信おん御伽草子

信長の野望onlineの世界を題材のオリジナル小説を書いておりました。令和二年一月、ブログを閉鎖しました。

桜花家臣団筆頭「若林かえで」 壱

2017-09-30 21:30:01 | 真宮寺八雲の書
安土の両替商にて、乱雑にしていたアイテムを整理していたところ、
城下町「桜花」より使者が来た。

家臣目付け役殿より、至急来て欲しいとの事だ。

はて?
とりあえず、憂鬱だった整理整頓を後回しにし、
城下町「桜花」へ向かう。
後ろから、両替商の大きな溜め息が聞こえた気がした。

「おお、八雲殿!お待ちしておりましたぞ!」

城下町にある、屋敷の一室が会合の場だった。
目付け役殿から歓迎を受けるが、
呼ばれた理由が、かいもく見当もつかない私は
早速こう切り出した。

「ご用件は何でしょうか?」

彼はニコニコしながら言った。

「お待たせいたした。
八雲殿の家臣となる者を、
ようやくご用意いたしました。
どうぞ、存分に使ってやってくだされ」

家臣?

「え、私の家臣?ですか?」

「左様。各城下町の城主には
家臣を連れる権利がございましてな。
まずは一人ずつ登用していくのでございますが、
手前の不手際で少々遅れてしまった。
まことに申し訳ない」

頭を下げる目付け役殿を、慌てて止めた。

私に家臣などもったいない、と固辞したが、
結局また押し切られてしまい、
一人の女忍者が呼ばれた。

「…家臣団筆頭、若林かえでと申します」

脇に一刀を携え、腰に蝶のような帯飾り、武者姿をしているが、彼女は忍びであると言う。
そして、なぜか私を凝視、いや睨みつけている?

「これ、かえで殿。城主の御前じゃ。
頭が高いぞ。それに、その顔…」

「わたくしは」

目付け役殿の言葉を遮り、彼女が言う。

「わたくしは、この方を城主と認めておりません。いきなり、他所から来た方が城主となる事も納得がいかないと言うのに、あろうことか城主として名乗らないとは馬鹿にしております。片手間でこの桜花の政が務まるとでもお思いですか?全くもって無責任にも程があります!
一人きりとはいえ、わたくしは家臣団筆頭です。
わたくしの任務として、外における護衛の役は引き受けますが、あなたを主人とは認めませんから、どうぞ、そのおつもりで!」

呆ける男二人を前に、
彼女は一気にそうまくし立てた。

後から後悔したのだが、
その時、私の口から出たのは、

「あ、はい」

の、一言だけだった。
彼女は、更に私をきつく睨んでくる。

「か、かえで殿、その物言いはいかがかと…」

「目付け役様は黙っていてください!」

「あ、はい」

あれ、目付け役って上役ではなかったのか?


「今日はどこかへ向かうご用事はありますか?」

「え、えーと…ちょっと遠出しますので、お付き合いくださると助かりますが…」

「かしこまりました。では、お供いたします。
先に城門前におりますので、お声かけください。
では!」

襖をピシャリと閉めて、彼女は出ていく。
残された二人は、情けなくも
しばし言葉を発せられずにいたのであった。

友好度「険悪」


〜続く〜


次回
「桜花家臣団筆頭 若林かえで 弐」
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マクロのススメ

2017-09-29 21:06:24 | 封印の書 虎空
夢の中で、彼らと出会う。
そこは、常に夜。
何もない草原の中。
一件の小さな庵。
いつしか、そこは
「草月庵」と呼ばれるようになった。

「虎殿は昔、どんなマクロを活用されておりましたか?」

藪から棒の質問。

「マクロ、でござるか?」

「ええ、他の皆様が色々なマクロを組んで
楽しんでいらっしゃるようなので、
私も考えてみようかと思いまして」

「そんなに変わったものは使わなかったでござるよ?最初から用意されているものをそのまま」

虎空殿は腕組みをして、しばし考えた後、
ボンと手を叩いた。

「おお!そうでござる。
少し工夫したのは、習得徒党をしている時でござるな!」

「習得徒党?」

「左様。
昔はレベルを上げる経験値と、技能習得に必要な習得値が別になっておりましてな。
まあ、簡単に言うと、効率的に目録を皆伝させていくことを目的とした徒党でござる」

「ほほう、そんな徒党があったのですか」

今の私には興味深いお話だった。

「しかし!
この件に関しては、レベル差やら何やら
捉え方が人それぞれなので、
個人があれこれ言うのは控えるのでござる!」

ずい、とにじり寄り、凄んでくる虎殿。
顔、近いです…。
※あくまで個人の感想です

「おっほん。それで、御多分に洩れず、人気の狩場と目標がありましてな、野武士、辻斬り、紅葉狩りなど…」

「紅葉狩り?随分、楽しそうな敵ですね」

「…はっはっは。まあ、名前は…ね」

「???」

遠い目の虎殿。
何か変な事をいっただろうか?

「人気の狩場となると、皆が集まるのは必然。
徒党同士の早い者勝ちの取り合いが始まる。

いかに沸いた敵を人より早く捕捉し、皆に伝え、戦闘にもつれ込むかがカギでござった」

徒党が割れようとも、捕捉が優先の狩りの中、
素早く走れ、かつ先に一人戦闘を始めても、
隠れるなどができる忍者は捕捉役として
右に左にと走り周っていたらしい。

「しかし、この狩りは結構単調でござってな。
狩りの途中眠気を催し、
立ったまま眠ってしまう仲間もいらしてな。
解散時も起きないものだから、田畑の真ん中に寝かしたまま、町に帰る事もしばしば」

「ひ、酷くないですか?」

「気は引けるが仕方がござらん。
それで、少しは刺激や話のネタになるように、
発見報告のマクロを皆が各々考えたのでござる」

「例えば、

野武士;レベル20:1体が仲間になりたそうにこっちを見てる!

キャ\(//∇//)\野武士;レベル22:1体に見つめられてる☆

で、拙者が使っていたのは、

紅葉狩り;レベル22:2体発見!左舷弾幕薄いぞ!
何やってんの!

「な、何ですか!?これ」

「銀河草子に出てくる、空飛ぶ木馬の艦長のセリフでござる。ご存知ないか?
まあ、みんな色々考えるが、
すぐ慣れてしまうのでござるがな。
これは考えた中で、結構好評であった。
良かったら使って構わないでござるよ☆」

ご満悦で胸を張る虎殿の言葉に、
私は「一応」平伏してお礼を言うのであった。

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初めての徒党 弐

2017-09-29 02:27:43 | 封印の書 陸奥和泉
〜壱より続き〜

たった一人増えただけの二人徒党だったが、
俺にとっては、劇的な変化だった。

まずは将監殿の戦いだ。

さすがは侍。
俺と同じく駆け出しなのだろうが、
その動きは比べ物にならないくらい無駄がなく、
その攻撃は力強い。

使っている武器は懐刀だったが、
槍を振るう俺よりも戦果を上げていた。

そして、
お互いに声を掛け合い、
獲物を追いつめ、機を逃さず倒していく。
または、背後をかばい合い、
守りを固め、反撃の隙をうかがう。

初対面だというのに、
俺たちは妙に息が合っていた。
危険を少なく、時間をかけずに効率的に。
徒党による狩りの醍醐味をひしひしと感じていた。

何よりも…

「おっと、いかんな。武器が限界のようだ。
少し時間をくれ。修理に町へ戻ってくる」

彼は斬れ味の落ちた懐刀を鞘に収めた。

町の向かって駆け出そうとする彼を、
俺は慌てて引き止めた。

「お待ちください、将監殿。
何者と徒党を組んでいるか、
もうお忘れですか?」

そう言って、俺は修理道具の入った箱を取り出した。


狩場から少し離れ、落ち着けそうな場所で、俺は修理に取り掛かる。
将監殿の懐刀はかなり使い込んでいるようで、
修理は可能だが、限界も近そうだ。
俺は慎重に作業を進めた。

「確かに鍛冶屋が側にいると、このような恩恵が受けられるのはありがたいな。
しかし、同時に申し訳ない気もする。
本当に修理代はいらないのか?」

作業の手を止めずに、俺は答えた。

「何言ってやがる。
俺は武具を作ったり直したり、そうやって仲間の役に立ちたくて鍛冶屋の道を選んだんだ。
変な遠慮しなさんなって」

あ…しまった。
作業に没頭するあまり、口調がいつもの調子に戻ってしまった。
せっかく、無礼のないようにと、
気をつけていたのに水の泡だ、

「あー、いや、…」

「ははは、それが本当の和泉殿なのだな?
では、そのようにしてくれ。
侍だ鍛冶屋だと身分の違いがあるわけでもなし。
それに…




俺たちは仲間なんだろう?




ああ、そうか。
これがそうなのか。
徒党の醍醐味、真の価値はここにあるのだ。

「わかった。じゃあ、遠慮なくそうさせてもらうか。
ほら、出来上がりだ。
ピカピカにしてやったぜ」

修理の終わった懐刀を彼に渡す。

刀身を見て彼は満足そうに頷いている。

「ありがとう、助かったよ。
しかし、この武器も随分無理をさせている。
新調したいのだが、恥ずかしい話だが、
見ての通り貧乏侍でね」

困ったような顔で笑う。

迷惑だろうか、出過ぎた真似と思われるかも、
一瞬だけそんな考えがよぎったが、
仲間に遠慮はいらないな
俺は背中に差していた、もう一本の槍を手にすると彼に向かって放り投げた。

彼はなんなくそれを宙で受け取る。

「これは?」

「やるよ。良かったら使ってくれ。
そうすごいものではないが、
今のところ、俺が作った中の一番ものだ」

「いや、しかし…」

「代金なら貰った。
今日はあんたに誘われて、
今までにない経験ができた。
いいことにも気づかせてもらった。
もらいすぎな位だ」

彼はしばらく俺の目を見つめた後に、
頷き言った。

「わかった。ありがたく使わせてもらおう」

彼は槍を握り直すと、さっそく振るいはじめた。
空を裂く音が心地よく響く。

やっぱり侍だな。
新しい武器になんて嬉しそうな顔しやがるんだ。

それを見ている、俺の顔も相当にやけているに違いないが、な。



「今日は一緒にやれて本当に良かった。
是非、また組んでくれよ」

「おう。いつでも、大歓迎だ。
修理材、たっぷり用意していくぜ」

「ははは、楽しみだ。
では、また会おう。それまで元気で!」

「お互いにな!」

あの後、少し狩りに戻り、陽も落ちたところで
解散することになった。

握手をして、彼は町へと歩いていく。
少し採取をするため、反対方向に向かおうとした時、後ろから大きな声が聞こえてきた。

「和泉殿!
俺はいつか合戦に赴いて、
そこで活躍して大きな手柄をたてるのが夢だ!

その時は、和泉殿の武具を装備していくから、
よろしく頼む!」

なんて嬉しいことを言いやがる。

「おー!
上から下まで、全部業物で揃えてやるから、
しっかり戦働きしてこい!」

二人は大声で笑い合い、手を振り別れていった。




「長え話になっちまったな。
ま、そんな感じだったよ」

「その後、その将監殿とは、ずっと一緒に?」

「しばらくの間は、な。
人の繋がりは、良くも悪くも、色んな方向に枝分かれしていくものさ。
彼は彼の道を行き、俺は俺の道を行き。
今はどうしてるかは、神のみぞ知るってな。
彼もきっと沢山と出会いをしたろうな。
俺も沢山の出会いがあった。

だから、いいのさ、それで」


その言葉に、私は黙って頷いた。


外は風の音。草の声。

草月庵の夜は更けていく。


〜終〜

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初めての徒党 壱

2017-09-28 19:03:00 | 封印の書 陸奥和泉
夢の中で、彼らと出会う。
そこは、常に夜。
何もない草原の中。
一件の小さな庵。
いつしか、そこは
「草月庵」と呼ばれるようになった。

「徒党?」

今夜も盃を手に、和泉殿は私の前に座っている。
今日は、少し相談をしたかった。

「他の方々と、時間がズレているのか、
なかなかそういう機会に恵まれずにおりまして」

くっくっくっ
和泉殿は笑いながら、私の顔を指差し言った。

「八雲よ、おまえビビってるのだろう?」

「なっ、そ、そんな事は…」

「まあまあ」
和泉殿は手酌で酒を注ぎながら言葉を続ける。

「自他の力量、狩場や依頼の詳細、町の雰囲気、そういうところを、ある程度把握してないと、
なかなか誘うにも、誘われるにも、
躊躇があるもんさ。

ま、かく言う俺も、積極的に徒党の募集なりするようになるには、時間がかかったからな」

「え、和泉殿がですか!?」

豪快な風貌の彼にしては、
少し意外で、声が大きくなってしまった。

「ほほぅ、おまえが、どういう風に俺を見てるか、よーくわかったよ」

不機嫌そうな表情で、酒をあおる。

だが、彼が本気ではない事がわかっている私は
こう聞いてみる。

「和泉殿の初めての徒党の話を聞かせていただけますか?」




春日山の町を出ると、すぐに砂浜へ出る。
足場は悪いが、良い修練にもなる。

戦いにも少し慣れてきた俺は、野犬などの動物に狙いを定め、狩りを続けていた。

合間に生産も行い、いくつか自分で作った武具を使用するようになった。

獲物は懐刀から槍に変わり、
防具も少しはマシなものを装備していた。

とはいえ、まだまだ簡素なものばかり。
戦いも慣れてきたとはいえ
油断すれば命取りになる。

狩りの相手は、単体のものを狙い、
群には手を出さないようにしていた。

「…せいっ!」

野犬の喉を、俺の槍が突き抜く。
戦いが終わり、ふう、と息を吐く。
すると、不意に背後から声をかけられた。

「お見事!」

驚いて振り返ると、そこには、一人の侍が
微笑みを浮かべて立っていた。

そして、俺に向かってお辞儀をしてきた。

咄嗟のことで、驚いていた俺は、
少し遅れて礼を返した。

「鍛冶屋殿、急にすまない。修練中か?」

「あ、はい。そうです」

他人との会話に不慣れだった俺は、吃りそうになりながらも、何とか答えた。

「それは、そうだよな!
すまん、馬鹿な事を聞いた!」

侍はそう言って笑う。
そして、

「どうだろう。二人で組んで戦わないか?」

思いがけない一言だった。

組んで?
あれだ、徒党というやつだ。
願っても無いチャンスだったが、
いざとなると、なかなか…

すぐに返事が出来ないでいると、察してくれたのか

「俺も徒党は初めてなんだ。良かったら、どうだろう?」

言って、俺に手を差し出してくれた。
その手を見た瞬間、不安や迷いは吹き飛んだ。
しっかりと、手を握り返し頷いた。

「ありがとう。俺は、森 将監という。
見ての通り、侍だ」

「鍛冶屋の陸奥和泉と申します。
よろしくお願いいたします」

初めての徒党が組まれた瞬間だった。


〜続く〜

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フーテンの虎さん

2017-09-27 13:16:26 | 封印の書 虎空
今夜も私は夢の中の庵へ足を踏み入れた。

どちらがいらっしゃるのだろうか?

中を覗いてみるが、姿が見えない。
辺りを見渡すと、草原の少し離れた場所に、
その方は立っていた。

凛とした立ち姿。流れる風に忍び装束を揺らして、じっと虚空を見つめている。

「虎空(こくう)殿」

声をかけると、彼はゆっくりと振り返る。
頭巾で表情は見えないが、
その目は微笑んでいるようだった。

もう1人の前世の魂。
所属する国をもたない、忍びの者だ。

「八雲殿、こんばんわ、でござる」

「こんなところで、何を?」

「いや、大したことではござらぬ。風に揺れる葉の音を聞いていたでござるよ」

「左様ですか」

虎空殿の側の草むらに腰を下ろす。
彼は立ったまま。
しばし、我々は風と葉の音を楽しんだ。

「八雲殿は拙者を、こくう、と呼んでくださるのだなあ」

どうして、そんなことを言うのか解らずに、ぽかんとする私に彼は説明してくれた。

「みなさま、拙者のことは、虎、とらさん、と呼ぶのでござるよ」

「なるほど、愛称というわけですか」

温厚な彼のことだから、皆さん親しみを込めて、
そう呼んでいたのだろう。
私は納得したように頷いた。

「いやいや、確かに皆さまには大変お世話になったし、可愛がってもいただいたが、これには少々訳がありましてな」

どうも、バツが悪そうに頭をかいている。

こくうと打つと、必ず虚の空と出る。
虎空殿のように、虎の空とは絶対に出ないのだ。

正しく打つには、とら、空と打たなくてはならず、大変面倒くさい。

第一、初対面の方々の九割以上は、虎空ではなく、虚空だと思っている。
一部の方々、親しい方々に、余計な気を遣わせてしまったそうだ。

「何人かに謝っていただいたり、本当に申し訳ござらんかった」

虎空殿はガックリと肩を落とす。

「それで虎という呼び名に繋がるのですね」

「左様。いつからか、自分から虎です、と名乗るようにいたした。
ここからは、スムーズでござった」

ある方は、出奔忍者ということで、寅、と呼ぶ方もいたとのことだ。

「フーテンの寅さんw」

「寅ー!」

「寅次郎ー」

一文字も合ってない。

「良いご友人ですね」

「まったくでござる。
こんなフラフラするだけの忍びなのに。
拙者は幸せ者にござった」

私は首を振って答えた。

「虎空どの、きっとその方々もあなたと同じく
大変楽しかったのだろうと思います。

もう思い出となっているかもしれないが、
その気持ちは変わりはしないでしょう」

なぜなら、気に入らない者に、愛称はつけないからだ。

もし、今の世で、
私がその頃の皆さんに出会えるとしたら、
虎空殿の思いを伝えられるかもせれない。
可能性はゼロではない。

「…八雲殿、感謝するでござる」

「いえいえ…ああ、そうだ。
そういうことならば、私も遠慮せず、
寅殿のとお呼びすることにしましょう!」

「な、何を急に!?
しかも、そちらの寅でござるか!?」

「虎空、は正直面倒ですし」

「ヒドイでござる!あんまりでござる!
面と向かって言われたことは、なかったのに!」


寂しげな草風の音は、いつしか賑やかな我らの声でかき消されていた。

ひとしきり、二人で笑った後、

「そうそう、虎殿。
今の世は、改名を許されているようですよ。
少し、特殊な手段ではありますが、
髪型や声まで変えられるとか」

「なんと…時代の流れでござるなあ。
生来の声質に嘆いていた知人に教えてあげたいでござるよ」

「ちなみに、もし虎殿でしたら、
どんな名前になさるつもりですか?」

興味を抑えられずに、思わず聞いてみる。
落ち着いて考えれば、大変失礼な話だ。

「そうでござるなあ………」

無の気力が全回復するほどの、たっぷりの時間をかけて、彼はこう答えた。







「こ、黒雨とかいかがだろうか!?」


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