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還暦おやじの洋楽日記

One More Song / Randy Meisner

イーグルス脱退後、ランディ・マイズナーはソロアルバム「Randy Meisner(邦題:テイク・イット・トゥ・ザ・リミット)」をリリースしたがカバー曲が殆どで、自分の趣味で作ったような作品だった。アサイラムからエピックに移籍して1980年に発表されたこのアルバムは一転して気合の入った充実の内容。

1. Hearts on Fire (Meisner & Kaz)
2. Gotta Get Away (Meisner, Kaz & Waldman)
3. Come on Back to Me (Meisner, Kaz & Waldman)
4. Deep Inside My Heart (Meisner & Kaz)
5. I Need You Bad (Meisner, Kaz & Waldman)
6. One More Song (Jack Tempchin)
7. Trouble Ahead (Meisner, Kaz & Waldman)
8. White Shoes (Jack Tempchin)
9. Anyway Bye Bye (Richie Furay)

曲作りのパートナーとして選ばれたのがエリック・カズとウェンディ・ウェルドマン。全9曲中、マイズナーとカズの共作が2曲、マイズナーとカズとウェルドマンの3人による共作が4曲もある。
アルバムの冒頭を飾る「Hearts on Fire」は、ベースがタイトなリズムを刻むラブソング。この曲と「Deep Inside My Heart」がシングルカットされてスマッシュヒットしたが、いずれもコマーシャル性に富んでおりヒットするのは納得。最初にヒットした「Deep Inside My Heart」はキム・カーンズとの掛け合いがドラマティックでパワフルなナンバー。「Gotta Get Away」「Come on Back to Me」「I Need You Bad」「Trouble Ahead」は前述の3人の共作であるが、これらもメロディアスで良い曲だ。僕はこのアルバムでエリック・カズを知ってその後に彼のアルバムを聴いたのだが、あの眠たそうな歌声にはなかなか馴染めず、どうも僕の場合は他人が歌う彼の曲を鑑賞するほうが性に合っているみたい。
ジャック・テンプチンの作品が「One More Song」「White Shoes」。イーグルス人脈の作品とあって「One More Song」にはグレン・フライとドン・ヘンリーがコーラスで参加している。アルバムの締めは、ポコ人脈であるリッチー・フューレイの「Anyway Bye Bye」をカバー。所縁あるポコとイーグルス関連の曲を網羅して、あたかも彼のキャリアも総括するようなアルバムだが、全編を通して抒情的でありつつ躍動感に溢れた傑作だと思う。

自己満足に陥ることなくマーケットもちゃんと見据えて制作されたこのアルバムの成功によって、マイズナーは脱退したイーグルスに一矢報いることができたことだろう。クセのありそうなイーグルスのメンバー達の中で、微笑みを絶やさず黙々とプレイするハンサムガイに好感を持っていた僕としても、この復活は嬉しかった。特にイーグルスが「イーグルスらしさ」を失ってしまった「The Long Run」が出た後だったから、溌剌とした演奏が聴かれるこのアルバムとはまったく対照的だった。でもその次にリリースされた「Randy Meisner(邦題:紺碧のハイウェイ)」は、いくつかの佳曲はあったけれど全体としては方向性の定まらぬアルバムになってしまい、勢いは続かなかった。
ランディ・マイズナーって柔和で温厚そうな外見だが、意外とエキセントリックで情緒不安定な人なのかも知れない。イーグルスの脱退は、人気の頂点を極めグルーピーにも追いかけられ酒とドラッグ漬けでぐちゃぐちゃになったバンドの人間関係の軋轢の中で起きたことみたいだから仕方がないとしても、ポコの脱退はバンドのデビュー直前のことだったので残されたメンバーの顰蹙を買ったらしい。デビューアルバムでのマイズナーのパートは大幅に削られ、アルバムジャケットに描かれた彼のイラストは犬のイラストに差し替えられたという話もあって、話半分にせよ温厚なポコのメンバー達の怒りを招くような自分勝手な脱退劇だったようだ。まあ、そんな風に想像してしまうのは、現在の彼がアルコール依存や心臓疾患で健康を害して音楽界からも引退し、数年前には奥さんを銃の事故で亡くして精神的にも病んでしまったという話を知ってしまったからなんだけど。

ところが最近聞いたニュースによると、今年の8月にリッチー・フューレイが行なったリモートライブにマイズナーがスペシャルゲストとして自宅から参加し、バッファローの「For What It's Worth」を一緒に歌ったんだそうな。もはや彼の新しい動静も聞くことはないと思っていただけに驚き。これをもって直ちに復帰を期待するのは早計だろうけど、久々に嬉しい話だった。

(かみ)
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