元フロントスタッフ兼仲居頭のお宿備忘録

お宿の従業員とお客様両方の視点を得た自分の備忘として実際にうかがった【お宿の魅力】を書き残していきます。

【長野県・軽井沢町】軽井沢プリンスホテル イースト

2023-06-11 00:34:42 | ホテル

これまで3つの旅館をご紹介してきたので、

この辺でホテルについても書き残しておこうと思います。

 

これまでお仕事をさせていただいたのはいずれも旅館でしたが、

振り返れば、私のお宿好きはホテルから始まりました。

元々、建物の間取りとか内装を見るのが好きだったのと、

(専門的知識は全くありません。ただ、興味として好きなだけです。)

素敵なホテルへの憧れが相まってお宿に興味を持ち、

まだ全く畑違いの仕事をしていた若い頃、一週間休暇を使って、

都内のホテルを日替わりであちこち泊まり歩いたことがありました。

今考えると、ちょっと変わってましたね。(苦笑)

一時は、海外のホテルの優雅さに取り憑かれ、

ホテルを体験してみたいがために1人で海外に泊まりに行き、

たいして観光もせずに帰ってくる、なんていう旅行も度々していました。

やっぱり、ちょっと変わってますね。(笑)

 

私が、旅行に行っても、

観光よりお宿自体をゆっくり楽しみたいと思うようになったのも、

海外のホテルで見た外国の方達の時間の過ごし方に衝撃を受けたからでした。

それまでは、

「旅行とは、観光するもの。」となんとなく思っていたのですが、

特にリゾートホテルに来ている外国の方達は、

どこにも出かけずに、プールサイドやプライベートビーチ、

ライブラリーやお部屋などでほんとにただただゆっくりされる方も多く…。

それが私には何とも優雅に、贅沢に見えたんですよね…。

リゾートという立地柄もあるでしょうし、

外国にはバケーションと称する長期休暇を取る文化があったりもするし、

そういう人達だって、

他の日はめっちゃ観光したりしているのかもしれませんが、

日常の雑事から解放されて、ひたすら寛ぐ時間、

それが一番贅沢な時間の使い方なのかも!

と、その時の私にとっては目からうろこでした。

そこから、何よりも快適に寛げるお宿に興味を持つようになった次第です。

そして、さらに、そういうお宿を作ってみたいな…と思うようになり、

今に至る。

(もう少し詳しい経緯は、

番外編「はじめに」に書かせていただいております。)

 

若かったから、そういうゆったりとした嗜みが大人に見えて憧れた、

ということもあったかもしれません。

今は逆に、やはりせっかく出かけたのなら、

その土地ならではのものを見たり、体験したりするのは楽しいな、

と思ったりしています。

 

また、前置きが長くなりましたが、そういうわけで今回は、

 

長野県・軽井沢町「軽井沢プリンスホテル イースト」さん

(ちょっと混乱を招くかもしれませんが、

「軽井沢プリンスさん」と呼ばせていただきます。

「軽井沢プリンスホテル ウエスト」さんもあるので、

こちらについては、「ウエスト」さんと明記するようにします。)

 

をご紹介します。

あまりに有名過ぎて、

ご存知の方、ご利用になられた方も多いと思いますが。(笑)

 

特に、「プリンスホテル」さん贔屓なわけではないのですが、

お宿の仕事を始める以前の仕事でお世話になったり、

プライベートでもなんだかんだ各地で結局お世話になることが多く、

それは、プリンスホテルさんが様々なお客様のニーズを

しっかりと掴んでいるということなのだろうなぁ、と思うと、

さすが、プリンスさん!といつも感心してしまいます。

 

ご記憶にある方も多いと思いますが、

プリンスホテルグループさんもいろんないろんなことがありました。

鉄道事業から始まった西武グループさんが、

「プリンスホテル」さんを生み出し、

宿泊事業を展開し始めてからの歴史も長くなってきたので、

当然と言えば当然のことかもしれません。

全国各地に拡大していた数々の「プリンスホテル」さんのうち、

不採算施設は閉業したり、切り売りされたり、ということもありましたが、

勢いがあっただけに時流にも乗り、

放漫になってしまいがちだった経営を見直し、立て直し、

逆に厳選された「プリンスホテル」さんが、

今もなお数多く存続しています。

 

特に、ホテルだけでなく、その周辺を一体として開発する上手さは、

目を見張るものがあります。

下手の横好きでウィンタースポーツを続けているのですが、

苗場、志賀、妙高杉ノ原など西武グループさんのゲレンデは、

アクセスが良かったり、ホテル直結で便利だったり、

楽しめるコースが多かったりで、大変お世話になっています。

私たち世代には、プリンスホテルの象徴のような存在だった苗場を

売却すると聞いたときは、さすがに衝撃でしたが、

西武グループさんの問題というよりも、

ウィンタースポーツ人口が減少の一途を辿る現在、

やむを得ないのかな、と思います。

 

また、今回ご紹介する軽井沢も、

周辺一帯を開発して成功している事業の一つですね。

多彩なホテルだけでなく、広大なアウトレットモール、

なかにはプロツアーも行われるものも含む多くのゴルフ場、

ファミリーゲレンデなど、

物凄い敷地面積で事業を行っています。

休日には必ず多くの人が集まり、車で行ったら、必ず渋滞にはまります。

 

スムーズであれば、軽井沢から車で1時間ほどの旅館で仕事をしていた際、

ご到着前に休日の軽井沢アウトレットを楽しまれたお客様が渋滞にはまり、

お夕食時間内にご到着になれない、という事態が頻繁にありました。

私が働いていた旅館は、

旅館にしては比較的遅めの時間までお夕食を提供していましたが、

旅館によっては18時や18時半がお夕食開始の最終時間というお宿も

結構ありますので、

休日に軽井沢周辺のお宿をご利用の場合は、

お夕食時間を予めご確認のうえ、

十分に余裕を持って計画を立てられるか、

できれば軽井沢観光はチェックアウト後にご予定されると、

時間に追われることもなく、安心して楽しめるかと思います。

予定していたお夕食をお客様に提供できないというのは、

旅館としても大変切ないことなので、

お互いの幸せのために是非ご検討いただければと…。

 

確か15年程前だったと思いますが、

プリンスホテルさんは、3つのブランド「ザ・プリンス」、

「グランドプリンスホテル」、「プリンスホテル」を立ち上げ、

各施設をブランド分けしました。

現在は「プリンス スマート イン」を加え、

4ブランドで展開されています。

お客様も用途などのニーズに応じて、

カテゴライズされた施設のなかから選びやすくなったと思いますが、

プリンスホテルさんはその土地その土地のニーズに合わせた施設作りが

上手いなぁ、と利用する度に思います。

品川プリンスホテルさんのアネックスタワーは、

基本、ビジネスホテルスタイルですが、

勤務先の自席よりも広々としたデスクが設えてあり、

「ここで仕事したい!!」と本気で思いました。(笑)

 

軽井沢プリンスさんも、

軽井沢の自然豊かで別荘地としても有名な風景にマッチした造り、

ゆったりと山のリゾートで寛げる雰囲気を演出しています。

木目やレンガを基調にした内装・インテリア、

ラウンジには大きな暖炉があり、

フロントに入った瞬間に、

「山のリゾートに来たぁ~」という気分にさせてくれます。

利用させていただいたのはフォレストツインルームだったと思うのですが、

大きなピクチャーウィンドウから外の木立なども見えるせいか、

32㎡とは思えないほど、のびのびとゆっくりさせていただきました。

さらにバスルームもホテルにしては贅沢な広さ。

バスタブ、洗面、トイレが一緒になっているユニットバススタイルとは言え、

シングルベッド2台くらいは十分に置けそうなスペース。

スタイリッシュなデザインも相まって、

バスルームとして使うだけではもったいないような…、

売りの温泉大浴場があるけど、

ここでもお風呂に浸かってゆっくりしないと損のような…、

そんな気がしてくるバスルームでした。

 

客室ももちろんですが、

私の場合、トイレ・洗面などのバスルームが素敵で充実していると、

とても贅沢な気分になります。

自宅だとバスルーム関係って、機能性重視だったり、

居室を広く取ろうとすればするほど小さくなりがちだからですかね。

これも一つの非日常感なのかもしれません。

自分でもあまり気付いていませんでしたが、

私にとってはバスルームが最重要チェックポイントかも。(笑)

 

軽井沢での優雅な休日にぴったりの解放感、快適さで、

客室滞在を満喫させていただきました。

 

軽井沢という土地柄でもありますし、

また、SEIBU PRINCE CLUBの優待価格で

利用したせいもあるかもしれませんが、

コストパフォーマンスは良いほうだと思いました。

これまた、全くプリンスさんの回し者ではないのですが、

プリンスホテルさんや西武グループさんのレジャー施設、

ショッピング施設などをちょくちょく利用される方は、

SEIBU PRINCE CLUBさんに入会されるとお得だと思います。

プリンスホテルさんを優待価格で利用できることに加え、

今は、獲得したポイント分をそのまま宿泊料金に充当もできます。

西武グループさんのレジャー施設利用時にも割引を受けられたり、

その他、様々な特典もあったりするので、

お得に利用しつつ、気付いたら、いつの間にか結構ポイント貯まってた!

ということが、私も何度もありました。

もちろん、これはみなさんのご希望次第なので、ご参考までに。

 

そして、プリンスホテルさんは、

ホテルでありながら大浴場を備えている施設も多いですが、

軽井沢プリンスさんもその一つであり、

しかもホテル敷地内から汲み上げているという天然温泉です。

イースト本館とザ・プリンス軽井沢さんの宿泊者専用とのことで、

利用制限がいくつかあるので、

ご利用希望の場合は予めホームページを確認されることをお勧めします。

私が利用した際は、和風温泉の雰囲気のエリアと、

その奥のSPAといった雰囲気のエリアを女性が利用可能となっていました。

ナトリウム-塩化物温泉の温泉成分も

肌をつるつるしっとりさせてくれますし、

軽井沢は雪解け水で水もつるつるしているので、

肌の調子も快調でした。

 

実は私が一番楽しみにしていたのは、

「ホテル」とは少し路線がずれてしまいますが、

「鉄板焼 森」さんでのお食事です!

私は、最後の晩餐は絶対に鉄板焼き!と決めています。

かと言って、

気軽にしょっちゅう鉄板焼きを食べられるほど裕福ではないので、

イベント事や自分へのご褒美などで利用するくらいですが、

「焼く」というシンプルな調理法だけで素材のおいしさを引き立たせ、

視覚で料理人さんの技を、

嗅覚と聴覚で調理中の何とも食欲をそそる香りと音を堪能できる

鉄板焼きというお料理を初めて知ったときの感動がいまだに消えず、

自分に口実を与えられる時は鉄板焼きをチョイスしています。(笑)

 

そして、この軽井沢プリンスさんの中にある「鉄板焼 森」さんは、

前述の軽井沢周辺に住んでいた頃に何度か利用させていただいたのですが、

お席が3方向全面ガラス張りになっていて、

まさに「森」の中でお食事をしている気分を味わえます。

鉄板焼きというと、ゴージャスなお部屋の中や

正面の眺望が素敵なお席は多い気がしますが、

この3方向を自然に囲まれているというお席は、

軽井沢らしくもあり、

また、私はなかなか出会ったことがありませんでした。

春は桜、夏は清々しい森の風景、

秋は紅葉、冬は雪景色と、

四季折々の自然の風景に囲まれて、

気持ち良く、心地良く、ゆったりとお食事をいただけます。

ただ、基本的には”森の中”にあるので、

陽が落ちてしまうと、当然ながら真っ暗で何も見えません。

ご利用される場合は、ランチもしくは早めのお夕食で、

是非景色が見える時間帯をお勧めします。

 

鉄板焼きは、ご存知のとおり、

料理人さんが目の前で最初から最後までお料理を作り上げてくださいますが、

料理人さんはお料理をしつつ、接客もしてくださいますので、

お客様側の様子も実に良く見ていらっしゃいます。

様々なお客様の前でお料理をされるので、

接客のスキルも見習いたいところがたくさんあったりします。

基本的には、お料理の職人さんなので、

寡黙な印象の方、もしくはそう見える方が多いですが、

私は結構、料理人さんの手元をじっと見つめ、

発見や驚きを連れと正直に言葉にし合ってしまうタイプなので、

それを耳にした料理人さんがいろいろ説明をしてくれたり、

新たな知識を教えてくださったりすることが多いです。

その話しにまた質問を返したり、感動や感謝を示していると、

時には、予定外の味付けをサービスしてくれたりすることもあります。

要するにそこはもう、商売とか、料理人さんとお客という関係とかを超えて、

人と人としてのコミュニケーションになり、

お客である私たちは純粋に一人の人間として

料理人さんの技や知識を賞賛し、

料理人さんは純粋に一人の人間として

自分の持てるものを提供しようとしてくれる。

これこそ真の接客の姿だと思うとともに、

これが楽しくて、嬉しくて、

私は鉄板焼きが好きなのだといつも改めて実感します。

昨今はお寿司屋さんなども対面のカウンターは敬遠されがちで、

回転寿司のほうが気楽でいいと思う方も多いと聞きます。

確かに、そういう面もあると思いますし、

TPOに合わせて選択肢があることはいいことだと思いますが、

対面ならではの良さ、楽しさがあり、

それは何よりも人と人とのコミュニケーションであることを

忘れたくないな、と私は思っています。

 

ステーキは何でもミディアムレアが美味しいと思い込んでいましたが、

ある時うかがった鉄板焼き屋さんで、

料理人さんが、

「サーロインやロースなど脂の多い部分は、

ミディアムウェル(=ミディアムウェルダン)がお勧めです。」

と教えてくださり、

それならば、といただいたミディアムウェルのお肉が

びっくりするほど美味しかったことがありました。

ミディアムウェルなんていう頼み方があることすら知らなかったのですが、

それ以来、脂の多い部分のお肉をいただくときは、

決まってミディアムウェルでお願いしています。

 

今回、久しぶりにうかがった「鉄板焼 森」さんの料理人さんとも、

存分に人としてのコミュニケーションを楽しみ、

もちろん、お料理も堪能させていただき、

大満足の時間を過ごさせていただきました。

具体的詳細を書いてしまうと、

いろいろとご迷惑をおかけしてしまう可能性があるので差し控えますが、

次回うかがうときは是非指名させていただきたい料理人さんだと

初めて思ったくらいでした。

 

今回、朝食付きプランで予約をしたので、

ホテル内のレストラン「Karuizawa Grill」さんで朝食をいただきました。

洋食か和食を選べるようになっていましたが、

どちらも栄養バランス、彩りも良く、

ホテルらしい見た目も華やかなお料理で、

もちろんボリュームも満点。

朝からお腹いっぱいいただいてしまい、その日は昼食を抜きました。

 

前日、「鉄板焼 森」さんでサーブしてくださったスタッフの方が、

偶然、朝食のアテンドもしてくださり、覚えてくださっていたようで、

「昨日はありがとうございました。」

とご挨拶くださいました。

ホテルマンらしくスマートな印象の男性の方でしたが、

きりっとしたなかに物腰の柔らかさや親近感もあり、

お食事の場にふさわしい清潔感、爽やかさもあり、

気持ち良く、かつリラックスして朝食をいただくことができました。

 

フロントスタッフの方々も、

軽井沢のホテルにふさわしいスマートな印象でした。

手続きや処理もてきぱきとしているのですが、

バタバタとはしておらず、

サッ、サッ、スッ、と終わる感じで。

かと言って、機械的な印象ではなく、紳士的。

物静かで、

ベタベタした感じではないけど

歓迎してくれているのが伝わってくるというか。

 

忙しいなかで、迅速に対応しつつも、

お客様にバタバタした印象を与えないというのは、

寛ぎを提供すべきお宿としてとても大切なことである一方で、

実際はとても難しいことです。

人間、忙しいと、やはりどうしてもバタバタしてしまうものなので…。

さすが、プリンスホテルさん、と感心すると同時に、

見習いたいな、と激しく自分を反省しました。(笑)

 

フロントスタッフなどの接客も、

お宿のコンセプトや方針、土地柄や客層などによって、

お宿ごとに色が違います。

私の個人的な印象では、京都はどちらかというと、

凜とした感じの接客文化が強い気がします。

もちろん、笑うところではきちんと笑いますが、

笑顔至上主義ではないという感じですかね。

まさに土地柄もあると思いますが、

プライドと気品を軸にした接客という感じで。

だから、お客様によっては、それを冷たいと感じる方もおられ、

時々トラブルが起きたりもします。

京都の人からすると、何の悪気もなく、

本当に普通の対応をしているだけなのですが、

常に笑顔で接客されることが当然のなかで生活をしている人から見ると、

確かに、愛想がない、冷たいと感じられることもあるかもしれません。

日本は小さいと言っても、その土地その土地で風土や文化が違います。

そして、お宿ごとに大切にしているもの、売りにしているものも違います。

その結果として、時には自分の好みでない接客を受けることもありますが、

それもまた、自分好みのお宿を探す楽しみの一つ、と私は思っています。

 

日本のホテルの先駆けでありながら、

時代やニーズに合わせて工夫と進化を続けているプリンスホテルさん。

これからもいろんな場面で、

気付けばプリンスホテルさんを選んでいた、

ということがあるのだろうと思います。

プリンスホテルさん、これからもお世話になります。

よろしくお願いします。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。