脳科学研究センター-脳研究の最前線

脳の研究を総合的に行うべく、脳科学総合研究センタが1997年に設立された。

Aβの生成

2024-07-29 17:19:23 | 脳科学
Aβ生成に関するプロテアーゼ(タンパク質・ペプチドを加水分解する酵素)、セクレターゼと総称され、Aβのアミノ末端を切断するものがβセクレターゼ、カルボキシ末端を切断するものがγセクレターゼです。さらに、βセクレターゼに代わって、アミノ末端側で切断するαセクレターゼの存在も知られています。αセクレターゼの産物は病原性がないとされています。
前述で述べた家族性アルツハイマー病原因遺伝子の中で、APP遺伝子における変異は、βセクレターゼ切断部位およびγセクレターゼ切断部位の付近に存在するものがほとんどです、Aβ1‐40およびAβ1‐42の産生量を増加させ、後者はAβ1‐42の産生量を増加させます。その他の変異は、Aβの凝縮を促進する作用や、分解を抑制する作用が知られています。
またプレセリン1とプレセリン2は、γセクレターゼの構成成分があり、いずれも遺伝子の変異は相対的にAβ1‐42産生量を増加させます。このことからも、Aβ1‐42(あるいはAβx_42)が、第一義的な病原性ペプチドと考えられます。Aβ1-42は前述したとおり悪玉Aβですが
若い人から高齢者まで、脳内で常に合成されています。しかし、正常な若い脳では、合成された後に速やかに分解されるため凝縮・蓄積することはありません。言い換えれば、Aβの存在量は、合成と分解のバランスによって規定されるということです、


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