2.What's happened?
ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、
ガタンゴトン、ガタンゴトン…
「キャンドル・ライトが ガラスのピアスに
反射けて 滲む お前彼の腕の中踊る」
星一のイヤホンから響いてくるのは、昭和80年代をチェック柄で染めた人気アイドルグループの曲だ。当時は彼らのその奇抜でイケてる髪型やファッションを真似する男子が後を絶たず、社会現象と呼ばれるまでになったそうだ。
ガタン!電車が大きく揺れる。星一はビクッとして目を覚ました。
(あ…やべぇ…ついつい寝ちゃった…)
星一は寝惚け眼で窓の外に目をやると、何かを感じた。何かが違う。何だこの感じ。
「……寝過ごしたのか。どおりで見慣れない風景だ。今井め…あいつわざと起こさなかったな…」
ぶつくさ言いながら生徒鞄から定期を取り出してポケットの中に入れる。
すると、中にあった日本史の教科書を見て今日の出来事を思い出した。そして合点がいった。
「あいつ…まさか仕返しのために俺を置いて行ったのか…」
してやられた。
あいつには明日また何かやり返してやろうと不敵な笑みを受けべていると、駅が近づいてきたのかアナウンスが聞こえた。
「そろそろ着くのはいいけど、乗り直して引き返さなきゃいけないのは面倒くさいなぁ…」
まあ、駅員には寝過ごしてしまったと事情を話して、定期を見せればきっと大丈夫だろう。
そう思っていると電車が駅のホームへと入って行った。窓の外を眺めると右へ右へと風景が流れる。ホームで待っている人も右へ右へと流れていく。ふと、その中に奇抜なヘアースタイルの青年を見つけた。
「む?なんだあの髪型…ああいう髪型どっかで見たことあるような…?」
キキィー、プシューッ
電車が止まって、ドアが開いた。
星一はホームへと降りると辺りを見回した。普段来ない駅だからこんなにソワソワしてしまうのだろうか。でもそれだけじゃない気がする。ホームを行き来する人の格好がどうも時々テレビで見るような昔の映像っぽいのだ。
「え、なにこれ…?すごく嫌な予感がする」
胸のざわめきを感じながら星一は改札へと向かう。途中、階段を登りながら多くの人とすれ違ったのだが、みんなの顔を見ているとまるで''あんたの居場所はここにはない''とでも言われているのではないかと感じられた。
改札に行き、駅員に訳を話そうと定期をポケットから取り出す。右手の定期を見つめながらとぼとぼ歩いていると近くの女子高校生達の興奮気味な会話が耳に入った。
「昨日のベストテン観た?!フミヤ達すごくかっこよかったよね!!」
「観た観た!もう最高だったぁ!」
む??
「べ、ベストテン?それって確か昔の歌番組だよな…フミヤって藤井フミヤ…ってことはチェッカーズのこと…?」
普段から昭和80年代の曲を聴いている星一にはピンとくるフレーズばかりだった。それどころか、毎日のように某動画サイトで昔の貴重な映像を掘り起こしては観ているほどであった。
胸のざわめきがさらに大きくなる。
タイムスリップ…??
星一はパニックになって運賃も払ってないのに改札から飛び出した。慌てて駅員が声をかけるが星一の耳には届かなかった。
「う、嘘だ…夢に決まってる!」
そう言いながら脇目も振らずに道という道を走り抜ける。
ここがどこかさえもわからないまま走り続けていると、公園が見えた。
少し落ち着こうと思い、公園のブランコに座って腕時計を見た。時刻は現在午後6時27分だった。星一の腕時計は電波時計でソーラー発電も出来る平成現在ではごく普通の腕時計であった。公園の時計と照らし合わせてみても特に時間のズレはないようだった。
タイムスリップの原因は全くもって不明だが、腕時計は無事なようだ。
「あ、スマホは…!?」
慌ててスマホを学ランのポケットから取り出す。画面下にある丸いボタンを押してみた。こちらも午後6時27分を表示している。しかし、日付のところだけボヤけていてどうやっても見えない。
なんでだろう…そう思いながらふと顔を上げた時、公園のゴミ箱が視界に入った。バッと立ち上がり、近づいてみるとはみ出した新聞紙が見える。
(そうだ…!新聞紙になら年月日が書いてあるはずだ…!)
そう思いながらゴミ箱から新聞紙を取り出して日付を確認してみた。
星一は目を見張った。そして自分の目を疑った。
「しょ、昭和59年…?ってことは1984年…
は、は、はぁぁぁぁぁぁッ??
昭和?え、昭和?えぇっ!?
な、なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁ!?」
星一は静まり返った夜の公園で一人夜空に向かって叫んだのだった。
ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン、
ガタンゴトン、ガタンゴトン…
「キャンドル・ライトが ガラスのピアスに
反射けて 滲む お前彼の腕の中踊る」
星一のイヤホンから響いてくるのは、昭和80年代をチェック柄で染めた人気アイドルグループの曲だ。当時は彼らのその奇抜でイケてる髪型やファッションを真似する男子が後を絶たず、社会現象と呼ばれるまでになったそうだ。
ガタン!電車が大きく揺れる。星一はビクッとして目を覚ました。
(あ…やべぇ…ついつい寝ちゃった…)
星一は寝惚け眼で窓の外に目をやると、何かを感じた。何かが違う。何だこの感じ。
「……寝過ごしたのか。どおりで見慣れない風景だ。今井め…あいつわざと起こさなかったな…」
ぶつくさ言いながら生徒鞄から定期を取り出してポケットの中に入れる。
すると、中にあった日本史の教科書を見て今日の出来事を思い出した。そして合点がいった。
「あいつ…まさか仕返しのために俺を置いて行ったのか…」
してやられた。
あいつには明日また何かやり返してやろうと不敵な笑みを受けべていると、駅が近づいてきたのかアナウンスが聞こえた。
「そろそろ着くのはいいけど、乗り直して引き返さなきゃいけないのは面倒くさいなぁ…」
まあ、駅員には寝過ごしてしまったと事情を話して、定期を見せればきっと大丈夫だろう。
そう思っていると電車が駅のホームへと入って行った。窓の外を眺めると右へ右へと風景が流れる。ホームで待っている人も右へ右へと流れていく。ふと、その中に奇抜なヘアースタイルの青年を見つけた。
「む?なんだあの髪型…ああいう髪型どっかで見たことあるような…?」
キキィー、プシューッ
電車が止まって、ドアが開いた。
星一はホームへと降りると辺りを見回した。普段来ない駅だからこんなにソワソワしてしまうのだろうか。でもそれだけじゃない気がする。ホームを行き来する人の格好がどうも時々テレビで見るような昔の映像っぽいのだ。
「え、なにこれ…?すごく嫌な予感がする」
胸のざわめきを感じながら星一は改札へと向かう。途中、階段を登りながら多くの人とすれ違ったのだが、みんなの顔を見ているとまるで''あんたの居場所はここにはない''とでも言われているのではないかと感じられた。
改札に行き、駅員に訳を話そうと定期をポケットから取り出す。右手の定期を見つめながらとぼとぼ歩いていると近くの女子高校生達の興奮気味な会話が耳に入った。
「昨日のベストテン観た?!フミヤ達すごくかっこよかったよね!!」
「観た観た!もう最高だったぁ!」
む??
「べ、ベストテン?それって確か昔の歌番組だよな…フミヤって藤井フミヤ…ってことはチェッカーズのこと…?」
普段から昭和80年代の曲を聴いている星一にはピンとくるフレーズばかりだった。それどころか、毎日のように某動画サイトで昔の貴重な映像を掘り起こしては観ているほどであった。
胸のざわめきがさらに大きくなる。
タイムスリップ…??
星一はパニックになって運賃も払ってないのに改札から飛び出した。慌てて駅員が声をかけるが星一の耳には届かなかった。
「う、嘘だ…夢に決まってる!」
そう言いながら脇目も振らずに道という道を走り抜ける。
ここがどこかさえもわからないまま走り続けていると、公園が見えた。
少し落ち着こうと思い、公園のブランコに座って腕時計を見た。時刻は現在午後6時27分だった。星一の腕時計は電波時計でソーラー発電も出来る平成現在ではごく普通の腕時計であった。公園の時計と照らし合わせてみても特に時間のズレはないようだった。
タイムスリップの原因は全くもって不明だが、腕時計は無事なようだ。
「あ、スマホは…!?」
慌ててスマホを学ランのポケットから取り出す。画面下にある丸いボタンを押してみた。こちらも午後6時27分を表示している。しかし、日付のところだけボヤけていてどうやっても見えない。
なんでだろう…そう思いながらふと顔を上げた時、公園のゴミ箱が視界に入った。バッと立ち上がり、近づいてみるとはみ出した新聞紙が見える。
(そうだ…!新聞紙になら年月日が書いてあるはずだ…!)
そう思いながらゴミ箱から新聞紙を取り出して日付を確認してみた。
星一は目を見張った。そして自分の目を疑った。
「しょ、昭和59年…?ってことは1984年…
は、は、はぁぁぁぁぁぁッ??
昭和?え、昭和?えぇっ!?
な、なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁ!?」
星一は静まり返った夜の公園で一人夜空に向かって叫んだのだった。