リコの文芸サロン

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独居老人の短歌

2021-12-09 | 短歌


独居老人とS先生は謙遜してみえますが、「人生の秋にひとり暮らしを余儀なくされた老人の
作品ばかりである。」とあとがきにある。

一人暮らしの日々の愚痴や喜び、悲しみを客観的にみることが出来る短歌にご縁があるのは高齢者に取って何物にも代えがたい幸せです。

S先生は81歳に成られました。69歳の時に何十万人に一人と言われる心臓病で奥様を亡くされました。
 S先生が歌集(72歳から80歳の作品)を上梓されたのでリコは20首選を作りましたからその内、幾つか紹介します。
S先生は文語(新仮名)の短歌です・


歌集『秋寥寥』 より、  
〇頑張れと励ましくるる友よりも愚痴聴きくるる人の欲しくも

〇早すぎし別れと最早なげくまじ巡り合いしを幸と思いて

〇「生きていてくるるが支え」さわあれど支え捥がるも現世(うつしよ)なれば

〇それぞれに人みな愛(かな)したどり来しひと世を背(せな)に滲ませあれば

〇ひとり居をさみしつらしと嘆くまじ自由の恵み測り難しぞ

〇夕暮れの近き枯野を独り行く老いはね返し背筋伸ばして

〇思おえず涙出で来ることのあり還らざる日日思い起こせば

〇八年の早も過ぎたり君ありし時のままなる部屋に住みいて

〇病む友の命の叫びや何やせん慰むる歌など吾には詠めず

〇まごころの叫びにあれば何言わんただ吾が胸に突き刺さるのみ


 老境で一人暮らしになると人恋しくてスーパー等で知らない人に話しかけたり、やたら理屈ぽくお喋りになる。
短歌、俳句、趣味の集いを持つのは老境期に大切です

コメント (2)
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