交換列車の信号を待つ間、機関士に話を聞いてみる。
「運転室が狭いのが欠点といえば欠点ですが、調子のいいカマですね。空転ですか・・・・。このカマは、しわる前に車が離れるように設計されている。いわゆる粘着けん引力がないわけなんですが、のみこんでやると、十分につかいこなせます。86、96のころは、砂をまかなくても、勾配を上がれました。ですから、昔かたぎの機関士は、砂をまくのは技術が劣るんだと、思っていたようですな。こいつは、もともと砂をまくようにできているんですよ」
坂を越えて、二戸の駅にすべりこんだD511は、c61にバトンタッチして、さっそうと引込線の方へ走り去っていった。
「機関車100年」 毎日新聞社より