かみかみの徒然草

たっぷりの笑いにちょっぴりの涙と怒りをスパイスに、毎日を心豊かに生きよう~

シンプルに美しく

2006-04-01 20:16:54 | 映画
今日は映画サービスデーだったので、以前から気になっていた『かもめ食堂』を観てきました。
久しぶりにミニシアターらしい作品を見たなーって感じ。
映画自体は原作同様、淡々としていて特段華やかなわけではない。
でも見終わると、居ずまいを正されるような、ピッと背筋が伸びるような心地良さを感じました。
ここ最近は、連続していい映画に巡りあってるな~
原作も小林聡美や片桐はいり、もたいまさこを前提にキャラクターが作られている感じがしていたのですが、ホント、この三人の呼吸と間合いは見事です。


映画も原作同様、毎日を丁寧に生きる女性たちの美しさが際立っています。
ごはんを作る・買物する・寝る前に膝行する。
どれも何気ないことなのに、その何気なさに妙に心惹かれるものがある。
特に、小林聡美扮するサチエが料理を作っている姿は美しく、絵になっている。
そこには凛とした佇まいがあり、気品すら漂っている。

原作ではそれぞれの事情が事細かに書かれていたけど、
映画ではその点について、一切説明を加えることなく、セリフと気配だけで、それぞれが何かを抱えてフィンランドに辿りついたというようにしている。
互いの領域に踏み込みすぎることなく、心地よい女3人の友情は、見ていて気持ちがいい。

でも、心地よいだけではなく、生きていれば必ずある切なさもほんの少し入っていて、だからと言って落ち込みすぎることもなく、毎日を丁寧に生きていく主人公たちの姿って素敵に見える。
そんな何気ない日常や切なさをシンプルに美しく映像化した荻上直子監督はタダ者ではない、と思ってしまう。
この女性監督のこれからの活躍は気になってしまう。
実は、荻上監督のデビュー作である『バーバー吉野』も気になっていたりする。