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耳からバナナ

日々雑記

お帰りなさい

2015-03-29 15:12:15 | Weblog
                  ↑※本文に出て来る問題のゴス服わたくし。 


 こんにちは。
 今日は良く眠れたのでご機嫌だ。
 わたくしです。


 一昨日の金曜日又従姉妹の鈴ちゃんとお互いの誕生日プレゼントを買う為&ホワイトデーのお返しにケーキバイキングに行こう、と仙台に行った。
 前日の晩「お互い起きたらメールしよう」と約束をして。
 私は前日10時に布団に入り何とか就寝した。
 そして私に新しい朝がきた。


 3時33分に。


 頭痛を堪えながら鈴ちゃんに起床の旨メールしチャットに入って六時迄時間を潰す。
 紅茶をがぶがぶ飲みながら。
 昼食はバイキングなので何も食べれない上に何か食べると絶対に猛烈な睡魔が訪れ二度寝確実だからだ。
 楽しく6時迄チャットして「出掛ける準備をしますので落ちます」と打って「行ってらっしゃい」と暖かく送り出される。
 鈴ちゃんに「6時だよ。起きた?」とメールしてから洗顔してメイクをして服を着て髪をセットし香水を付け忘れ物はないかと何度も確認して準備万端だ。


 私はピースナウの白いシャツに白いネクタイ、エイチナオトの黒い蝶柄ボレロ、前がミニで後ろがロングになってるリボンの編み上げが付いているブラックピースナウのスカート。仕上げに黒と白のボーダーのオーバーニーソックスを履いて靴は11㎝ヒールの黒のワンストラップシューズ。バッグはエイチナオトの黒と赤のフリル付き手提げ。黒い不繊維のトートバッグ。黒い日傘。
 爪はパープル。指輪は蝶と薔薇モチーフの物を三個。ピアスは王冠とジッパーの取っ手モチーフ。髪はピンク。
 とどめに差し色の赤のフレームの伊達眼鏡を掛ける。
 早い話がゴス。
 これ以上無い、と言う位のゴシックだ。
 

「いつもカジュアルな装いの鈴ちゃんと一緒に出かけるんだから私もそうしよう❤」


 等という事は全く考えておらん。
 私は傲岸不遜なのだ。


 鈴ちゃんは6時半位に起床メールをくれ8時14分に用意が終わった事をメールしてくれた。
 船岡発9時32分の電車で行くつもりだったので居間でだらだらしていたら駅迄送って行ってくれる母が慌ただしい動きをしてる。


「お母さん、忙しいならもう行こうか?鈴ちゃんも準備終わったらしいし」
「是非そうして!!」
 母の悲鳴に後押しされ8時40分に家を出る。


 天気予報ではその日は日中18度迄気温が上がる、と予報されていたが一応これも黒い薄手のコートを着て鈴ちゃん宅に強襲揚陸しに出発する。
 事前にメールで『暑い様なら仙台駅のコインロッカーにコートぶちこもう』と打ち合わせをして。


 無事に鈴ちゃん宅に到着する。
 鈴ちゃんが出て来た。


 予想通り目に眩しい程のカジュアルな装いで。


「おはよー」
「おはようございますー」
 鈴ちゃんが車の後部座席に乗り込み母の運転するワゴンRで駅に向かう。


 着いた。
 と同時に電車も来やがった。
 間に合わない。
 二人共Suicaだから改札は潜れるが階段を上がって歩いてまた階段を下りなければいけない。
 無理だ。
 ダッシュしても絶対間に合わない。


「鈴ちゃん・・・・・・次の列車にしよう・・・・・・」
「はい・・・・・・」


 次の列車が最初から決めていた9時32分発の電車だ。
 30分程待たなければいけない。
 取り敢えず二人共Suicaにチャージをして2番線ホームの待合室に入る。


 暑い。
 

 我慢出来ずにコートを脱ぎ座る。
 木の椅子が尻の骨にダイレクトに当たって痛い。
 鈴ちゃんもコートを脱ぎ鞄に仕舞っていた。


 その鞄凄い入るな・・・・・・鈴ちゃん・・・・・・。


 そんな彼女はマスクを着けぐったりしている。
 可哀想な事に花粉症な上に睡眠不足だとかすれた声で言う。
 ぐったりしてるのに私のいつもテンションの高い傍若無人な激烈トークに付き合わせるのは可哀想なので私は貝になった。
 電車が来る10分程前に
「コート脱いだままで大丈夫か一応外出て体感温度試してくるわ」
 と、言い置きホームに出る。


 すげー暑い・・・・・・。


 とって返して待合室の鈴ちゃんに言い含める。


「大丈夫だ。コートは要らん、仙台駅のコインロッカーにぶちこもう」
「はい・・・・・・」
「あともうホームに出て並ぼう。私は座りたい」
「はい・・・・・・」


 ホームに出て列の先頭に並ぶ。
 電車はすぐ来た。
 空いていて無事二人共並んで座る。


 クッションがきいていて尻が痛くない・・・・・・。
 待合室を早めに出たのは私の尻が


『もう限界よ!木の椅子はもう限界よ!!』


 と叫んでいた為でもある。
 騙してごめん・・・・・・鈴ちゃん・・・・・・。


 鈴ちゃんは目を閉じてぐったりしているので私は何も話し掛けず大人しく電車で35分揺られていた。


 仙台に着く。
 さっさと立ち上がり電車から降りてエスカレーターに乗ろうとすると鈴ちゃんの姿が横に無い。
 慌てて振り返るとゆっくりと彼女は眠たげにやって来た。
 二人共マイペースなので気にせず合流しエスカレーターに乗る。
 改札を抜け2階のコインロッカーを探すが以前在った場所が工事中でロッカーが撤去されており
「3階のロッカーを使おう」
「はい」
 並んで3階へのエスカレーターに向かう。
「コートロッカーに入れたら七十七銀行のATMでお金下ろすから」
「はい」


 何だか体調が今ひとつの鈴ちゃんは専ら『はい』としか発言出来ない様だ。
 自分ばかりが元気で恥ずかしい・・・・・・。


 空いているロッカーが無事見つかり300円を割り勘して投入し、コートを二着ぶちこんで私は一階のATMに向かおうと歩き出す。
 そんな私を鈴ちゃんが止めた。


「○○(私の名前)ちゃん。あそこにもATMが・・・・・・」
「いやあそこの七十七銀行のATMは撤去されたんだ。1階じゃないと駄目」
「そうなの・・・・・・」
「うん」
 またエスカレーターを下り2階からもう1回エスカレーターを使い1階に降り立つ。
 てくてくと歩き無事ATMに辿り着く。
「鈴ちゃんは?お金下ろす?」
「はい」
 私が七十七銀行のATMの列に並ぶと鈴ちゃんは仙台銀行のATMの中に入って行く。


『鈴ちゃんは仙台銀行なのかー』


 と思いつつ列に並ぶ。


 遅い・・・・・・二台あるのに一台をずっと占拠している女性がいて実質一台しか稼働していない。


 思いっきり苛々しながら耐える。
 私は『列に並ぶ』という行為が大嫌いだ。
 漸くちゃんと稼働してる方のATMが空きお金を下ろす。
 出ると鈴ちゃんの姿が何処にも無い。
 

 物凄く焦ってメールしようかと思ったが堪えてATMコーナーの側に立ち鈴ちゃんを視線で探す。
 いない。
 本当に何処にもいない。
 泣きそうになった瞬間鈴ちゃんは現れた。


 七十七銀行のATMコーナーから。


 オイ!七十七も利用するなら最初からそう言ってくれよ!!
 おねいさん(鈴ちゃんは私の事を『おねいさん』と呼ぶ時がある)超焦ったよ!!


 でもそんなマイペースでスリリングな鈴ちゃんが結構好きな私は
「さぁ行こう!今日は超歩くぜ!!」
 と、宣言して駅から並んで出る。
「喉渇いたからドラッグストアで飲み物買うわ」
「うん」
 日傘をさして横断歩道の時間待ちをする。
 横断歩道を渡ればドラッグストアがすぐにある。
 信号が青になり連れ立って渡ってドラッグストアに入る。
 入ってすぐの飲料水コーナーでしばし迷ってからアクエリを選んでレジに並ぶ。
 会計を済ませて店の入り口付近を見たらまたしても鈴ちゃんの姿が無い。
 今度は冷静に振り返って会計を見たら彼女はポカリのイオンウォーターを購入していた。


 君も買うならそう言ってくれ・・・・・・花粉で頭がやられているのか鈴ちゃん・・・・・・。


 まぁ別に構わないので良い。
 並んで無言でてくてくする。


「○○ちゃん」
「なぁに?」
「下着が見たいの」
「あぁ、チュチュアンナね」
「うん」
「良いよ良いよ」


 アーケード商店街を歩く。
 チュチュアンナに辿り着き店内に入る。
 ちょっと靴下なんかを見ていたら鈴ちゃんがやって来て
「○○ちゃん。もっと先迄歩くんだよね?」
「うん。三越迄歩くよ」
「三越が何処にあるかは分からないけど帰りに寄った方が良いんじゃ・・・・・・」
 

 鈴ちゃん・・・・・・三越が何処にあるのか知らないのか・・・・・・。


「そりゃ買い物したら荷物になるから帰りに寄った方が良いよ」
「じゃあそうする・・・・・・」
「応」


 店を出てまたてくてく歩く。


「フォーラスに用があるから先ずフォーラスに寄るよ」
「フォーラスって何処ですか?」


 鈴ちゃん・・・・・・君位の年齢層をターゲットにしてるファッションビルだよ・・・・・・。


「藤崎の所を右に曲がって更に歩くの。イービーンズと同じエンドーチェーン経営のファッションビルだよ」
「そうなの・・・・・・」
「うん」


 少しずつテンションが上がってきた鈴ちゃんに安心して喋りながらフォーラス迄歩く。


「鈴ちゃんはプレゼント何が欲しいの?」
「髪留めが」
「じゃあエスパルの中とPARCOの中に大きめのアクセサリー店が入ってるからそこに帰りに行こうか」
「うん」


 途中ABCマーケットが開店大セールをやっていて鈴ちゃんが
「あ・・・・・・」
 と呟く。
「何?靴欲しいの?入る?」
「靴が欲しいんですが帰り道で買います」
「あいよ」


「はーい。ここでーす」
 無事フォーラスの扉を潜る。
「今期間限定で可愛いにゃんこモチーフのブランドが入ってるよ。目の前だからちょっと見ようか」
「はい」
 ちょこっとそのブランドを眺め『可愛い可愛い』言いながら目的の7階迄エスカレーターで上がる。
「○○ちゃん。用事って何?」
「・・・・・・アルバイトを募集しているブランドがあるんだ・・・・・・募集要項を詳しく見ようと思ってな・・・・・・」


 良い加減働きたいのだ。私だって・・・・・・。


 7階に着いて目的のブランドのアルバイト募集要項の紙を読んで携帯で写真を撮ろうとするが明るさとぼやけに負けて諦めて目を皿にして熟読して頭に叩き込む。
「さ、行こか」
 下りのエスカレーターに乗る。
 5階に着いて
「あそこにも髪留め置いてあるからちょっと見ようか」
「うん」
 5階で止まりショップに突撃する。


 う~ん・・・・・・あまり良いのが無い・・・・・・。


「鈴ちゃん。予算は三千円だからその位だったら何買っても構わないからね」
「はい」
「・・・・・・ごめん、もう1回7階行って良いかな?B級品のセールしてるんだよね・・・・・・あそこ」
「良いですよー」
 上りのエスカレーターに再び乗る


 また7階だ。
 フォーラスの7階がどんだけ好きなんだ私は・・・・・・仙台来る度寄ってるよな・・・・・・。


 お目当てのB級品セールの中に三千円で物凄い可愛い服がありじっと見詰める。
「試着してみたらどうですか?」
 鈴ちゃんの声に
「いや、この服脱ぐの面倒臭いし合わせるアンダーが無い・・・・・・。ちょっと向かいの店も見たい」
 と、いらえる。
「はい良いですよ」
 ちょこちょこと見てディスプレイされている服を指さし
「これが欲しいんだ・・・・・・でも高いんだ・・・・・・」
 と呟きまた最初の店に戻る
 とても素敵なハットがあったが合わせる服が無い上に高い。
 その時鈴ちゃんが言った。
「このハットとか鞄ってアレっぽいですよね・・・・・・」
「アレって何よ?」
「ドールが出て来る・・・・・・」
「ネイキッドエイプの『DOOL』か?」
「違くて、ほらドールが戦うアニメにもなった漫画の・・・・・・」
「あぁ『ローゼンメイデン』?」
「そうそう!!」
「確かにそうだわな。欲しいな~。服なら作れるけどハットと鞄は作れないよ・・・・・・」
 店を後にする。
 またエスカレーターで下って行くと
「○○ちゃんストップ!!」
「はぇ?」
 5階でまた止まる。
「さっきも引き止めたんですけど○○ちゃん気付かなくて・・・・・・見たい店があるんです」
「それは済まなかった・・・・・・」
 

 私は耳が悪い。
 補聴器着けても聞こえなかったらしい。
 現に今鈴ちゃんは私が肩に掛けていたトートの肩紐を掴んで止めてくれた。


 鈴ちゃんが行きたかったのは『ワールドワイドラブ』だった。
 私も好きなブランドだ。
 またしてもにゃんこモチーフの服や鞄に興味を持ったらしい。
 鈴ちゃんは猫が大好きだ。私も好きで鈴ちゃん宅の猫2匹を愛している。
 ウチでは猫は飼えないのだ。
 家の法律である祖母は猫が嫌いだ。
 よねを(父)も嫌いだ。
 よねをは犬が好きなのだが必ず外飼いでないと駄目なのだ。
 犬も好きだが家の中で飼いたいのだ!私と母は!!


「猫が欲しい・・・・・・飼いたい・・・・・・」


 と小さく呟きながら鈴ちゃんと共に店内を見る。
 鈴ちゃんは穴が空く程見てる気に入った洋服があったらしく、しばらくその服の前で立ち尽くしていた。
 私は私で気に入ったパンツが在ったのだが合わせるトップスが無い。
 すごく安くなっていたのだが堪えた。


「鈴ちゃーん。この階全部女性向けだから一巡りしようか?」
「・・・・・・はい」


 鈴ちゃんとぐるっと回る。
 その階に在ったブランド店を全部回りながら
「鈴ちゃ~ん。予算以内なら服でも良いんだぜ~プレゼント~」
「うん・・・・・・」


 そして運命のブランド店に足を踏み入れたのだ。
 私達は。


『Scolor』だ。


 物凄い可愛い動物プリントのTシャツがあって即座に手に取る。
 柄も良いのだがデザインも凝っていて前身頃と後ろ丈の長さが違うのだ。
 丁度三千円位だ。
 私も欲しいが取り敢えず鈴ちゃんに勧めてみる。


「どうよコレ!超可愛い!!」


「う~ん・・・・・・背中の所にラメ付いてるから洗濯が・・・・・・」
「手洗いすれば良いじゃん」
「う~ん・・・・・・」
 鈴ちゃんは店の中をうろつく。私も付いて行く。
 可愛い店員さんが笑顔で「いらっしゃいませ~」と控えめに声を掛けてくれる。
 鈴ちゃんはどんどん服を見ながら「このお店のロゴの女の子の絵が可愛いです・・・・・・」と呟く。
 確かに可愛い。
「高いなぁ・・・・・・」
「鈴ちゃん。私は服はヤフオクか古着屋かフォーラスのバーゲンでしか買わないよ?因みにバーゲンは8月頭と1月上旬ね」
「そうなんだ・・・・・・」
 上の空で鈴ちゃんが呟く。
 取り敢えず一旦店を出る。
 隣は『スーパーハッカ』だ。私は大好きなのでにこにこと服を見るが高いので買わない。
 フォーラスでの買い物は大体年2回の大バーゲンの時だけだ。
 スーパーハッカを出てもう一回りしたので
「じゃ、もう行く?」
 と言うと
「さっきのワールドワイドラブの服をもう1回見たい・・・・・・」
 と返ってきて仰天する。
 

 鈴ちゃんが丁度自分年代のブランドの高い服を欲しがってる・・・・・・!!
 今迄そこまで服には執着しなかった鈴ちゃんが・・・・・・!!


 私は嬉しくなり
「良いよ良いよ!!」
 とニコニコ着いて行く。
 鈴ちゃんは例の服の前で立ち止まり凝視している。
「三千円出したげるから残りの金額自分で出して買ったら?」
「う~ん。部屋着が欲しいんですよね・・・・・・」


 ワールドワイドラブは確かに部屋着にしても良いが勿体ない・・・・・・。


 溜息を吐いて出る。
「さっきの店にまた行っても良いですか?」
「あの女の子がロゴの?」
「はい」
「うん良いよ」


『Scolor』にまた向かう。


 自分が欲しい例のTシャツの前に立ち尽くし色々考える。


 普通に持ってるGUの黒のスリムパンツに合わせれば・・・・・・でもそれだけだと勿体ない・・・・・・何かなかったか・・・・・・他に何か・・・・・・


 猛烈に欲望と戦う。
 だがその日は絶対に欲しい物が在ったのだ。
 泣く泣く諦めて鈴ちゃんの所に行く。
 セール品の前で立ち尽くしている。


 染め物っぽく、独創的なデザイン(鈴ちゃんの後日譚)の服の値札を見ている。


 5900円が50%オフになっていた。


「これ・・・・・・半額だと幾ら位でしょうか・・・・・・」
「3000円位だよ」
「じゃあこれをお願いします・・・・・・!!」


 髪留めじゃなくて良いのか!?
 お洒落への新たな扉を今開くのか!?


 私はそんな新しい鈴ちゃんが誕生した瞬間に立ち会えて本当に嬉しかった。


「はいよ!!」
 彼女の手から服を引ったくり(心変わりされるのを怖れたのだ)すぐにレジに向かう。
 会計は予算通りだ。
「ありがとうございますー。こちらのビニールのショッパーもお入れしますね❤」
 店員さんの言葉に鈴ちゃんを振り返り「ショッパーもう1つくれるってよ!!」と言い私に服が入った不繊維で作られたとても可愛いピンクのショッパーを渡そうとする店員さんに


「彼女に渡して下さい」


 と、背後に立つ鈴ちゃんを示した。
 ショッパーを渡されて彼女はとても嬉しそうな、でも恥ずかしそうな顔をして


「ありがとうございます・・・・・・」


 と言ってくれた。
 私は本当に本当に嬉しかった。


「じゃ、三越行こっか!!」
「はい」
 店を出て鈴ちゃんが呟く
「ロックオンされてたみたいです・・・・・・」
「へぁ?」
「2回目に『Scolor』行った時店員さんに言われたんです」
「何て?」


「『お帰りなさい』って・・・・・・」


 私は爆笑して
「あのさー只でさえ私は今日はこんな服装だし鈴ちゃんはカジュアルだし目立ってるんだよ」
 そう、その日の私達の格好はお互いが離れすぎていて実は何カ所かで二度見されていたのだ。
「今度はバーゲンの時来ようね」
 ご機嫌で言葉を返した。
 さてエスカレータで今度は順調に1階迄下りられた。


 と、思ったらトラップ発動!!


 鈴ちゃんがまた私のトートの肩紐を掴み
「ここ寄りたい!!」
 左手にあるアナスイを指す。
「はいはいアナスイね」
 もう私は行き慣れてる店内に突撃する。
 相変わらず店内の装飾が良い。
 手鏡が欲しいのだが私は先日しまむらで一目惚れをして買ったマイメロディの鏡があるので黒い欲望は暴れ出さなかった。
 この前購入しそうになったのだ。
 危ない危ない・・・・・・。
 鈴ちゃんは店の奥に行き私は期間限定で展開されているムーミンとのコラボバッグを手に取った。
 相変わらずお高い。
 私のアナスイコレクションはトートとマニュキュア4本とハンドタオルと手袋と香水2つだ。
 手袋は薄手に見えて暖かくて良い。
 鈴ちゃんが戻ってきてアナスイを出れば今度は目の前にツモリチサト。
 入らずにはいられない!!
 私のお財布はツモリチサトだ。
 ここも猫モチーフの服がニューアライバルされていて
「うわー!可愛いー!!欲しいけど高い~・・・・・・」
 と騒ぎながら見て買わずに出る。
 漸く欲望ビルディング魔窟のフォーラスを出る。
 最初に予定していた滞在時間を大幅に過ぎていて流石に腹が減ってきた。
 だがまだまだ先が長い。とことん歩く。
 三越はまだまだだ。


「三越なんて初めてですよ・・・・・・○○ちゃん、この道の正面に見えてる大きな建物何ですか?」
「市役所じゃない?」
 良く知らないので適当に返す。
 すまん、鈴ちゃん。
 私にとっては三越の1階フロアも欲望ビルディング魔窟なので上の空なのだ。
 『市役所』なんて興味無いんだ。
 だって角田市民だから。


 途中でジブリショップの『どんぐり共和国』を見掛けたが
「入らなくて良いんですか?」
「もういい」
 三越を前にして地に足が着いていない。
 浮かんでる。
 漸く辿り着いたその日の私のお目当てショップは『シュウウエムラ』だった。
 お決まりのライオンの彫像を見て鈴ちゃんは
「ライオン!ライオン!!」
 と驚いていたがそれは全国の三越の入り口にいる狛犬みたいなもんなんだぜ鈴ちゃん。
 突入してシュウウエムラを探すが無い。
 鈴ちゃんがその場でスマホとフロアガイドを見るが矢っ張り無い・・・・・・。
「総合カウンターで訊こう・・・・・・」
 自力で探すのを諦め案内嬢のいるセーブポイントに行く。
「『シュウウエムラ』どこですか?」
 案内嬢は最高の笑顔と声音で天高く私に告げる。


「定禅寺通り店の1階になります」


 私は堕天していたのだ。
 本店と定禅寺店が別れている事を知らなかった。
 とぼとぼと隣の店舗に向かう。
 流石に足が痛い。
 だが欲しい物はもう目の前だ。
 アクエリでエネルギーチャージをして入店する。
 きょときょとと入り口付近にある花屋(私はお花が大好きだ・・・・・・)を見ながら奥に向かう。


「あった!!」


 叫んで早歩きの前屈姿勢になってクレンジングオイルの棚の前にしゃがみ込む。
 すぐに販売員のお姉さんがやって来て
「何かお探しですか?」
 と訊かれたので
「3000円位のオイルクレンジングで角栓除去力が強いのはどれですか?」
「こちらになりますね」
「鈴ちゃん、これ買って」


「えぇっ!?」


 何故そんなに驚く。
 誕生日のプレゼントで3000円位の物という条件を満たしているだろう。
 会計をして袋に入れて貰ってる時に鈴ちゃんは私に言った。


「てっきりアクシーズの手袋だと思ってました・・・・・・」


 何故(2回目)だ。
 アクシーズは仙台中心部には無い。
 長町と名取だ。
 しかももう4月も近いこの季節。
 手袋なんて何処の店も取り扱ってない。
 鈴ちゃんの思考回路はミステリアスだ。
 スリル満点で楽しい。
 鈴ちゃんも販売員のお姉さんに
「彼女に渡して下さい」
 と私を示してくれた。
「はい、こちらお品物になります」
 他のクレンジングのサンプル迄入れてくれたのに感謝する。
 

 私は戦う。
 叶姉妹(好きじゃないが)のモットー通り


 『美とは健やかな戦いである』


 と思っているからだ。
 スキンケアにザクザク金と時間を惜しみなく湯水の様に費やしている。
 だから三越の1階フロワが欲望ビルディング魔窟なのだ。
 世界中の名だたるブランドが化粧品を取り扱っているから。
 出て来られないのを避けてさっさと三越を出る。
 暑い暑い。
 コートロッカーにぶちこんできて良かった、と話しながら私は思い出す。
 欲しい本があった事を
「鈴ちゃーん」
「何ですか?」
「欲しい本があるんだ」
 来る時にあゆみブックスがあったのを思い出してそこに向かう
 カウンターに直行し
「光文社文庫の新刊は何処ですか?」
 と尋ねると無愛想な女性店員が笑顔でいらっしゃいませ、の言葉もなく
「こちらの通路を真っ直ぐに進んで頂き右手にあります」
 等とほざく。
 普通客が困ってたら探している本のタイトル訊いて売り場案内位するだろう。
 レジは2つあってもう1つのレジは稼働している。
 並ぶ客もいない時間帯。
 元書店員として叫びたい。


『もっと客を大事にしろ。例え単価が安い文庫でも店員の態度が悪ければ買う意欲を無くす』


 大きな書店の書店員だからといってそれに甘えるな。
 他で買おうかと思ったが帰りのルートには2軒しか本屋が無い。
 そしてその2軒は売り場面積が狭い。
 必然取り扱い書籍が少なくなっている。
 仕方無いのでここで買う。
 本当に嫌だったが買う。


 新刊が置いてあるエンド台を見るが目を皿にしてもお目当ての三浦しをん著『船を編む』が無い。
 鈴ちゃんにも「探して!」と頼むがエンド台には無かった。
 光文社文庫の棚の前に立ち面陳されているタイトルを総ざらいしても無い。
『平積みか?』
 と思い下を見る。
 じっくりと見る。どうしても欲しい。文庫化を三年程は待っていたのだ。


 読ませろ!!


 鬼の如き顔で(私は本と服を目の前にすると凶暴になる)探す。
 漸く大きなポップに『船を編む!文庫化!!』等と書かれているのを発見して無事手に取ってレジに向かう。
 無愛想な女性店員側のレジしか無い・・・・・・。
 本当の本当に嫌だったが文庫をカウンターに出す。
『いらっしゃいませ!』
 の一言も笑顔もなくバーコードを読み取り
「○○○円です」
 と言い勝手にカバーを掛ける。


 おい、私はカバーは要らない派だ。
 BLもカバー無しで電車で読む猛者だ。


 猛烈に腹が立ち


『ブ○で化粧が濃くてプロ意識もないんだから笑顔とカバーの有無位は訊け。何様だ』


 と思い代金を少し雑に置き普段絶対しないようにしている眉間に皺を寄せて釣り銭を待つ。
 店員はまたしても勝手に文庫をビニル袋に入れる。


 オイ、カバー掛けたら『袋にお入れ致しますか?』と訊けよ。
 カバーかけて貰ったんならもう購入した本だと分かるしレシートもあるんだぞ?
 お前に接客の心得を教えた奴は誰だ。
 私が殺してやろう。
 それとも教わったが実行していないのか?
 私が殺してやろう。


 苛々は美に悪いのだが思いっきり憎悪をこめて心の中でつばを吐きレジに背を向ける。
 鈴ちゃんを探すとすぐ近くでムックを立ち読みしていた。
『家計のやり繰り』関連で涙が出そうになる。
 苦労人だもんな、鈴ちゃん・・・・・・。


「会計終わったよ。行こう」
「はい」
 出口に向かうとまた鈴ちゃんに止められる。
 入ってすぐのフェアー台に『桜』と題された美しいピンク色の装丁の本があって、彼女はそれをパラパラ捲る。
「・・・・・・行きましょう」
 本を平積みの上に戻し店を出る。
 おそらく私はもう一生この書店には来ないだろう。
 アニメイトの店員の勤勉さと接客を見習え。
 ジュンク堂と丸善なんて本当にプロだぞ?
 この店駄目だ。
 潰れろ。
 あゆみブックスに後ろ足で砂を掛けながら来た道を戻る。
 目の前にセブンがあったので履歴書を購入した。
 直ぐに歩き出す。
 腹が減った・・・・・・。


 外はまた暑くなっていた。
 鈴ちゃんが音を上げ
「カーディガン脱ぎます」
「じゃあ、あそこのベンチで脱ごう」
 丁度あったベンチに荷物を置き鈴ちゃんはカーデを脱ぎまた鞄に入れた。
 ホント大容量な、その鞄・・・・・・私だったらカーデ腰巻きかプロデューサー羽織りにするぜ・・・・・・。
 何とか体裁を整え鈴ちゃんは歩き出す。
「私、三越迄行ったの初めてですよ。高校の時初めて仙台にAと来てディズニーストア迄なら行きましたが」
「マジで!?高校生で初めて仙台行ったの!?」
 仰天する。
 私は中学生の時から月1で必ず仙台に来ていた。
 鈴ちゃん、箱入り娘か?
 途中で大きな靴屋があったので
「鈴ちゃん。ここも靴屋だよ」
 教えると
「入ります」
 店内に突入してゆく。
『ABCマーケットはいいのだろうか・・・・・・』と思いつつ付き合って靴を見る。
「歩きやすい靴が欲しいんですよね・・・・・・」
「スニーカーか?あっちだ」
 スニーカーコーナーには鈴ちゃんの気に入る靴が無かったらしく私はカジュアル路線の靴が置かれた場所に鈴ちゃんを引き摺って行く。
「これなんか可愛いんじゃない?」
 緑色のエスパドリーユを手に取る。
「えーっと・・・・・・サイズがLですね。Mが欲しいんです」
「店員さんに言ってサイズ出して貰いなさい。私疲れたからあそこのソファーに座ってるから」
「はい」
 

 11㎝ヒールは伊達じゃない。
 人魚姫の足になってきている。


 ぼーっとしながら香水を付け直して背中をソファの背に預ける。
 鈴ちゃんの靴選びは難航している様だ。何足も履いている。
 そうこうしている内に私の隣に真っ赤な上着を纏ったマダムが座った。
 横目で観察していたらマダムはスマホを取り出し優雅に画面をタッチしている。


 私はまだガラケーなのに!!
 そしてマダム!貴女この店の雰囲気にそぐわないファッション!!
 でもそれは私も同じ・・・・・・!!


 鈴ちゃんが紺のエスパドリーユを手にして
「これにします。Mサイズ出して来て貰います」
「応」
 また待つ。
 何故か異様に待たされた。
 メイク治しが出来る位待たされたがこんな場所でメイク治しをする程女を捨てていないので取り敢えずタオルハンカチで皮膚を押さえてテカリを取る。
 待つのに飽きた所で鈴ちゃんが購入した靴を箱ごとショッパーに入れて現れたので立ち上がる。
「次はマツキヨに寄るよー」
「はーい」
 鈴ちゃんはご機嫌な様だ。
 勿論私もご機嫌だ。
 ショッピングは大好きだ。
 自分のも他人のも見るのが好きだ。
「あぁっ!!」
 鈴ちゃんの奇声に驚いて
「ど、どしたの?」
 と訊くと
「ABCマーケットこっちだったんだ!!」
 鈴ちゃんは先程の店をABCマーケットだと思い込んでいた様子だ。
「良いよ良いよ。入ろうよ」
 ずかずかと店内に入り「私あそこに座ってるから」と椅子を指し示す。
 靴屋は椅子が一杯あって良い。
 どっかりと腰掛けていたら直ぐに鈴ちゃんが戻ってきた。
「もう良いの?」
「はい・・・・・・」
 店を出る。
「良い靴が無かったのか?」
「いや、そうじゃなくて・・・・・・他店のショッパー持ってるから試し履きして買わなかったら顰蹙受けそうで・・・・・・」
「店員さん気にしないよ~お客様は神様よ~」
 接客業だった私は鈴ちゃんに軽く言葉を返してそこにあったツルハドラッグに気付く
「ここ確かキャンメイク入ってたよね・・・・・・」
「入ってますよ」
「欲しい物がある。入ろう」
「はい」
 奥のコスメコーナーに突撃してキャンメイクのキャンディラップリップ01を探して即買いする。
 鈴ちゃんは私の会計が終わるのを今度は待ってくれていた。
 ありがとう。
「マツキヨ~マツキヨ~」
 ピヨピヨ鳴きながら進む。
 マツキヨに着いた。
 入り口付近のヘアケアコーナーをなぎ倒しながら2階へと上がる階段をスカートの後ろを手で掴み上げて上り中2階で足を止めて商品を探す。


 オバジC10の40㎜ℓを手に取る。
 税抜きで4000円もしやがる。
 だからフォーラスであのTシャツを買わなかったのだ。
 2階の会計に直ぐに向かいさっさと買う。
 鈴ちゃんを探すとコスメコーナーにいた。
 私に気付き手を『おいでおいで』のゼスチャーにしているので向かう。
「どした」
「あの・・・・・・眉毛描くやつ何て言いましたっけ?」
「・・・・・・あぁ、アイブロウ」
「これそうですよね」
 彼女が示したのはペンシルタイプのアイブロウと眉毛マスカラを一本にしたものだった。
「うん、そう」
「どうやって使うんですか?」
「どうやってって・・・・・・そこに書いてある様に先にペンシルで眉毛描いてその後眉マスカラで発色させるんだよ」
「・・・・・・良く分からないから良いや」


 うーん。
 鈴ちゃんは眉毛が短い上に薄いのでアイブロウは買った方が良いと思うんだがな・・・・・・。


 またスカートの後ろを持ち上げ階段を下りる。
 漸く入手したオバジに満足している。
 効くのだコレが。
 C20にするともっと高い上に冷蔵庫で保存しないといけないので面倒臭いからC10にしている。


「さささ、次はチュチュアンナだ!!」
 相変わらず道ゆく人に二度見されつつ前進する。
 途中で鈴ちゃんが
「○○ちゃん!見て!!あの2階の店!!」
 教えてくれたので見る。


 見た事も聞いた事も無いゴスロリ服屋があった・・・・・・。
「寄りますか?」
「いや、いい。また仙台来た時に1人で行く」
「何でー」
「面倒臭い。腹減った」
 子供が1人いるな・・・・・・。


 チュチュアンナに着いて鈴ちゃんは靴下を見て、下着も見ていた。
「安いのは無いんですかね」
「季節の変わり目だね。底値の1000円セットは」
「うむー」
「今一番安いのはこれだ、1330円セット」
「何色が良いかな」
「私はピンク推し」
「・・・・・・水色が良いなぁ」
「水色も綺麗だよな」
「試着した方が良いよね」
「当然だ」
 鈴ちゃんは下着を持ち店員さんと共に試着室に消えた。
 この店には全身が映る鏡がいくつもある。
 1枚の鏡の前に立ち、顔がテカっていたのでまたタオルハンカチで押さえる。
 己の足を見て
『良し、今日も細い。むくんでない。毎晩の激痛リンパ線マッサージの賜物だな』
 と合格点を自分で出すあほ。
 それが私だ。
 ナルシストになっていたら鈴ちゃんが試着室から出て来て下着一組と靴下二足をショッピングバッグに入れていた。
「それにするの?」
「うん、もう1つ試着したんだけどそっちはちょっと気に入らなくて」
「ふむふむ」
 レジで会計をする鈴ちゃんを出口で待つ。
 腹が限界迄減っている。
 一刻も早く何か食べなければ機嫌が悪くなってしまう。
 無事会計を終わらせた鈴ちゃんがやって来て今度こそPARCOに向かう。
 目的はスイーツパラダイスだ。
 80分でケーキとパスタとカレーとアイスが食べ放題で1人1580円。
 鈴ちゃんはバレンタインデーに我が家にチョコレートをくれたので少し遅いがホワイトデーのお返しだ。
 足の痛みに耐えながらPARCOの8階にエスカレーターで上がりスイパラを見ると長蛇の列だ。
 並ぶのが大嫌いな私はすぐに


「9階のイタ飯屋に行こう。私はパスタが食べたい」


 と告げる。
 鈴ちゃんは快諾してくれエスカレーターでもう1階上がる。


「ちょっとトイレに行ってきます」
「はいはい」


 雪隠に行く鈴ちゃんを見送りイタ飯屋のメニューを凝視する。
『バイキングセット』がある。
 パスタかピザを選んで飲み物が飲み放題、軽食が食べ放題。
『これだな』
 と決めて鈴ちゃんを待つ。
 ・・・・・・長い。
 混んでいるのか、鈴ちゃんの尿が止まることを知らないのか、またあほな事を考えじっと待つ。
 ようやっとやって来た彼女を店に引きずり込む。
 席に案内され
「バイキングセットにするよ。ほら、パスタかピザ選んで」
「はい」
「私明太子クリームパスタな」
「・・・・・・じゃあ私はこの和風パスタを」
「すいませーん!」
 即座にオーダーする。
 もう腹は限界迄空いている。
 軽食コーナーに向かいグラタンとポテトサラダを大量に取り席に戻る。
「○○ちゃん。ポテトサラダ大量だね・・・・・・」
「好物だからな。飲み物取って来て良いか?」
「はい。待ってます」
 優しい鈴ちゃんの好意に甘えて自分の食事を先に獲得しようとする大人げない私・・・・・・。
 いつもごめん・・・・・・。
 オレンジジュースをピッチャーからコップに注ぎストローをさして席に戻る。
「さ、いってらっしゃい鈴ちゃん」
「はーい」
 鈴ちゃんの背中を見ながらウエットティッシュで手を拭き先に食べ始めるやはり大人げない私・・・・・・。
 鈴ちゃんはお茶(何の茶かは訊かなかったので分からない)と軽食を持って来た。
 大量にガツガツ喰ってる私よりはるかに少ない量の軽食を持って来て
「あぁ・・・・・・お箸が要りますね。取って来ます」
 また軽食コーナーに行った。
 鈴ちゃんのお皿の上には私が悩んで取って来なかった春雨のサラダがあった。
 戻って来た鈴ちゃんが春雨のサラダを食べている時に
「鈴ちゃん。それ美味しい?」
 尋ねる。
「美味しいですよ」
「じゃあ喰おう」
「・・・・・・私、実験台?」
「ふんふふ~ん♪」
 誤魔化して席を立つ。
 フォカッチャと肉団子とマリネと春雨のサラダを取ってもう1回オレンジジュースを注ぎ席に戻る。
 がっついて喰っていたらパスタが来た。
 猛烈な勢いで食べ終える。
 もう満腹だ。
 満足だ。
 最後にピーチティーが飲みたくなりドリンクバーコーナーに行くとピーチティーは残り僅かだった。
 グラス半分程で良いので丁度良かったなぁ・・・・・・と思って注いだらカウンターの向こうのお兄さんが


「お客様、お注ぎ致しますよ」


 と、素敵な笑顔で手を差し伸べてくれた。
 かなり好みのタイプのお兄さんだったので『もう要りません』とは言えず
「はい・・・・・・」
 グラスを差し出してしまった!!
 満杯になったグラスを持って席に戻るとこれまた満腹で動かない鈴ちゃんが私に訊いてくる
「○○ちゃん、それ何?」
「ピーチティー・・・・・・」
「え?桃嫌いだったよね?」
「うん、嫌い。でも紅茶にすれば飲めるんだ。私紅茶大好きだから」
「そうなの」
 大量のピーチティーに苦しむ私を見て不思議そうに
「何でそんなに満杯で持ってきたんですか?」
 痛い所を突かれる。
「いや、ちょうどピッチャーの残りが良い塩梅に残ってて全部注いだらカウンター向こうの店員さんに更に注がれた・・・・・・」
「・・・・・・私が残り飲んであげましょうか?」
「・・・・・・ごめん。お願い・・・・・・」
 鈴ちゃんはグラス半分に残ってたピーチティーを15秒程で一気呵成に飲んだ。
 本当に15秒位だった。
 誇張では無く。本当です・・・・・・。
「さて、行くか。エスパルのマリクワに用がある。今日は私の奢りね、ホワイトデーのお返しだから」
「ありがとうございます」
 キャッシャーに向かうと先程のお兄さんがレジにいた。
 その時私は発見した。


 奥にちんまりと置かれたソフトクリームのコーナーを・・・・・・。


「しまった!アイスがあったのか!!」
 遠慮無く叫ぶとお兄さんは
「食べて行かれますか?」
 と笑顔で訊いてくれたがもう満腹なので
「いえ、良いです」
 断って会計を済ませエスカレーターに乗る。
 エスカレーターは何故か下から温風が吹き上げてきて私のスカートを吹き上げる。
 ラインの綺麗なスカートなのでまるでゲーム・FFシリーズのCGみたいになる。
「何だこの風は・・・・・・」
「スカート凄いですね・・・・・・」
 2階迄下りてペデストリアンデッキに出て仙台駅の中に入ってそのままエスパルに入店する。
 またエスカレーターでエスパル3階に上がりマリクワに到着する。
 スキンケアラインの棚を見るが目的のブツが無い。
 しょうがないので販売員のお姉さんに訊く。
「すいません。ポアクリアキットありませんか?」
「申し訳ありません。売り切れでございます」
「そうですか」
 諦めて潔く店を出る。
 鈴ちゃんは待っていてくれた。
 エスカレーターで下りながら私はこれ以上恥辱的な行為は絶対無い、というお願いを鈴ちゃんにした。


「鈴ちゃん・・・・・・デジカメで全身写真どっかで撮ってくれ・・・・・・」


「何で!?」
「バイトの募集に全身写真も必要なんだ・・・・・・流石アパレルだよな・・・・・・」
 ニヒルに笑う。
 そんな私に鈴ちゃんはガッツで応えてくれた
「分かりました」


 ありがとう!
 本当にありがとう鈴ちゃん!!
 でもなるべく人気の無い所で撮って下さいね・・・・・・!!


 最初から東口にあるヨドバシカメラに用があった私達はとことこ改装中の仙台駅の連絡通路を歩いてヨドバシカメラの駐車場を右手に見た。


「・・・・・・」
「・・・・・・」


 人気が少ない。


「鈴ちゃん・・・・・ここで撮ろう」
「そうですね」


 階段を下りる。
 写真の事で頭が一杯になっていた私は普通に階段を下りてしまい
「スカート汚れますよ!」
 鈴ちゃんの声に慌てて後ろを引き上げる。
 年上なのにいつも面倒見てくれてありがとう・・・・・・。
 お家に遊びに行って2時間爆睡しても怒らないでいてくれて本当にありがとう・・・・・・(何の為に遊びに行っているんだ)。


 さて、階段を下りきって私はキョロキョロした。
 人通りが少ないと思われる陰に入り込みデジカメを取り出す。


「3枚程撮ってくれ」
「ここで良いの!?」
「うん」


 元コスプレイヤーの私は写真を撮られる事に慣れきっている。
 しっかりポージングして撮って貰った。


「ありがとう!じゃヨドバシ行くか!!」


 エスカレーターに乗りヨドバシの3階に向かう。
 鈴ちゃんの用事はゲーム。
 私の用事は今撮った写真の現像と履歴書に貼り付ける証明写真撮りだ。


 エントランスのフロア案内を鈴ちゃんが見ている時に写真のプリントアウト機を見つけた私は即座にその前に陣取った。
 デジカメからSDを引き出し、鈴ちゃんと共に画面を見ながらプリントアウトを無事終わらせる。


「じゃ、ゲームコーナー行こうか。2階だよね」
「はい」


 ゲームコーナーに辿り着くと鈴ちゃんはお目当ての携帯ゲーム機の前で立ち止まって熱心に見てる。
 その隙に店員さんと「証明写真どこで撮れますか?」「1階出口でございます」「ありがとうございました」淀みなく会話して鈴ちゃんの所に急いで戻る。
 鈴ちゃんはまだゲーム機を見ていた。
「何を悩んでいるの?」
「小さいのを買うか大きいのを買うか・・・・・・」
「値段3000円位しか違わないじゃん。『大は小を兼ねる』で私なら大きい方にするよ」
「でも画面が引き延ばしとかされたら・・・・・・」
「あぁ、それは困るね」
「大きい方なら大河原のブックオフで中古があったんですけど・・・・・・」
「じゃあそっちで買えば良いじゃん」
 ゲームは好きだが未だにプレステでサガフロをやり続けている私は気楽なものだ。
 鈴ちゃんの懊悩が分からない。
 彼女は本当に熱心にサンプルを触ってボタン等の感触迄確かめている。
「ん、もう良いです。次は何処ですか?」
「1階。出口付近」
「分かりました」


 途中迷ったがまた店員さんに順路を教えて貰い順調に証明写真機に辿り着く。
 順路にTIFFANYの腕時計とかあって物凄く欲しいのだがそれどころじゃないので素通りする。


 そんな私の欲望も知らず無垢な鈴ちゃんは
「この辺で待ってます」
 と言ってくれて助かった・・・・・・もう足の痛みが限界で無駄に歩く事は許されなかったのだ。
 さっさと証明写真を撮って出ると鈴ちゃんはすぐそこにいた。
「帰ろ」
「はい」
「コート忘れずに取って行かないとね」
 横断歩道を渡りまたエスカレーターに乗って駅ナカに入る。
 ぼーっと改札に向かおうとする私に鈴ちゃんの


「○○ちゃんコート!!」


 と悲鳴が上げられる。
 危ない・・・・・・さっき自分で言った事忘れてる・・・・・・。
 いくら疲れたからって・・・・・・。
 鈴ちゃんがいて良かった・・・・・・。


 3階のコインロッカーに向かいコートを無事回収する。
 コートを手に提げ今度こそ2階の改札に向かおうとする私を鈴ちゃんが
「待って!」
 と、止めて新幹線の改札南口前の手すりに鞄を乗せてゴソゴソと何かを探して取り出す。
「○○ちゃん。ちょっとこれ持ってて」


 青い小さなビニル地だ。


 鈴ちゃんは靴やコートを持ち直して私の手に在ったビニル地の物体を開く。


 超でかいバッグになった・・・・・・。


「凄いなソレ」
「でしょ?」
 荷物をどんどん入れてゆく。
「うん。行こう」
 大きなバッグを抱えて鈴ちゃんが言うので2階正面改札に向かう。
 東北本線上りは5時1分発だった。
 20分位時間がある。余裕だ。
 改札を抜けて5番線ホームに降り立つとまだ人はそんなに並んでいなかった。
 『今日は絶対座りたい!座れなかったら死ぬ!!』と思っていた私は安堵する。
 二人共疲れと荷物の重さにぼーっとして話もせずに立ち尽くす。
 電車が来たので乗り込む。
 私は母に『5時35分に船岡駅に着きます。宜しくお願いします』とメールを打ち、鈴ちゃんはお兄さんに『今から帰る。疲れた・・・・・・』みたいなメールを送信したらしい。
 お兄さんから返ってきたメールに何故か鈴ちゃんは瞠目して私にそのメールを見せてくれた。
 そこには・・・・・・


『つ、強い。強すぎる!とりあえず最強の持ちキャラで待ってる』


 謎のメールが届いていた。
 私も瞠目する。


「●●(鈴ちゃんのお兄さんの名前)君は何を待ってるの・・・・・・?」
「分かりません・・・・・・多分誰かと間違えたのではないかと・・・・・・」
 鈴ちゃんがまた●●君にメールをした。
 返信が来たらしい。
「矢っ張り誰かと間違えたみたいです。あの冷静な兄さんが間違えるなんて・・・・・・」
「んだな・・・・・・あのいつも冷静な●●君がな・・・・・・」
 後は無言で電車に揺られる。
 鈴ちゃんは朝と同じく目を瞑っている。
 また電車に35分揺られ船岡駅に到着してホームに出る。
 私は私の前を歩く女性の足に目が釘付けになった。


 ピンクの膝丈スカートの下からまぐろの様にぶっとい足が見えてしかも履いてる靴が異様に小さい。
 ふくらはぎの物凄い太さと小さすぎる靴の対比が強烈なのだ。


 私の目線が何処にあるか気付いた鈴ちゃんが


「こら!○○ちゃん!!そんなに見ないの!!」
「いや、アレすげぇよ。今迄見た足の中ではダントツだね」
「聞こえるって」
「聞こえねーよ。鈴ちゃん『マヌケの小足』って知ってるか?」
「こらー!!」


 怒られながら改札を抜けて駅から出、母の車を探す。
 無い。
 ちょっと不安になったが30秒程で母の車はやって来た。
「ただいまー」
 と二人共乗り込む。
 鈴ちゃん宅に向かい無事送り届け私達も自宅に帰る。
 漸くヒールから解放された足にマイメロディのスリッパを履き自室に戻る。
 鈴ちゃんに撮って貰った全身写真を携帯で写メにし友人のじゅうん(仮名)に


『ただいま~。今日はこんな格好で行ってきたよー』


 と写メ添付にして送信する。
 返信はすぐ来た。


『派手だねー!!』


 そうだよ派手だよ~♪


 取り敢えず楽しかったので良かった。


 街行く人々の視線が痛い格好のアンバランスな2人だったがな。






※カレー喰ってる人は読まないでください

2015-03-23 04:39:47 | Weblog
 おはようございます。
 目が痛くて目薬をさそうと思ったら眼鏡を掛けたままでさそうとしてた。
 落ち着いて眼鏡を外す。
 ピンチに直面しても最早動揺しない。
 わたくしです。


 祖父が1月から倒れ救急車を呼んでばかりだ。


 1回目は夜危険だと己で感じたらしく自発的に呼んだ。
 1ヶ月入院。


 2回目は畑で倒れ救急車を母が呼んだ。
 オムツを取り替えただけで帰ってきた。

 
 問題は3回目だ。
 祖父は下剤を飲んでいる。
 トイレで用を足してる時に倒れやがった・・・・・・。
 私は鈴ちゃんの家に遊びに行ってて、帰ってきたら


『じぃちゃんが倒れたので病院に行きます』


 と、母の書き置きがポツンとテーブルの上に置かれていた。
 メールする。


『じぃちゃん大丈夫?』


 返信はすぐきたが内容に頭を抱える。


『もう充電切れるから』


 あのな、また天然なのは分かるがな・・・・・・その文章返信してくれるなら


『大丈夫』
『駄目』


 この二択で良いだろ・・・・・・。


 肩を落として手を洗いに洗面所に行く。


「?」


 何だろう。床に乱雑にマットや便座カバーが置いてある。
 不思議に思いながらそれを避けて洗面台で手を洗う。
 車で母が帰って来た。


「じいちゃんどう?」
「またICUよ」
「はぁ・・・・・・それはまたまた・・・・・・香ばしい・・・・・・」


 母が鬼の敵を討つ様な面相でトイレの床を雑巾がけしてる。


「どうしたの」
「どうしたもこうしたもないわ。じぃちゃんが下痢のう○こ吹き出しながらトイレで倒れたのよ!!」


 あわわわわわ!!


 度肝を抜かれた私は立ち尽くす。
 母は床を拭き終わると洗面所に消えていった。
 すぐに何かを掴んで戻って来る。
 トイレマットだ。
 母はそれを憎々しげに祖母のオムツ捨て専用のゴミ箱にブチこむ。
 一瞬だが見てしまった。


 トイレマットは広範囲にわたって汚染されていた。
 ゾッとする。


「救急車呼んだら『何で呼ぶんだ!!』って言ってたのよ!」


 まぁ、普通大便にまみれてトイレで倒れたら救急車呼ぶわな。
 それは逆ギレだわな。
 いつも逆ギレしてるもんな、あの人。


 取り敢えず2月20日退院予定で入院。
 母と父は私の知らぬ水面下で色々やっていた。
 祖父は結局、家から一番近い病院に転院になった。
 糖尿と心不全で何回も倒れられてはこちらも困る。


 おそらく 祖父は もう 家に 帰って 来られない だろう。


 家は祖母の介護に母と娘で手一杯なのだ。
 いきなり真夜中に


「○○○(母の名)!○○○!!サイダー飲みたいんだ!!」


 と、超が付く程くだらない用件で母を叩き起こした男の面倒はもうみれん。
 母がもう祖母の世話だけで精神耗弱状態になっている。


 まぁ、今日天気が良かったら祖父のお見舞いにチャリに乗って行こうと思う。
 差し入れは異常に暑がりな祖父の為に団扇だ。
 甘い物も果物も糖尿の祖父に与えたら天国直行コースだ。


 しかしなぁ・・・・・・気になるんだが・・・・・・


 祖父はう○こまみれの洋服で搬送されたのか?


 真実はいつも1つ!


 でも怖くて母に訊けないわ!!
 


 

流れ流れてコスメ旅

2015-02-12 20:44:27 | Weblog
 こんばんは。
「リラックスゆたぽん」で肩を温めながら打っている。
 温かくてとても気持ち良い。
 わたくしです。


 今、少し嫌な事態に直面している。
 個人的な話なので余り詳しくは語りたくない。
 家でぽつんとしていると涙が出て来るので今日は自転車で隣町迄行った。
 私はストレスが高じると服やコスメを買う。
 世の中にはストレスがかかるとやけ食いをする人がいる、と知った時私はとても驚いた。
 何で?食欲なんか無くなるよ?


 母に「1時迄には帰って来るから」と伝えて家を出る。
 大きな山を越えないと隣町には行けないので急な斜面に差し掛かると自転車を押して歩く。
 下り坂は


「ひゃっほう!!」


 と、誰もいなければ叫びながら下る。


 何歳だ、私は・・・。


 先ず郵便局に寄ってヤフオクの振込を済ませ笑顔でドラッグストア二軒に向かう。
 コスメは、大好きだ。


 ツルハでファシオが全品20%引きになっていたのでAmazonしてしまった自分を少し責めつつオレンジのチークとブラウンのマスカラとベージュのアイシャドウを手に取る。
 今年の春はベージュ主体にピンクのリップでいこうと決めている。
 マジョマジョでまたペンシルアイライナーを一本手に取る。全色集める気だ。プチプラなので嬉しい。
 マニキュアを見るが私はもう大量のマニキュアを持っているので諦める。
 カゴも持たずごそごそと移動する。万引きと間違えられかねない。カゴを使えよ・・・。
 度無しのカラコンがあるので驚愕する。
 目を大きく見せる為なら目が悪くなくてもコンタクトするのか!?
 いや、私も次にコンタクトを買う時はデカ目に見せるのを買おうと思っているがな!!
 恥ずかしいが告白してみた・・・。
 だって先に宣告しておかないと友人に会った時に驚かれるだろうからさ・・・ね?(なーにが「ね?」だ。何が)


 他のブランドに心惹かれつつもレジに向かう。
 ドラッグストアは誘惑が多い。
 

 ツルハを出てカワチに向かう。
 カワチもファシオが全品20%引きになっていた。


 張り合ってんのか?
 価格競争か?
 もっと安くしてくれても良いぜ?


 カワチは・・・カワチは・・・オーブが全品30%引きだった!!


 思いっきり足下をすくわれリップを手に取る。
 勿論菅野美穂がCMで宣伝していた色だ。もう一本しか残っていなかった。
 眉根を寄せて立ちすくむ。
 物凄く欲しい。


 買っちゃった✿


 わーいわーいと喜びながら洗顔料のコーナーに向かう。
 ビオレのホイップクリームの新商品が欲しかったのだ。
 今使ってる「パパウォッシュ・デラ」はとても良いのだが高い・・・4000円位する。
 ホイップクリームは詰め替え用も売っていたので私は英断した。
 

 中学生以来だがビオレを使う・・・!!


 自分でネットで泡立たせるのも手間だしさ(勿論言い訳だ)。


 ふと時間を見るともう12時半を切っている。


 ヤバイ!!


 大慌てで帰宅した。
 家に着くと祖母の介護ケアさんと母がいた。
 ケアさんに挨拶をして手を洗いに洗面所に向かう。
 ちょっと疲れていたのでぼーっとしていたらケアさんも手を洗いに来たので慌てて洗面台を譲る。


「どこかに行ってたんですかー?」
「はい、大河原迄」
「自転車で!?」
「・・・はい」
「何を買いに?」
「コスメが欲しくて・・・」
「あぁ、まだお若いですもんね」


 いや、結構歳はくってる。


 だが「若い」と言われ良い気になってるのも確かだ。


 自戒しろ、私よ。


 ストレスはまだあるがずいぶん楽になった。


 目指せ!春美人!!


 でも美人は「ひゃっほう!!」とか言わないぜ!!

私の一日

2015-02-11 20:37:32 | Weblog
 こんばんは。
 灯りはアロマポットのみでブログを打っている。
 オイルはお気に入りのグレープフルーツだ。
 心地よい闇に包まれながら今晩はお送りします。
 わたくしです。


 私の一日は前日余程夜更かししない限り午前八時から始まる。
 抱いて寝ているぬいぐるみを定位置に戻し伸びをしながらビタミン剤と朝食前の薬を飲む。
 半分寝ている状態でパジャマを着たまま居間に行き、母に「おはよう」と挨拶をする。
 朝日が強くて自分の座る位置に当たっている場合、直ぐにカーテンを引く。
 紅茶のティスティングセットを一客取り出し計量スプーンで1人分の葉をポットに入れる。
 最近のお気に入りはゆうなぎに貰ったさくらんぼの紅茶だ。
 とても美味しい。
 紅茶が出来るまでかかとにクリームを塗る。
 夏になるとサンダルを履くので今からかかとのケアをしている。
 だってどんなに可愛いサンダルを履いていてもかかとが汚ければ台無しだ。
 女としてそれは避けたい。
 クリームを両方塗り終わって紅茶をカップに注ぐ。
 ここら辺でもまだ私の頭は眠っている。


 今日のあの夢はどんな意味があったんだろうか。
 どうしてあの人は私にあんな事を言ったのだろうか。


 漠然と考えながら今日の新聞を読み始める。
 紅茶をお代わりしつつ読む。
 テレビを見ない生活なので新聞はなるべく読む事にしている。
 痛ましい事件や笑ってしまうコラム等を読みながら二杯目の紅茶を飲み終える。
 スーパーのチラシもチェックして今日は何をしようかと考えながらもう一杯だけ紅茶を淹れる。
 紅茶は一回の葉で三杯迄、と決めている。
 それ以上飲むと味が薄くなるからだ。


 ようやく頭が冴えてきて携帯を取り出してメールのチェックをする。
 大好きな友達からメールがきていたりするとにこにこしながら返信して、もう一回伸びをする。


 さぁ、着替えて顔を洗って歯を磨いて家事だ。
 今日は大好きなピンクハウスの赤いロングスカートとアクシーズの白いニットにピースナウのくまの耳としっぽが付いたもこもこのパーカーを着た。
 好きな服を着ているとそれだけで何でも嬉しい。
 エプロンをして食器を全部洗う。
 洗い終わったら綺麗に拭いて全部しまう。
 もう10時だ。
 寝たきりの祖母の所に行っておはようの挨拶をする。
 彼女は全く耳が聞こえないが顔を緩めて「おはよう」と返してくれる。
 私の大切な人だ。


 居間に戻り洗い物はもうないかもう一度見る。
 なければ一旦自室に戻り本を一冊だけ持ってまた居間に戻る。
 母は今入院している祖父の見舞いに出掛けた後なので祖母が私を呼ぶ迄読書をする。
 呼ばれてオムツの交換をしたりコーヒーを持って行ったりしつつ母の帰りを待つ。


 昼時になると余程の事がない限り母は祖母の昼食を作る為帰ってくる。
 そうでない場合は私が台所に立ち昼食を作る。
 作ったら祖母の元に向かいオムツを交換してから電動ベッドで祖母の上半身を起こしテレビを付けて一緒にいる。
 祖母は私が何を作っても「美味い、美味い」と食べてくれる。
 食欲はあるので私も嬉しい。
 私はほとんど昼食を摂らない。
 誰かの為に作るのは良いが、自分だけの為に何かを作るのはひどく億劫なのだ。
 祖母が食べ終わると食器をシンクに置きに行き彼女が「ベッドを倒してくれ」という迄一緒にテレビを観る。
 ベッドを倒したら食器をまた全て洗う。
 

 ここで私の午前中は終わる。
 バスルームに向かい前日の残り湯を落とす。
 バスタブが空になる迄読書をする。
 時間を見計らってバスルームに行きスポンジと洗剤で綺麗にバスタブを洗う用意をする。
 昨日は入浴剤を入れすぎてしまった様だ。バスタブの底に滑る汚れが残っている。
 シャワーを冷水にして、ざっとバスタブを流してからスポンジに洗剤の泡を含ませて磨いてゆく。
 時々泡で滑って物音を立てると母が心配してやってくるので慎重に済ませる。
 終わったらまた冷水のシャワーで泡を流す。
 最近泡が排水口に入っていくのが遅いので『そろそろ排水口用の洗剤を使おう』と毎日思いつつ面倒なのでどうも先送りにしてしまうきらいがある。
 ちょっと読書をしているともう3時だ。
 祖母のコーヒータイムだ。
 コーヒーを作って祖母の大好きな冷凍たこ焼きをレンジで解凍してソースとマヨネーズをかけて持って行く。
 またオムツ交換をしてから祖母のおやつに付き合う。
 テレビは付いているが私は観ずに『せんせい』を使い祖母に筆談をする。
「どうしてあの人はこうなの?」
「この前○○君(弟)がね・・・」
 祖母はお喋りが大好きだ。
「(ベッドを)倒してくれ」
 と、言われる迄祖母にくっついている。
 おやつのお皿を洗い、その他に出た母の食べた後の食器も片付け料理をする母の後ろ姿を見ながら読書をする。
 時々
「何か作って」
 と言われると私も台所に立つ。
 5時になると私はお風呂の給湯ボタンを押す。
 15分位でお湯がたまるので
「お風呂に入ってきます」
 と母に告げてバスルームに向かう。
 化粧をしていない日でもクレンジングオイルで顔を洗って服を脱ぐ。
 先にシャワーで自分の身体を流す。
 鏡にうつる自分の姿に少しお腹が出て来たから早く便通がこないと困ったな・・・と思いつつバスタブに入る。
 とても熱い。
 入浴剤を入れる。父の好きな『ヒノキの湯』だ。
 よく足でかき混ぜてからゆっくりと肩迄浸かる。
 両足のリンパ線マッサージをじっくりすると汗がもう出てくる。
 上がって髪を洗う。鈴ちゃんに貰った『いち髪』だ。良い匂いで気に入ってる。
 洗い終えたらタオルで頭を巻きまたバスタブに浸かる。
 今度は腕のリンパ線マッサージだ。じっくりと行う。
 終わったらまた上がり今度は身体を洗う。
 ナイーヴの桃が好きで何年も使ってる。泡立ちが良い。ボディタオルは『ボディショップ』のタオルだ。
 大好きなピンク色を選んでこれも何年も使ってて、破けてきたりすると通院日にパルコに行って買う。
 優しい感触が気に入ってる。
 足の指の間迄綺麗に洗ってもう一回だけバスタブに入る。
 何も考えずに顎まで浸かって暖まってから上がる。
 身体は浴室で拭く事にしている。父の教えだ。
 洗面所に上がり下着を身に着け防寒対策の腹巻きや毛糸のパンツ、レッグウォーマー迄パジャマの上から身に着ける。
 靴下の中にはかかと専用の美容靴下を履く。
 ルームシューズを履いてスキンケアをする。
 今はノエビアのホワイトコラーゲンゲルを使っている。
 掌で良く温めてから顔に塗布する。優しく優しく。
 それが終わったら恐怖の顔のリンパ線マッサージだ。朝もやるのだが兎に角痛い。
 半泣きで毎日やってる。
 どんなにスキンケアをしても赤ニキビと白ニキビが消えないので次の通院日に美容外科も併設してる皮膚科に行く事にした。最後は医者頼みだ。
 髪を乾かしながらこれも次の通院日に行く刈り過ぎの理容室に早く行きたい、と切に思う。
 今度はベイビィピンクに染めて貰う予定だ。髪は少し伸ばしたいのでよく相談しようと思う。
 ブローが終わると自室に戻りビタミン剤と食前の薬を飲んで目元用の美容クリームを塗る。これが無くなったら他社のクリームに変えてみようと思う。
 居間に戻り夕食を摂る。
 私は挽肉以外の肉が食べられないので、ほぼベジタリアンだ。お味噌汁は必ず飲む事にしている。
 食事が終わったらまた食器の後片付けだ。
 日によって量は変わるのだが、今は祖父が入院しているのでとても少ない。
 あっという間に片付けて歯を磨いて自室に戻りアロマポットを焚く。
 ネットに接続してメールチェックをして好きなブランドのセールを見て(この前欲しくて買ってしまった・・・)電気を消す。
 眠剤を忘れずに飲む。
 お気に入りのCDを聴きながら今日は遅くだけどブログを打った。


 あなたに 読んで 貰えると 嬉しいな
 

私だけの人

2015-02-10 11:50:27 | Weblog
 こんにちわ。
 昼食の雑炊を食べて満足じゃ。
 美味かったのじゃ。
 わたくしじゃ。


 昨日に引き続きじんちゃんのお話である。


 私達はランチを食べながら爆裂トークを繰り広げていた。


 80㎝のブラウスを上げたので私は失礼なのだが率直にじんちゃんに尋ねた。


「じんちゃん。二人目欲しいの?」


「うーん・・・私が、というより○○(じんちゃんの愛娘)が欲しがってる・・・」


「えぇっ!?りったんが!?」
「うん」
「でも二人目産んだらりったんはママ離れしなきゃいけないんだよ?」
「ちゃんとそう言ったんだけど『大丈夫!りったんはパパにだっこして貰うから!!』って言ってねぇ・・・」
「旦那、イクメン?」
「いや、まったく」


 全然駄目である。


「りったんは何でそんなに弟か妹を欲しがるの?」
「幼稚園でさー周りの子が次々お兄ちゃんかお姉ちゃんになっててねぇ・・・『可愛いなぁ~可愛いなぁ~』って頭撫でたりするのよ」
「ふむふむ」
「そんで『ママ、産んで~』って・・・」
「私、記憶が無い程昔○○君(上の弟)産まれたからなぁ」


 そう、私は否応なしに『お姉ちゃん』になってしまったのである。
 弟が産まれて今は良かったと思ってるのだが、物心ついた時には彼が嫌いだった。


 私をだっこしてくれる母。
 私の為に絵本を読んでくれる母。
 私の好きなモスバーガーに連れて行ってくれる母。


 私だけの、私だけの母だったのだ。


 なのに今は弟が手を掛けられ、私は1人淋しく絵本を読みながら、母の膝上に座る弟が憎らしくて仕方が無かった。


 あの膝に乗るのは私の筈なのに。
 あの膝に乗るのは私だけの筈なのに。


 母は今でも言う。


「○○(私の名前)は本当に手が掛からなかった子だったわ」


 そしてこう続ける


「だからって放っておいてごめんね・・・」


 今、上の弟は埼玉に。
 下の弟は岩沼に住んでいる。


 ところが今度は祖父と祖母の介護に私と母は必死だ。


 私だけの。
 私だけの母だったのに。


 全ての片が付いたら母と沖縄旅行に行こう、と言っている。


 晴天の中、母は笑顔でいてくれるだろうか。


 りったん。
 ママがね、自分だけのママじゃなくなるのは大変な事なんだよ。


 世界が一変し。
 そして私は泣き崩れる。

もう誰が何でも恥ずかしい。

2015-02-09 16:22:18 | Weblog
 こんにちわ。
 祖母の介護の隙間を見つけてやって来た。
 わたくしです。


 今日は中学一年生からの付き合いであるじんちゃん(美人・既婚・超可愛い娘持ち)とランチに行って来た。


「あのねー、このたらことエビのドリアが美味しいんだよ」
「そうなんだ、じゃあ私もそれ」
「ドリンクバーもつけてな」
「おう」


 注文して早速ドリンクバーでジュースとコーヒーをいれてテーブルに着く。


「じんちゃん。これが約束していたベイビーピンクハウスのブラウスだ」
「ありがとう!!」
「ちょっとシミが付いてる箇所があるが何、80㎝だ。直ぐに着れなくなるだろう」


 私はヤフオクで間違えてサイズ80のブラウスを競り落としてしまったのだ。


「○○ちゃん(私のあだ名)がさー、間違って未婚で子持ちでもないのに80㎝のブラウス競り落としたってママ友に言ったら皆爆笑していたよ」


 地味に恥ずかしい。


「頑張って二人目が女の子だったら着せてあげてくれ・・・」


 そのうちじんちゃんの愛娘のりったんの話になる。


「折角買ったジャンパーのファスナーが二回着ただけで壊れたのよ」
「おぉ」
「自分で直そうとしてマブチ(手芸店)にファスナー買いに行っても丁度良い長さのがなくてさー」
「・・・じんちゃん?」
「何?」


「ファスナーは欲しい長さより長いのを買って店員さんに『何㎝にして下さい』と頼めば希望の長さに調節してくれるよ・・・?」


「なにー!!失敗した!!」
「大体ファスナー着けるミシンのアタッチメントを持っているのかい?君は」
「いや、持ってない」


 昔も今も無謀な女だ。じんちゃん。


「じゃあここ出たら近くの服屋に行ってジャンパーを見てこよう」
「そうだね」


 つつがなく会計を終え服屋に向かう。
 大バーゲン中だった。
 入店するなりじんちゃんがダッシュで子供用ジャンパーコーナーにダッシュする。


「これ可愛い!!」


 キティちゃんのアップリケが付いたフードに茶色のファーの黒いダウンだ。
 50%引きだ。お安い。


「いや、じんちゃん。ファーは白のが可愛いと思う。他のも見よう」
「うん」


 二人で奥に向かう。
 またジャンパーコーナーだ。
 今度は私が


「じんちゃん!これが可愛いよ!!ファーも白だしアップリケはマイメロディだ!!キティちゃんより時代はマイメロを求めていると思う!!これも50%引きだし!!」


 何処の世界の求心力をキャッチしたのか、私は猛烈にそのダウンを店員でもないのにプッシュする。


「そうかな・・・じゃあこれにしようかな」
「良いと思う!とても可愛い!!」


 二人でレジに向かう。


 レジは無人だった。


「・・・・・・」
「・・・・・・」


 黙っていてもしょうがない。
 大声で私は叫ぶ。


「すいませーーーーーん!!!」


 店員さんがすぐにやって来て会計を済ませる。


 店を出てツルハドラッグに向かう。
 メイベリンの新色の口紅が欲しかったのだ。
 結論から言おう。


 無かったぜ!コンチキショー!!


 悔しがりながらマジョマジョのペンシルアイライナーのブラウンを購入する。
 もう3本目だ。黒と白はもう持っていて、とても気に入っている。
 私はアイライナー、じんちゃんはインスタントコーヒーを購入して帰宅する。
 途中でコンビニに寄って貰い色々と支払いを済ませる。財布が軽い・・・。


「じんちゃん。美味しい紅茶があるんだ寄っていかないかい?」
「おぉ!行く行く!!」
 家路に着く。
 

 玄関を抜けて
「先に居間に行っておいてー」
「分かったー」


 私は祖母の介護のケアさんに挨拶をしてから居間に向かう。
 炬燵をつけてストーブも点火する。
「まぁ、座って座って」
 二客の紅茶ティスティングセットを取り出してゆうなぎに貰ったさくらんぼの紅茶を淹れる。
 時間を見計らいカップに紅茶を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「うわー良い香りだー」
「美味いぞぅ」
 猫舌のじんちゃんは少し冷ましてから飲む。
「美味しいねぇ~」
 お喋りが止まらない。
 そして最近のじんちゃんの腐女子っぷりの話になる。
 じんちゃんは旦那に内緒で同人誌を作っているのだ。
 本人曰く


「ばれたら離婚だよ・・・」


 そんな激しいリスクを背負うな。


「そんでねーコスプレを・・・」


 その一言に私は仰天した。


「まだやってんのか!?」
「しばらくしてなかったの!返り咲いたの!!ママ友もしてるの!!」
「写真を見せろ!ジャンルは何だ!?」
 じんちゃんはスマホを操作しながら


「ハイキュー!!!!!」


 と、絶叫して画像を見せてくれた。


 ノリノリで赤いジャージにウィッグを装着しているじんちゃんがそこにいた。


「私だって○○歳で止めたのに!!恥ずかしくないのか!?」
「だってママ友が『ジャージ買ったの~』と自慢するから『じゃあ私も買う』って言っちゃったんだもん!!」


 買うなよ・・・。


「あ!雪が降ってきた!!」
 じんちゃんが慌てる。
 彼女は雪で五回事故を起こしている。
「帰るか?」
「うん」
「そうか」
「今度は○○(りったんの本名)も連れてくるから」
「是非そうしてくれ」


 りったんに上げる羊の可愛い加湿器が入って居る箱とじんちゃんの好きな水城せとなの漫画が詰まったバッグを持たせ玄関迄見送る。


「じゃあまたね」
「おう。今度はりったん連れてきてな」
「うん、ありがと。バイバーイ!」
「気を付けてなー」


 じんちゃんは帰って行った。


 ヤフオクで80㎝のブラウスを間違えて競り落とした私。
 コスプレに返り咲いてしまったじんちゃん。


 皆、どっちが恥ずかしいと思うかい?


 私と賭けてみようじゃないか。 


心配だ。

2015-02-08 11:10:14 | Weblog
 寝坊をした。
 寒い。
 だから起きたくないんだろう・・・。
 わたくしです。


 先日大人しく家事を黙々とこなしていた所、母が慌てた様子でやって来て叫んだ


「私の名前は!?」


 遂にボケたのかと唖然としながら


「○○○○○ですよ・・・」


 と、答える。


「違う!そうじゃない!!私の車の名前は!?」


 安堵と共に笑いが込み上げる。


「ワゴンRですよ」


「そうそうそれそれ!!」


 母は嬉しそうにしていた。


「遂にボケたのかと心配しましたよ・・・」
「ごめんねぇ!!」


 抱き合って母の脳の無事を喜ぶ。


 何処の家のおかんもこんな感じなのか?


 少したじろぐ。

あけましておめでとうございます。

2015-02-07 16:14:26 | Weblog
 最近祖母のオムツ変えが一人で出来る様になった。
 万歳!!
 わたくしです。


 年末、私はインフルで寝込んでいた。
 なのにガキつかの「笑ってはいけない」を顔面蒼白で最後迄観てしまった。


 これが悪かったのだろうか。
 私は元旦になったら何をしても吐く様になった。


 1日目・せっかく飲んだオレンジジュースを鼻と口から同時にマーライオン。
 2日目・寝ようと横になった途端吐き吐瀉物を思わず飲み込む。
 3日目・トイレでも居間でビニール袋でも所構わず吐く様になる。


 3日目が一番酷かった。
 全身の痙攣が止まらず体温が35度を切った。
 思い切りマーライオンになる。
 炬燵の温度をいくら上げても痙攣と震えは止まらず唇が紫色になる。お洒落じゃねーのだ。勘弁してくれ。


 流石に心配した両親が居間にいてくれる。
 もう夜の10時を切ってる。
 私は吐き気と寒さと痙攣にやられながら遂に限界を迎えた。


 天井に右腕を上げて


「救急車!!」


 と、絶叫した。


 母が電話を掛けているようだ、やりとりが遠く聞こえる。


「○○(私の名前)!!○○!!行きつけの病院は!?」
「○○○○クリニック!!」
 病院名を絶叫する。
「お薬手帳は!?」
「部屋!!」
 暫くして母が戻って来る。
「保険証が入ったバッグは見つかったけど、お薬手帳が無いのよ!」
「薬が大量に入ってるビニール袋の中!!」
 母は何とか見つけてきてくれて事なきを得る。
 電話の受話器の相手の声が聞こえる方を私の口に当てて


「もう一度病院名!!」


 いや、母よ。
 動転してるのは分かるんだがそっちじゃなくて・・・。
 ツッコミたいのに体調がどんどん悪くなっていくのでそっちに


「○○○○クリニック!!」


 と、また絶叫する。


 父が居間の二重ガラス扉を冷静に開けて救急車を待っている。
 いつ来たのか知らない(意識が朦朧としてた)が救急車が来た様だ。


 女性隊員さんが
「お名前言えますか?」
「○○○○(私のフルネーム)です!!」
「はい、じゃあ私の肩に手を回して下さい」
 震える腕で隊員さんにしがみつく。
 そのままキャスター付きの移動ベッドに三人掛かりで乗せられる。
 救急車の中に入り(付き添いは母だった)毛布に包まれベルトで身体を固定される。
「体温と血圧と心電図とりますね~」
 

 もう為すがままだ。


 意識は朦朧とし混濁してくる。
 吐き気が酷い事を伝えるとゲロトレー(命名・私)を渡され半身を起こされる。
 激しく振動する救急車の中でトレーを涙目になって抱え込んでいたら中核病院に着いたらしい。
 意識が半分程飛び、気付いたらベッドの上だ。
 右手首に点滴があり目を開けると通風口が見える。


 病院だ。


「はーい。こんばんは」
「はい!」
「お話できますか?」
「はい!」
「レントゲン撮りますけど妊娠してませんよね?」
「はい!」
「分かりましたー」


 落ち着いた医師に安心しベッドのままレントゲン室に運ばれる。


 身体の位置を微調整されながらレントゲンを撮られる。
 レントゲン技師の他に看護師がやって来て怖ろしい事をサラッと言った。


「足の付け根から採血しますねー」


「はい!?」


 ここに来て初めてのクエスチョンマークだ。
『足の付け根?』
『足の付け根?』
『足の付け根?』


 足の付け根!!


 理解した時にはもう私の右脚の付け根に針が入る瞬間だった。


「う゛っ!」


 シンプルに痛い。
 その間にもレントゲンは撮られている。
 眉根を寄せて横たわるしかない私。惨めだ。
 注射も点滴も全然平気だが針を入れられるポイントがポイントだと滅茶苦茶痛い事に初めて気付いた十五の夜~♪(尾○豊)


 歌ってる場合じゃ無い。


「針抜きますね~」


 一々言わんでも良い!不意打ちで抜いてくれ!!心の準備は要らないんだ!!十五の夜~♪←しつこい


「う゛っ!!」


 とても痛い。
 息絶え絶えとなり最初の場所に戻される。
「エコーで診ますから身体の力を抜いてて下さい」
 もう返事をする体力も残ってない。
 パジャマをめくられジェルを塗られスコープでぐいぐい腹を好き勝手に押される。
 頭上の通風口がぼやけて近くに見えたり遠くに見えたりする。


 くすぐったい・・・!!


 笑うわけにもいかんのでまた眉根を寄せて辛抱する。
 耐えきって診察終了。
 ジェルを拭き取られパジャマが私の腹をまた覆う。
 看護師がやって来て
「吐き気止め入れますね~」
 と点滴の管から吐き気止めを入れてくれる。
 この辺りでもまだ私の釣りたての魚の様な痙攣は止まらない。
 医師が不思議そうに


「いつも痙攣するんですか?」


 お薬手帳を見たのであろう。
 私の服用している薬は副作用で痙攣を起こすヤクもぶっこまれている。
 だがこんなに激しい痙攣は初めてだ。
 しかしまだ無気力で


「はい・・・」


 と、答えてしまった。
 医師は待っている両親の元へ向かい、私はベッドの上でようやく上がって来た体温を感じつつ枕がないので首が凝ってきた。吐き気もまだある。
 起き上がって首のマッサージを始めると直ぐに看護師がやって来た。


「どうしましたか?」
「吐き気がします・・・」


 ゲロトレーが渡されベッドの上半分を上げて貰う。
 ようやく落ち着いてきた。
 暑い程だ。
 茫然と時を過ごしていると看護師がやって来て


「もう帰れますよ」


 と言う。


 正直入院させてくれ、と思ったがこの病院の病床数は300位で病院の規模に比べたらとても少ない。
 萎えた足で父が持って来てくれたサンダルを履き看護師の腕に掴まりよろよろと歩く。
 待合室で両親が会計を待っていた。
 長椅子に座り母のトートバッグを枕にして上半身を横にする。


「大丈夫?」
「あぁ・・・結局何だったんですか・・・?」
「急性胃炎で白血球の量が異常に高かったんだって」
「胃と白血球にはどんな相互関係があるんですか?」
「お母さん、良く分からなかったわ」
「確かに私は慢性胃炎だけどね・・・」
「とにかく帰れるんだ。良かったな」
「はい・・・」


 会計を済ませ外に出ると寒風吹きすさぶ一月だ。


 ジュースの自動販売機を見て
「ポカリでも飲むか?」
 と、訊かれたが
「いんや、家にアクエリがあるから大丈夫だ」
 答える。
 後部座席に乗り込みまだ激しい吐き気に襲われていたら見かねた母がゴミ箱を渡してくれる。
 眼鏡を掛けていないので夜景が滲み私は産まれて初めて「車酔い」というものを体感した。


 帰宅すると三時だった。
 すぐさま母に布団に送り込まれる。
 眠剤を飲んで大人しく寝る。


 翌朝の事だ。
 父が今年の暦を開き二黒土星の私の吉日を調べていた。


「オイ、お前。今年は3日が吉日だぞ」


 暦なぞ焼けてしまえ。

顔面崩壊

2014-09-15 11:19:52 | Weblog
 こんにちわ。
 朝から麦茶しか口にしてないので昼時になったら何か食べないと……。
 わたくしです。


 私、髪をばっさり刈り過ぎに切って貰い更に染めて貰いました。
 良い感じです。とても良い感じです。私的には。
 ありがとう刈り過ぎ!!
 私のファム・ファタル!!!
 もう私刈り過ぎの理容店しか行きません。


 ヤフオクでキリキリ舞いをしています。
 ちょっとゴス系のお洋服をガンガン入札しております。
 毎日郵便局の振込に行ってるぜ。


 さて、そんな私なのだが今日も郵便局に行って振込しようと化粧を始めた。
 ベースのクリームを塗ってゆく。
 半分塗ったところで重大な事に気付いて青ざめた。


 今日祝日だよ!
 振込出来ねぇよ!!


 暫く固まる。


 顔面がトゥーフェイスになっておる。


 祝日憎し!!


 憎しみで人が殺せたら……!(ジルベール)

アの羅列

2014-09-14 06:09:18 | Weblog
 お早うございます。
 矢張り起き抜けにまた股関節絶賛悶絶大江戸レイプマン←意味が分からない単語を使うな
 わたくしです。

 ジュラ紀の話だ。
 ゆうなぎに不要になったワープロを貰った。
 嬉しかったので色々設定したり文章打ち込んだりして遊んでいた。

 そんなある日ぶりけさんが我が家に来てくれた。
「ぶりけー。ゆうなぎにワープロ貰ったんだよ~」
「良かったねぇ」
「ちょっと文章とか打ってみたの。読んでアドバイス頂戴」
「うん、良いよ」

 早速立ち上げてみると何故か片仮名の一列が出て来た。

 ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 こんな感じである。
 ぶりけさんと私は頭を抱えた。

「何これ」
「知らん……」

 どんだけ見ても「ァ」しかない。

「取り敢えず全画面してみるか」


 ポチッとな。


 表示された瞬間私とぶりけは大笑いした。
 ディスプレイには……!!


      ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
                                    ァ
                                   ァ
                                  ァ
                                 ァ
                                ァ
                               ァ
                     ァ         ァ
                      ァ       ァ
                       ァ     ァ
                        ァ   ァ
                         ァ ァ
                          ァ
                          ァ
                          ァ
                         ァ
                        ァ
                       ァ
                      ァ
                     ァ
                    ァ
                   ァ


 と表示されていたんだ!!
 私、今打ってみたけど物凄く疲れた……。


 弟に悪戯されちゃった様だ。
 可愛い弟である。


 今埼玉から宮城迄はるばると来ているのだが。


 取り敢えず人の電子機器を勝手に使うのは止めて欲しい。


 私とぶりけは引っ繰り返って大笑いしたんだが。


 シャッポを三枚は脱いだぜ。