S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

10月のソウルと釜山 vol.3

2009-10-16 11:24:51 | 韓国
 身支度整えてると携帯電話が鳴った。チョンだった。「今から地下鉄に乗るけどどこに行けばいい」って言うから、会賢駅で降りて1番出口を出た所で待ち合わせようと伝えて電話をきった。ちょうど11時だった。チョンは日本人並みに時間に正確だ。

 ホテルのフロントに下りると八重樫さんがもうソファに座っていた。メジャーのミュージシャンが時間どおりなのに軽くビックリした。だって俺が知ってる他のミュージシャンは朝起きてこないからね~(笑)。モラリストの俺は八重樫さんを人間的によりいっそう好きになったね。エンリケさんもすぐ降りてきた。エンリケさんもほぼ時間どおり。俺が最後にならなくてホッとしたね。だって俺が一番年下だしインディーズだし。その辺はシッカリしないとね。

 長い坂道を下りて会賢駅に到着した。チョンは出口を間違えたらしく向こうから歩いてきてた。俺はお互いを紹介してから「南大門市場」に行くことにした。



 ここを散策したけどお眼鏡にかなう物がなくて、とりあえず飯を食う事になった。でも俺もここで飯を食った事がなくて、どこに何があるか分からなかった。チョンも釜山人なんでソウルは全然分からない。目に入った食堂に飛び込みで入った。
 さんざん歩き回って暑かったから、冷麺を食うことにした。俺とチョンは冷麺、エンリケさんと八重樫さんはピビンミョン。




 まだライブハウス入りする時間には早かったんで、歩いて明洞に行った。軽く探検したあと、例の「クォン・サンウ」のコーヒーショップで休憩。だって昨日から歩きっぱなしだからね。休み休みいかないと。



 身体を休めた後、さっき見つけておいた「フレッドペリー」の店に行った。俺が行きたかったから、みんなについてきてもらった。
でも気に入ったヤツはサイズがなーい!でもエンリケさんにはピッタリだ!エンリケさんもそれを気に入ったらしくて、即購入。似合ってた。俺もサイズ探しする前に痩せないとな。カッコイイ服は決まって細いからね(笑)。


 もうそろそろ小屋入りしないといけないんで、一旦ホテルに戻り楽器をピックアップ。タクシーにみんなで乗り込み本日のライブハウス「CLUB SKY HIGH」のある麻浦区まで。
 30分ちょいでライブハウスに到着した。俺はビックリしたね。だって5月にチョンと一緒にいった「コーヒープリンス1号店」の目と鼻の先だったからさ。もうなんか土地っ子になった気分だね、少し。




 リハも順調に終わり、俺は本日一の大仕事、ドラムの工藤さんを金浦空港に迎えに行かないと。エンリケさんと八重樫さんをチョンに任せ、俺は地下鉄で金浦空港に向かった。

「弘大入口」から地下鉄に乗って、「永登浦区庁」で乗り換えて「金浦空港」まで30分ぐらいだったかな~?思ったよりもスムーズに着いてしまった。地下鉄金浦空港駅は金浦空港と長い地下道でつながっているんだけど、途中動く通路もあり苦もなく空港まで辿りつける。こりゃ羽田-金浦で来れる関東の人は楽だわ。市内までも近いし、地下鉄で行けるし。



 工藤さんを乗せた飛行機が到着する時間まではまだ30分程あったんで、空港にひっついているアウトレットモールを探検した。途中でお腹が痛くなり残りの時間はトイレで潰すことに…。

 工藤さんを18時過ぎにピックアップ。タクシーに乗り込み一路ライブハウスへ。小屋の人が15分~20分ぐらいで空港から小屋まで着くと言ってたけど、軽い渋滞で30分ぐらいかかった。ライブハウスに着くともう19時前だった。

 ライブハウスでようやく全員合流し、メンバーとかねてから親交のあるテグのバンド「アフリカ」のドラマーとそのお兄ちゃんと、飯を食いに行くことになった。この2人面白いヤツでサイコーだったぜ。
 豚肉とイカの炒め物と、えびの天ぷらと、もちろんアルコール。しかし、本番まであまり時間がないのに、この量イケるんだろうか?案の定、ほとんど残すはめに…。美味しかったのにもったいない。またこれ食べたいね。




 さーいよいよライブの始まりだ。なんか客の入りはイマイチだったけど、プレイはサイコーだったね。俺とはジャンルが違うけど、プロはやっぱ違うねカッケーわ!
 釜山の友人に聞いてはいたんだ。韓国のライブハウスの惨状はね。やっぱソウルもそうなんだね。あんまり客が入らないみたい。なんで韓国では日本みたいに毎日ライブがないみたい。週末だけとか土日とかだけらしい。どうもシステムが違うらしいのね。バンド側が小屋の使用料を払わないといけないそうです。レンタルホールと一緒だね。だからギャラってのがないみたい。

 しかし、やっぱあれだね。俺もプレイヤーなんでステージの下じゃなくて、やっぱり上にいたいな。絶対韓国でライブやってやる!度肝を抜いてやるからな!だってS&Rみたいな音楽、韓国じゃ聴いたことも見たこともないからね。


 キープロのライブはオーディエンス、小屋のスタッフ、地元韓国バンド達に評判がよく、気分良くみんなで近くのお店に打ち上げへ。



 ここでも出ましたサムギョプサル。店によってスタイルも味も違うから、何度でも楽しめるね。〆は余った材料にいろいろ足して焼き飯にしてくれた。これがまた美味い!



 打ち上げは日本も韓国も同じだね。いろんなヤツが乱れ飛んでいろんなヤツとバカ話してさ。1人日本語話せるニュージーランド国籍の韓国人と知り合ったけど、コイツがチョー面白いヤツで、2次会まで一緒にいったし電話番号も交換したぜ。こうやって友達が増えるのが嬉しいね。やっぱ旅っていいわ。

 打ち上げを2時ぐらいに切り上げて、一旦楽器を置きにホテルに戻った。工藤さんはホテルに撃沈。ここからは俺、エンリケさん、八重樫さん、チョンに八重樫さん達の韓国人の友人のクマちゃんと2次会をやりに明洞に。ミリオレの前でニュージーランド国籍のジンと合流して開いているお店を探した。



 人気の消えた街をしばらくあるいたら、おでんと書いたちょうちん発見。この日本式の居酒屋に入ることにした。ここでおでん食ったけど、韓国のおでんじゃなくて、ちゃんと日本のおでんだったね。
 この店を出るともう4時すぎだった…。ホテルへ歩いて帰る道中、マッサージ店を発見。エンリケさんと八重樫さんはマッサージをするって言うから、2人をマッサージ店に残し、ダウン気味の俺はチョンとクマちゃんとその場を離れた。

 ホテルに帰るともう5時前だった。残してきた2人が心配だったけど、睡魔には勝てず寝る事にした。明日は13時30分のKTXで釜山に帰るから、荷物整理しないといけないけど、もうダメだ。ちょっと早く目覚ましセットして起きてからやろう。
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10月のソウルと釜山 vol.2

2009-10-15 15:09:17 | 韓国
 ここからネットで落とした地図を頼りにホテル「ヒルハウス」まで。情報通りの坂道だ。スーツケース引っ張っての登坂はけっこうしんどい…。



 地図ではこの辺りなんだけどどこにも「ヒルハウス」がない!ひょっとしてスタート地点から間違ったか…。
 しばらくその辺をウロチョロしてようやくネットで見た事のある風景に辿り着いた。これは分かんねーや!どこにも「ヒルハウス」って書いてないんだもの。さっきからこの前、何度も歩いてたぜ!



 後で韓国人の友達に聞いたら、韓国語で「丘の家」って書いてるんだってさ(笑)。こりゃまいった。

 いつもは\3,000~\4,000ぐらいの安い宿に泊まるんだけど、今回はキープロのメンバーと一緒のホテルにしたから俺の予算よりは2倍高かった。でも2倍高い分だけの広くてキレイな部屋だったぜ。でも基本モーテルなんで、その雰囲気は十分にあったよ。でも韓国ではモーテルに普通に泊まるのが当たり前だからね。俺は別に抵抗感はなかったよ。逆にこの広さでこの値段なら、もう普通のホテルには泊まれないね。



 迷いに迷ってなんとかホテルに着いたのはもう夕方6時半だった。ちょっとゆっくりしてから、ここから近い「龍山」て所にある「ドラゴンヒルズスパ」に行くことにした。

 地下鉄4号線に乗って4駅で「新龍山駅」に着いた。ここから1号線の「龍山駅」に行くとその横に目的の「ドラゴンヒルズスパ」があった。でもホテルでゆっくりしすぎて、もう8時近かった。「THE KEY PROJECT」のエンリケさん、八重樫さんを乗せた飛行機が仁川空港に到着するのが19時55分だった。空港から1時間ぐらいで市内まで来るから、あと1時間ぐらいしかない。

 俺はサウナに入るのをあきらめて、辺りを探検することにした。この近くに大きな置き屋街があるって事は知ってたんで、ちょっと社会見学に行った。
すごいね~、はじめてこーゆーの見たけど。大きなガラス窓がずーと続いていて(どのくらいだろう?400mぐらいかな?)、その中にセクシーな衣装の女の人達が立ってたり座ってたり。
 さすがにシラフじゃその通りに入る度胸はなく、通りの両端から遠くに見るだけで帰ってきました。情けない…。次は頑張って中に入るぞ(笑)!!!!

 結局歩き回っただけで時間が過ぎてホテルに帰りつきました。ホテルに着くとエンリケさんから電話が入り、今ホテルに着いたとの報告が。俺はすぐフロントに降りて2人を出迎えにいった。
 異国の地で日本の知り合いに会えると、日本で久しぶりに会うよりも感慨深いものがあるね。

 2人の荷物を部屋に入れた後、俺達は「明洞」に飯を食いに行くことにした。2人は焼肉がいいと言うから、サムギョプサルを食べに行くことにした。



やっぱうまいねサムギョプサル。これを知るともう牛肉は食えないね。

 みんなで飯食ったあと、明洞をぶらついた。少し時間が過ぎたころ、エンリケさんが「もう少し飲みたい」と言ったんで、その辺の道端に並んでるテーブルで飲み食いするスタイルの所に座った。実は俺も屋台やこういった所は初体験だったんで、ちょっとドキドキワクワクするね。



 そこで、ムール貝とチヂミ、マッコリを頼んだ。チヂミとマッコリは美味しかったけど、ムール貝は食えないね。だってただ茹でただけのムール貝が大量に運ばれてきてるんだから。さすがの俺もまいった。しかし周りの韓国人達は食べる食べる!小さなテーブルに他の食べ物や、貝殻が山のようになってる。恐るべし韓国人の食欲。

 次は八重樫さんのリクエストでカジノに行くことになった。一旦タクシーでホテルまで戻り、パスポートを拾ってカジノへと向かった。歩きでね。だってフロントの人が「10分ぐらいで着くのに、なぜ歩かない?」って言うからさ、じゃー歩こうぜみたいな。
 15分ぐらいあるいたかな?「ミレニアムソウルヒルトンホテル」に着いた。俺達はカジノに入ったが、あまりの人の多さでテーブルが空かずカジノで遊ぶ事を断念して、外に出た。
 外に出るとあきらかに韓国人だが「ビートたけし」っておっさんにあった。そのビートたけしは女遊びを斡旋してるおっさんだった。俺達はたけしを振り切り、タクシーに乗って「東大門市場」に向かった。

 東大門市場では革物を見て回ったね。たしかにいろんなのが沢山あったけど、どれもピーンとこない。俺達ロッカーが羽織る革はここにはないね。
 とりあえず散策しながら、寒かったんで風を避けられて1杯飲める所を探した。歩けども歩けどもなかなか見つからない。だんだん人気のない所に迷いこんでしまった…。
 ようやく暗闇の中にある灯りを見つけたんでそこに入ることにした。そこは意外とお洒落で若者が多い店だった。
 そこでビールとマッコリを注文した。なぜか潰れた目玉焼きとスナックが出てきた。日本では小鉢が出てくるけど、なんと目玉焼き!ここでも文化の違いに触れました。

 時計をみるともう4時近くだった。タクシーを拾いホテルに帰る事にした。さっきの店にはまだまだ客が入っていってる。いったいいつ寝るんだお前達!韓国人のパワフルさにはかなわないな。

 次の日は10時に行動開始予定だったけど、思わず遅くなってしまったんで11時に変更になった。
 最近ソウルに引っ越した韓国人の友達のチョンと10時に約束してたんで、メールでその旨連絡して第1日目は終わりました。シャワーは朝浴びる事にしてバタンキューでした。
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10月のソウルと釜山 vol.1

2009-10-14 17:59:02 | 韓国
 毎日忙しく働いているみなさんゴメンなさい。俺シュドーはまたまた韓国にに行ってきてしまいました。

 今回は親交のあるバンド「THE KEY PROJECT」のみなさんがソウルでライブするって事なんで、便乗してソウルに行くことにしました。だっていつも釜山だから、たまにはソウルに行きたかったんだよね。

10月9日の朝9時の高速船ビートルに乗って、いまやマイホームタウン釜山へ。前日眠れなかった俺は、船の中でたっぷり3時間弱寝るつもりだったのに、後ろの座席の男3人がうるさいうるさい!ずーとペチャクチャ喋ってるわけよ。2時間ぐらい我慢したけど、もう限界だったね。俺シュドーは後ろを振り返り
「お前ら3時間ずーっと騒ぎ続ける気か?コラッ!」
言ってしまったね。旅に出ると必ず1回はキレてしまうね。まー旅に出なくても基本、何かに怒ってるんだけど…。

 なんやかんやでどうにか釜山に着いた。今回は「釜山国際映画祭」を感じたかったから、釜山からソウルに行って、また釜山に帰ってから帰国しようって予定を組んでた。


 
 なんで、ここからKTXに乗るために「釜山駅」に行かないといけない。今回はあまり金をかけないって決めてたから、この「釜山国際旅客ターミナル」から10分程歩いて地下鉄に乗ることにした。釜山駅までたった1駅だからね。
 「中央洞駅」で前から挑戦したかった「ハナロカード」をどうにかゲットした。



 最初にカード代を少し取られるけど、それからは現金で切符買うより割引になるんだよね。


 釜山駅に着いたけど、予約している14時半のKTXの乗車時間まではまだ2時間弱も時間があった。



 時間潰すにはスーツケースがジャマだったから、コインロッカーに入れることにした。



 使い方を書いている案内書きを読んでみたけどサッパリだった。俺ハングル読めるけど、まだあんまり意味は解んないんだよね~。軽く冷や汗流して視線を横に移したら、英語と日本語で書いてるじゃない!使い方が!
しかし凄いぜ~。指紋認証式だぜ、このコインロッカー。



 ちょっと駅の正面にある中華街&ロシアンタウンを散策して時間を潰したりした。なんかそこはちょっと恐い雰囲気だったぜ。今度ゆっくり探検しにこようっと!



 乗車時間が近づいたから駅に戻り、指紋認証で荷物を取り電車に乗る事に。今からまた3時間弱の長旅だ。今回はちょっと贅沢して「特室」を予約しておいた。今は海外からでもネットで帰るからね。まー韓国人が買うよりは割高になってるけど。

 5月にKTXに乗ったときは満席状態だったけど、今回は特室だからかガラガラだった。特室は普通席よりもかなり広くて快適だった。船で寝れなかった分をここで取り返した。KTXは定刻17時19分にソウル駅に着いた。韓国の鉄道も日本並みに時間が正確だね。



今度はソウル駅から地下鉄に乗って今回泊まるホテル「ヒルハウス」のある「会賢駅」まで行かないと。ソウル駅からは1駅だからね。
「ハナロカード」はゲットしてたけど、旅の記念に「T-moneyカード」も欲しかったんで、買おうと思ってたけど、T-moneyカードの自動販売機が見当たらなかったんで、泣く泣く一回使用のカードで改札をくぐった。
会賢駅に着いたら自動販売機を発見!ようやくT-moneyカードをゲットしたぜ!

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昨日のタイトルマッチの入場曲はなんと!?

2009-10-07 16:40:05 | はしり書き
 昨日のWBA世界フライ級タイトルマッチ、王者デンカオセーン・カオウィチット×亀田大毅の試合を見て気付いた人は何人いたかな~?

 なんと王者デンカオセーン・カオウィチットの入場曲は、映画「爆裂都市」の中で「ザ・ロッカーズ」と「ルースターズ」が合体したバンド「バトルロッカーズ」の曲「ソルジャー」だった!
 ガキだった頃かなり影響を受けた映画と音楽だったから、タイのチャンピオンの入場曲でかなりビックリした。チャンピオンはいつどこでこの曲と出会ったんだろう。たぶん日本でもアンダーグラウンドな部類に入る映画だと思うんだけど…。

 さてさて、試合のほうだけど、俺の予想通りやっぱり亀田大毅の負けでした。3-0の判定でもおかしくなかったな。けっしてチャンピオンも調子が良くはなかったけど、亀田大毅の実力ではもうちょっとかな。でも内藤大助とやったときはまだまだだったけど、今回はもうちょっとだった。あー見えて実は気が小さいのかな?格下相手とやるときみたいなリスクを冒してでも攻めるってとこが世界戦ではあまり見られない。前回も今回も。
 ただ良い物は持ってるんで頑張って欲しい。まだ二十歳、ボクシング人生はまだまだこれからだ。

 ついでにもう1つ。俺は亀田家は嫌いだ!でもボクサーとしての3兄弟はかっている。とくにあの長男の亀田興毅はボクシング上手いよ~。内藤は今回危ないんじゃない?
 とにもかくにも親の育て方が間違っている。人間としてのマナーは最低限教育していかないと。まー、命取られる瞬間まであのまんまならたいしたもんだけどな。
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真冬の狂想曲25

2009-10-06 13:21:12 | 真冬の狂想曲
 俺は腹に突っ込んでいたチャカを取り出した。平井と佐々木の顔が強張った。俺はそれを無視して、チャカからマガジンを抜き、銃身をスライドさせて銃身に残っている1発も抜き出した。そしてその1発をマガジンに押し込み、別々にしたまま松に返した。
「俺もう要らんやろ?帰っていいか?」
松は少し悩んだみたいだったけど、視線を1度ノブに移した後、
「いいよ、やっちゃん。ありがとうまた電話するわ」
と軽く言った。その言葉を聞いた後俺は佐々木と平井を見た。何か気に入らない。2人に近寄り平井から順に思いっきり顔を殴りつけた。佐々木は突然の出来事に何が起こったか解らないといった表情をしていた。平井は歯が折れ口から血を流し、佐々木は鼻血を流していた。少し気分が軽くなったような気がした。俺はベッドの横の電気スタンドの下にあるティッシュの箱を2人に放り投げて背中を向けた。

 ドアノブに手をかけたときに、ポケットの中に平井から取り上げた金が残ってる事を思い出した。俺はその金をポケットから取り出した
「松、この金まだ余っちょんけど」
そう言って金を放り投げようとしたら
「なんぼ残っちょん?」
「10万ぐらいは残っちょんよ、数えてねーけど」
松はほんの少し考えて
「いいよ、いいよ、やっちゃん。それ手間賃で持っていき。ノブ、下までやっちゃん送っちゃって」
俺は平井をチラッと見たが、平井はティッシュで口を押さえるのに忙しそうだった。

 俺とノブを乗せたエレベーターが1階に着いたときにノブが
「首藤さん、何百万ってくれるって話でしたよね?おかしくないですか?金も回収したのに」
「いつもに事やねぇーか、アイツが口ばっかりなのはよ。お前もそろそろ慣れてきた頃やろうが」
「でも、一番骨折ったのは俺たちですよ…」
ノブが愚痴るのも解るが、俺は小学校の時からアイツを見てるから、どうせこんな事やろうとは思ってた。ショックは受けてない、ただただ疲れていた。
 俺はポケットからさっきの金を取り出し数えた。1万円札が10枚と後は千円札数枚とジャリ銭だった。俺は1万円札5枚をノブに渡した。
「いいんですか?首藤さん?」
「いいよいいよ、どうせお前は一銭も貰えんやろ」
ノブは2回断ったが、礼を言いながらスーツのポケットにその金を突っ込んだ。俺達はここで別れる事にした。1階まで下りてしまったので、俺はノブがホテルの中に消えるのを見た後、2階まで上がり駅の改札に向かった。

 駅のホームでマイホームタウンに向かう電車を待っている。外気はものすごく寒かったが身体は疲れすぎて火照っていた。自動販売機に平井の金を入れてコーラを買った。冷たいコーラを流し込むと、少し身体も気持ちも落ち着いた。今日は家で眠ることが出来る…。
 しばらくして電車がホームに入ってきた。俺は電車に乗った。結構乗客がいて座る事は出来なかったが、開放感で辛くはなかった。
 
 40分弱電車に揺られて俺の町に着いた。改札出てすっかり暗くなった道を肩をすぼめて歩いた。遠くから「MY WAY」が聞こえる…。俺はコートのポケットの奥で平井の金に埋まってる携帯電話を触った。震えていた。俺は舌打ちしながら携帯電話の通話ボタンを押した。受話器の向こうから素っ頓狂な声が聞こえてきた。
「やっちゃん、もう帰り着いた?来週から平井に倒産整理させるけ、一緒にやってくれん?やっぱ、やっちゃんやないと信用出来んけ」
もう勘弁してくれよ。絶対断ろう。これ以上付き合いきれない。
「やっちゃん、やっちゃん?」
「分かった分かった!何時にどこに行けばいいん?」

 いつになったら普通の生活が出来るんだろう?いや、これが俺の俺達の普通なのかもしれない。せめて今夜は我が家でゆっくりさせてもらおう。また来週からヒリヒリするような毎日が続くのだから…。
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