ALLION【325】
[行って来ます!戻ってきます!でも1ヵ月経って戻れなかったら
私はいないの。家はアリオンにあげる。愛する人と結婚して!]
アリオンは、ふと、まさか?と過ぎったが、打ち消した。
これをどう理解していいのか、ただ困窮した。
サファイアは1ヵ月という数字に引っ掛かった。
いつから数えて1ヵ月だ?その日に目覚めるつもり?
「これは...クリスティーナは出て行ったのか?」
アリオンは泣きそうだった。
サファイアは俺にもわからないと言うしかなかった。
「その前に、1ヵ月経ってないし戻るって書いてある
本人は戻るつもりがある、悲観する前によく読めよ」
「どこに行ったんだ?知ってるんだろう?」
「知ってても刺激出来ないっ!」
「! ...何?...サファイア...どういうことだ」
「 ...触れないよ、クリスティーナには誰も」
「僕なら触れる!どこにいる?迎えに行く!場所を、」
「何だよ、お前のせいだろうっ、お前だと余計」
サファイアは口走ったことにハッとして悔しくなった。
アリオンは口を噤んだようなサファイアを見詰めた。
「 ...僕のせい?」
アリオンは近くにあったソファにへたり込むように座った。
「 ...そんな...僕は...そうじゃないんだ」
頭を抱えて言うアリオンにサファイアは、事実は事実。と静かに言った。
アリオンはそれには反応なく―突然立ち上がった。
「サファイア、教えてくれ!どこまででもザーイン星でも行くっ!
仕事やめるっヴァイオリンは捨てる!クリスティーナが大事だ」
サファイアは一度アリオンを見て―ため息をついて笑った。
「今じたばたしたってはじまらないよ、座りなよ。話をしよう」
サファイアはアリオンの向かいのソファに座った。
とは言え、そう言い放ったアリオンが嬉しかった。
サファイアのどこか神妙で高圧的声色にアリオンは渋々従った。
サファイアとアリオンは少しずつ会話を始めた。
ギーガもサファイアもクルー全員が知った―アリオンの失態。
アリオンは俯き、両手で顔を覆って沈んでいた。
「ユリウスは...クリスティーナとアリオンの絆を言いたくて強引に
夜の約束をさせた。そのことはわかっていたよな?...なのにどう
して最初のゼレンカの誘い...いや、それは後にしよう。ユリウス
とクリスティーナは偶然だがコリンの救出の件あって和解した」
「え.......和解?」
「クリスティーナがユリウスの下に戻ったじゃない。ただの和解だ
コリン救出に2年以上かかるところ少し海賊事情絡んだから急遽
『クワロフス』を使うしかなく要請して救出。そのときふたりは
和解...それがアリオンをゼレンカから救うことに繋がった」
「 ...サファイア...そういうことなのか」
「や、そうじゃない、結果的に、だ。そのときはクリスティーナは
何も..知らなかった。BGをダンタリオンからラウルに変えた日が
クリスティーナがゼレンカのことを知った日だ」
「 .......。」
「そのとき、クリスティーナはユリウスに
アリオンに謝罪するように と要求した」
「え」
「ディノウヴォウの『マキシム』のことや脅したこと」
「そんなの、」
「ユリウスはクリスティーナとアリオンが揃ったときに
謝罪に来る。ユリウスもクリスティーナを待っている」
「 ...。」
「ユリウスは、アリオンとゼレンカのことを知って、それを
知ってここを出て行こうとしたクリスティーナを説得した」
「え... 」
「ユリウスはアリオンの元に必ず戻るよう...約束させた」
「ユリウスが...させた...?」
「そうだ、クリスティーナは戻る。超のつく我儘だけど
交わした取引は守る。尤も相手が裏切らなかったらだ」
「 ...。」
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