育児版 黒野コーチのテニスDEポン

ストライダーは子育ての縮図!!
パラリンピアンを育てたテニスコーチが子供をCEOにするまでの必要なこと発信してます。

限界は自分で作るもの Never make your limit of your own

2017-01-31 00:23:58 | テニス

【限界】げん‐かい

物事の、これ以上あるいはこれより外には出られないというぎりぎりの範囲、境。限り。
「能力の限界を知る」「体力の限界に挑戦する」[用法]限界・限度――「疲労が限界(限度)に達している」「限界(限度)を超える」などでは、相通じて用いられる。
◇「限界」は、それ以上進めなくなるところという意が強く、「限度」は、あらかじめそこまでと限られたところという意が強い。
◇「体力(能力)の限界を感じた」は「限度」に置き換えられないし、「有給休暇は二週間を限度とする」は「限界」に置き換えられない。
◇類似の語に「極限」がある。「極限」はぎりぎりのところという意が強く、「能力の極限に挑む」などのほか、「極限状態」のような熟語も生む。
   ≪デジタル大辞泉の解説より引用≫



【車いすレッスンにて】

彼は体を前後に振り、車いすを漕いでいる。腹筋を使い体を前に倒したり起こしたりしている。
体の後ろの方からホイールリム(車いすテニスの車輪についている金属製の輪っか)をつかみ前方に投げ出している。
3週間前の体験レッスンの時と比べると別人のようである。たった3回目のレッスンでの違いに付き添いの奥様も驚く程の進化した姿であった。



【3週間前】

体験レッスンで車いすに乗ってコートを走る練習をしている彼は、テニス用の車いすに移り変わるのに相当の時間を要していた。
車いすを漕いでも遠心力で体は自身の手で支えないと耐えられないようだった。ホイールリムも小さな範囲しか漕げないほど力が伝わっていなかった。
これは経験で何とかこなせる様になると思ったのだが、自分が上半身もうまく動かせないと言っていた。
「腹筋は使えますか?」僕が尋ねると「動かせません。」と言った。
体を横に倒したり後ろに倒したりして反応を見た。少しだが、腹筋は使えると僕は体の反応から察した。そこで、こう提案した。

「事故をして動かなくなってから足を動かそうとしましたか?」この質問に彼は「いいえ。」
そこで僕は、彼の両ひざに手を置いて「体を横に倒してください。」すると、身体は骨や筋や筋肉でつながっているので足が動いたのです。
これを見て感じた彼は言いました。

「あ、動いた」

動かないと思っていた本人が驚くほどなので、相当動かせないと思っていたのでしょう。



【腹筋を動かしてみましょう】

間髪入れずに、

「今度は手を使わずに身体を前後に動かしましょう。そう、腹筋を使ってみてください。」

自分自身が感じる、腹筋を動かすイメージができるまでに時間はいりませんでした。

「この感覚を家で次のレッスンまでに練習してみましょう。何の為かは、ご自身が感じてください。
健常者がやる腹筋運動と同じことは要求していません。少しでも動くのなら鍛えられるはずです。
健康な方も2週間入院してベッドに寝たきりになると、体の自由が利きにくくなるのと同じです。」



【メンタルが腹筋を動かしました】

この表現は、専門家からするとおかしいかも知れませんが、僕が車いすテニスに携わるきっかけを作った方が当時こう言いました。

「動かせない部分があるだけで、動かせる部分をフルに使いたいんです。」

僕は、この言葉がきっかけで車いすテニスとテニスコーチ業にのめり込んでいきました。



【限界は自分次第】

腹筋を使うようになった彼は、使えなかったのではなく使わなかったことで動く限界を勘違いしていたのです。
ましてや限界を超えたわけでもありません。自分が限界を作っていたのです。
レッスンを始めて3回目にして高価なオーダーメイドのテニス用車いすを購入する目標も彼は立てました。

自分の限界は、未知数だと思いたいですね。

僕の受け持っている生徒様皆さまの限界も僕は定められないままでいるんですよ。
自分は初心者だから初心クラスのままでいいんだと思っている方、限界を作っていませんか。


公益財団法人 吉田記念テニス研修センター ル・クラブプログラム責任者 普及車いすテニス 黒野龍太