藍の旋律

☆作品は最愛のあなたに捧げます☆

かくれんぼ

2013-04-26 22:08:09 | 
まぁだだよ

鬼のいないかくれんぼ 
どこかの森の奥深くの遊園地 
幻の回転木馬をふたたび廻すため 
息をひそめて身をちぢめ
頬を寄せて影にかくれていた 
天使の少年と少女 
ふたりして

もぅいいかい?

鬼の代わりにたずねていたのは 
ながく伸びた影法師 
幻の回転木馬はいつ歌う? 
ちいさなちいさな木霊の声が 
風に漂い耳をなでていた

遠い日に蓋をした曇りガラス
閉じ込めてしまった寂しさに
月と星の光を見せてあげたくて
見つけていけないものなど
どこにもないと探し歩く 
まわりっぱなしの時の果てに 
見つかるものが愛おしく 
幻の回転木馬は錆から目覚めていた

逢魔ヶ刻のあわいで
沈みかけた夕陽に約束していた
少年が少女を見つけたら
少女が少年を見つけたら
たがいの翼を千切って交換するよと
こゆびを結んでいた

きみよ、かならず想い出すよ
出逢って ぼくたちはたがいの
分身になるんだよ

それまで曲がり角の鬼に惑わされ
くねくね道は銀の光を育てている
見つけるためのものを 
見つけられるように仕舞っていた 
おぼろ雲の向こう側 

独りでいることが孤独ではなくて 
独りだと思うことが孤独なのだと分かったから

もぅいいよ

返事しているのは
木の実を食べてる回転木馬 
翼の契りを交わすふたりを待っている 
永遠は命ではなく魂にかくれている
なな色の月の光から糸を曳き
差し出すもう一枚の翼に編みこむ
少年と少女

出逢ったら誰にも内緒で
約束は果たされる
天使の記憶を消されて
にんげんのまま 
うつつにかくれる夢と 
夢にかくれるうつつの 
かくれんぼ

まぁだだよ
もぅいいかい?
もぅいいよ

今なら言葉にできる 
ずっと伝えたくて秘めていたけれど
泡に溶けてしまいそうで 
声に出せなかったこと
少年と少女がおなじ時刻に
おなじ時空間で話していた
物語のこと
そう
今なら

みぃつけた
数え切れない寂しさを
数えてはいけなかったこと

まわりはじめた回転木馬 
だぁれもいなくても 
なぁんにも見えなくても
かさなる少年と少女 
天空の手のひらから舞い上がる 
なな色のひかりの翼 
ふたりのさいごの言葉を届けるため
もう一度

みぃつけた









白い夢幻

2013-04-26 22:05:35 | 
あなたのかいなが
あたたかすぎて
目醒めるのが恐くなる
届かぬ月明かり
白い布にくるまれて
あなたの涙を
くちびるで受けていた
ほろ苦く溶けた甘さ
洗い流すほど
傷みを覚えていく
合わせても
すき間のできる輪郭に
埋もれた火影をあたためる
形にならない最後の滑空
なぜかしら手を放しても馨しく
それは足跡のない空虚の寄る辺
 
愛しさは限りなく
たった一つの刻限になる
果実は腐敗を恐れずに
豊熟の捧げる果汁は
泡沫に溶けてゆく
(泡になるまえに
 知らないあなたを知りたくて)

目覚めれば
忘れなければならない夢だとしても
生かされているのだと
純白の花びらのように囁いて
あの日、棘に触れた疼きは
撫でられて手のひらに
眠るのでしょう
憐れみ深くなれるのなら
哀しくても頷いていられる
夜が明けても
流れる藻屑に身をあずけ
一輪挿しの白薔薇を
抱きしめています
あなたの指に零れた
光る朝露を拭っています








  白薔薇の夢


あなたのかいなが
あたたかすぎて
目醒めるのが恐くなる
届かぬ月明かり
白い布にくるまれて
あなたのなみだを
くちびるで受けていた

ほろ苦く溶けた甘さ
洗い流すほど
傷みを覚えていく
夢中になるほど
おぼろ気にしたくなる
合わせても
すき間のできる輪郭に
埋もれた火影をあたためる
 
愛しさは限りのない
たった一つの刻限になる
熟すものは腐敗を恐れずに
豊熟の捧げる代償は
泡沫に消えてゆく
(泡になるまえに
 知らないあなたを知りたくて)

遥かな彼岸に葬る一夜
生まれてならない水子の夢に
封印するなら
許されていくのでしょうか
あの日、棘に刺された疼きは
撫でられて手のひらに
眠るのでしょう
(どれほど哀しくても
 ずっと、そばにいますから)
流れる藻屑に
身をあずけて目覚めたら
花びらを抱きしめています
紐解く汚れは白薔薇の夢幻に溶かし
あなたの鼓動に零しています
光る朝露を