リコの文芸サロン

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日記と文学

2021-12-17 | 短歌
先日、読売新聞の短歌欄で作者の了解無しで言葉を変えた短歌が掲載してあったことが問題視されました。

添削と感想はどこまでするかがリコの短歌の会でも良く議論に成ります。勝手に改作されたと苦情が出ることもあります。

 
★建物、花、仏像などの状況を説明しないで感動を詠む。

歌を詠む時に、現実の縛りを受けて、記録短歌(日記風)に、なってしまい、文学に成らない恐れがあります。

一緒に居る人が「妻」と詠んでしまうと「へー、そうですか」で読む方は終わってしまう。
一方、「君」と詠むと「友人、会社の人、娘」など、誰と居たのか物語になる。

「誰と行った」か「何処へ行った」かのどちらが短歌の焦点か、それによって歌の深みが違って来る。

★短歌の添削の実例
月間の短歌誌に毎月掲載された、大津留温主幹の「添削と実例」の平成20年6月〜26年9月までの掲載分を今年の4月にA4:100頁の冊子『添削の実例集』に作り、会員さんに頒布しました。


当短歌会は文語の短歌で、新かな•旧仮名が選択出来ます。
(リコは旧仮名を使います)

「添削と実例集の掲載例」
〇「原歌」
梅渓を覆ふが如し雨煙る靄に浮き見る白梅の花

(説明)
ごとしは比喩に用いる言葉。靄が渓を覆っているのは比喩でなく現実。

「添削歌」
梅渓を覆ひて煙る靄の中浮き立ちて見ゆ白梅の花


〇「原歌」
掌のひらに丸く転がす童らの得意顔はもうち興じつつ

(説明)
何を転がすのか。客体を示す必要がありはしないか。「蓬の団子」を入れてみた。

「添削歌」
掌のひらに蓬の団子を転がして得意顏なり児ら興じつつ


〇「原歌」
六十年(むととせ)を経し学舎は少子化の煽りをうけて母校消えゆく

「説明」
良い歌だが、「学舎」「母校」は同じもの、重複を避けていずれか一つにしたい。

「添削歌」
六十年を経て少子化の煽りをうけわが懐かしの母校消えゆく


〇「原歌」
との曇る花は辺りを明るめて老いどち迎へほこらしげに咲く

「説明」
「との曇る」というコトバと、「明るめて」というコトバのイメージが合わない

「添削歌」
咲き満つる花は辺りを明るめて老いどち迎へほこらしげなり

〇「原歌」
喰べてよし見てよし菜の花畑いっぱい黄の花摘みつつ今日も幸せ

「説明」
これもまた「菜の花と「黄の花」とがダブっつている。

「添削歌」
喰べてよし見てよし畑いっぱいの菜の花摘みつつ今日も幸せ


この「添削の実例集」はどの言葉を使うか、減らすか、語順はどうするか、説明調にならないで感動をどう詠むかの参考になります。


コメント (2)
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