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タイ東北部から世界を見る

国際結婚、海外駐在、旅などを通じて感じたこと

2010年のデモ

2010-05-23 | タイ
2ヶ月間にわたったデモに関して、日本の報道では、さまざまな解説がされているようですが、大半はまったく的をえていないものと思います。
タイ研究の第一人者といわれる学者の意見も本当にタイのことを理解しているのかと疑いたくなるものばかりです。

よく言われることに、今回の対立は、(1)貧困層と富裕層の対立、(2)新興勢力と旧勢力の対立と解説されています。
この見方は、断片的な面しかみていません。

(1)に関しては、タイの田舎の社会構造を理解していないところから誤解が生じています。
黒幕が、各地域の代表者に金をばら撒き、村人は自分の意思とは関係なく、その恩賞を預かるために代表者の意思に従います。これは、選挙中も同じことです。タクシン派が選挙で大勝した経緯にはこういうからくりがありますが、報道者も学者もこの点には言及していません。
例えば、東北地方では、選挙後は、誰がどの候補者に入れたがガラス張りです。こんな状態で、勝った選挙で民主的と言えるでしょうか?

(2)に関しては、代表者以外の顔ぶれをみれば、双方に新旧が入り乱れていることがわかるはずです。
タクシンとアピシット首相しかみていないのではないでしょうか?

日本の報道では、30バーツ医療などタクシンの功績はすばらしいと言っていますが、この弊害を理解しているのでしょうか?

30バーツ医療ではそれに見合う治療しかしません。いままで、効率の病院で安く医療を受けられていたのに、この制度を境に公立病院からは、医師が離れ、おまけに安い薬を渡して終わりとなることが多く、多くの人々が私立病院にいって高額な医療費を払わざるをえなくなっています。

今月の惨事に関しては、日本で報道されているような思想的な対立ではありません。
タイの歴史上、もっとも卑劣な事件のひとつと言っても過言はありません。過去の悲劇(1973年、1976年、1992年)とは比較できる出来事ではありません。
1992年5月の惨事には、集会などにも参加していました。あの時はタイ人の民主化へ向けての意思を強く感じました。

今回の事件に関しては、怒りと悲しみ以外、何も感じることはできません。


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