無題

2009-04-26 | Weblog
『千円カット』とか『10分カット』とかが流行ってる。
ちゃんとした床屋に行くまでの繋ぎとしてよく行く。

写真を現像に出すついでに、ちょうどすぐ近くにあった美容院に入ってみた。
10分で1500円。チェーン店らしい。
入店し待つ。呼ばれて席に着く。要望を告げる。
すると店員が鏡に何かを貼り付けた。眼鏡を預けた俺には何かわからなかった。
そのまま軽快にカットし始める店員。軽快度合が並みじゃない。ダンスのような
ステップで切り進んでゆく。

……この時点で、気付くべきだった。

素晴らしいスピードでカットは続き、居眠りをする暇も無いままに仕上げに入り、
仕上がりの確認を取られる。眼鏡を預けたままでは確認も出来ないんだが……。
まぁ髪型には特段の拘りは無いし、いつも通り、そのままOKを出す。

自信たっぷりの店員にブラシをかけられながら、眼鏡を装着し、改めて鏡を見て、
……そのまま硬直した。

子供の頃、親に連れて行かれた、知り合いの理髪店。
幼児期、母ちゃんの手によるシロウト散髪。
そんなものの比じゃあない。
虎刈り。言葉には聞くが、本物は初めて見た。

その時、店員が肩を払い終えると同時に、鏡から電子音が響いた。
決めポーズのように、鏡から黒い物を取る店員。成る程、あれはタイマーか。
時間厳守のために、クオリティは後回しなのか。
我に返った俺は、下がりきったテンションで店員に料金を渡し、
店を出ると即座にニット帽を深く被るのだった。