ALLION【367】
アンリの部屋ではアンリがエヴァに訊く。
「エヴァ、何で害虫?どうしたの?」
エヴァはウエディングドレスを手にうっとりしてそんな話は他人事だったが、そうね、どうしたのかしら。と話し出した。
「今はギーガが横に居ても、愛されても、嬉しくないの
正直言うと...アリオンもなのよ。どうして?か判る?」
「え.......どうしてって...僕に訊く?」
「わかるでしょ?どうしたら落ち着けるのかわからないの」
「そうだなあ...エヴァはエマと似てるのかな...当時のエマと」
「エマと?それ凄っく嬉しいんだけど?」
「似てるのは...欲しいと思ってない、や、欲しい.と思っていたけど
いつの間にか手の内にあって、今手に入った、になったけど既に
手の内にあったこと知っているから、嬉しいという感情にピンと
来てないというか...そこに起こる嬉しい気持ち、表面嗜好の沸騰
のことね?その沸点を迎えないまま消化不良。嬉しいと思うはず
なのに、そうならない自分がおかしい?と思ってしまう。時間が
流れれば、物質なら風化して消え行く、人は死に行く、感情なら
変化を伴って幾度もあらゆるカタチ変化繰り返す...エヴァはそれ
を知っていてそこに執着を見ず、くっ付いても削ぎ落とし剥取る
まで知ってる。傍にあるものの時間と共に流れ行く様それをその
まま自我介入なく放置。を知ってる」
「むう」
「だからこんなに長い間、100年ひとりで居れたんだ。けど.船長も
イーギンも...僕たち皆に見守られてることも了承の上だ。それは
ひとりで居ること出来るための信頼と安心のことだよ」
「アリオンとも、」
「うん、解るよ、そこで困ってるんだね?でも、僕たち
はエヴァのそれをわかるけど、アリオンはわからない」
「 ...んんっ」
「確かに恋人が横に居てもひとりの男性に愛されても自分が相手を
どんなに愛しても、地上...世界がこのままでは完全な幸せを感じ
ない。それは解る。自分ひとり幸せで嬉しくてもちっとも嬉しく
ない。自分の存在が嘘に見える」
「共鳴できる友だちいなくて寂しい」
「アリオンには理解不能。けど、エヴァは相手の望みを叶えること
が出来る。無償で だよっ。自分が寂しい判んない と思う前に
アリオンと満たされる関係になりなよ。エヴァが満たすんだ」
「え゛え゛え...判ってるわよそれ...でもぅ... 」
僕は船長に出会って それを知った。
自分を捨てて船長の全てを甘受した。
だから、その寂しさは知ってる。
所詮、男なんてどう転んでも女の前方収穫能力には敵わないけど。
女は遊び心なく無粋だけど、男は女がそれだからこそ、そんな女に守られて伸び伸び邁進出来て―そうして陰陽、男女、天地、白黒...生命は正しく清く澱みなく循環する。
(過去の地球、アシュケナージがそれが崩壊するよう男女
平等洗脳してたから地球も人も滅茶苦茶になってたけど)
【真夜中の騎士】の主がエヴァなのはよくわかる。
「 ...。」
「エヴァは揺れてない。だから困ってる?ふふ。今までナール圏に
居て今ここで揺れないで済む突然の実感を船長に感じてちょっと
不具合を感じてるだけだ。それから...船長を愛してるというより
船長にむかつく」
「 ...クルー皆にも腹立つ」
でも、船長の視界よりエヴァの方がずっと果てなしだって。
船長は、いや、男なんて個人埋没多い。
だから、男は数が要るんだ。女王ひとりに働き蜂は無数って。
男の器はよく見れば狭い。ママの視界範囲で遊んでるような。
女はもともと遠大だし見守る平和が好きだから、そうでないことは気にも留めないししない。
男たちは、自分見て!とママに言う、自分はおっきいサイズ
と言いたがる。大きければママの視野に無理矢理入れるから。
そしてある日、月に行くとか何とか大きいことを現実と思う。
ママは...女は、バカらしい と一笑。
何故そんなバカなことをして嬉しいのかわからない。平和で安心してる方が好きだから。絶対的安心を知ってるし確実に持ってるから。女=安心。外せない。
そんなことして何になる?ママに見て欲しいから て言えない。
男と女はお互いにハテナのままだ。
それでいいんだよ。本来当たり前の関係。
女が男の真似をするからおかしくなったしその逆も。
性が違うとは極致同士でバランスを取るということ。
昼夜、プラスとマイナスのバランス、その中和、中庸、和合。
この世に有である極致同士のバランスを自分から崩せばそれ
イッコ崩れただけであっという間に世界中何もかも破綻する。
極致の何が良い悪いじゃなくて認め合えれば和。
認め合うことが地上のナールにない。
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