バイオ3 獣記の始まりについて
※この作品は、プレステ版“バイオハザード3 ラストエスケープ”を下敷きとした、
ファンフィクションです。残虐な表現が入ってます。苦手な人は読まないで下さい。
簡単な設定として、リオとガウラは基本的に無敵状態に近いです。
白い猫のリオは首元にある花、“ピリマウム”でゾンビからの攻撃を完全防御。
ついでに言うと、二足歩行までは出来ませんが普通に喋る事が出来ます。
守護獣ガウラは雷属性の宝剣、“カルナック”と“リュック”を所持してます。
剣の切れ味は抜群で、リュックには沢山の物が入ります。
エスケープの世界は外国ですが、全て日本語で聴き取れる様にしました。
銃器とかの種類には、全然詳しくありません。
内容もうろ覚えです。そこら辺、オリジナルが入ると思います。
後、不定期で続くかと思います。ラストまで書けるか自信もありません。
修正も・・・沢山すると思います。
行き当たりバッタリですが、獣記版・ラストエスケープの世界をお楽しみください。
*****
<バイオ3 獣記> 01 ショッピングセンター
9月某日――
「うう・・・ここは・・・あれ?」
青空が広がる、良く晴れた世界で車の走る音が耳に響き渡る。
雑多なビルが多く、立ち並ぶ店や標識が入り乱れ、平常通りの交差点。
メインストリートと呼ばれる大通りでは、人々が普通に往来している。
それらを眺めつつ、薄汚れた建物の隙間でポツンと一人で座っていた。
「ゲームの世界のラクーンシティ・・・? まだ何も起こってない状態の??」
半ば信じられない気持で、私は頭を必死に働かせた。
作者のラクトから、面白そうだから“バイオ3”の世界へ行って来いと言われた
んだった。
彼女は本当に後先考えない性格の人物で、私とガウラはいいトバッチリだ。
ガウラ・・・彼もこの世界に来た筈なのだが、どうやらはぐれてしまったらしい。
女神のエリーちゃんとラクト、相容れたものを感じながらいつも通り猫の姿で
うんうん唸ってると、上から声が聴こえた。
「猫ちゃんだ~~!! お母さんみてみてっ、白い猫だよ。可愛い~~!」
「まあ、本当だわ。真っ白いじゃない。こんな場所に綺麗な毛並みの猫なんて、
迷子の猫ちゃんじゃないかしらね?」
5,6歳位の首元まである金髪の女の子が、しゃがみ込み私の頭を撫でる。
横に立って、微笑ましく笑っている大人の女性は私の背を撫でてくれた。
「ニャ、ニャアア!(こんにちは、リオでっす!)」
日本語で喋ろうかと迷ったが、絶対怪しまれると思ったので猫語で御挨拶。
毛むくじゃらの白い手を上げ、行儀よく彼女達の返事を待つ。
「可愛いよぉぉ! お母さん、この猫私連れて帰りたいっ。ダメッ?」
「駄目よ。この子の飼い主さんが、心配してるかもしれないじゃない。
きっと今頃捜してるわよ」
「うわああーーん。ヤダヤダァ。連れて帰るぅぅ~~!!!!!」
大泣きして自らの母を困らせる女の子に弱り果て、私の捜索願いが出されて
ないか調べてから、彼女達の家へ御厄介する事になった。
*****
警察所に行き、私の捜索がされてないか調べて貰った結果、該当するペットは
いなかった。迷子・捜索願いの受付所で連れ帰っても良いか判断を聞くと、OK
サインが出たので女の子はとても喜んでくれた。
「これからよろしくねっ、猫ちゃん。私の名前はジュリエーヌよ。
お母さんの名前はチェリベッサ。
家族と友達は私の事ジュリって言うの。だからジュリね!!」
猫ちゃんの名前はぁぁ~~、と唸り出し待合室のソファに仲良く腰掛ける。
その光景を、微笑ましく見ている警察所の人達。
沢山の名前を閃いたジュリが、笑いながら言う。
「エリザベス、ダイアナ、フレイヤ、アルテミス、アテナ・・・猫ちゃんの名前、
何がいいかなぁ・・・」
「ニャニャッ(多っっ!!)」
慣れない横文字だらけに不満が募って、通路を歩く警察官の手に持つ紙を引った
くってやった。私のその柔軟な素早い動きに、驚きの顔を見せた男の人は呆気に
取られたままだ。
床に落としたボールペンを口で咥え、肉球の手でフタを外し、紙に向き合う。
アルファベットを拙いが、ゆっくりと書いてジュリに見せた。
―― rio! ――
「ニャ!(リオだよっ!)」
「リオ? 猫ちゃんの名前リオちゃんって言うの?」
ポスポスと、毛むくじゃらの手で紙に書いた名前を指し示す。
私の名前はリオだ。親に名付けて貰ったそれは、きっと一生変える事はないだろう。
「お待たせっ。さぁ、早く帰りましょうか」
「お母さんっ、この猫の名前、“リオ”ちゃんだよ。すごいのっ。
名前まで紙に書くんだよっ。私ビックリしちゃったぁ~~」
ジュリのお母さんが帰って来て、今までのやり取りを興奮しながら話す娘に、
傍に居た警察官も笑いながら感心していた。
大きな手で体中を撫でられてから、警察所を出る。
私の晩御飯用に、キャットフードを買おうかとチェリお母さんが話し、私を含めた
三人は地元のショッピングセンターへ向かった。
****
―― ラクーンシティ・ショッピングセンター ――
ラクーンシティ最大の、ミツバのマークが特徴の大型ショッピングセンター。
ジュリのお母さんが運転する白のワゴン車で、警察所から移動したら5分と掛か
らない場所にあり、近かったので警察所からスーパーまでの道のりを覚えてしまった。
「キャットフードッ♪ キャットフードッ♪」
「ニャニャニャッ!!!(げげっ、猫まんまは食べれても、それだけはっ!)」
機嫌良く歌うジュリの顔を見て、イヤイヤと顔を振り、服を軽くかじってみた。
すると、察してくれた彼女は悩みだす。
「お母さん、リオちゃんキャットフードが嫌いって言ってるよ」
「あら、そうなの? じゃあ、一体何を食べるのかしら?」
両開きの自動ドアから入り、食品売り場へ来た私達の目の前には、沢山の種類の
キャットフード。缶詰と毛玉を防ぐ食べ物や、猫の栄養バランスを重視した袋入り
商品に、私は目を剥いた。
それらを手に取り、じっくりと眺めていたチェリお母さんの服によじ登り、
毛むくじゃらの右手である方向を指し示す。
彼女達が目にした視線の先には、新鮮な魚売り場だった。
「リオちゃんは、魚が食べたかったんだねっ」
「じゃあ魚と・・・後はミルクで良いかしら?」
「ニャアッ(うんっ!)」
少しばかりワガママを言って悪いと思いつつ、ショッピングセンターからさあ出よう
とした時――
「みんなっ、大変だっ!! 外に、狂った奴らがいるぞ」
「はあっ? あんた、頭おかしいんじゃないか?」
「そうよぉ。ヤクでも打って頭イカれてんじゃないの? キャハハハッ」
腕に怪我を負った中年が、店内に慌てて入って来た。
それを見た若いチャラけた青年が否定し、隣に居る彼女らしき不良少女と外へ向かう。
しばらくして返って来たのは、耳をつんざく悲鳴だった。
「たっ、助けてくれぇーーっ」
「キャアアアッ、ヤメテェェェ!!!」
透明の自動扉なので、隔てた建物の内部から外の様子がよく分かる。
複数の車が停まっている外の駐車場で、二人の人間に4人位の人間が群がっていた。
「奴ら、何やってんだ??」
「さあ、バカやってんじゃない。人を小馬鹿にしようと、自演でもしてるんでしょ」
大勢の客たちが扉の向こうを凝視する。
すると、不良の少女に三人の人間が襲いかかった。
「なぁ、これって・・・ヤバいんじゃないか?」
「な、何なんだよ。あいつら寄ってたかって、何しようって・・・!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアッ」
白目を剥いた男性や、焦点が定まっていない白人女性、警官の服を着た男性――
不良少女の体に齧り付き、血を啜り肉を貪る。腕や顔の肉を噛み千切り、腹から
内臓へと貪り、地面には鮮血が広がる。
絶命の悲鳴を上げ不良少女は遂に息絶え、三人の人間の隙間から、少女の腕だけが
無常にも力無く地面に落ちた。
それを見ていた、扉の前に居た客達は目を逸らす事無く、身動き一つ出来なかった。
絞り出す声からは、悪夢でも見ているんじゃないかと、誰かにこれは夢だと否定して
欲しいと望むかの様に。
「・・・し、信じられねえ」
「嘘・・・こんなのってない・・・誰か嘘と言って・・・!!」
その時、少女と一緒に外に居たチャラけた青年が、命からがらショッピングセンター
へと引き返して来た。やっと入り口の所までやって来て、横に開くのを待つ――が。
「なっ、何だよ・・・何で開かねぇんだよぉ・・・」
安心したのも束の間、センサーで開く筈の自動扉は今はピクリとも動かない。
焦りが限界に達した頃、透明の扉を激しく叩きだした。
「お、おい。ここ開けてくれよぉっ! お願いだっ。頼む、開けてくれっっ」
「・・・はぁっ、はぁっ、そ、そんな事っ・・・ど、どうやって・・・!」
震え出す客たちや、何とか扉を開けようと力を込める男性達。
しかし、それに気付いた4人の内の一人が、鈍い動作で青年の背後まで迫って来ていた。
「お、おい後ろっ」
「なっ、こっこの野郎っ!!!」
「アアアアアッ」
不良少女の肉を共に貪っていた、黒人男性が青年に襲いかかる。
口から涎を流し、白目を向いていることから、視力は機能していないと推測できる。
しかし――
「ウアアアアッ!!」
生きた人間を求める余り、匂いに敏感にでもなっているのだろうか?
彼の体目掛けて、噛み付こうとする黒人男性。
少女の肉を一通り食していた彼等も、今度は入口まで近付き、彼を羽交い絞めして
食事にありつく。肉を食す音だけが皮肉にもこちらまで届き、耳を塞ぐ者まで居る。
ニチャッ、ニチャッ、クチャッ、クチャッッ
「・・・」
「ああ、神様・・・!!!」
「お母さん・・・」
「ニャ・・・(これが、バイオハザードの世界・・・!)」
押しつけられた透明の扉には、青年の両手に付いた血液がベッタリと付着している。
これからの私達の行く末を、前途多難な場面が待ち受けていようとは、ここに居る
誰にも分かる事は無かった。
※この作品は、プレステ版“バイオハザード3 ラストエスケープ”を下敷きとした、
ファンフィクションです。残虐な表現が入ってます。苦手な人は読まないで下さい。
簡単な設定として、リオとガウラは基本的に無敵状態に近いです。
白い猫のリオは首元にある花、“ピリマウム”でゾンビからの攻撃を完全防御。
ついでに言うと、二足歩行までは出来ませんが普通に喋る事が出来ます。
守護獣ガウラは雷属性の宝剣、“カルナック”と“リュック”を所持してます。
剣の切れ味は抜群で、リュックには沢山の物が入ります。
エスケープの世界は外国ですが、全て日本語で聴き取れる様にしました。
銃器とかの種類には、全然詳しくありません。
内容もうろ覚えです。そこら辺、オリジナルが入ると思います。
後、不定期で続くかと思います。ラストまで書けるか自信もありません。
修正も・・・沢山すると思います。
行き当たりバッタリですが、獣記版・ラストエスケープの世界をお楽しみください。
*****
<バイオ3 獣記> 01 ショッピングセンター
9月某日――
「うう・・・ここは・・・あれ?」
青空が広がる、良く晴れた世界で車の走る音が耳に響き渡る。
雑多なビルが多く、立ち並ぶ店や標識が入り乱れ、平常通りの交差点。
メインストリートと呼ばれる大通りでは、人々が普通に往来している。
それらを眺めつつ、薄汚れた建物の隙間でポツンと一人で座っていた。
「ゲームの世界のラクーンシティ・・・? まだ何も起こってない状態の??」
半ば信じられない気持で、私は頭を必死に働かせた。
作者のラクトから、面白そうだから“バイオ3”の世界へ行って来いと言われた
んだった。
彼女は本当に後先考えない性格の人物で、私とガウラはいいトバッチリだ。
ガウラ・・・彼もこの世界に来た筈なのだが、どうやらはぐれてしまったらしい。
女神のエリーちゃんとラクト、相容れたものを感じながらいつも通り猫の姿で
うんうん唸ってると、上から声が聴こえた。
「猫ちゃんだ~~!! お母さんみてみてっ、白い猫だよ。可愛い~~!」
「まあ、本当だわ。真っ白いじゃない。こんな場所に綺麗な毛並みの猫なんて、
迷子の猫ちゃんじゃないかしらね?」
5,6歳位の首元まである金髪の女の子が、しゃがみ込み私の頭を撫でる。
横に立って、微笑ましく笑っている大人の女性は私の背を撫でてくれた。
「ニャ、ニャアア!(こんにちは、リオでっす!)」
日本語で喋ろうかと迷ったが、絶対怪しまれると思ったので猫語で御挨拶。
毛むくじゃらの白い手を上げ、行儀よく彼女達の返事を待つ。
「可愛いよぉぉ! お母さん、この猫私連れて帰りたいっ。ダメッ?」
「駄目よ。この子の飼い主さんが、心配してるかもしれないじゃない。
きっと今頃捜してるわよ」
「うわああーーん。ヤダヤダァ。連れて帰るぅぅ~~!!!!!」
大泣きして自らの母を困らせる女の子に弱り果て、私の捜索願いが出されて
ないか調べてから、彼女達の家へ御厄介する事になった。
*****
警察所に行き、私の捜索がされてないか調べて貰った結果、該当するペットは
いなかった。迷子・捜索願いの受付所で連れ帰っても良いか判断を聞くと、OK
サインが出たので女の子はとても喜んでくれた。
「これからよろしくねっ、猫ちゃん。私の名前はジュリエーヌよ。
お母さんの名前はチェリベッサ。
家族と友達は私の事ジュリって言うの。だからジュリね!!」
猫ちゃんの名前はぁぁ~~、と唸り出し待合室のソファに仲良く腰掛ける。
その光景を、微笑ましく見ている警察所の人達。
沢山の名前を閃いたジュリが、笑いながら言う。
「エリザベス、ダイアナ、フレイヤ、アルテミス、アテナ・・・猫ちゃんの名前、
何がいいかなぁ・・・」
「ニャニャッ(多っっ!!)」
慣れない横文字だらけに不満が募って、通路を歩く警察官の手に持つ紙を引った
くってやった。私のその柔軟な素早い動きに、驚きの顔を見せた男の人は呆気に
取られたままだ。
床に落としたボールペンを口で咥え、肉球の手でフタを外し、紙に向き合う。
アルファベットを拙いが、ゆっくりと書いてジュリに見せた。
―― rio! ――
「ニャ!(リオだよっ!)」
「リオ? 猫ちゃんの名前リオちゃんって言うの?」
ポスポスと、毛むくじゃらの手で紙に書いた名前を指し示す。
私の名前はリオだ。親に名付けて貰ったそれは、きっと一生変える事はないだろう。
「お待たせっ。さぁ、早く帰りましょうか」
「お母さんっ、この猫の名前、“リオ”ちゃんだよ。すごいのっ。
名前まで紙に書くんだよっ。私ビックリしちゃったぁ~~」
ジュリのお母さんが帰って来て、今までのやり取りを興奮しながら話す娘に、
傍に居た警察官も笑いながら感心していた。
大きな手で体中を撫でられてから、警察所を出る。
私の晩御飯用に、キャットフードを買おうかとチェリお母さんが話し、私を含めた
三人は地元のショッピングセンターへ向かった。
****
―― ラクーンシティ・ショッピングセンター ――
ラクーンシティ最大の、ミツバのマークが特徴の大型ショッピングセンター。
ジュリのお母さんが運転する白のワゴン車で、警察所から移動したら5分と掛か
らない場所にあり、近かったので警察所からスーパーまでの道のりを覚えてしまった。
「キャットフードッ♪ キャットフードッ♪」
「ニャニャニャッ!!!(げげっ、猫まんまは食べれても、それだけはっ!)」
機嫌良く歌うジュリの顔を見て、イヤイヤと顔を振り、服を軽くかじってみた。
すると、察してくれた彼女は悩みだす。
「お母さん、リオちゃんキャットフードが嫌いって言ってるよ」
「あら、そうなの? じゃあ、一体何を食べるのかしら?」
両開きの自動ドアから入り、食品売り場へ来た私達の目の前には、沢山の種類の
キャットフード。缶詰と毛玉を防ぐ食べ物や、猫の栄養バランスを重視した袋入り
商品に、私は目を剥いた。
それらを手に取り、じっくりと眺めていたチェリお母さんの服によじ登り、
毛むくじゃらの右手である方向を指し示す。
彼女達が目にした視線の先には、新鮮な魚売り場だった。
「リオちゃんは、魚が食べたかったんだねっ」
「じゃあ魚と・・・後はミルクで良いかしら?」
「ニャアッ(うんっ!)」
少しばかりワガママを言って悪いと思いつつ、ショッピングセンターからさあ出よう
とした時――
「みんなっ、大変だっ!! 外に、狂った奴らがいるぞ」
「はあっ? あんた、頭おかしいんじゃないか?」
「そうよぉ。ヤクでも打って頭イカれてんじゃないの? キャハハハッ」
腕に怪我を負った中年が、店内に慌てて入って来た。
それを見た若いチャラけた青年が否定し、隣に居る彼女らしき不良少女と外へ向かう。
しばらくして返って来たのは、耳をつんざく悲鳴だった。
「たっ、助けてくれぇーーっ」
「キャアアアッ、ヤメテェェェ!!!」
透明の自動扉なので、隔てた建物の内部から外の様子がよく分かる。
複数の車が停まっている外の駐車場で、二人の人間に4人位の人間が群がっていた。
「奴ら、何やってんだ??」
「さあ、バカやってんじゃない。人を小馬鹿にしようと、自演でもしてるんでしょ」
大勢の客たちが扉の向こうを凝視する。
すると、不良の少女に三人の人間が襲いかかった。
「なぁ、これって・・・ヤバいんじゃないか?」
「な、何なんだよ。あいつら寄ってたかって、何しようって・・・!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアッ」
白目を剥いた男性や、焦点が定まっていない白人女性、警官の服を着た男性――
不良少女の体に齧り付き、血を啜り肉を貪る。腕や顔の肉を噛み千切り、腹から
内臓へと貪り、地面には鮮血が広がる。
絶命の悲鳴を上げ不良少女は遂に息絶え、三人の人間の隙間から、少女の腕だけが
無常にも力無く地面に落ちた。
それを見ていた、扉の前に居た客達は目を逸らす事無く、身動き一つ出来なかった。
絞り出す声からは、悪夢でも見ているんじゃないかと、誰かにこれは夢だと否定して
欲しいと望むかの様に。
「・・・し、信じられねえ」
「嘘・・・こんなのってない・・・誰か嘘と言って・・・!!」
その時、少女と一緒に外に居たチャラけた青年が、命からがらショッピングセンター
へと引き返して来た。やっと入り口の所までやって来て、横に開くのを待つ――が。
「なっ、何だよ・・・何で開かねぇんだよぉ・・・」
安心したのも束の間、センサーで開く筈の自動扉は今はピクリとも動かない。
焦りが限界に達した頃、透明の扉を激しく叩きだした。
「お、おい。ここ開けてくれよぉっ! お願いだっ。頼む、開けてくれっっ」
「・・・はぁっ、はぁっ、そ、そんな事っ・・・ど、どうやって・・・!」
震え出す客たちや、何とか扉を開けようと力を込める男性達。
しかし、それに気付いた4人の内の一人が、鈍い動作で青年の背後まで迫って来ていた。
「お、おい後ろっ」
「なっ、こっこの野郎っ!!!」
「アアアアアッ」
不良少女の肉を共に貪っていた、黒人男性が青年に襲いかかる。
口から涎を流し、白目を向いていることから、視力は機能していないと推測できる。
しかし――
「ウアアアアッ!!」
生きた人間を求める余り、匂いに敏感にでもなっているのだろうか?
彼の体目掛けて、噛み付こうとする黒人男性。
少女の肉を一通り食していた彼等も、今度は入口まで近付き、彼を羽交い絞めして
食事にありつく。肉を食す音だけが皮肉にもこちらまで届き、耳を塞ぐ者まで居る。
ニチャッ、ニチャッ、クチャッ、クチャッッ
「・・・」
「ああ、神様・・・!!!」
「お母さん・・・」
「ニャ・・・(これが、バイオハザードの世界・・・!)」
押しつけられた透明の扉には、青年の両手に付いた血液がベッタリと付着している。
これからの私達の行く末を、前途多難な場面が待ち受けていようとは、ここに居る
誰にも分かる事は無かった。
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