北イタリア美術巡り 絵画編 4

2016-11-11 21:19:03 | 美術館
今回の旅の目的の一つは
ベネチア絵画をこの目で確認することでした
とくに、ジョバンニ ベッリーニです
ミケランジェロやレオナルドダ・ビンチと同世代です
なぜか イタリア盛期ルネサンスが人気がありますが
あれは バザーリの芸術家列伝をもとに
近年の美術史家たちが歴史を語ったからです
最近では 北方ルネサンスやら国際ゴシックやら
ベネチア絵画など 幅広く研究が進み
盛期ルネサンス以外の画家にも注目が集まってます

とはいえ 上野でやっていたベネチア絵画展のがらがらさをみると
やはり盛期ルネサンスの人気は揺るぎないと思います

前置きが長くなりました。

ジョバンニベリーニは ヤコボベリーニの子供です
ヤコボは教会や貴族の邸宅の壁に絵を描く職人でした
なかなか腕がよくて多くの弟子がいました
ジェンティーレと言う息子と娘がいました
ベッリーニはたしか婚外子です
ヤコボの娘は ベッリーニのライバルのマンテーニャと結婚
弟子や子供のなかでも ベッリーニの才能は際立って
多くの教会から注文を受けるようになります
特に 聖母子像は大人気で 今でもたくさん残っています

まず 最初にベッリーニの聖母子像に出会ったのは
ミラノのブレラ絵画館でした とてもシンプルなものですが
ベッリーニの特徴がよく表れていました
マリアさまの服の青と 背景の緞帳?が特徴です
また遠景の景色が美しく それらは
風景画の出発点となったと言われています

余談だけれど 日本画の風景画の出発点は
国宝那智の滝です
絵画は 宗教とともに発展したのですね


ブレラ絵画館には 有名なピエタもありました
このピエタも見たかった一枚でした
死せるキリストを抱え涙するマリアとヨゼフ
細やかな感情を表現する技法は
北方の画家たちから学びとったとされています
涙の美しさが素晴らしいです‥‥本物のようです
その表現はカラバッジョなどにも受け継がれていきます

文字が多くなりました
ベッリーニの聖母子像をいくつかご紹介します


まずは ベネチアアカデミア美術館から・・

これはベッリーニの典型的なシンプルな聖母子像です
このように胸に御子を抱き上げているマリア様の図像を
ニコポイアのマドンナと言ったりします
ミラノで見た聖母子像と同じく後ろの垂れ幕と
その向こうの風景が印象的です

双樹の聖母です




聖母子像には二人だけでなく
下の画像のような 大人数のものもあります
教会や絵の注文主の要望によって さまざまな聖人が添えられます
また 御子の(名義上の 笑)父ヨゼフが入ると聖家族と言ったりします
注文主が一緒に描かれることもあるし
画面を美しくするためか奏楽の天使がともに描かれたりします
私のわかる範囲ですと 下の絵の中には
洗礼者ヨハネ 聖セバスチャン 聖フランチェスコがいます
後ろの二人は誰でしょうか・・・

サンジョゼッペ祭壇画です



この絵で私が感激したのは奏楽の天使たちです
ドレスデンにあるラファエルの聖母子像の天使たちは
美しすぎてあまりに有名ですが
それに負けないくらいこの天使たちは美しいと思います



下の画像は 聖会話 です
真ん中は聖母マリア 左は聖カタリナ 右はマグダラのマリアです
右のマグダラのマリアは 会うこと(観ること)を熱望していた女性です 
マグダラのマリアはその逸話から なまめかしく描かれることが多い
でもこのマグダラのマリアからは清純さや謙虚さが直接的に
私の心の中に入ってきます・・・なおかつ 美しい!







次に紹介したいのは サンマルコ広場の裏手にあるザッカリア教会にあるものです
聖母子と聖人 ・・・・ストレートなタイトルですね 笑
聖人はヒエロニムスとペテロ 女性はルキアとカタリナです
やはり天使がかわいく素敵でした
教会で見る絵画は 本当に場所を得て映えます
美術館で切り取られたものは作品になってしまいますが
場所を得て絵画はその真意を表すのだと思いました




ティツィアーノの被昇天のマリアで有名なフラーリ教会にも
ベッリーニの聖母子像はありました
聖母子の上の半円形のドームが立体感がありすぎて
平面には見えない ・・・素晴らしい画才だと思います
写真がピンボケですみません




ベネチアングラスで有名なムラーノ島にも聖母子像はありました
サンピエトロマルティーレ教会です
横長の画面構成は珍しいと思いました





そのほか ビッツェンツァのコロンナ教会では 
キリストの洗礼を題にした絵をみてきました
これは 私の思い描くベッリーニの絵とは少し違う感じがしました



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