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らび草子

寒すぎてどもならん

裸の王様(後編)

2005-09-29 | 物語
それを聞いた農家の娘は腹を立ててこう言いました。 「さっきから聞いていましたが、もう限界なので言わせてください。王様、あなたは素っ裸でいらっしゃいます!」 農家の娘は持っていたマイクを床に叩きつけ、首にかかったタオルを掴んでイライラしながら出ていきました。 自分でもそうじゃないかと思っていた王様は、娘に言われてたいへんな自己嫌悪に陥りました。 しかし王様は、娘に対する配慮がなかったと思いつつ . . . 本文を読む

裸の王様(前編)

2005-09-29 | 物語
昔々、あるところに、1人の裸の王様がおりました。 裸という欠点を除いては申し分のない王様で、家柄がいいだけでなく、たいへん博学な人でした。 王様は自分が裸ではないだろうかとときどき疑問に思いましたが、なにしろ日々の業務に忙しく、自分のことを絶対だと信じていたため、そのことについて深く考えたことはありませんでした。 王国の人々も、王様がべつに悪い人じゃなかったのでそのままにしておきました。 ある . . . 本文を読む

森をさまよう少女のはなし(後編)

2005-09-17 | 物語
羊は椅子にふたたび腰掛け、マフラーを編みはじめました。 虹色の、ちょっと変わったマフラーで、暖炉の火に照らされて一層ふわふわと暖かそうにみえました。 「あの人はもう行ってしまったよ。」 編み物の手を休めることなく羊は言いました。 「あなたがここへ来る前にやってきて、しばらく話をして、また出ていったよ。」 少女は言いました。 「あの人、なにか言っていませんでしたか?」 羊は目数を数えながら言いま . . . 本文を読む

森をさまよう少女のはなし(前編)

2005-09-16 | 物語
一人の少女が光を求めて森のなかをさまよっておりました。 すると闇の中にぽつんと小屋の明かりが見えました。 「ああ、よかった。ここに誰かいるんだわ。」 少女がドアをノックすると、 「どうぞ、おはいり。」 と、くぐもった声が聞こえてきました。 少女はおそるおそるドアを開けました。 暖かそうなその部屋は、暖炉の明かりでゆらゆらと揺れていて、そばには一匹の大きな羊が大きな椅子に座ってマフラーを編んで . . . 本文を読む