彼女がビロードの幕間からゆっくりと姿を現した時……彼女の瞳は完全に覇気を失った虚ろな世界を拓いて居た……死んだ魚……プラスティック製の表面しか無い世界……心做しか元気も無かった…………
自分も其の頃は『エンド・オブ・ザ・ワールド』スキータ・デイヴィスを幾度も聞いた唄った涙した…………「何故海は波打つの?」「知ら無いからよあの人がさよならを切り出した事を」「世界は終わったの」「あの人がさよならを言ってから」…………舞台上無表情な彼女の瞳は『此の世の果』其のままの世界観だ……荒涼とした彩り失われた半時の舞台は今迄観た全ての舞台よりも強烈な記憶と為る…………シンメトリーを欠く動きからして世界の均衡は崩れ壊れた…………世界の均衡とは凡そ心で在ろう…………
日本大震災は地面の揺れだけでは無く人々の心をも揺らした…………当日の相方は其の揺れ以来日に日に心崩れて行く……関係性は破壊された……瓦礫宛ら……そんな心に拡がる賽の河原が地下ホールでの女の踊りに同じ景色が立ち現れる…………
自分が此の人を絶対に諦め無い理由があの舞台には在ったのだ…………
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