


さる5/23〜25、娘と共にでかけた静岡旅行記。その二日目の覚書です。上記の「お天気」は当日のもの。
朝はホテルで6時頃に起床。朝食ビュッフェは6時からなので、6時半にはラウンジへ行きたかったのです。自分たちが着いた時にはまだ比較的空いていました。

和洋中の多彩なメニュー展開が魅力のビュッフェですが、今日はスクランブルエッグやサラダ、バッファローチキンにパンなど、珍しく洋食中心で構成しました。ヨーグルトに紅茶やデザートなどもいただきましたよ。
部屋に戻って少し休んだ後、早めに着替えて出かける準備をしました。静岡県立美術館へ『古代エジプト展』を見に行く予定でしたが、美術館公式アカウントなどに「混雑が予想されるため駐車場の利用は避けてください」などと注意書きがされていたので、早めに出たかったのです。それでなくても午後行くと駐車場は常に満車に近い状態ですし、週末は更に混雑が予想されますから。
というわけで、息子には9時半頃にホテル前までクルマで迎えに来てもらいました。
土曜日のその時間の道路はまだ空いていて、美術館には10時前に着くことができました。いつもは美術館の建物から1kmくらい離れた駐車場しか空いていなくて、そこから(特に暑い時など)ゼイゼイハァハァしながら歩いて行くのですが、今回は幸い最寄りの駐車場にまだ空きがありました。その日は雨が降るとの予報も出ていたため、なおさら近い場所に停めたかったのです。


美術館前の広場から、そこへ到る森(その中にも屋外ギャラリーあり)、更に遠くの山も望んだ風景。
美術館は10時の開館前でしたが、驚いたことにその時点で既に行列ができていました。自分たちは前売りチケットも持っていたし、別に無理して並ばなくてもいいか──と、目の前の池やその中の鯉、池の中に建つオブジェなど眺めて時間を潰していたのですが、やがて係の人が出て来て、エジプト展に入場の人は「絶対」その列で待機するように言われたため、しぶしぶ並ぶことにしました。
当然ながら初め見た時より列は長くなっていて、後からもどんどん人が増えて来ました。
「すごい数の信者が集まってきている!」「ホルス神の?それともアトン神?」などとアホな会話をするうち、入り口が開いていざ入館。並んでいる時「リュックサックは必ずロッカーに預けてください」とほぼ名指しで言われていたため、入ってすぐの所にあるロッカールームに、背負っていたリュックを収めました。実際その方が動きやすいのは確かですし。
メインホールは2階にあり、そこへ到る大階段にも列ができていましたが、自分たちは(わたしが杖を突いているため)エレベーターを利用しました。2階で降りてみたらエレベーターの目の前にもロッカーがあり、思わず嘆息。
ともあれ展示場入り口へ行ってみると、前売り券を持っている人とこれからチケットを買う人は別の列をなし、自分たちは当然「持っている」方に並びました。
特別展 古代エジプト|展覧会一覧|展覧会|静岡県立美術館|日本平のふもと、緑に囲まれた美術館
このブルックリン博物館所蔵特別展は、まず1月から4月にかけて東京の森アーツセンターギャラリーで開催され、そこから静岡に回って来て、この先も豊田市、広島市などを巡回する予定になっています。その本サイトの方もリンクしておきます。
他の美術展などもそうですが、会場内はまず入り口付近が非常に混み合い、展示品もよく見えず身動きも取れない感じでしたが、そこはスルーして進むと後になるほど「密度」が減って見やすくなりました。
会場内は撮影自由で、自分たちもいろいろなものを撮りましたが、さすがに全部は貼りません。

新王国時代(BC1570〜BC1070頃。ツタンカーメンもその時代に属します)の貴族男性のレリーフ。印象的な横顔です。

絵師が石板に描いた下絵。こういうものが残っているんですね。

バー(霊魂)の護符とウジャト(ホルスの目)の護符。バーの護符をモチーフにしたピンバッジをミュージアムショップで売っていました。


本展覧会メインビジュアルとして用いられている神官ホルのカルトナージュ(棺)なのですが──

この掲示をよく見ると、素材(?)に「人間の遺体」という言葉が……つまり、この中にはまだご遺体=ミイラが納められていることになります。他に展示されている棺も同様でした。

この猫の像も実は棺で、中には猫ちゃんのご遺体が……猫はバステトを象徴するものですが、それでなくても敬われる存在だったようです。
これらの展示を見ると、畏怖の念と共に、こういうものを「展示品」として扱っていいのか?という思いも生じます。
ミイラを作る時、内臓は取り除いてカノプスと呼ばれる壺に納められます。

こちらがその壺。それぞれの部位ごとに異なる動物や人の頭部を象った蓋が被せられています。これらもグッズとして可愛い指人形型キーホルダーになっています。自分はジャッカル(ドゥアムトエフ)を買いました。
ミイラの作り方については、会場内のアニメでわかりやすく解説もされていました。元々ブルックリン博物館でも流れている動画だと思われます。
ここで写真を上げたのはごく僅か。これだけの収蔵品がよく日本に──それも静岡の片隅に来てくれたと感動します。静岡に住んでいたら何回か通ってしまうかもしれません。と言うか、東京で見れば良かったという話ですが。
実は或る有名な古代エジプト系サイト主さんが、この展覧会について「基本的な展示品ばかりでめぼしいものはない」というようなことをブログに書いていたのですが、思えばその人はご自分で何度もエジプトに足を運ばれているようなかたなので、その知識を基準にしてはいけませんね。自分のようなド素人には見応え十分すぎるほどでした。
展示室では、日本のエジプト考古学の一人者・河江肖剰先生の解説動画も流れ、発掘に使う計器や道具類も展示されていました。
メイン会場から県立美術館収蔵品展の部屋も通って外へ。ロダン館は今回パスしました。
ミュージアムショップでは小物やTシャツなどのグッズ、そして図録も買いました。さきのエジプトサイトの人も、この図録はコンパクトで持ちやすく内容も充実しているとおっしゃっていましたし。
グッズはこちら。現地ではここに載っていない物もあり、自分は「青いカバ」ハンドタオルも買いました。
せっかくだからお昼は博物館内のカフェレストランで食べようかとも考えたのですが、こういう所の常として価格の割に量が少なそうなのでやめておきました。エジプト展コラボメニューなど、ちょっと気になるものもありましたが。
というわけでクルマに戻り、息子が以前から気になっていたという(3月に行ったのとは別の)イタリアンレストランへ連れて行ってもらいました。
日本平のイタリアンレストラン「グラデボール」公式ホームページ
「日本平の」と言っていますが、日本平よりはかなり「街」寄りで、山道に到る一歩手前くらいの場所です。
それはともかく、着いた頃まさにランチタイムだったため、店内もテラス席も満席。10分以上待ったと思いますが、ゆったり座れて荷物も置ける席に案内してもらえました。店内の内装もなかなか素敵です。
注文したのはピッツア&パスタセット。3人前セットとして頼むと少しお得になるようです。

サラダのドレッシングはお店オリジナルで、ちょっとナッツ風味でした。

オードブル盛り合わせ。ガーリックトーストも美味しかったです。

メインは渡り蟹のトマトクリームパスタ。お店の設備不良により生パスタでなかったのは少し残念でした。息子と自分は甲いかをトッピングしましたが、娘がトッピングしたガーリックシュリンプも美味しそうでした。

そしてピッツアマルゲリータ。イタリアンには珍しいもっちり系生地が美味しかったです。トマトがドライトマトではなく生トマトなのが文字通り新鮮でした。
以上にドリンクバーがつきます。アイスドリンクにアイスティーがないのが意外でしたが、ホットの紅茶はティーバッグが何種類もありました。
2時頃までゆっくりお料理やお茶などを楽しみ、またクルマで市の中心部へ戻ります。次の目的地は駿府城の目の前にある静岡市歴史博物館ですが、まずいつものように《新静岡セノバ》の駐車場へ。息子の話では2時台が最も混むということですが、出て行くクルマも多く、ゆっくり登るうち良い場所に駐めることができました。しかし駐車場に入るまでの斜面がかなりの急勾配で怖かったです。
セノバを出て徒歩で駿府城方面へ向かう頃になると少しずつ雨が降り始めてきました。自分は傘を持っていましたが、本降りになる前に博物館に着くことができました。
お目当ての展示はこちらです。

館内に入るといつになく人が大勢いて驚きました。何かの講座や見学ツアーも行われていたようです。とにかく企画展のチケットを買い、展示室へ。しかし最初の基本展示室入り口に少人数ながら団体さんが溜まっていて中に入りにくく、その人たちと一緒に歩くのもちょっと……と思ったので、そちらはパスして(何回か来た場所ですし)脇道からエレベーターに乗ってすぐ企画展示室へ行きました。
明治維新と静岡 徳川慶喜、家達と旧幕臣たち | 静岡市歴史博物館
山岡鉄舟や勝海舟、渋沢栄一など旧幕臣たちの動向や業績を表す史料が興味深いです。海舟も一時は本気で駿府移住を考えていたんですね。その護身用ピストル(当博物館所蔵)などという物も展示されていました。
しかし駿府で活躍した人物と言えば、まず山岡鉄舟。江戸城明け渡しに関するいわゆる西郷-勝会談の前に、まず鉄舟が駿府で西郷と会談し、おおよその話を詰めたというのはもっと知られるべきだと思います。
3月に娘と行った小梳(おぐし)神社に慶喜公が残した書も展示されていました。得意だった写真や、富士山を描いた油彩画なども。実は泊まっているホテルの比較的近くに慶喜公の蟄居所だった宝台院があり、一度は覗いてみたいと思いつつ未だに行っていません。お屋敷だった浮月楼の前までは行ったことがあるのですが。
そのほか静岡藩が明治時代のごく初期から初等教育に力を入れていたことなどもわかり、思いのほか充実した面白い展示でした。大河ドラマ『青天を衝け』により、或る程度の知識を得ていたからかもしれません。しかしあの作品に於いては勝海舟が影も形もなかったことが(あえてだと思いますが)今も不思議です。
企画展示室のお隣にあるもう一つの基本展示室にも入りました。昨年来た江戸東京博物館展の時にはそのスペースも使われていましたが、今回は本来の展示に戻っていました。こちらでも江戸時代の駿府の賑わいや明治維新前後のことなどがわかり、企画展の続きのような部分もあります。昭和30年頃の静岡市中心部のジオラマも、当時は駿府城天守跡地あたりがグラウンドになっていたことなどがわかって面白いです。
もう少しゆっくり見ていたかったのですが、先ほどの団体さんらしき人たちがワラワラと入って来て、ガイドさんか解説役らしき人がけっこう大きい声でしゃべっているので、早々にそこを出ることにしました。
1階に降りて、市内のカフェチェーン《hug coffe》が運営しているミュージアムカフェに寄りました。

アイス抹茶ラテでホッと一息。子供たちはそれぞれアイスラテとアイスチャイ。甘いものはいただきませんでした。美味しいんですけどね。
カフェがミュージアムショップも兼ねているので、図録の他、静岡紅茶や緑茶のティーバッグなども買いました。
お城に面した窓から外を見ると、とりあえず雨はそれほど強くなっていないようでした。

来るたびに撮る巽櫓。ここしばらく駿府城公園の中までは行っていませんが、そのためだけに予定を取っても良いかとも思っています。
なお博物館1階では、24日から「城模型展示」というミニイベントも行われていました。
【城模型展示】模型で見る駿府城と日本の名城 | 静岡市歴史博物館
チラッと見ただけですが、こちらも面白かったです。
ともあれ、雨が強くなる前にセノバに戻ることにしました。
すぐにはお腹が空かないので、丸善でしばし時間を潰すことに。しかし今日は美術館と博物館をハシゴして、それだけで足が疲れていたのに、その上だだっ広い書店の中を歩き回ってヘトヘトになりました。
というわけで、空腹のためと言うより疲れを取るため、レストラン街の中華料理店《西安健康キッチン》へ。


軽くすませようと五目焼きそばを頼んだところ、思いのほか量が多く、そこに小籠包まで付けたので食べ切れるか不安になるほどでしたが、なんとか頑張って完食しました。いろいろなメニューが少しずつ楽しめる定食セットにしておいた方が良かったかもしれません。
さて静岡の夜は早く、晩ごはんの後は飲食店以外(何なら飲食店でさえ)開いているお店は少ないということもあり、雨が強くならないうちに早めにホテルに送ってもらうことにしました。
ホテルの部屋で少しお腹を落ち着かせてから大浴場へ。モニターでは「空いている」表示でしたが、行ってみると混んでいました。洗い場は自分たちが使っているうちに列までできてびっくり!そんなことをするのは初めて見ました。露天風呂へも出てみたところ、降る雨に当たってまたびっくり。屋根をつけたら露天ではなくなるにしろ、何か雨除けになるものが欲しいところです。そこは早々に引き上げ、中の大きい浴槽で体を休めました。
部屋に戻って、前の夜は『ミッション・インポッシブル』で夜更かししましたが、明日は東京に帰る日でもあり、なるべく早く寝むことにしました。と言ってもなかなか寝つけないのですが……
なお「一日目」の記事に書き忘れがあることに気がきました。後ほど追記しておきます。
→そちらは追記しましたが、見直したらこちらの記事にも少し書きもらしたことがあったことに気づいたので、推敲ともに書き足しておきました。