列車は信号待ちのため、三泊でしばらく停車した。委託駅らしく、ゴマ塩
頭で背を丸めた駅長さんが、駅舎の窓越しにこちらを眺めていた。軒下には
犬小屋があって、茶色い犬が寒そうに鼻をならしている。私はそれを見なが
ら、老駅長は家族と一緒に暖かな生活をしているのかしら、それともこの犬
とたったふたりきりの生活なのかな、などと考えていた。駅舎の屋根の煙突
から出る細い煙が、風にあおられて流れていった。
蒸気機関車の旅 羽幌線 廣田尚敬 より
頭で背を丸めた駅長さんが、駅舎の窓越しにこちらを眺めていた。軒下には
犬小屋があって、茶色い犬が寒そうに鼻をならしている。私はそれを見なが
ら、老駅長は家族と一緒に暖かな生活をしているのかしら、それともこの犬
とたったふたりきりの生活なのかな、などと考えていた。駅舎の屋根の煙突
から出る細い煙が、風にあおられて流れていった。
蒸気機関車の旅 羽幌線 廣田尚敬 より