美味!な日々

2022年4月の観劇録(その1)

セールスマンの死@PARCO劇場
アーサー・ミラーの『セールスマンの死』はタイトルを良く耳にしていたものの、これまではタイミングが合わなかったりして観る機会が無かったのですが、今回やっと観劇することができました。舞台美術がかなり面白くて、電柱なんかは冒頭からガン見してしまいました。
主人公のウィリー始めローマン家全員が、現代なら「病んでるね」と仕分けされるであろうキャラクター。登場人物の中で、鶴見辰吾と前原滉演じる良識ある友人親子だけが一種のオアシスでした。ウィリー役の段田安則さんは静かな中に凄みのある演技が圧巻でしたし、妻役の鈴木保奈美は…演技も佇まいも素敵でした。福士誠治と林遣都が演じていた30過ぎても独り立ちできていない息子たち兄弟には、リアルにイラっとしました。ハッピーなお話ではないのに、弟(林遣都)の愛称がハッピーなのは、何かミラーの意図があるのかな…と考えてみたりして。
今回は『FORTUNE』と同じ演出家なので、少しエッジの効いたバージョンと思量。いつか他の版(できればノーマルな感じの演出)も見て、比べてみたいです。

三十郎大活劇@新国立劇場 中劇場
愛すべき映画バカ達のお話。劇団EXILE、SET、ラッパ屋、カムカムミニキーナ、大人計画といった色んな劇団所属あるいは劇団出身の役者陣の見せる化学反応にワクワクしっぱなしでした。太平洋戦争というどうにも避けられない時勢の中、最後はいい意味でファンタジーに逃げることでハッピーな気分で観終えることができ、映画っていいよな…となる話の運び方は巧いな、と思いました。
箸休め的に繰り返し挿入される三上市朗&福本伸一&松村武の3名のシーンは絶品です。小倉さんの色々やってもクドくならない演技は凄いなと感心するし、近藤公園や入野くんの力強くも伸び伸びした演技も良かったです。入野自由と『衛生』から気になっている新良エツ子のステキな歌声が聴けたのも個人的には嬉しかったです。帰りに同じく観劇していたと思われる春風亭昇太師匠と同じ電車に乗ったのも何か嬉しかったです。笑

もはやしずか@シアタートラム
観ていてこんなにしんどい芝居もなかなか無いよな、と思うくらい「しんどい」芝居でした。休憩なし2時間がこんなに長く感じたのも初めてかもしれない。すぐにでも逃げ出したい気持ちを抱えながらも舞台から目が離せない作品でした。人におススメはしづらいけど、観て良かったとは思います。不妊治療や出生前診断や自閉症といったトピックを扱いながら、リアルに見せかけているけど実際は全然リアルじゃない会話の応酬のオンパレードが本当にしんどい。20代でこんな作品を書いて演出する加藤拓也氏、恐ろしいけど先が楽しみです。
私の観た回だけ偶々だったのだとは思いますが、繊細で静かなお芝居なのに、トイレが我慢できないのか途中で出入りするおじ様おば様がこの小さな劇場で3~4人も居たのには驚いたし、気が散るし、残念でした。
 
 
 
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