないが、まあ良いんじゃないの。「Your Song」は今となってはエルトン・ジョンの不朽の名曲だが、卓越したアレンジを得意とする彼等にしてはオリジナルの素朴さに負けている。ラストの「Good Time Living」は3人のボーカルが複雑に絡み合う構成で凄いが、最後にフェードアウトした後で再びフェードインするギミックも実にカッコイイ。
今回の再発盤はアメリカで発売直後に物議を醸してボツになった全員のヌード写真のジャケットとなっている(カバーを外すと出てくる仕掛け)が、僕はたとえ芸がなくとも従来のジャケットのほうが好き。だってこのアルバムはそんなにエキセントリック、サイケデリックな内容じゃないもの。よってこの稿の写真は従来のものを挙げておきます。
(かみ)
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