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理系母の療育と自閉症児の成長の記録

3歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。約3年でDQ57→97。14歳で診断が外れ,高校受験を経て通常学級デビュー。

言語も伸びる

2020-07-19 07:36:15 | 発達障害

このブログでは息子の成長を発達指数(DQ)や知能指数(IQ)という指標で報告してきましたが(療育と発達検査の略歴),その中でいまいち伸び悩んでいたのが言語です。

 

読むのも書くのも小学校就学前からできてはいたのですが,口から発する日本語がとても不自然で,発達検査でも言語の項目はおおよそ2年遅れくらいという判定が続いていました。

 

言語は成長が難しいかな,なんて考えていたら,4年生から5年生に上がるくらいのときの言語検査(LCSA検査)で急に評価が上がり,読解能力(リテラシー指数)にいたっては114と,100を超える結果が出ました(10歳2カ月)。

 

この間,何をしたかというと,母としては特別な療育はしていません。

ですがこのことは息子の本を読む量が増えたことと関係していそうです。

 

学校の休み時間やデイで,外遊びに行かずただただ本を読んでいる。

家ではゲームもするけれど,ゲームをしてはいけない時間はやはり本を読んでいる。

 

本と言っても,最初に自分から夢中になって読んだのは,「コロコロコミック」と「でんじゃらすじーさん」など,正直,あまり言語能力には直接関係しなそうなものばかり(小学校入学直後)。ただそこで,本を読むことの楽しさを知ったのだと思います。

 

その後,エグスプロージョンの「本能寺の変」にはまったことから,織田信長の伝記漫画などを与えてみました(9歳0カ月)。最初はまったく読んでくれませんでしたが,1カ月後くらいに手に取るようになり,以降,いろいろな歴史漫画や伝記漫画を読むようになりました。

 

歴史や偉人に興味が出てきたところで,漫画でなく児童書も与えるようにしてみました。文章ばかりはきついかな?とも思いましたが,意外とすんなり読んでくれました。

 

「科捜研の女」がきっかけでミステリーにも興味を持ち,児童向けの「シャーロック・ホームズ」や「怪盗ルパン」シリーズも読んでいます。

今では科学本もかなり読みます。学研の「〜のひみつ」シリーズほか,漫画になっている歴史的名著「種の起源」なども気に入って繰り返し読んでいます。

 

興味を持ちそうな本をamazonで購入すると,次々と似たような本をサジェストされるので,amazonに提案されるがままに次々に本を購入して息子に与えました。

 

そういうわけで息子はすっかり本の虫。

 

本ばかり読んでいると「(療育的に)もっと運動した方が…」とよく言われたりしますが,本の虫もそれなりにいい面もあるのではないかなと母は考えています。


最新の発達検査結果

2020-03-31 06:13:49 | 発達障害

過去記事「療育と発達検査の略歴」で去年並びに先日受けた検査の結果を追記しました。

結果に対する専門家のコメント等の詳細は近日アップします。

 

実年齢 10歳2カ月 言語検査(LCSA検査)

LCSA指数 91

リテラシー指数 114

 

実年齢 11歳5カ月 知能検査(KABC-2検査)

認知総合尺度(認知能力の評価) 98

習得尺度 (勉強することで獲得した学力みたいなもの) 78 


支援級という選択3

2020-03-15 15:56:24 | 発達障害

支援級という選択2の続き

 

ほぼ1年ぶりのブログ更新。

自閉症児+発達障害疑い児のいる家庭でフルタイム勤務に加え在宅の兼業をしているため,ほんと時間が取れませんでした。すみません。

 

ブログを休んでいた間に息子も小学5年生が終わり,最終学年を迎えようとしています。

 

学校の成績は通常クラスの普通科目(国語,算数,理科,社会)でおおむね80点以上を維持しており,勉強面での課題はそれほど大きくありません。

 

でも,最終学年も引き続き特別支援級に在籍で,中学校も支援級に進学を希望しています。

 

で,なんでテストの点がそれだけ取れているのに支援級にいるの? と思われる方がいるかもしれません。実際によく言われます。

 

過去記事(支援級という選択1支援級という選択2)でもその理由にふれてきましたが,1番の理由をここであげます。

 

それは息子に障害があるから。

 

「障害」という言葉の定義は人によって違うかもしれませんが,私は最初,それは「できないこと」,「Disability」を指すのだと思っていました。

ですから息子が3歳のときに受けた発達相談で市の職員から「療育手帳を発行しますか?」言われた時には,息子を勝手に無能認定しないでほしいと憤りもしました。

 

でもその意味は息子を育てているうちにだんだんと変わってきました。

 

これまでブログで述べてきたように,息子は言葉を覚え,会話を覚え,学習することを覚え,今や知能検査や学校の成績だけ見れば平均的な小学生です。

でも,平均的な小学生のパフォーマンスを達成するに至るまでの苦労やその大変さは,普通の小学生とは全く比較にならない。その普通のレベルに達するまでのハードルが息子の「障害」

 

おそらく健常児を育てている親御さんの多くは,日本語は自然に獲得するものと思われているかもれません。

会話ができるようになるまでに,デジカメで息子の眼に映るあらゆるものを記録して話しかけたり,動詞のリストを作って1語1語チェックしたり,絵日記を作成して会話の練習をしたりなんてことは必要なかったでしょう。

 

ある程度会話が成立するようになってからも,苦労は続きます。

 

例えばあいさつ。

健常児であれば2~3歳児でもできるあいさつが,息子は小学校入学後もなかなか定着しませんでした。

毎朝同じ時間にマンションですれ違う人も毎回無視。これを直すのに,まず挨拶することの大切さを延々と説教し,親子で挨拶の練習を繰り返し,ターゲット(挨拶すべき人)が来る少し前に母がリマインドし,ちょうど出会うタイミングで母が「今だよ!」と声掛けをして,やっと挨拶をする,というのを数週間繰り返して,なんとか挨拶率50%くらいになるという効率の悪さ。

 

1つのことを教えるのにこれだけ手間がかかるので,当然ながら全部は教えられない。だからできないままのことも多い。すると周りから「親が教えてないから……」みたいなことを言われ,母もダメージ大。

 

その一方で,不器用な息子の横で逐一指導をしていると「親が手を(口を)出しすぎるから(子供が育たない)……」といったような目で見られることも多数。

親が手も口も出さずに外から見守っていて,その子が自力で学習して成長するなら,その子は健常児だと思います。

息子の場合,時を止めて永遠に見守れるだけの時間をつくれでもしないかぎり,とても無理。親の介入なしに自力で成長できるような器用さはありません。

 

そういったわけで,息子はまだまだ障害が多いと感じています。

 

〔テストの点が取れるのは,紙面で聞かれたことに対してそれに集中して決まった答えを出すだけなので,アスペルガータイプの息子にとってはさほど難しくないのかもしれません。一方で,決まった時間までにある目的を達成する(例:寝るまでに学校の準備と宿題,歯磨き入浴を他の誘惑を退けながら終わらせる)というような,やりようがいくらでもあって,周囲とのやりとりを含むような課題の方が息子には難しいみたいです〕

 

障害のある子を育てるには,とにかく時間も足りないし,手も足りません。

学校も同じです。

 

30人1クラスの普通学級の担任と6人1クラスの支援級の担任が1人の生徒に費やせる時間を比較すると,単純に5倍。

 

とにかく手のかかる息子。

少しでも多くの援助を得るために,私は支援級を希望します。


支援級という選択2

2019-04-12 23:33:59 | 発達障害

支援級という選択1の続き

 

その年の支援級の新1年生は1人という悲しい状況でしたが,やさしい上級生に囲まれ,息子は楽しく学校に通い始めました。

 

発達検査ではいろいろ伸びていたものの,人の話を聞くことがとにかく苦手だった息子ですが,そこは先生に逐一注意,指導され,授業態度も少しずつよくなっていきました。そしてちゃんと授業を受けられる姿勢が整ってきたところで,2年生から普通級で体育や算数などの得意科目を受けるようになりました。

 

支援級の担任の先生とよく相談しながら普通級での授業を少しずつ増やし,4年生では体育,算数,理科,社会,国語の5教科を普通級で受け,1日のほとんどを普通級で過ごすまでになりました。テストもほとんどは80点以上とれています(療育と発達検査の略歴参照)。

 

で,ここまで成長すると,じゃあ何でまだ支援級に在籍しているの? 普通級には行かないの? と思われる方もいるかもしれません。実際,あちこちでよく聞かれます。

 

でも私も息子も中学校まで支援級を希望しています。

理由は大きく2つあります。

 

まずは息子の居場所があるということ。

 

息子は入学してすぐ,学校併設の学童保育に入っていたのですが,1カ月もたたないうちに行きたくないと言って私に泣きついてきました。勉強やルールなどがあまりない学童保育であれば,自分勝手な息子でも健常児と一緒に遊べて交流できてよいかと思ったのですが,実はそうではなかったのです。

 

発達検査やテストの数字だけ見れば普通下位に位置する息子ですが,勉強よりも子ども同士の輪に入っていくことの方がはるかに苦手だったのです。トラブルはなかったと学童の先生からは説明されましたが,孤独を感じたのでしょう。すぐに学童をやめ,デイサービスに移りました。

 

で,支援級の話に戻りますが,学校は勉強の場ではありますが,休み時間や給食など,子ども同士で過ごす時間もかなりあります。息子が普通級に移ったら,子ども同士で楽しく時間を過ごせるのか,まだまだ不安があります。支援級であれば,トラブルがあっても,生徒の人数が少ない分,先生が小まめに間に入ってくれます。そのうえ,息子が空気を読まない身勝手な発言をしたときも,すぐに注意してくれます。普通級だったらそうはいかないでしょう。先生が間に入ることで,社会的な場での人との接し方,距離間を少しずつ学習していけるのが支援級のいいところです。

 

それに,支援級に通う子どもたちはみんなそれぞれ苦手があるので,お互い違うことを受け入れる心ができています。クラスメイトには息子のだめなところを受け入れてもらいつつ,息子自身も不得意のあるほかの友達を受け入れられる心が育っていっているように感じます。

 

そんなわけで,支援級はいろんな子どもがいるのに,みんな本当になかよしで,息子も居心地がいいようです。5年生に進級した今日まで,学校を嫌がったことはありません。

 

あるとき息子がこんなことを言っていました。「何で(普通級の)みんなはなかよし(支援級)に来ないんだろう?人気すぎて入れないのかな?」

それほどまでに支援級が楽しいようです。

 

 

 

支援級という選択3に続く

 

 


支援級という選択1

2018-11-29 16:50:20 | 発達障害

息子は3歳半から就学までの間にDQだけみれば57から97と標準近くにまで伸びたのですが,小学校は特別支援級を選択しました。

そして4年生まで過ごしてみて,支援級を選択してよかったと私も息子も思っています。

 

今回はその支援級に入るまでの経緯と,よかったと思える理由について述べていこうと思います。

 

 

 

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年長の年の9月のはじめに,市の教育委員会との就学相談がありました。

小学校で息子の通うクラスをどうするのがいいのか,話し合うためのものです。

 

自由勝手な息子の性格上,普通級はいろいろと難しいように思いましたが,では特別支援級があっているのかというと,なんとも判断し難いところがありました。

というのも,以前,息子と支援学校を見学に行った時に,その場を息子がとても嫌がったことがあったからです。自分のことはさておいて,障害のある子どもと一緒にいるのを嫌がっているようでした。

 

直近の発達検査は田中ビネーでIQ75。

その検査は試験官とのやりとりがかち合わずに点を落としているようなところがあったので,実際にはもうちょっとIQがあるのではないかとも思いましたが,そういうのも含めての検査結果ですので,教育委員会には正直に結果を伝えました。

 

教育委員会の担当者からは保護者の希望も聞かれましたが,正直私たちにも判断がつかない,と答えました。普通級と支援級のあいだをとって,通級クラス(席は普通級におき,週1日程度その子にあった特別な授業を通級クラスに通って受けられる)はどうかと相談しましたが,通級クラスはまずは普通級に入ってしばらくしてからでないと受けられないと言われました。

 

その2週間後,市で指定された支援級に体験入学に行き,それからまもなくして教育委員会から,専門家との話し合いの結果,支援級を奨めるとの連絡がありました。

 

周りでは,教育委員会に支援級を奨められたら絶対に支援級に行かなくてはならなくなるからと,普通級を希望する親御さんのなかにはあえて就学相談を受けない人も多くいました。

 

しかし私は,息子を絶対に普通級に通わせたいわけではありませんでした。

私にとって大事なのは,どの環境が息子が最も成長できるか,です。

もちろん,普通級に入って普通に授業を受けて普通に友達と遊べるのならそれに越したことはありません。

でも息子はそうではありません。

まず,授業中,ちゃんと着席できるのか,そして先生の話をちゃんと聞いて指示に従えるのか,とりあえず先生に怒られない程度の行動ができたとしても,そこで何かを学べるのか?

息子は,普通の子であれば周りから吸収して自然と学ぶようなことがとにかく難しい子です。DQが伸びたのも,息子に合わせた療育や保育園の先生の特別な配慮があってこそのことで,普通級に入ったら学校にいる時間のほとんどを先生に怒られるかほっておかれて過ごす様子が容易に想像できました。学校に行ってから帰るまでの1日6時間以上,週5日,それを6年間,その膨大な時間をただ耐えて過ごしているだけでは何も成長できません。

それよりはいくら勉強が遅れても,手厚く支援してもらって,少しずつでもいいから確実に成長ができる方がよいのではないか,と私は考えるようになりました。

 

その一方で,支援級を選択したら,息子は嫌がらないだろうかという心配はありました。

 

当時,私の住む市では,学区外の学校でも希望すれば通うことができたので,無理なく通学できる範囲の学校の支援級を2つ見学に行きました。

どちらもとても雰囲気がよかったのですが,そのうちの1校は落ち着いたやさしい上級生が多く,一見すると何の障害があるのかわからない子ばかりでした。しかも勉強もしっかりしていて,得意科目は普通級に受けに行ける「交流」という制度もありました。実際,上級生のなかには支援級から普通級に移った子も何人かいます。

 

結局,その支援級がある学校に就学希望を提出し,その希望が通ってそのクラスに入学することになりました。

 

この学校を選ぶまでの過程は,息子とは相談もせず,意見も一切聞きませんでした。親でもこれだけ悩むようなことを,なんの経験もなく見通しもない5〜6歳の子に判断ができるわけもなく,ほぼ私の独断で決めました(夫には確認程度に学校見学に付き合ってもらい,結論とその理由を説明して同意を得ました)。

そのかわり,息子が学校を嫌がったら,その時は柔軟に対応して別の最適な環境を探したり作ったりしていこうと,かなりの覚悟を決めていました。

 

そんなふうに,母としてはかなり気負っていたのですが,入学の1カ月ほど前,嬉しい出来事がありました。その支援級の担任の先生のはからいで,体験入学としてクラスに入ることができたのです。しかも先生はわざわざお楽しみ会の日を選んでくれたので,やさしいお兄さんお姉さんに囲まれてワイワイ楽しく過ごすことができ,息子も学校に対する明るいイメージがぐっと膨らんだようでした。

 

支援級という選択2」に続く。

 


格安会議室で就学に向けた自主勉強会2

2018-10-05 16:11:21 | 発達障害

格安会議室で就学に向けた自主勉強会の続き

 

さて,なんとか場所を確保できたので,保育園の終わる16時ごろから公民館の会議室を借りて,保育園のお友達と一緒に勉強会を始めました。

 

この勉強会の目的は,学力の向上ではなく,机に向かってみんなで勉強するといった,就学したら必須になってくる課題に慣れることです。

 

勉強会の内容は,鉛筆を使うものでは市販されている学研やくもんの簡単なドリルやネットの無料学習プリント,ハサミを使った切り絵や貼り絵,カルタや絵合わせカードなどの知育・療育ゲームなど,10〜20分で終わる課題を1~3個,全体で30分〜1時間くらいやりました。そして勉強会の最初には必ず今日やる課題を黒板に書いて説明し(事前に説明することで心の準備をさせる),会の終わりにはみんなで掃除をしました。

 

また,徳島県の「発達障害早期介入・支援ハンドブック 平成21年2月」に紹介されていてる鳴門教育大学の「就学前指導教室グループ学習指導案」(38ページ)と,このサイトを教えてくれた義母の助言を参考に,プリント配布などの当番を設けたり,勝ち負けに慣れるためゲームは個人戦ではなくチーム戦(親子グループなど)にする,机を二人で運ぶ(共同作業に慣れる),掃除の当番(ほうき,ちりとり,ぞうきん)の当番表を作り,自分がやった当番をシールにつけるなどして,こだわりで同じ当番を連続してやりたがった場合などにこの前もやったのがわかるようにする,などの工夫をしました。

 

で,息子はというと,課題によっては気が乗らなかったり,好き勝手なことをしようとしたりと,完璧にできたためしはありませんでしたが,この勉強会の目的である「少しずつ慣れる」,という点では目的を達成できたと思います。

 

また,仲がいいお友達同士の限られた人数での集まりで,勉強会後は近所の中華料理店で一緒にご飯を食べるというおいしい終わり方をしていたため,息子はこの勉強会を楽しみにしていたようです。

 

勉強会は,お友達と時間の都合のつく範囲で無理ない程度にやっていたため,毎週できるときもあれば,月1程度のときもありましたが,小学校に入るまで1年以上続けました。

 

最終的に息子は普通級でなく支援級を選択したのですが,小学校に通い始めてパニックになったり生活が荒れるようなことは特になく(非常によくあるそうです),就学への移行はスムーズだったと思います。

 

普通級でなく支援級を選択した理由については,次回,「支援級という選択」で述べたいと思います。


格安会議室で就学に向けた自主勉強会

2018-10-05 15:10:44 | 発達障害

8カ月ぶりの更新です。

仕事に追われ,執筆時間が取れずすみません。

 

息子が保育園の年中クラスの終わりにさしかかったころのことです。

3歳半の発達検査でDQ57だった息子も,家庭での療育がきいたのか2年弱でDQ88にまではなっていたのですが,小学校入学という一大イベントがだんだんと迫ってきていることを意識して,不安が募るようになっていました。

 

小学校で普通級に入る目安として,とある発達相談で言われたのが「DQ75」。

実年齢が6歳で4歳相当,2年遅れだと授業は厳しいだろう,というお話でした。

(あくまで目安としてうかがいました。お子様の性格にもよりますし,専門家によっても意見は異なります)

 

DQだけみればその値はクリアしていたものの,とにかく自分勝手で自由気ままな息子のこと,保育園でさえたびたび集団行動からはずれ,加配の先生にサポートしてもらっている状態なのに,小学校に入って着席して45分間,じっと先生の話を聞いていられるものだろうか。

 

周りの軽度の発達障害のある子の中には,受給者証を使って塾のようなところに通い,就学に向けた療育・勉強をしている子もいましたが,そういうところに行くには,その1時間の授業のために仕事を半日休まなければならず,いろいろと効率が悪いと判断しました。

 

かといって,これまでの家庭の療育は,とことん息子に合わせたものだったので,集団の中で周りに合わせたり,やりたくない課題でも指示されたらやる,といった能力を伸ばすことが難しいように思えました。

 

ではどうやったらこの課題をクリアできるか。

 

幸いにも息子の保育園には,同じクラスにやはり同じような発達の問題を持つ仲のいいお友達がいたので,その子と一緒に保育園が終わってから,どこか家とは違った場所で勉強会をできないかと考えました。

塾より優れたことができないとしても,保育園帰りにちょこっと勉強できたら頻度で多くをカバーできます。

 

そこで私は家の近くに貸し会議室がないか調べました。

「貸し会議室」と自分の住んでいる市の名前をキーワードにネットで検索すると,あるにはあったのですが,家や保育園から距離が数kmあるうえに,料金も1時間数千円と,勉強会を連続して行うには現実的ではありませんでした。

 

そんな都合のいい場所はないか….とあきらめかけたとき,ふとひらめきました。

 

ある。それも近所に。値段も調べると2時間210円〜と破格の値段です。

 

そう,それは地元の公民館。

 

市の公民館は,息子の通う保育園の隣と,保育園から家までの帰り道に計2カ所あり,どちらにも会議室がありました。

 

私は次の日,帰り道にある公民館を訪れ,会議室を使ってみたいので,まずは部屋を見せて欲しいとお願いしました。

 

その公民館は会議室が3部屋あり,どの部屋も黒板,ホワイトボード,机,椅子といった学校のような設備がある上に,気を散らすような掲示物などが何もなく,子どもの勉強スペースとして理想的でした。

 

「今後,ときどきこの部屋を使いたいのですが,どのような手続きをすればよろしいでしょうか?」。私は案内をしてくれた館長さんにたずねました。

 

すると予想外の答えが。

 

「公民館の部屋は個人には貸せなくて,10人以上の団体でないといけないんです」。

 

10人……周りに3人だったら発達障害のお友達がいるけど,10人はちょっと,どうやっても……無理……

 

絶句していた私をみかねたのか,館長さんがしばらくしてからこんな助言をくれました。

 

「団体は,10人中9人が市内の人だったらよいので,ご自身とご主人,お友達のご夫婦,そしておじいさんおばあさんも入れてなんとか10人にして,団体の名前をつけてもらえば,(定期使用ではない)臨時使用として申し込めますよ。会議室を使うのはその全員でなくても使えます」。

 

そんな手があったとは! 友達夫婦,じじばば入れれば何とか10人はクリアできる!

 

公民館の臨時使用申込書は団体名とその構成員の人数,活動内容を書くだけだったので,私はすぐさま友達と自分の両親から了承をもらい,自分たちに適当な団体名をつけ,活動内容は子どもたちの学習支援ということにして,会議室を予約しました。

 

 

格安会議室で就学に向けた自主勉強会2に続く


療育に役立った絵本2

2018-01-26 12:48:15 | 発達障害

療育に役立った絵本1」の続き

 

3. 自閉症児の苦手な考え方を変えるもの

・概念理解を助ける

どうぶついろいろかくれんぼ」ほか,型抜き絵本シリーズ,いしかわこうじ作,ポプラ社。

自閉症の子どもは一般に,個々の物の名前(トラ,タクシー,など)はきっちり覚えられても,それらを含むグループ名(動物,乗り物)のような概念の理解が苦手とされています。息子は,例えば様々な機種の飛行機を「ひこーき」として理解していたので,グループ概念のすべてが理解できていない,というわけではなさそうでしたが,4歳3カ月の時点で「動物はどれ?」の質問に対して適切な絵カードを答えられず,苦手はありそうでした。そこで,利用したのがこのシリーズ。

この絵本シリーズは,最初にページ一面に色や模様と描かれ,簡単なヒントとともに「なにかな?」「だれかな?」と問いかけがあり,ページをめくると切り取られた部分が輪郭となって答えが浮かび上がってくる仕組みになっています。普通に読むだけでも楽しめる本なのですが,例えば「のりものいろいろかくれんぼ」だったら,出題のページで「こののりものなんだろう?」とか,「次ののりものは何かな?」など,「のりもの」という言葉を強調して語りかけるようにしました。また,単純な色彩構成になっているので,「この赤いの何かな〜」など,色を強調して話しかけて色を教えるのにも使えます。

このシリーズは,息子が発達の問題を指摘される3歳以前から使っており,言語理解がそれほど進んでいない子どもでも理解できる,クイズ形式で次々出題されるので子どもが飽きない,といったメリットもあるので,まだ絵本の読み聞かせに慣れていないお子様にもおすすめです。

 

・人の視点に立って考える

どうぞのいす」,香山美子作,ひさかたチャイルド。(4歳4カ月〜)

 

自閉症児は一般に,心の理論(他者の感情や考えを自然と感じ取る能力のようなもの)の発達に問題があり,人の視点に立って物事を考えるのが苦手とされています。

たとえばそれを表す例として有名な「サリーとアン課題」と呼ばれるものがあります。サリーが部屋に隠したものを,サリーがいないときにアンが別の場所に隠してしまうところを子どもに見せてから,そのあとサリーがどこを探すかを子どもに推測させる問題で,自閉症児はサリーの立場に立って考えられず,アンの隠した場所を答えてしまう傾向があるそうです。

息子もそんな傾向を感じさせられることがありました。4歳ごろのことです。息子が祖父母と電話で話しているとき,自分の目の前にある飛行機のポスターを指差して「ひこーき!ひこーき!」と連呼。受話器の向こうにいる相手がこちらの様子が見えていないことがわかっておらず,自分が見えているもの=相手が見えているもの,と思っているようでした。

なんとかせねばと思い,これに関連したストーリーの絵本として「どうぞのいす」を教材に使いました。

ストーリーは,どんぐりの入ったかごを運ぶのに疲れたロバさんが,イスの上にかごをおいて昼寝をしていると,次々に動物がやってきてカゴの中身を入れ替えてしまい,目覚めたロバさんがカゴの中身にびっくりするというお話。

息子にとっての問題は,ロバさんがびっくりした理由を理解できるかという点です。

私はこの話を息子に読み聞かせるときに,ただ本文を読むだけでなく,各ページで動物が登場するたびに,「でもロバさんはまだ寝てるね〜。カゴの中身が変わっちゃったのにロバさん気づくかな?」と,ロバさんの視点で一緒に考える会話を入れました。

もちろん,この絵本1冊だけで他者の視点に立てるようになる,というものではありませんが,これはあくまでシチュエーション練習の教材として使い,日常でも同じように母の視点,父の視点を息子に伝えたり(母さんにはわからない,など),息子に考えさせる(父さんはどう思うかな?,など)練習をしました。

 

 

・物の見方や考え方は1通りではない

ねずみくんのチョッキ」シリーズ,なかえよしを作,ポプラ社。(4歳半くらい〜)

りんごかもしれない」,ヨシタケシンスケ,ブロンズ新社。(5歳半くらい〜)

 

上記の課題と関連しますが,見えているものや知っているものだけでなく,人の価値観や考え方は,みな自分とは同じではないし,正解が1つではないこともある,という当たり前のことを,健常児の多くは成長する過程で自然と学んでいくのかもしれませんが,息子の場合はそれを丁寧に教えていく必要がありました。

息子はこだわりが強く,自分の考えに固執する傾向があったから,という理由もありますが,私自身(自閉傾向高め),20代くらいまでは人の考えを受け入れるのが苦手で,自分の考えを人に押し付けていろいろと周りに迷惑をかけてしまったという反省があり,小さいうちに教えて欲しかったなあという思いもあったからです。

そういった感覚を教える導入編として,「ねずみくんのチョッキ」シリーズはとても重宝しました。ねずみくんの赤いチョッキ。ねずみくんにはぴったりだけど,ぞうさんは体が大きすぎて着られない……。同じチョッキが着る人によって違った感覚を生むことが,簡単な言葉と一目でわかるシンプルなイラストで書かれていて,想像する力が弱い子どもでも理解しやすい内容になっています。

ただ,自閉症児は「大きい・小さい」のように,同じ物をさしていても比べる物によって変わってしまう言葉(関係語)の習得が遅れる傾向があるそうなので,これらの本をお子様に読み聞かせるのであれば,そういった関係語がしっかり定着してからの方がいいかもしれません。

 

もう一方の「りんごかもしれない」は,1つのりんごを題材に,主人公のぼくがあれこれ憶測というか妄想するストーリーで,1つのものに対するいろいろな見方・考え方を提供してくれます。突飛な見方もかなり出てきますが,それはそれでおもしろく,この本をまねて親子で「これは〇〇かもしれない〜」とお互いに想像して意見交換をする練習をしたりしました。

これまで紹介してきた本と比べてやや難しめの内容なので,ある程度読み聞かせに慣れてきた子向けです。

 

 

 

・客観的に自分をとらえる,自己分析

ぼくのニセモノをつくるには」,ヨシタケシンスケ,ブロンズ新社。(6歳くらい〜)

人の視点に立つのが苦手な自閉症児は当然ながら,人から自分がどう見えるか,人から見た自分と自分で思っている自分が違うことを理解するのも難しいものがあります。そのために自分を客観的に評価する練習に使ったのがこの一冊。

やりたくないことをやらせるための自分のにせものを作ることにしたぼく。お手伝いロボットを自分そっくりにするために,自己分析して自分の情報をいろいろインプットしていく…というお話。

自分の名前や外見的な特徴,できることできないこと,以外にも,居場所によって役目が違うことや,友達や先生など周りから見たいろんな自分,自分の頭の中の世界など,日頃説明したり一緒に考えたりすることが難しいテーマがたんとつまっていて,それでいておもしろい本です。

各ページを読みながら,「じゃあH(息子)はどうかな〜?」と,一緒に自己分析をしたり,意見交換したりと,当たり前だけど大事なことについていろいろ親子で楽しく学べる教材として使えました。

ただ,これまで紹介したなかでは一番難しい本なので,読み聞かせに慣れ,ある程度対話ができるようになったお子様におすすめします。

 

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ここまで紹介した本は,数としてあまり多くありません。本を探すのにあまり時間がとれなかったのと,息子の興味や理解度にあったものになかなか出会えなかったのが主な理由です。

子どもにあった絵本を自力で探すのは時間がかかって本当に大変なので,もしお子様の課題にあわせてここに書かれた以外のテーマを教えられる絵本を探すのであれば,図書館のスタッフや読み聞かせボランティアのようないろんな絵本を知っている方に,◯歳児向けの〜といったストーリーの本がないか,などと聞いてみると早いかもしれません。

 


療育に役立った絵本1

2018-01-22 12:58:43 | 発達障害

 

今回は,息子の就学前に療育に使った絵本を紹介したいと思います。

長くなるので2回に分けて紹介していきます。

 

前回のブログ「絵本を聞かない息子が絵本を聞くようになったきっかけ」でも述べましたが,息子がひとたび絵本を聞くようになってからは,本は新しい概念や考え方を伝えるのに非常に強力なツールになりました。

 

それらの絵本を大別すると,

1. 言語理解などに役立つもの

2. ソーシャルスキルトレーニング用

3. 自閉症児の苦手な考え方を変えるもの

に分けられます。

 

それぞれについて,息子に使い始めたおおよその実年齢を記載しておきますが,難しい内容のものもあり,ご自身のお子さんが理解できるかどうかの判断は,過去ブログ「発達検査の略歴」にある息子の発達年齢が参考になるかもしれません。

リンクはできるだけ出版元のを貼りました。

 

 

1. 言語理解などに役立つもの

 

・歌になっている絵本シリーズ

はらぺこあおむしエリック・カール作,偕成社

できるかな? あたまからつまさきまでエリック・カール作,偕成社

月ようびはなにたべるエリック・カール作,偕成社

音楽CDは別売りで,CD エリック・カール絵本うたとして発売されています。

(すべて4歳4カ月〜)

息子は話を聞くことは苦手でしたが,歌は好きで,歌を繰り返し歌うことで歌詞や内容を覚えられるので,本文が歌になっているこれらの絵本を利用しました。

 

このなかでも有名な絵本「はらぺこあおむし」は,ちっぽけなあおむしが蝶に成長するまでのあいだにいろんな食べ物を食べまくる,というストーリーが読んでいて楽しいだけでなく,数や曜日の概念が含まれているので,絵本を見ながら繰り返し歌うことを通じて多くのことを教えられます。

息子ははらぺこあおむしの絵本と歌をすごく気に入ってくれたので,はらぺこあおむしを題材にした数を数えるアプリ(「Counting with the Very Hungry Caterpillar」,現在は配信されていないようです)をipadに入れたところ,かなりはまってやっていました。

「できるかな? あたまからつまさきまで」は,動物の真似をしながら体の各部位を動かす内容なので,リトミックとしても使えます。体の各部位の名称を理解し,指示通りに動かす練習に役立ちました。

「月ようびはなにたべる」はアメリカのわらべうたがベースになっていて,月曜日から日曜日までそれぞれ違った食べ物を食べる,というだけの内容で,ストーリー性はありませんが,曜日を順番に繰り替えし歌うので,各曜日を覚えるのに役立ちました。

 

 

・マグネットになった絵を貼って使うマグネットブック

マグネットブック アニマルワールド,リーバン

(4歳11カ月〜)

この本には特にストーリーはなく,19匹の動物のマグネットと,それらの動物がどこにいるかという説明文があるのみ。場所を説明しながら動物マグネットを貼ることで位置関係を表す言葉(〜の上,〜の前など)を教えらえるのでは,と期待して購入しましたが,息子はあまり動物に興味を示してくれず,ほとんど活用できませんでした。息子の好きな飛行機のシリーズがあったらよかったのですが……。

なお,このマグネットブックは現在1歳の下の子には受けがよく,下の子に言葉を教えるのに利用しています。本文通りでなくても,動物の名前+「走ってる〜」「飛んでちゃった」などの簡単な動詞を教えたりと,マグネットを動かすことでいろいろな使い方ができます。

マグネットブックはずらしたり繰り返し貼ったりすることができる点でシールブックよりずっと便利です。ほかの出版社からもいろんなマグネットブックが出ているので,この本以外にもお子様が興味を持っているジャンルのマグネットブックを使ってみるといいかもしれません。

 

 

2. ソーシャルスキルトレーニング用

こんなとききみならどうする?こんなとききみならどうするどうする?,スギヤマカナヨ作, ひかりのくに

(4歳〜)

服を汚してしまったとき,友だちのクレヨンを折ってしまったとき,など,子どもの日常生活であるあるのトラブルを,ただ○×で正解を教えるのではなく,みんなであれこれ考えて一緒に解決していくストーリー。説教くさくないので息子の食いつきが非常によく,保育園などで社会生活を送る上での問題と対策を自分で考える訓練に使いました。

さらに,このシリーズの話の持っていき方が非常に効果的だったので,イラストの得意な私の父に頼んで息子の苦手な問題を網羅したオリジナルストーリーの絵本を作ってもらい,友達と遊ぶ時のマナーなどを教えました(内容と絵がまったくのパクリなので,家庭内でのみ使っており,これ以上ブログにアップできません。ご了承ください)。

 

こういったソーシャルスキル的なことをあらかじめ理解し,心構えができていると,保育園などで実際にトラブルがあった時に解決がスムーズになり,トラブルが起きて怒られて終わり,という失敗体験を重ねることを減らせます。この療育が効いたのか,息子が保育園の年中年長でほかの友達とトラブルを起こすことはほとんどありませんでした。

 

療育に役立った絵本2」に続きます。


絵本を聞かない息子が絵本を聞くようになったきっかけ

2017-11-03 22:55:11 | 発達障害

「H(息子)くんはいつも絵本の読み聞かせの時間にみんなと一緒に聞かず,部屋のはじっこで一人でおもちゃで遊んでいるんです。おうちでもっと絵本を読んであげてください」。

保育園の2歳児クラスで担任の先生から言われた言葉です。

息子の自分勝手な行動は家で絵本を読んであげてないせいだというような口ぶりでした。

 

ええ,確かに家で絵本の読み聞かせはしていません。

でもやろうとしてないわけではないんですよ。できないんです。

私が家で絵本を開いても,息子はまったく耳を傾けず,勝手にページをパラパラめくってどこかに走り去ってしまうんです。

本当はそう反論したかったのですが,決め付けたような態度のベテランの年配保育士にくってかかる気力もなく,「はぁ…」としか答えられませんでした。

 

絵本の読み聞かせが発達障害児の療育にかぎらず,子どもの成長にいい理由はわかります。

そこから得られる言葉や教訓,物の考え方が成長の糧になることはいうまでもなく,人の話を聞く姿勢を伸ばすことにもつながります。

いいのはわかる。でもできない。

 

物語を聞かないというと

「では好きなのは図鑑ですか?」

と発達相談で聞かれたことがあります。自閉症の子には愛読書が「図鑑」というタイプの子もいるようですが,息子の場合,図鑑にも対して興味を示しませんでした。

 

私は長い間,息子が絵本を聞かないことに諦めモードになっていました。

でも息子が2歳10カ月のとき,転機が訪れました。

飛行機好きな息子のために,私の友人が飛行機の出てくる絵本をプレゼントしてくれたのです。

有名なリサとガスパールシリーズの「リサ ひこうきにのる」。

主人公のリサが飛行機に乗ってニューヨークに到着するまでのあいだの機内での体験をつづった物語です。

私の仕事の関係で毎月のように飛行機に乗っていた息子にとって,機内でジュースを飲んだり映画を見たりすることが自分の経験と重なったのか,最初から最後まで絵本を聞くことができたうえに,何度も読んでくれとせがむようにまでなりました。

 

この一冊で絵本が楽しいとわかってからはほかの絵本に対するハードルも下がり,飛行機が出てくる「バムとケロのそらのたび」のような絵本だけでなく,いろんなジャンルの絵本も聞けるようになりました。

 

ここで私が学んだのは,息子が絵本を聞かなかったのは興味の偏りももちろんあるけれど,ページから次のページに行くまでのあいだの状況を言葉を聞いてイメージする力が足りなかったせいもあったということです。

私がそれまでに試した絵本では,言葉の遅れもあって,話を聞いて物語の内容を想像することが難しかったのでしょう。

私は,もっと息子の経験に沿った,息子がイメージしやすい絵本を探さず諦めていたことを反省しました。

 

 

実はうちにはこのブログで紹介している小学生の息子のほかに,もう一人,自閉症が疑われる1歳の息子がいます。

この下の子は1歳3カ月ころから発語や言語理解の退行があり,1歳半の時点で話せる言葉がありませんでした。

私は上の息子での反省をふまえ,この1歳の子にとにかく絵本をいろいろ変えて読み聞かせを試みています。図書館で一度に10冊くらい借りてくると,そのほとんどはきちんと聞けませんが,1冊か2冊は聞いてくれるものがあります。

でも,この子は明らかに上の息子よりもレスポンスがよいので,10冊中1〜2冊聞いてくれるのはいいほうなのかもしれません。なかなかいい本に出会えない場合には,こんな方法もあります。

 

1.はしょる

下の子はよく,動画で慣れ親しんでいる「機関車トーマス」の絵本を読んでくれと持ってくるのですが,このシリーズは幼児向けのわりに文章が長く,ちゃんと読んでも最後まで聞けません。なので全部を読まずに「ジェームス,トーマス,なかよし,おしまい!」くらいにはしょってしまったところ,かえって喜び,もっともっととせがむようになりました。

 

2. フォトブックを作る

上の息子に言葉を教えるのにデジカメとipadを使ったことは過去記事(言葉を引き出す 自作コミュニケーションボードとデジカメで語りかけの効果)で述べましたが,この1歳の下の子にも同じ方法を試したところ,幼すぎるのかメカそのものに興味がいってしまって映像を一緒に見てくれません。そこで,おでかけやちょっと変わったイベントがあるごとにフォトブックを作成し,それを絵本代わりに使っています。

うちではしまうまプリントを利用していますが,簡単なレイアウトや文字の追加までできて1冊198円から制作できるので,頻繁にフォトブッックを作っています。

自分で見知ったことが写真で出ているフォトブックは,どれも非常に食いつきがいいです。

 

3. 動画を使う

絵本,絵本といっておいてなんですが,動く絵本と考えれば動画も使えます。

動画は一般に絵本に比べて「よくない」と言われがちですが,それは使いようの問題で,見せっぱなしにせずに親子で一緒に見てインターラクティブに利用すれば役立つこともあります。

うちでは「ピングー」や「ひつじのショーン」など,言葉がなくてもストーリーがわかる単純なクレイアニメを一緒に見ながら,「壊れちゃったね」とか「悲しいね」など簡単な言葉で解説をしています。

動画の方が絵本よりも子どもの食いつきがいいので,絵本だけでは伝えきれないことも教えられるのではと期待しています。

 

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この下の息子が今後どういう成長をたどるのかは,データがある程度たまってからまた別の機会に発表したいと思います。

 

次回は息子の療育に役立った絵本を紹介します。

 

 

 

 

 

 


過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)3

2017-10-27 14:07:42 | 発達障害

過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)2のつづき

 

このようにして,5歳4〜5カ月ぐらいには絵日記というツールを使って前日のことについて日常的に話ができるようにはなりましたが,では視覚的手がかりが何もない状態で,言葉だけで過去の話が通じるようになったのはいつかというと,正直なところ,はっきりしません。

写真のようなものがなければ息子が自発的に話をすることはなく,もともと会話も続きにくい子だったので,こちらが話を切り出しても無視されてばかり。これが,興味がないからなのか,何のことか理解していないのかがわからなかったからです。

ただ,5歳11カ月のときには保育園で数日前に行われた運動会の絵をきちんと描いており,先生の言葉だけで先日の出来事を認識できたのは確かです。

 

こうして「ほうれんそう」の「ほう(報告)」に必要な能力が身についてきたところで,「れん(連絡)」の練習もしていくことにしました。

 

6歳0カ月ごろ,保育園の先生が連絡事項を息子に伝え,息子がそれを母に伝える練習を始めました。連絡の内容はあらかじめ先生から直接聞くか,日記の連絡欄に書いてもらっておき,息子が断片的にしか伝えられなくても私の方から「〜っていうこと?」と確認できるようにしました。

 

これは,先生が息子に面と向かって伝えるのと,先生の話があってから私に会うまでの時間が短かったせいもあってか,わりとすんなりとできるようになりました。

 

ただ,息子は先生がクラス全体に向かって話したことは聞いていないことが多かったので,そういう連絡は先生が息子に注意を促したり言い直す必要がありました。

なお,この傾向は小学校に入ってからもなかなかなおらず,就学後も支援級でみっちり指導されました。クラス全体に対して言われたことがきちんと連絡できるようになったのは小学2年生になってからです。これがちゃんとできるようになってからは,得意科目(体育や数学)を普通級で受けられるようになりました。

 

「ほうれんそう」の「そう(相談)」に関しては,特別な練習はしなかったのですが,幸いにも自然にできるようになってくれました。保育園や学校の連絡かねて「明日お弁当だって。そぼろ(そぼろ肉)ごはんにしてくれない?」のように,自分一人では決められないことは私や夫に聞いたりします。

 

息子はこのほど9歳になりましたが,学校であったことを自発的に話してくれることは今もまれです。でも,休日に家であったことは学校でよく話すと担任の先生が教えてくれました。絵日記をがんばったかいがあったのかな?と嬉しく思います。ただ,「どこで」をきちんと説明できない(場所の名称を言えない)ことが多いようで,それを親から聞いてくるという宿題を先生からよく出されます。

そういうわけで,報告と連絡の練習は今も続いています。


過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)2

2017-10-19 11:54:32 | 発達障害

過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)1のつづき

 

こうして絵日記による言葉の訓練の方向性が見えてきたのですが,問題は息子の気まぐれでした。絵日記自体は毎日書いていたのですが,その内容を息子が先生に話すのはその日の気分次第で,数日分の日記をさかのぼってあれこれお話をする日も月に数回あったものの,完全に無視される日の方が圧倒的に多い状態でした。

 

毎日の絵日記の内容が平凡な日常生活で話をする気も起きない,というわけでもなく,例えば仲のいいお友達家族とグアム旅行に行って海で珍しい魚を見たり潜水艦に乗ったというレアな体験に大興奮した次の日も,先生には一切話をしませんでした。

 

療育はなんでもそうかもしれませんが,特に言語訓練のようなものは1回で劇的に能力が上がることはなく,回数や頻度,繰り返しが重要になります。

 

息子が先生に話をする頻度を何とかあげられないかと考えたのが,写真の導入です(5歳4カ月〜)。絵を描くかわりにその日にあったことがわかる写真を撮って家庭用プリンタで印刷し,一緒に話しながら絵日記に貼り付けるようにしたのです。

その効果は劇的でした。最初の1カ月は絵日記に絵を描く日と写真を貼りつける日が半々くらいでしたが,息子が先生によく話しをする日が5割以上になり,翌月から全部写真に切り替えたところ,ほぼ毎日,先生との会話が弾むようになりました。

 

今こうして振り返ると,私の描いた拙い絵と写真とでは情報量の差が歴然で,例えば私にはエビらしきものを描くのがやっとでしたが,写真だったらどういうカニがどれくらい獲れたかがわかります。子どもだったらどっちが人に話したくなるか……は一目瞭然ですね。

 

私の絵

 

写真

私の絵

写真

 

その日つかまえた魚やカニ,料理などは写真におさめやすいのですが,DVDやビデオゲームなど写真に撮りにくいものはビデオのパッケージをそのままコピーしたり,パソコンで画像検索したイメージ図を印刷して貼りました。また,訪れた施設の全景がうまく写真に撮れないような場所は,施設のパンフレットをそのまま切って貼り付けたりしました。

 

やがて息子は,自分に起きた出来事を先生に話すのが楽しくなったようで,種まきした野菜の種のパッケージや,折り紙の作品など,息子が先生に見せたい・話したいというものを日記にどんどん貼り付けていきました。

 

 

写真などをこれだけベタベタ貼ってしまうと,もともとの日記のテンプレートはあまり意味がなくなってしまうのですが,最終的に利用していた日記のテンプレートをここに載せておきます。月の始まりが何曜日かによってカレンダーが変わるので,7種類あります。

 日記日曜スタート日記月曜スタート日記火曜スタート日記水曜スタート日記木曜スタート日記金曜スタート日記土曜スタート

 

絵日記を写真にしたところ,思いもかけない効果もありました。写真に興味をもったクラスメイトが息子と先生の周りに集まるようになり,言葉下手な息子が友達と近づくためのきっかけにもなりました。

 

過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)3につづく


過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)1

2017-10-19 11:39:11 | 発達障害

家庭で療育を始めて1年弱,息子の言葉も徐々に増え,発達検査の数字も上がってはいきましたが,依然として困った問題もありました。

それは過去の出来事や経験について話すことができない,という問題です。

その対策として,ここでは絵日記を使った療育を何回かにわけて紹介していきます。途中経過や試行錯誤をすっとばして実際にうまくいった例やテンプレートを見たいという方は「過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)2」へお進みください。

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保育園で年中クラスになったころ(4歳6カ月ごろ)の息子は,コミュニケーションボードやデジカメを使った語りかけを通じて直近の予定や互いの希望を伝えられるようにはなっていたのですが,「昨日○○行った」だとか,「○○したことある」といった,過ぎてしまったことについての会話がなかなか成立しませんでした。

 

保育園では0〜3歳クラスくらいまでは,保育園と家庭の間で連絡帳をやりとりしてその日の様子や大事な連絡などの情報を共有できるのですが,年齢が上がると園からの連絡は必要な限られたものだけになり,園での子どもの様子を知る手立てがなくなります。

 

健常児であれば子どもがしゃべって親に伝えられるようになるので,園が詳細な情報を連絡帳に書き込む必要はないのですが,息子が保育園であったことを自ら話してくれることは皆無でした。

 

それでも保育園に通っているあいだは,お迎えの時に保育園の先生と直接話をする時間が多少なりともとれるので,それでどうにかなるのですが,就学後,特に普通級に通うとなれば,「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」ができる必要があり,そのためには過去のことについて話す能力が必須です。

 

当時の息子は,お出かけから帰った直後ならどこに行って何をしたかを答えることはでき,時間がたってしまったことについても写真などを見せれば一言二言話すことはできていましたが,何の手がかりもない状況で「この前さ〜」とか「昨日ね〜」と話かけてもノーレスポンス。そもそも過去のことについて会話をするといった概念すらないようなので,抜本的な対策が必要でした。そこで考えたのが絵日記です。

 

夜寝る前,息子がその日の出来事について会話ができるうちに,一緒に話をしながら私がその内容を簡単に絵に描き,翌日それを見ながら息子が保育園の先生*と一緒にお話をする,というのを日課にしました(4歳7カ月〜)。

 

まずは,過去の出来事や経験を親以外の人と話すことの大切さ・おもしろさに気づいてもらうのがねらいでしたが,将来的に「ほうれんそう」ができるようになってほしいという思いから,情報を伝える上で重要になる「いつ・どこで・だれが・何をした」が言えるようにと,それらがわかる簡単な文章も書き添えました。

 

また,このころ息子は月日や曜日の概念がなかったので,月々のカレンダーもつけて,日記を書くときに「今日は○日○曜日」と息子に見せながらチェックをいれました。

 

さらに,保育園の先生ともっと情報を共有し,連携を取れるようにするため,保育園からの連絡欄も追加しました(4歳8カ月〜)。

 

この絵日記を始めて最初の数カ月,親の思いも虚しいほどに,息子が保育園で絵日記の内容を先生に話すことはほとんどありませんでした。私と一緒に話して絵を描いているときはそこそこ反応があるのに,次の日いくら先生が絵日記を広げて誘いかけても無視される日が続きました。

 

最初の絵日記は保育園の先生と私の交換日記のようなものになってしまいましたが,それでも続けないことには息子が成長することはないと,絵日記を続けました。

 

休日はお出かけしたり,お友達と遊んだりしたことを絵に描き,平日であればその日に見たDVDのイラストや,息子ががんばったお手伝いの内容や家族のことなどを地道に描き続けました。

 

 

そのかいあってか息子は4歳10カ月ごろになってようやく,絵日記のことを先生と話すようになりました。

 

過去のことについて話す練習が可能になってきたところで,私としては「いつ・どこで・だれが・何をした」を伝えるための訓練をしていったほうがよいのではないかと考え,月1回通っていた言語訓練の先生に相談したのですが,先生の意見は違っていました。

先生はレッスン中の息子の言語能力から判断して,息子は単語レベルでの語彙は増えてきているけれど,単語と単語をつなげて文章を作る力がまだ弱い,なのでまずは息子が発した断片的な単語をつないで大人が文にして返してあげる方がよいというご意見でした。

 

すごくもっともだったので,日記の「いつ・どこで・だれが・何をした」という項目をやめ,かわりに息子にもっと耳を傾け,息子が発した断片的な言葉(「さかなつかまえた,いっぱい」など)をつなぎ,助詞もちゃんと入れて「今日は魚をいっぱいつかまえたね」と返すようにしました。保育園の先生にも同じように話しかけてくださいとお願いしました。

 

過去の出来事を話す練習 目指せ!ほうれんそう(報告・連絡・相談)2に続く

 

* 保育園の先生について

息子は年少クラスまではH県K市の,年中からはS県K市の保育園に通っていましたが,どちらの保育園でも担任の先生のほかに,息子のサポート役となる「加配の先生」がついていました。先生が余分にいるおかげで私は安心して息子を保育園に預けることができ,絵日記について話すのに付き合ってほしいなどの特別なリクエストをすることができました。

 

その加配の先生ですが,息子をサポートするといっても常にそばにいてあれこれ指示をするわけではありません。担任の先生,あるいは加配の先生が,クラス全体を見ながら息子が集団行動から外れた時や問題行動を起こした時に適宜サポートするといった感じだったので,ほかの園児や保護者にはなぜこのクラスに先生が多いのかわからなかったと思います。

 

加配の制度自体は自治体(厚労省?はっきりわかりません)によるものですが,対象となる子どもや先生がつく時間は市町村によって異なるようです。ちなみに加配の先生がついた時間はH県K市では1日4時間,S県K市では全日でした。詳しくは園やお住いの自治体の保育課に問い合わせてみてください。


語彙を広げる コミュニケーションボードの次の工夫

2017-09-15 14:19:23 | 発達障害

市の療育センターで言語訓練の順番待ちを申し込んでから4カ月ほどたったころ,市とは別の療育機関から言語訓練の空きが出たとの連絡が入り,4歳2カ月から週1回のレッスンを2カ月ちょっと,市外に引っ越すまで受けることになりました。

 

担当してくださったのは若くてやさしそうな女性の先生で,息子には一緒に遊んでもらえそうなお姉さんとして映ったのでしょう。息子はじっと着席してレッスンを受けることができず,室内に置かれたクッションブロックなどで一緒に遊んでもらおうとするばかり。

先生も遊びながら「高いね」「大きいね」などわかりやすい簡単な声かけで言葉を教えてようとはしてくれたのですが,家ですでにやっていることと変わりはありませんでした。

 

そんなんだったので,息子がこのレッスンで直接学んだことはほとんどなかったのですが,私にとって非常に重要な発見がありました。

 

レッスンの初回,息子が遊び始める前のほんのわずかな時間のことです。

最初に先生が机に4枚の絵カードを広げて,「帽子はどれ?」「車はどれ?」と息子に聞きました。そのすべてに対し,息子は絵カードを指差して答えました。次に先生は質問を変えて,「“かぶる”のはどれ?」と息子に聞きました。すると息子は答えられず,嫌になったのか席を立って遊び始めてしまいました。

私はこの時初めて,息子が「かぶる」という言葉を理解していなかったことに気付いたのです。

衝撃的でした。

ipadをコミュニケーションボードとして使って話しかけ始めてから息子の語彙も着々と増えてはいたものの,それは主に「物の名前」であって,「かぶる」をはじめとした動詞の理解は進んでいなかったのです。

 

次の日,私は保育園の担任の先生にそのことを伝えました。

担任の先生は最初,キョトンとした感じで

「H(息子)くんに“帽子をかぶって”と言うと,ちゃんとかぶってくれますよ?」と答えました。

ですが,それは単に「帽子」という言葉に反応していただけで,「かぶる」という言葉を理解はしていなかったと説明したところ,先生も納得してくれました。

そして先生と話し合い,息子に話すときに,帽子を「かぶる」とか,靴を「はく」など,動詞を強調して声をかけていくことにしました。

 

こうして家庭と保育園での声のかけ方を変えることで,「かぶる」や「はく」など日々の生活でよく使う言葉はわりとすぐに覚えてくれたのですが,息子の語彙をもっと広げていくためには,息子が何を理解していて何を理解していないかを把握することが重要であると考えました。

 

そこで私は,「うごきのことばえじてん」(絵・山崎秀昭,ひかりのくに)を参考に,子どもに知ってほしい動詞と形容詞のリストを作成して印刷し,それを私が一番よく目につく食卓の壁に貼りました。

(リストのjpegファイルを下記に貼っておきます)

私は常にこのリストを見ながら,息子が理解して使えた言葉をチェックすると同時に,息子に次に教える言葉を選ぶようにしていきました。

それぞれの言葉の利用頻度は生活スタイルに大きく依存するので,例えば川に近い新居に引っ越してからは橋をわたる機会が増えたので,「わたる」という言葉を強調するなど,言葉の選択は生活に合わせたものにしました。

一度にたくさんの言葉を教えることはしませんでしたが,保育園の先生や息子の面倒を見ることの多い祖父母にも情報共有をして,橋や道路をわたるときに「わたる」を強調して話しかけて,などのお願いをしました。

 

こんなふうにして,一語一語,地道に言葉を教え続けました。

息子の言語能力は発達検査の成績でみると飛躍的に上がることはありませんでしたが,1〜2歳遅れで成長を続けました。

 

最初のうちは一語一語を強調するというスタイルをとっていましたが,ある程度語彙が増えてくると,強調したり繰り返したりしなくても,自然な会話の中から吸収できる言葉が増えていったように思います。

例えば自分が外国語で話しかけられたときに,文章を構成する単語の9割がわからなかったら,意味もわからないし各単語も聞き取れませんが,逆に9割の単語がわかっていたら,残りの単語を文脈から推測したり聞き取ったりするのが容易になるのと同じなのかもしれません。

 

 


発達検査結果ー療育手帳から外れるー

2017-08-24 14:03:29 | 発達障害

久しぶりのブログ更新です。

 

昨日,療育手帳の再申請のため,発達検査を受けてきました。

形式は田中ビネーⅤ。

 

前回(5歳10カ月)受けたときの結果はIQ75で,その前後に受けた新版K式発達検査のDQよりもだいぶ低く出ました療育と発達検査の略歴を参照)。

その差は,新版K式発達検査を担当してくださった先生の話によると,田中ビネーは言葉で説明する問題が多いので,言葉に苦手のある息子には難しかったせいでは,とのことでした。子どもによって発達検査にも相性があるようです。

 

それから3年,いろんな面で成長した息子ですが,日本語は今も拙く,聞いたり読んだり理解はできても表出が実年齢よりも遅れており,第三者に言葉だけで何かを上手く説明するのは難しい状態です。

そんなだったので,今回の田中ビネーでどう出るか気になっていたのですが,結果は

 

IQ92(8歳2カ月)

 

前回から17ポイントアップの大成長です。

実年齢(8歳10カ月)から8カ月の遅れですが,検査では,答えはわかっていても言葉で説明ができなかったり,うまく切り替えられなかったがために落としてしまった問題もあり,実年齢と比べて知的に大きく遅れているというわけではなさそうとのこと。

ちまたでは,IQは大きくは伸びないとか,小学校に入ってからは大きく変わらないとか,ひとたび特別支援級に入ったら健常児との差が大きくなってしまう,等々聞ききますが,必ずしもそうとは限らないようです。

 

再申請した療育手帳は非該当となりました(当県ではIQ70台くらいまで)が,息子が小学校に上がってからも着々と成長してくれたことが数字として表れたようで,嬉しかったです。