goo blog サービス終了のお知らせ 

広告する日記

詩人・絵詞作家・内田麟太郎オフィシャルブログ

絵本「かんけり」 石川えりこ アリス館

2018年10月02日 18時17分44秒 | 日記

    

 『かんけり』 アリス館 1500円+税 
 月刊絵本『きのこのばけもの』 唯野元弘・文 鈴木
出版 

 「かんけり」の時代背景は昭和中期でしょうか。場所は筑豊炭田があった地方のようです。画家石川えりこさんが子ども時代を過ごされたところです。だからといって自伝的絵本といってはいけないのでしょう。
 わたし(ちえちゃん)はクラスでも手を上げられない子どもです。いつも授業中はうつむいています。そんなわたしを隣の席のりえちゃんは助けてくれます。下校しても遊びに誘ってくれます。そんなりえちゃんが、缶蹴りで鬼に捕まりました。他の男の子も捕まっています。ふたりで隠れていた場所から飛び出していったとき、りえちゃんはこういいました。「私がつかまったら、ちえちゃん たすけてね」……。
 石川さんは子どもの心理を書かせたら、とてもうまいひとです。この作品もまた。子どもたちが遊ぶ小さな神社の、その周りの家々は私にも記憶のある懐かしい風景でした。この風景の描写をもっと見たかったといったら、よくばりでしょうか。
 「きのこのばけもの」の後書きで、作家が絵について一言も触れていないことに、旧世代の絵本観を感じました。

 絵本の仕事に一区切りついたので、詩誌『0』の作品を推敲したあと、少年詩を書いていました。

     なんども

  だから
  少年は雲に乗ったのだろう
  谷底に倒れていた少年を
  ひとは身を投げたといったが

  それを見ていたのは子猿だけだった
  つぎの日
  子猿は虹の橋を渡り少年に会った
  そして友達になっていると
  風がおしえてくれた
  小猿もまたひとりぼっちだったのだろう

  風は渡り鳥になりながらぼくにさけんだ
  ──生きてろよー。
  ──生きてろよー。
  風はなんどもぼくをふり返ってくれた

 

 今日の確言 薩摩芋と唐芋はどこか似ている。

 

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台風一過 | トップ | 真面目は安全地帯だね »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんども (絵本の河)
2018-10-02 19:09:58
「なんども」 胸が詰まる哀しみです。・・・・・でも、おばさん(私)は、生きている。
本日、施設にいる母が、お昼寝の時間でした。「一緒に寝ろ、横に来んの?」と言います。母を思い、又、泣きそうになりました。
返信する
でも (内田麟太郞)
2018-10-02 19:31:54
絵本の河さま
 「横に来んの?」。いいですね。そして切ないですね。
 でも、少年は風に出会ってうれしかったことでしょう。生きていく元気をもらったことでしょう。
返信する
美人のお母さんとココア (木枯らしモンジャロウ)
2018-10-02 20:22:19
生きることが、一番大事ですよね!!
三菱電機のUくんちは社宅でも凄いんです!テッコンキンクリート?の3階建てのアパートでした。やっぱり、ミツビシですね。Uくんちに遊びに行ったときに、ココアなる高級なあったかい飲み物をご馳走になり、世の中にこんな美味しいものがあるんだって、びっくりしたことを、今でも覚えています。お母さんも、とても美しい方でした。
風に乗って、Uくんに会いたいなあ!!生きていればいいけど???
返信する
生きてろよー (ひでちゃん)
2018-10-03 03:27:34
内田麟太郎さま
風の中に潜んだ「生きてろよー」の声、どんな状況の中でも聞こえてきそうです。点滴の中にもあるといいですね。
返信する
親戚 (内田麟太郞)
2018-10-03 07:18:17
木枯らしモンジャロウさま
 わたしも金持ちの親戚の家で、紅茶とカステラが出たときに。今では紅茶なんかどこでも出ますけどね。
 わたしには、亡くなった少年がいます。知っている男の子でした。お母さんがどんなに悲しまれているか。生きててほしかったです。

ひでちゃんさま
 ほんとだよね。その風の声を、風の心を、聴いてほしいよね。
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事