思いつくまま日記

前に道が無い・・・歩くのに苦労の連続。
色んな意見を聞きながら進みたい。

生きる 18 銃声が・・・(短編)

2005-11-15 15:34:21 | 小説、短歌、俳句等
街離づれに小さなカフェが有った。
薄暗い店内には、赤い照明がポッンと灯っていた。
数人の客が片隅で話し込んで居り、マスターはそんな客の
注文を面白くも無い顔で、もくもくとこなしていた。
入口のドアーが開いて、男が入って来た。
「いらっしゃい」マスターは大きな声で言葉を掛けて迎えた。
男は落ち付かなく、おどおどした素振りでカウンターに近づき
止まり木に腰かけた。赤い照明に照された男の表情は何か
に追われている感じだった。
「何、しますか?」
男は暫くしてから、小さな声で「アイスコー匕ー」を注文した。
10月も末、殆どの客がホットを注文する時期なのに、
その男はアイスコー匕ーを求めた。顔にうっすらと汗が光っていた。
暫くすると、又、アイスコー匕ーを注文した。
震える手でカップを持ち、イッキに飲んだり、時間を掛けて飲んだり
しながら、もう、6杯目と成った。
又、ドアーが開いた。
黒いスーツの男が入り口に立ち、店内を見渡していた。
見るからに、普通の人と違うとマスターは感じて、声を掛けなかった。
カウンターの男を見つけると、ツカツカと近づいて来た。
カウンターの男は振り向き様に声を上げた。
「あ、ぁ、俺がやったのじゃあ無い。助けて呉れ」
哀しい声で助けを求めた。
男は静か脇腹に手をやり、ピストルを取りだしカウンターの男の胸に
銃口を向けた。カウンターからよろめきながら立ち上がる男に低いドス
の効いた声で「死ね・・・」と云い様、ピストルを撃った。
銃声が店内に響き渡った。
胸を撃れた男は「ウッ、・・」とうめきながら、止まり木につかまろう
としながら、床に倒れこんだ。男の口から、血が溢れ床を染めていった。
赤い照明で血はキラキラと輝いていた。
片隅の男達が一目散に外逃げ出した。
暫く、倒れた男を見ていた男はマスターをジロリとみすえて、ゆっくりと
ドアーに行き外へ出て行った。
マスターは慌てて、カウンターから飛び出し倒れた男に声を掛けた。
「おい、大丈夫か?」
血は床に広がリなす術も無い状態で、男はピクりとも動かなかった。
「け、け、警さつ・・・・・」
叫んで男の傍から立ち上がろうとした時、誰かに足を掴まれた。
息絶えた男がマスターに云った。
「もう、行ったか?」声を聞いてマスターはそこに据わりこんだ。
「大丈夫なんだ???」男はニヤリとして、胸を叩いた。
「迷惑かけたなあ。」立ち上がりながら、そう、いいポケットから
シワだらけの金を手に置いた。
「頼む。。。」一声を残して、その男も店を出て行った。
震えが落ち付きマスターは床に流れた血をタオルで拭きとろうと
して、あッ、、、、と叫んだ。
「なんだ・・・これはコー匕ーだぁ・・・」


その後、2人の男の生息は知らない・・・
今日もマスターは面白く無い顔でコー匕ーを・・・・

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