週刊現代10月6日号に載っていた連載『侃々諤々』。
古賀茂明氏の記事だ。
こういう見方があったか、と改めてため息が出た。
福島原発事故後、肩身の狭くなった親原発派官僚。
生き延びる道を、尖閣問題に見いだした、という。
その内訳は以下のとおり。
最初、くだんの官僚たちは、
「原発が稼働しなくては、電力が足りなくなる!」と言っていた。
だが、これはその後「大嘘だった」ことが、はっきり証明された。
つい先日も、再生エネルギーによる総発電量が、
7月末段階で、原発一基分に相当すると、明らかになったばかりだ。
(わが家の太陽光パネルも、消費の4倍以上の売電をしているのだ。)
次に、考えたのは
「原発稼働なしでは、電気料金が2倍に、いやそれ以上に上がる!」というもの。
しかしこれも、内々でも根拠となった国家戦略室の試算が杜撰・恣意的なもので、
寧ろ、原発コストの方が高くなる可能性があることを、明らかになって、声が小さくなった。
なんと、大飯原発再稼働に踏み切った、
大阪府市エネルギー戦略会議において明らかになったことで、
国家戦略室幹部も認めざるを得なかったというから、皮肉な「真実」だ。
ところがそれでも諦めず、親原発官僚。
昨年から、
「脱原発は国際社会で認められない、とりわけ、米国の理解を得られない」
と言い出した。
米国は日米共同でアジアに原発を売り込みたい。
しかし、そこで生じる使用済み核燃料を、各国が独自に再処理すると、
プルトニウムが各国に拡散する。
これは、核不拡散の観点から問題だ。
そこで、日本には、
アジアで大量に生じる使用済み核燃料の再処理を請け負って、
核不拡散に貢献してもらいたい。
これが、「アメリカの期待」だった。
(日本は現在、自国の再処理さえフランスとイギリスに依存しているというのに)
そこに、尖閣問題が発生。
「原発0戦略」は、日米安全同盟関係にひびが入ることになり、
日本の安全保障のためにはならない、というのだ。
古賀氏はまた、こうも書いている。
日本に原発を継続させたいのは、アメリカ政府ではなく、
アメリカの原発関連の企業と政治家だ。
彼らに対して、日本の原子力ムラが
官民共同でロビーイング(陳情運動)をしてきた。
米国から原発ゼロの懸念の声が聞こえてきたのは、
日本の原子力ムラのドン、K氏の訪米後だったのは偶然ではない、と。
K氏とは、誰だろう。
日本の政治は、まだまだアメリカの言うまま、思うままに、
あちらこちらと動くことしかできないのだろうか。