【"TWICKENHAM STUDIO,JAN-1969"】
ビートルズのヴァージョン違いって、あたかも無限にあるようです
よね。このブログでも、今までにいくつかご紹介しています。UK盤
とUS盤との間で、ステレオとモノラルとの間で、さらにシングルと
アルバムとの間でミックスが、フェイド・アウト・タイムが、そして
演奏内容が異なっていたり・・・。それはもう、ディープな世界です。
わたしにとって、ポピュラー音楽との出会いはGSでした。そして
音楽の深み、聴くことや演ずること、そして創作することや記録する
ことの楽しみを教えてくれたのが、"THE BEATLES "なのです。彼らが
デビューしてから、もう40年以上もの歳月が流れています。しかし
現在でも、彼らの楽曲についてのレコーディングに関する書物が出版
されています。これはもう「脅威」ですね。ひとつの研究対象、学問
の領域になっているとさえ、言えるのではないでしょうか。
まだまだ知らないことは、たくさんありますね・・・。
ヴァージョン違いの題材としてよく'LET IT BE 'があげられます。
興味のある方は、シングルとアルバムの内容を一度試しに聴き比べて
みてください。本当に面白いですよ。有名なのはジョージ・ハリソン
のギター・ソロの音質と内容ですね。その他にもいろいろとあるので
すが、わやになります。従って、簡単に整理することに留めます。
1.音源(一般的な音源)
(1)シングル
(2)アルバム"LET IT BE"
※その他、映画"LET IT BE""ANTHOLOGY 3"そして、未発表アルバム
"GET BACK"の音源も存在する。
2.相違箇所
(1)リード・ボーカルの定位
(2)リード・ギターの定位
(3)ピアノの定位
(4)オルガンの定位
(5)ベースの定位
(6)ホーン・セクションの定位
(7)ドラムの定位
(8)バック・コーラスの定位
(9)マラカスの定位
(10)チェロの定位
(11)イントロのピアノの旋律
(12)2コーラスめのハイハットのエコー処理
(13)2コーラスめのベースが入るタイミング
(14)2コーラスめのオルガンが入るタイミング
(15)2コーラスめのささやき声の有無
(16)間奏のオルガンの有無
(17)間奏のリード・ギターのライン
(18)間奏後の歌詞
(19)間奏後のギターの音量
(20)間奏後のドラム(タムタムのオーバーダブ)
(21)最後のリフレインの長さ
それぞれどのように違うかは、いろいろな文献でも確認できます。
しかし、実際にお聴きになって発見してみられることをお勧めいたし
ます。感動的です。間違いなく耳がよくなりますよ。
◇◆◇
ビートルズはなぜ、ヴァージョン違いの楽曲をこれだけ多く、世に
送り出したのでしょうか。ビッグになった後は、それだけ時間をかけ
てレコーディングしました。それは自由にスタジオが使用できたから
ですね。またそれは、お金があったこと、すなわちレコードの売上に
よって莫大な利益を得たからですね。お金と時間がすべて・・・。
しかし、これだけではないような気がします。デビュー当時、まだ
彼らがビッグになっていない時代は、スタジオの使用時間にも制約が
ありました。にもかかわらず、彼らは「ものすごい生産性」でハイ・
クオリティの楽曲を多く創出しました。もちろんヴァージョン違いも。
この背景には、やはりジョージ・マーティン氏の存在があったからで
はないでしょうか。
彼がビートルズの「将来性」を既に看破し、いろいろな素材をきわ
めて自然な形でストックしたという見方は・・・。考え過ぎですね。
普通のポップスのように、作詞作曲をする人が曲やアレンジも大体決めてレコーディングするのじゃなくて。
ジョンとポールが曲の骨格を持ち寄って、それを4人で演奏しながら作りこんでいく。超多忙なスケジュールの限られた時間でも、4人で作りこむ姿勢をもってたのではって、アンソロジー聴いてるとそんなこと思っちゃいます。
だから色んな面白いバージョンがあって、シングルにはしなかったけど、捨てるにはおしいとか。
ブックマークの件、恐縮です。ありがとうございます。よろしく。
「4人で作りこむ姿勢」。
これに尽きます。まったくその通りだと思います。
形式にハマった「譜面」なんか存在せず
メモ書き、もしくはその場での簡単な打合せで
実行できてしまうのですから♪
これは個々の才能もさることながら
やはり運命を感じます。
「4人は4人でなければならなかった」という・・・。
また、彼らのスゴイところは
自分達以外の人のアドバイスやアイディアを
「判断して受け入れた」ことだと思います。
演奏面、アレンジ面等々・・・♪
ブックマークの件、ありがとうございました。
>同じ曲でもスローテンポにしたりアップテンポにしたり、
このコメントを拝見して
初期の'PLEASE PLEASE ME'がジョージ・マーティン氏の
アドバイスでテンポを速めたことを思い出しました。
「4人が試行錯誤で作りこんでいく姿勢」
と
「それを支え、記録したスタッフの情熱」
の結果なのでしょうか。
ヴァージョン違いも当時ではLPとシングルとの違い程度しか関心がなかったですね。ちなみにテイク違いに興味を持つようになったのは「レアリティーズ」「同Vol.2」が発売になった頃からと記憶しています。
>「なんだか雑然とした処でレコーディングしているんだなぁ」
ほんとうですね。わたしもそう思いました。
「倉庫かよ」って♪
「レアリティーズ」ですか~。ありましたね♪
「珍品集」。
わたしの場合は、当時
「ステレオ盤に決まっているだろう!」
「モノラル盤なんてダメじゃん」
なんて思っていましたが、ところがどっこい。
甘かったですね。
ほんとうに懐が深いです。ビートルズ。
程なく「ビートルズ・フォーエバー」というムック本が後追いで出版され、それを読んで彼らの曲におけるヴァージョン違いの実情を知り大いに驚いたものです。自分にとって非常にツイていたのは昭和61年の来日20周年記念としてこのシリーズが再発売されたことで、この時に全部買いました。まさにCD化の過渡期、LPのまとめ買いは実に重かった…。
そうなんです!
>「何だこりゃ?でもまぁ200円安いのか…」
と逆に安い価格で「貴重なもの」(知っているから
こそ価値を感じるのですが)を手に入れることが
できたのですね♪
昭和61年の再発売シリーズはまさに「財産」。
ナガオカのレコード針が貴重です♪
あ。そうそう。『ビートルズ・フォーエバー』が
コメントの中に登場しましたので。
もしご存知であれば、教えてください。
小生のブログで過日「357.Gibson J-160E」の記事を
公開したところ
以下のようなコメントをいただきました。
【引用開始】(原文ママ)
ちななみにJOHNの謎の一本という160Eが目撃されてますが、ご存知ですか?レンタルかどうかは不明なんです。盗難の後、64年製ですが、ブリッジが黒いエボニー材で、セラミックではありません。2リングです。『ビートルズ・フォーエバー』という本の屋上での演奏の後ろに置いてあるので見て下さい。
【引用終了】
ルーフトップコンサートの写真が
『ビートルズ・フォーエバー』に掲載されており
その中に上の引用文にあるようなJ-160Eが
確認できるそうなのです。いかがでしょうか?
さて本題。
んーと、果たしてルーフトップコンサートの写真…なのかしら(汗)?スミマセンこのムック本の写真は時代で言うとマハリシとB4の集合写真の頃までで終わっており、何らかの錯誤があるかも…(小生の見損じであれば平にご容赦を)
もっともそれらしき写真はありました。64年夏の全米ツアー(場所不明)昼の部の大写し写真があり、ジョンの背後(リンゴの向かって右側)にJ-160Eが置かれています。小生は楽器の名称に疎い方ですが、本の解説にJ-160Eと書いてあるのでこの点は間違いありません。写真で見る限りブリッジも黒色ですね。
(この写真、ネットで流れてないかなぁ~)
それにしてもこのアコースティックギターを使ってジョンが演奏した曲は何だったのでしょうね。「恋におちたら」あたりかな?と適当に推測したりします。