安土の両替商にて、乱雑にしていたアイテムを整理していたところ、
城下町「桜花」より使者が来た。
家臣目付け役殿より、至急来て欲しいとの事だ。
はて?
とりあえず、憂鬱だった整理整頓を後回しにし、
城下町「桜花」へ向かう。
後ろから、両替商の大きな溜め息が聞こえた気がした。
「おお、八雲殿!お待ちしておりましたぞ!」
城下町にある、屋敷の一室が会合の場だった。
目付け役殿から歓迎を受けるが、
呼ばれた理由が、かいもく見当もつかない私は
早速こう切り出した。
「ご用件は何でしょうか?」
彼はニコニコしながら言った。
「お待たせいたした。
八雲殿の家臣となる者を、
ようやくご用意いたしました。
どうぞ、存分に使ってやってくだされ」
家臣?
「え、私の家臣?ですか?」
「左様。各城下町の城主には
家臣を連れる権利がございましてな。
まずは一人ずつ登用していくのでございますが、
手前の不手際で少々遅れてしまった。
まことに申し訳ない」
頭を下げる目付け役殿を、慌てて止めた。
私に家臣などもったいない、と固辞したが、
結局また押し切られてしまい、
一人の女忍者が呼ばれた。
「…家臣団筆頭、若林かえでと申します」
脇に一刀を携え、腰に蝶のような帯飾り、武者姿をしているが、彼女は忍びであると言う。
そして、なぜか私を凝視、いや睨みつけている?
「これ、かえで殿。城主の御前じゃ。
頭が高いぞ。それに、その顔…」
「わたくしは」
目付け役殿の言葉を遮り、彼女が言う。
「わたくしは、この方を城主と認めておりません。いきなり、他所から来た方が城主となる事も納得がいかないと言うのに、あろうことか城主として名乗らないとは馬鹿にしております。片手間でこの桜花の政が務まるとでもお思いですか?全くもって無責任にも程があります!
一人きりとはいえ、わたくしは家臣団筆頭です。
わたくしの任務として、外における護衛の役は引き受けますが、あなたを主人とは認めませんから、どうぞ、そのおつもりで!」
呆ける男二人を前に、
彼女は一気にそうまくし立てた。
後から後悔したのだが、
その時、私の口から出たのは、
「あ、はい」
の、一言だけだった。
彼女は、更に私をきつく睨んでくる。
「か、かえで殿、その物言いはいかがかと…」
「目付け役様は黙っていてください!」
「あ、はい」
あれ、目付け役って上役ではなかったのか?
「今日はどこかへ向かうご用事はありますか?」
「え、えーと…ちょっと遠出しますので、お付き合いくださると助かりますが…」
「かしこまりました。では、お供いたします。
先に城門前におりますので、お声かけください。
では!」
襖をピシャリと閉めて、彼女は出ていく。
残された二人は、情けなくも
しばし言葉を発せられずにいたのであった。
友好度「険悪」
〜続く〜
次回
「桜花家臣団筆頭 若林かえで 弐」
お気軽にコメントくださいませ。
☆この物語に語られることは、実際の人物、
伝承、システム、設定等とは一切関係ありません
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城下町「桜花」より使者が来た。
家臣目付け役殿より、至急来て欲しいとの事だ。
はて?
とりあえず、憂鬱だった整理整頓を後回しにし、
城下町「桜花」へ向かう。
後ろから、両替商の大きな溜め息が聞こえた気がした。
「おお、八雲殿!お待ちしておりましたぞ!」
城下町にある、屋敷の一室が会合の場だった。
目付け役殿から歓迎を受けるが、
呼ばれた理由が、かいもく見当もつかない私は
早速こう切り出した。
「ご用件は何でしょうか?」
彼はニコニコしながら言った。
「お待たせいたした。
八雲殿の家臣となる者を、
ようやくご用意いたしました。
どうぞ、存分に使ってやってくだされ」
家臣?
「え、私の家臣?ですか?」
「左様。各城下町の城主には
家臣を連れる権利がございましてな。
まずは一人ずつ登用していくのでございますが、
手前の不手際で少々遅れてしまった。
まことに申し訳ない」
頭を下げる目付け役殿を、慌てて止めた。
私に家臣などもったいない、と固辞したが、
結局また押し切られてしまい、
一人の女忍者が呼ばれた。
「…家臣団筆頭、若林かえでと申します」
脇に一刀を携え、腰に蝶のような帯飾り、武者姿をしているが、彼女は忍びであると言う。
そして、なぜか私を凝視、いや睨みつけている?
「これ、かえで殿。城主の御前じゃ。
頭が高いぞ。それに、その顔…」
「わたくしは」
目付け役殿の言葉を遮り、彼女が言う。
「わたくしは、この方を城主と認めておりません。いきなり、他所から来た方が城主となる事も納得がいかないと言うのに、あろうことか城主として名乗らないとは馬鹿にしております。片手間でこの桜花の政が務まるとでもお思いですか?全くもって無責任にも程があります!
一人きりとはいえ、わたくしは家臣団筆頭です。
わたくしの任務として、外における護衛の役は引き受けますが、あなたを主人とは認めませんから、どうぞ、そのおつもりで!」
呆ける男二人を前に、
彼女は一気にそうまくし立てた。
後から後悔したのだが、
その時、私の口から出たのは、
「あ、はい」
の、一言だけだった。
彼女は、更に私をきつく睨んでくる。
「か、かえで殿、その物言いはいかがかと…」
「目付け役様は黙っていてください!」
「あ、はい」
あれ、目付け役って上役ではなかったのか?
「今日はどこかへ向かうご用事はありますか?」
「え、えーと…ちょっと遠出しますので、お付き合いくださると助かりますが…」
「かしこまりました。では、お供いたします。
先に城門前におりますので、お声かけください。
では!」
襖をピシャリと閉めて、彼女は出ていく。
残された二人は、情けなくも
しばし言葉を発せられずにいたのであった。
友好度「険悪」
〜続く〜
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