チベットで遊ばれているというトリックテイキング、バクチェン(Pagchen, Bagchen)のルールをPAGATで見つけ、気になったので訳してみました。基本的にはPAGATの当該ページの日本語訳ですが、用語等は一部変更しています。また記述も他のソースを参照して変更している部分があります。
バクチェンルール訳(2024.5.20修正版)(PDFファイル)
バクチェンサマリ(2024.5.20修正版)(PDFファイル)
バクチェンサマリその2(2024.5.20修正版)(PDFファイル) ※こちらはバクチェン牌、あるいは麻雀牌型の天九牌を使用する場合のサマリです。最初のものとは牌の画像が異なるだけです。
バクチェンは専用の牌を使用して遊ぶものですが、牌の内容が天九牌2セット分とまったく同内容のため、天九牌2セットを用意すれば遊ぶことができます。
バクチェンの基本は打天九と同じです。メイフォローのトリックテイキングで、1~8枚の打ち出しに対し同スートのよりランクの高いものを出すか、そうしない、またはできない場合同枚数の好きな牌を裏返しにして出します。最も高いランクの牌(または組み合わせ)を出した人が次の打ち出しを行い…という具合に続け、目的は最後のトリックに勝つことです。
面白いのは毎局ダイスを振って決まる打ち出し最強牌(打天九の至尊と同じ。ただしこちらは単独でも出せる)があり、たとえばダイス目が2と5ならば七(雑七)の牌が打ち出し最強となり、また打ち出すと祝儀がもらえます。
2回ほど遊んでみて、基本は打天九ですが2セット使用する分下位の牌でも3枚や4枚出しで勝つなど豪快さがあります。複数枚リードが多くなるので枚数が倍でもスピード感は打天九とあまり変わらない感があります。
天九牌2セット必要ということで、遊べる人は限られてくるかと思いますが、打天九が好きな人はこちらもぜひ挑戦して欲しいと思います。
なお、日本語でバクチェンについて書かれたウェブサイト等、私の知る限りほぼ見当たらないのですが、以下の論文に記述があります。ルール訳の用語は、主に以下の論文に拠っています。
ポタラ宮壁画に描かれたチベット伝統ゲーム(PDFファイル)
2016/5/8 21:55追記 上記サマリ中、母子の矢印が間違っているとの指摘があり、訂正しました。リンクのURL自体は変わっていませんが、リンク先PDFファイルの内容が修正されていますので、この追記より前にダウンロードした方はお手数ですが再度サマリのダウンロードをお願いします。
2018/9/30 23:45追記 ルールの修正版をアップロードしました。主に通行手形の記述を修正しています。当該部分がもう少し明確化されたと思います。
2020/5/12 23:37追記 バクチェン牌、または麻雀牌型天九牌を使用する場合のサマリをアップロードしました。
2024/5/20 21:53追記 ルール、サマリをアップデートしました。本記事のコメントのご指摘に基づき母馬と仔馬の呼称を入れ替え(母馬を仔馬に、仔馬を母馬に)ました。
"PAGAT "の記述では、[4-1][2-1]が牝馬(mare)、[4-3][4-2]が牡馬とされています。
"ポタラ宮壁画に描かれたチベット伝統ゲーム"の記述では、[4-1][3-1]が子ウマ、[4-3][4-2]が母ウマ(mare)とされております。(子ウマの[3-1]との記載は、[2-1]の誤りであると考えます。)なお、どちらの文献も[4-3][4-2]の方が強いとしている点は共通しています。
両資料で、母馬(mare)の設定が食い違っておりますが、[4-2]を母、[2-1]を子としていることから考えても、"ポタラ〜"の方を採用し、[4-1][2-1]が仔馬、[4-3][4-2]が母馬で、母馬は仔馬に勝ち、打ち出し最強とするのが良いと考えます。